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将軍様へのGE・KO・KU・ZYO ◆qYuVhwC7l.



エリアF-8の深い森の中に、二人の男が立っている。
彼等はどちらも二メートルは越しているであろう高い身長を持ち、そしてまたその姿形も一般人からは一線を画していた。
片や、銀色の鎧を全身に身にまとった、悪魔のオーラを纏った男。片や、ホッケーマスクのような仮面を被り、巨大な腕を全身に纏わりつかせている男。
彼等の名は、『超人』。人類を遥かに越えた力を持ち、時に物理法則すらも捻じ曲げ、リングの上で数々の奇跡を生み出してきた存在。
銀色の鎧の超人、悪魔の長たる恐怖の将、悪魔将軍はそのままゆっくりと振り向き、正面からホッケーマスクの超人を見据える。
その瞳は、悪魔らしい冷徹な感情で溢れていた。

「もう一度聞くぞ、ジ・オメガマンよ。何故貴様は、悪魔騎士達の亡骸をその身に宿している?」

悪のカリスマに相対している者の名は、ジ・オメガマン。
ありとあらゆる感情を超越した精神を持つと言われ、最も神に近いとされる超人種族、『完璧超人』にその名を連ねる者。
このバトルロワイヤルの会場において、幾度となく辛酸を、そして幾度となく勝利を味わってもいる男は、悪魔の眼差しを前にしても冷静に質問に答える。

「フォーッフォフォ…悪魔騎士の亡骸というのは、こいつらの事ですかい、将軍殿」

そう云いながら、右腕を横に移動するのを合図として、彼の体を包んでいる巨大な拳がゆっくりと開く。
やがて開ききったその拳の指先が、虚ろな瞳を持つ五つの生首へと転じた。

アシュラマン、スニゲーター、サンシャイン、ジャンクマン。

ザ・ニンジャとプラネットマンを除いた、悪魔六騎士のうち四人の首が、生気を宿さない死人の相を悪魔将軍へと向ける。
それを受けた悪魔将軍の瞳が、僅かに見開かれた。
と言っても、かつての部下たちの変わり果てた姿に衝撃を受けたわけでは無い。
氷のような心を持つ悪魔の化身は、さざ波ほどの悲しみも感じる事は無い。
その感情の揺れは、悲しみでは無く驚き。
今現在も『自分の体を構成している』悪魔六騎士の首が、こうして目の前に存在しているという、摩訶不思議な現象に対する疑問だった。

彼等の内の一人、アシュラマンは自分と同じバトルロワイヤルの参加者だ。
ならば、自分と遭遇する前にオメガマンがアシュラマンを殺害し、その首を収集したと見るのが正しいだろう。
だが、それならば、この殺し合いとは無関係である他の悪魔六騎士については?

じっと考え込んでいる悪魔将軍を前にして、オメガマンはスッと一本指を立てると、彼等の首を手に入れた経緯についての解説を始める。
彼にとっては、それは大したことのない情報だからだ。

「さて、将軍殿。俺がこの悪魔六騎士達の首を手に入れた経緯について話す前に、あんたに一つだけ確認しておきたいことがある」
「なんだ、言ってみるがいい」

ともすれば不遜とも取れるオメガマンの言動を前にしても、将軍は取り乱すこと無く続きの情報を引き出そうとする。
キング・オブ・デビルは、これしきの事では揺るがない。
貫禄すら漂わせる悪魔将軍の態度を前にして、オメガマンは僅かにフォッと笑うと、彼への質問を口にする。

「我々超人がリングの中で命を落とした場合、その魂は一体どこへ向かうのか…それを知っていますかな?」
「………超人墓場、か」
「クォークォクォ、流石は将軍殿、良くご存じですな」

納得のいく答えを手に入れたオメガマンは、満足げに笑いながら悪魔将軍を褒めたたえる。

超人墓場。それは、リングで散った超人達が行きつくといわれる、摩訶不思議な空間である。
『あの世』とも言い換えられるその場所では、恐ろしい鬼たちが鞭を振るい、死を経験した超人達は過酷な労働を強いられる。
ある意味では、地獄と表現できるような場所だろう。

「キン肉マン達正義超人と戦い、そしてリングに沈んで行った悪魔六騎士達の魂もまた超人墓場へと落ちて行きました……
 だが、この悪魔六騎士共は、そのままそこで働く事を良しとしなかった」

悪魔将軍にそう解説しながら、オメガマンは自分の頭上を見上げて四つの生首を目に入れる。
既に光を宿していないその虚ろな眼は、彼等を宿しているオメガマンでさえもどこを映しているかはわからない。

「本来ならば、超人墓場での働きに応じて支給される生命の玉さえ集めれば、超人は再び生を受ける事が出来る。
が、それは短くても半年、長ければ100年以上もの時間が掛かる…その事に反発した悪魔六騎士は、超人墓場からの脱走を図り――」
「それを良しとしない貴様によって、再びその命を奪われたという事か」
「フォーッフォフォフォ!! 察しが良いですな、将軍!」

自分の言葉をフォローする将軍のセリフを聞き、オメガマンが楽しげに笑う。
だが、その笑いは将軍への称賛だけが含められているのではない。
多くの犯罪超人を狩り、報酬を得る超人ハンター・オメガマン。彼にとって、犯罪超人を追い詰め、殺し、そしてコレクションとしてその首を収集する事は、至上の喜びであった。
かつての超人墓場にて、悪魔六騎士達を葬り去った戦いを思い出しながら、オメガマンはしばし笑い続ける。

自分の部下を侮辱するようなその笑いを受けても、悪魔将軍の顔色は何一つ変わらない。
悪魔は、敗者にかける言葉などを持っていない。
そして今は、無残な死を遂げた部下たちを想うよりも、遥かに重要な事があった。

「悪魔六騎士が、キン肉マン達正義超人に敗れたと…そう言ったな」
「ああ、それが何か問題でもあるんですかい?」
「いや、その事自体に問題は無い。奴らが敗北する瞬間は、この私も見届けている」

悪魔将軍の本体でもある黄金のマスク、それを争奪する為の悪魔六騎士と正義超人の戦い。
自分は、この殺し合いに呼ばれる直前まで特等席でそれを鑑賞していたのだ。
そう、本当に直前まで。

「奴らは死後超人墓場に落ち、そこからの脱走を企てた。オメガマンよ、それが『いつ』なのかを、覚えているか?」
「はぁ……?」

悪魔将軍が抱いた疑問は一つ。それは、悪魔六騎士がその命を落として『すぐ』に、超人墓場からの脱走を企てたのか、という物。
彼等がリングの上で命を落としてから経過した時間は、決して長くはない。むしろ、悪魔将軍が知る限りではたった数時間前の出来事だ。
ならば、悪魔六騎士達は死後すぐに復活を求めて、無謀な脱走を求めたというのか。
オメガマンは、悪魔将軍の質問の意図が読めないと表情で思わず間の抜けた声を上げる。
だが、それを見据える将軍の表情は真剣そのものだ。もしも適当な事を云えば、その場で悪魔の制裁がくだされるであろう事は間違いない。
無駄な体力の消耗を避ける為にも、オメガマンは頭を捻らせながら答えを示そうとする。

「さて……少なくとも、将軍殿がキン肉マンに敗れ、トーナメントマウンテンでのタッグマッチが開催されている最中の……」

ふと、オメガマンが漏らした呟きの一つに反応して、悪魔将軍の顔色が即座に変化する。

「待て。今、貴様は何と言った?」
「は? いや、トーナメントマウンテンでのタッグマッチと……」
「違う、その前だ。……私が、キン肉マンに敗れた、だと?」

一言一言を噛みしめるような悪魔将軍の声を聞いて、ホッケーマスクの奥の素顔がサーッと青ざめる。
悪魔将軍は、その名の通り悪魔超人の頂点に立っている者。荒くれ者揃いの彼等を率いているこの男は、紛れもない悪のカリスマと言える。
そんな人物であるからこそ、例えかつての『敗北』という苦い思い出でさえも、自分と同じく糧に変えられるだろうと踏んでいたが、流石に早計だったか。
思わず制裁を覚悟し、冷や汗を流すオメガマンであったが、悪魔将軍を見ている内に徐々にその恐怖も消えていく。

悪魔将軍は、自分の失言に対して怒っている様子がないのだ。
彼から今発せられているのは、明らかな『戸惑い』であった。

「…………オメガマンよ」
「は、はい!」
「お前に嘘を言っている様子はない。そもそも、こんな所で嘘をついた所でお前にメリットがあるとも思えん。
 つまり、お前が言っている『私がキン肉マンに敗れた』というのは、紛れもない事実なのだろう。だがな……私はそもそも、『まだキン肉マンと闘ってすらいない』のだ」
「は………はぁ~~~~~~っ!?」

恐らく、あまりにも予想外の一言だったのだろう。オメガマンが挙げた素っ頓狂な叫びを聞きながら、悪魔将軍もまた予想外の事実を頭の中で受け入れる。
キング・オブ・デビルは、目を細めながらゆっくりと自分の記憶をたどる。この殺し合いに巻き込まれる前、リングサイドで自分が見ていた光景を。
すなわち、悪魔超人バッファローマンを脇に従え、悪魔六騎士アシュラマンと正義超人キン肉マンのデスマッチを観戦していた、あの瞬間を。
キン肉マンから起死回生の一撃、ツームストン・ドライバーをその身に受け、リングに沈んだアシュラマンを、悪魔将軍は悪魔の掟に従いその場で処刑した。
そして、アシュラマンの死体をその身に取り込み、最高のコンディションとなった瞬間に、彼はこの殺し合いの始まりの場へと飛ばされたのだ。
ほんの直前に一体となったはずの、アシュラマンと共に。

「それに、お前は他にも気になる事を言っていたな…トーナメントマウンテンでのタッグマッチとはなんだ?
 私とキン肉マンの決着がついてから、どれだけの時間が経っているというのだ?」
「そ、それは……軽く半年以上の月日が流れておりますぜ~っ!
 タッグマッチというのは、将軍殿がキン肉マンに敗れた後でトーナメントマウンテンにて繰り広げられた戦いの事!
 そして俺は、その後に開催された、キン肉マンを含めた5人の王子達によるキン肉星王位争奪戦の真っ最中にこの殺し合いに巻き込まれたんだ!!」

悪魔将軍の質問に答えながら、オメガマンもまた驚きに目を白黒させている。
このバトルロワイヤルの会場に、既に死した筈の悪魔将軍がいる事自体は不思議では無かった。
この男ほどの実力者ならば、超人墓場にて生命の玉を集め、再び現世に舞い戻る事など容易いだろうと予測していたからだ。
悪魔将軍と、ジ・オメガマン。悪魔超人と、完璧超人。二人の間に流れる、『時間』という大きなギャップが徐々に明らかになって行く。

混乱しているオメガマンに対して、悪魔将軍はここで得られた情報を一つ一つ統合していく。
思い返すのは、自分の新たな部下、古泉の発言…キン肉スグルそっくりの謎の超人、キン肉万太郎と初めて相対した時の言葉だ。

『この人は貴方が狙うキン肉スグルではありません、彼は『キン肉万太郎』、スグルの息子と僕に名乗りました!』
(成程……ハッタリや戯言でもなければ、『並行世界』でも無かったという訳か)

マスクの奥で満足げな笑みを浮かべながら、将軍は遂に結論を出す。

(間違いない。このバトルロワイヤルの参加者は、『幾つかの並行世界』だけではなく、『幾つかの時間軸』からも集められているのだな!)

悪魔将軍の存在した、悪魔六騎士と正義超人との激闘の最中。
ジ・オメガマンの存在した、キン肉星王位争奪戦と呼ばれる戦いの最中。
そして、そこから更に未来、キン肉マンの息子、『キン肉万太郎』が存在し、新たな正義超人として活躍しているであろう時間。
ここに至るまでで、悪魔将軍は少なくとも三つの時間軸から現れた参加者を見ている。
同じ事が、自分達の知り得ない参加者達の間で起こっているのは想像に難くないだろう。

そして、それはつまりこの殺し合いの黒幕が、『並行世界』という『空間』だけでなく、『時間』すらも手玉に取るだけの実力を持っているという事。
言うなれば、さしづめ『時空超人』とでも呼称するべきか。
最も、その力を持っているのが長門有希に草壁タツオという二人の男女なのか、既に死した筈の涼宮ハルヒという少女なのかは、この悪魔将軍にも予測のつかない事ではあるが。

そこまで悪魔将軍が考えた所で、目の前でただ茫然としているだけだったジ・オメガマンが動きを見せた。
背負っていたディパックを下ろし、突然中をあさり始めたのだ。
行動の意図がつかみ切れず、将軍の目が冷徹に細められる。

「ジ・オメガマンよ。貴様、一体何をしようとしている?」
「クォークォックォッ…なに、将軍殿に一つ見せたい物がありましてな~っ!」

射抜くような視線を受けても、オメガマンは笑い声を上げながら更にディパックの中を探る。
やがてディパックの探索を止め、その中から厳かな動きで現れたオメガマンの手に存在していたのは、謎の黒い腕輪だった。
悪魔将軍はそれをじっと見つめた後で、組んでいた腕を解くとオメガマンへと近づき始める。

「その腕輪が、一体どうしたというのだ? オメガマンよ…貴様の返答次第では、このまま―――」

静かな怒気を孕んでこちらへと歩を進める将軍を前にしても、超人ハンターは動きを見せない。
ただ、ホッケーマスクのから覗く赤い瞳が、ほんの僅かに揺らめいた。
それが表わすものは、喜悦。自分の策が成功した事への喜び。

「この腕輪はですなぁ……こうするのよ~~~~~~っ!!」

高らかな叫びと共に、オメガマンが謎の腕輪を自分の腕へと嵌めた瞬間、異変が起きる。
島一帯を覆い始めていた夕闇を切り裂く、閃光。強烈な光が、腕輪を中心として放たれたのだ。

「むうっ…!?」

流石の悪魔将軍も、突然の事態に対応出来ずに両腕で顔を庇うのみ。
初手の不覚を取ってしまった事に一瞬歯噛みするが、後悔するのは後回しだ。
こうしている間にも、光は徐々に弱まってきている。数秒もすれば視力も回復し、即座にオメガマンに制裁を与える事も出来よう。
それまでに一撃が加えられる可能性も高いが、そこはむしろ好都合と考える。
この身に攻撃を仕掛けられるのならば、それによって相手の位置を把握し、即座に強烈なカウンターを掛けてやるのみ。

そして、悪魔の制裁をその身に味あわせてやろうと身構える悪魔将軍だったが、その予想に反していつまで待とうとオメガマンが攻撃をしかけて来る様子は無い。
そうこうしている内に光も消えていき、視界が回復したと見るや即座に腕を下ろして周囲を見回す。
そこには最早、将軍への謀反を働いた愚か者の姿は無かった。
いつどこから襲撃が来ようと即時対応出来るように、細心の注意を込めながらぐるりと辺り一面を見渡すが、先ほどまでそこにいた筈のオメガマンの気配はどこからも感じられない。
数刻程逡巡した後に、悪魔将軍は何が起きたのかを把握する。

「奴め、この悪魔将軍から逃げ出しおったか……」

先ほど、オメガマンが取り出した腕輪。アレがこの逃走の何らかのキーになったと見て間違いない。
ワープ装置の一種だったか、はたまた別の何かなのか。が、今それは重要では無い。

オメガマンが自分に反旗を翻す事自体は予想の範囲内だ。
表面上は自分に従順な様子ではあったが、その言動の裏には明らかに不平不満、憎悪の感情が存在していた。
それでも、いつ牙を剥こうと返り討ちに出来る確信があったからこそ放置していたのだが。
しかし、超人ハンター・オメガマンが選択したのは『復讐』ではなく『逃走』であった。

(最も、そう簡単に私への憎しみが消えるとは思えん…体勢を立て直した後は、改めてこの私に挑戦してくるかもしれんな。
 その時は、容赦なく屠らせて貰おう。その気が無かったとしても、この悪魔将軍をコケにした報いは受けてもらわねばな)

オメガマンへの対応を検討した後、悪魔将軍は何事も無かったかの様に歩き出した。
先から抱いていた疑問も解消された以上、奴から得られるものはもう何もないだろう。
尻尾を撒いて逃げ出した負け犬になど、深入りする気も起きない。
ただ、恐怖の将は先を急ぎ、当初の目的を完遂させるのみ。

果たして目的の地、採掘場に『キョン』というもう一人のガイバーは表れるのか。
現れたとして、その男は悪魔の心を満たすだけの素質を持っているのか。

まだ見ぬ哀れな生贄に対して笑みを浮かべつつ、悪魔の男は先へと進む。


【F-8 森/一日目・夜】

【悪魔将軍@キン肉マン】
【状態】健康
【持ち物】 ユニット・リムーバー@強殖装甲ガイバー、ワルサーWA2000(6/6)、ワルサーWA2000用箱型弾倉×3、
     ディパック(支給品一式、食料ゼロ)、朝比奈みくるの死体(一部)入りデイパック
【思考】
0.他の「マップに記載されていない施設・特設リング・仕掛け」を探しに、主に島の南側を中心に回ってみる。
1.古泉とノーヴェを立派な悪魔超人にする。
2.強い奴は利用、弱い奴は殺害、正義超人は自分の手で殺す(キン肉マンは特に念入りに殺す)、但し主催者に迫る者は殺すとは限らない。
3.殺し合いに主催者達も混ぜ、更に発展させる。
4.強者であるなのはに興味
5.採掘場に向かい、キョンとの接触を試みる。
6.もしもオメガマンに再会したら、悪魔の制裁を施す。

※参加者が別の世界、また同じ世界からでも別の時間軸から集められてきた事に気付きました。






エリアE-07を南北に隔てる川には、申し訳程度の丸太橋が掛かっている。
掛けられてから対して月日は経ってないであろうその橋は、しかし随所に無残な皹が入り、今にも崩れ落ちそうであった。

と、突然橋がミシリと音を立てて揺れる。周囲には人影は無く、橋を渡る者の姿は無い。
だが、それでも断続的なミシミシという音は続き、パラパラと木片が川に向かって落ちて行く。
やがて、音が対岸へと移動した瞬間に丸太橋の耐久力は限界を迎え、耳障りな破壊音と共にその寿命を終えた。
ドボドボと川へ落下し、湖方面へと流れて行く光景を『見ていた男』は、そこで自分の腕から先ほどとよく似た罅割れの音が発せられているに気づく。
パキンという小さな破壊音と共に黒い欠片が地面へと落ち、『男』、ジ・オメガマンの姿が何もなかった空間から浮かび上がる。

「チッ、もうバッテリーが切れやがったか…まぁ性能を考えれば妥当な所かもな~っ」

不満の声を零しつつ、オメガマンは先ほどまで自分が嵌めていた腕輪と同種の物をディパックから取り出す。
それは、元々はキン肉万太郎に支給されていた支給品の一つだ。
『スーパーアンチバリア発生装置』という名のそれは、腕に身に付ける事によって凄まじいステルス能力が得る事が出来るという物。
体が不可視性になる事はおろか、発する声も第三者に聞こえなくなり、センサーの観測すらくぐり抜けるという優れものだ。
だが、多大なエネルギーを消耗するこの発生装置は15分ほどしか機能せず、バッテリーが切れると同時に装置自体も破壊される使い捨てとなっている。
さらに、一度腕に嵌めて発動させてしまえばバッテリーが切れるまでは自分でも外すことが出来ない。
とりあえず五個セットで支給されていたのは救いではあるが、使いどころはよくよく考えねばならないだろう。
それともう一つ、この腕輪を使用する際に『スーパーアンチバリア』の出力を最大限まで上げれば別の効果が発動するのだが、
ただ参加者を皆殺しにする事だけを考えているオメガマンにはどうでもいい機能であった。

ともかく、オメガマンはこの支給品を使う事によって自分の存在を隠蔽し、忌々しい悪魔将軍の元からの脱出に成功した。
これは、一種の賭けであった。彼が今現在持っている不明支給品は、万太郎が持っていた一つに加えてアシュラマンが持っていた幾つかと、かなり多い部類に入る。
自分が見知らぬ支給品の中に、悪魔からの脱出に使える物があるのではないかと思い立ったのが、この作戦を実行した理由であった。
悪魔将軍の目の前で支給品の調査を行った時には流石に肝が冷えたが、どうやら運は自分に向いていたらしい。

悪魔将軍への憎しみをその内に秘め、彼の命を奪う事を狙っていた筈のオメガマンが、正反対の脱走と言う手段を取ったのには理由がある。
しばしの間悪魔の軍団と一緒に行動して分かった事だが、かの将軍は厳格な成果主義者だ。部下には一切のミスを許さず、一度失敗すれば即座に肉体的な厳罰が下される。
こんな超人と行動していたのでは、とてもコンディションを最良に保つどころでは無い。
将軍の隙をついてその命を奪う事など、夢のまた夢だろう。
だからこそ、オメガマンは一度距離を取る事を選んだ。もはや、悪魔将軍は自分に容赦しないだろう。
追いかけては来ていないようだが、それでも何らかの弾みで再会すればその時点でリターン・マッチのゴングが鳴り響くのは想像に難くない。
今は英気を養い、一人でも多くの参加者を殺すのを優先するべき。憎き悪魔の化身へとリベンジするのはその後…オメガマンはそう結論づけたのだ。

「フォーフォフォフォ……だが、流石に今は休息が必要か……」

そう呟くオメガマンの顔色は悪い。F-08から全力疾走でE-07へと移動したのだ、無理もない事だろう。
15分という短い時間ながら、それだけの距離を駆け抜けられたのは超人ならではと言えるが、やはり消耗した体力は大きい。
荒い息を付きながら北へと視線を移動させてみれば、ぽつんと小屋が建っているのが見えた。
地図にも記されている、山小屋という施設と見て間違いないだろう。
幸か不幸か、人がいる気配はない。今はこの中で休息し、体力を回復させるのが最良の一手か。
足を引きずるようにして山小屋へと向かいながら、オメガマンはこの後どう行動すべきかを考える。
まず、もうしばらくは島の南方面へは向かえないだろう。採掘場やその周辺の調査とすると言っていた悪魔将軍と鉢合わせる可能性が非常に高い。
いつかはこの手で殺す相手、と決めてはいるが今はその時ではない。それよりも、他の参加者を殺すのが先決だ。
次に、湖のリング方面。悪魔将軍の部下たる古泉、ノーヴェがいるあちらへ向かうのも出来れば避けたい。

となれば、残っているのは北の町方面、及び島の西側。
オメガマンの視線が、山小屋の向こう、僅かに見える煙へと注がれる。
街の火事が観測されてからはかなりの時間が掛かっているためか、煙はリングで見た時に比べると随分と弱くなっているようにも見える。
ここで自分が休息し終わったころにはどうなっているだろうか。
ともかく、火事に引き寄せられた参加者、もしくは火勢が弱まっている為に街の調査を開始する参加者が来る公算は高い。

「クォークォクォクォ……次の目的地は決まったな…」

ホッケーマスクの奥で、超人ハンターは邪悪に笑う。
黙々と牙を研ぎながら、狙うのは何も知らない呑気な参加者達。

今はただ、雌伏の時。
じっくりと英気を養いながら、ジ・オメガマンは闇夜に笑う。


【E-7 川付近・北側/一日目・夜】

【ジ・オメガマン@キン肉マンシリーズ】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、アシュラマンの顔を指に蒐集
【持ち物】デイパック(支給品一式入り)×3、不明支給品1~2、5.56mm NATO弾x60、マシンガンの予備弾倉×3、夏子のメモ、スーパーアンチバリア発生装置@ケロロ軍曹×4
【思考】
1:皆殺し。
2:ひとまず、山小屋で休息して体力の回復を待つ。
3:街及び島の西方面を探索して参加者を探し、殺す。
4:完璧超人としての誇りを取り戻す。
5:スエゾーは必ず殺す。
6:スバルナカジマンにも雪辱する。
7:悪魔将軍にも復讐する。
※バトルロワイアルを、自分にきた依頼と勘違いしています。 皆殺しをした後は報酬をもらうつもりでいます。
※Ωメタモルフォーゼは首輪の制限により参加者には効きません。


※E-7の川に掛かっていた、115話『キングもふもふはなかまをよんだ!』にてトトロ達が使用した丸太橋は崩壊しました。


【スーパーアンチバリア発生装置@ケロロ軍曹】
超劇場版3にて、ダークケロロ達がケロロ達を分断させるために使用した腕輪。
アンチバリアを強化したスーパーアンチバリアを発動させ、装着された者の姿・声などを認識できないようにする。ロワ内ではデバイス等のエリアサーチすらも無効化する。
ただし、使い捨てで15分しか使えない上に、バッテリーが切れるのと同時に装置が自壊する。
なお、姿が見えないだけであくまでそこには存在しているので、行動次第によっては居場所がバレる事もある。
劇中では、スーパーアンチバリア発動中のケロロ達がガンプラを組み立てている際にガンプラだけが浮かび上がるという現象が発生していた。
また、スーパーアンチバリアの出力を最大まであげる事で、装着者に『傍にいる仲間が、自分に敵意を持ち襲い掛かってくる』という幻覚を見せる事が出来る。




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止マラナイ! 悪魔将軍 I returned
ジ・オメガマン ザ・ネゴシエーター






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