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彼女らにできるコト ◆321goTfE72



◆ ◆ ◆


「わぁ…きれい…」

あたしの隣でメイド服に身を包んだ美少女、ヴィヴィオちゃんが感嘆の声を漏らした。

あたしたちを乗せた船は水上をゆっくりと移動し、
色とりどりのイルミネーションをあたしたちの視界へと運んできてくれる。

近くで突如水が噴きあがった。
何者かが潜んでいたのかと慌てて呪文を唱えながら身構えるあたしだったが、取り越し苦労だったようだ。
何色ものイルミネーションに水しぶきが照らされ、空間が虹色になっている。
空中に散った水により本物の虹まで見えていた。

周囲の幻想的な雰囲気にあたしの戦いで荒んだ心も癒されていく。


勘違いがないように言っておくと、あたしたちは決して遊んでいるわけではない。
遊園地の調査をするといったが、昼間に来た時に既にドロロと二人であらかた調べたのだ。
しかし、『使えるようなものはないだろう』と思って調べなかった箇所がいくらかある。
それがこういったアトラクションだ。

やがてあたしたちが乗っていた船が発着点に到達する。
このアトラクションにも、仕掛けらしきものも見当たらなかった。

「リナさん!次はあれに行きましょう!!」

そういってヴィヴィオちゃんは指差したのは―――馬や馬車の彫像が円上をぐるぐる回るもの。
やれやれ、とあたしは苦笑しながら
ヴィヴィオちゃんに手を引かれそちらのほうに移動し始めた。

落ち着いてこそいたが、情報交換のときに明るい表情をすることはほとんどなく、
話にもほとんど参加してこなかった(会話の内容が彼女が付いてくるには難しかったからかもしれない)。
そんな彼女が…まだ無理している感じはあるが、それでも"表面上"だけでも
楽しそうに、そして友好的に話しかけてくれることは好ましいことではある―――

だけども。

大事なことなので2回言っておく。

「まったく、仕方ないわねー」

あたしたちは決して遊んでいるわけではない。


● ● ●


「ねぇ、リナさん…」

その後もいくらかのアトラクションに乗ったがめぼしい発見は何もなく
次はどの乗り物に乗ろうかと思案していると、
さっきまでのトーンとは打って変わった声で
ヴィヴィオちゃんがためらいながらも後ろから呼びかけてきた。

「私…リナさんから見て、みんなに迷惑掛けていると思いますか?」

尋ねてきた内容はそれだった。
『そんなことないわよ』と軽く返そうかと思ったが、振り返った先にいる
彼女の表情は、深刻な顔をしていた。

「ここに来てから私は色々な人に会いました。
 けれど、誰も助けることはできませんでした。
 私がどうにかできるほど世界は優しくない―――そう涼子お姉ちゃんに言われました」

ぽつりぽつりと彼女は語り始めた。
風が彼女の後ろからあたしのほうへと吹き抜け、あたしたちの髪をなびかせる。
あたしは黙って彼女の言葉に耳を傾けた。

「私にできる最善のことをしていた―――涼子お姉ちゃんはそうも言ってくれました。
 けど、それじゃダメなんです。
 どんなに私が頑張っても、それでも迷惑をかけるんじゃ…ダメなんです。
 だから―――」

「で、あたしが『迷惑だ』って言ったら…ヴィヴィオちゃんはどうするの?」

あたしはわざと彼女の言葉に割り込みこう言った。
子供の愚痴に付き合ってあげるほどあたしは暇でもなければ優しくもない。

「だから、私は"今の"私よりももっと強くなりたいと思ってます」

「口だけなら何とでも言えるわ。
 …問題はどうやって強くなるかよ」

今度は語気を強めてちょっときつめに言ってやった。
アサクラも言っていたが、人が『強くなる』のは簡単なことではない。
もしこの程度で折れるぐらいなら彼女が強くなることはないだろう。

ここらへんで殻を破る必要がある。

たぶん、アサクラもそう思って短時間とはいえあえて別行動させたのではないか。
あたしはそういうふうに考え始めていた。

「そこで、リナさんにお願いがあります」

ヴィヴィオちゃんはあたしを見た。
オッドアイの瞳に宿る光が力強い。
彼女が何を言いたいのか予想はついている。
おそらく、こう言うだろう。

「私にレリックを譲ってください!!」

『私に魔法を教えてください!!』と―――って…あれ?
目の前でメイド服のヴィヴィオちゃんが頭を下げているが―――ちょい予定外。

「………レリックって何?」

「リナさんが持っている赤い宝石のことです」

おそらく、あの魔力が詰まった宝石のことだろう。
レリックというらしい。
どうやら、ヴィヴィオちゃんに縁があるもののようだが―――

「嫌よ」

あたしはきっぱりと言った。

「アレがどういったものかは知らないけど、
 あたしなりにアレは有効活用しているし、ないと困る。
 残念だけどヴィヴィオちゃんにあげることはできない」

「でも、あれがあれば私は―――」

『Stop』

そこで割り込んでくる機械的な第三者の声。
ヴィヴィオの胸のバルディッシュだった。

『Ms.インバース。ヴィヴィオにレリックを渡してはいけません』

「バルディッシュ!!」

バルディッシュが強めの口調で言い、
それに対してヴィヴィオちゃんが珍しく語気を強めた。
今まで必要がないと喋らなかったバルディッシュが割り込んできたということは
どうもただ事ではないようだ。

『レリックは超高エネルギー結晶体です。
 その性質故、魔力波動などを受けると爆発する危険があります。
 かつて、レリックが原因の周辺を巻き込む大規模な災害が幾度か起きました』

ゲゲッ…両手に握って魔力の回復なんかに使っていたが、そんな危険物だったのか。
これからは注意して使うようにしよう。

『ヴィヴィオ。今の貴女が持つには危険すぎます。
 また、レリックを埋め込まれた貴女が何をやったか忘れたわけではないでしょう』

「っ…それは…」

『それに、我が主はそのようなことを望んでいない。そう思います』

「………。…ずるいよ、そんなの」

バルディッシュの説得に、ヴィヴィオちゃんは反論したが最後のほうはか細く、
風上にいればほとんど聞こえなかっただろう。
確か、バルディッシュは彼女の母親が使っていたデバイスだったか。
バルディッシュの言葉にどれほどの重みがあったのかはあたしには分からないが…
それっきりヴィヴィオちゃんは黙ってしまった。

次に向かうつもりだったアトラクションのほうへと歩き出す。
一応、ヴィヴィオちゃんも後ろをとぼとぼと付いてきてはいるが…

うーん、こりは気まずい。
さっきまでのほのぼの~とした雰囲気が見事にぷち壊れてしまった。
さてどうしたものか。


◆ ◆ ◆ ◆


ヴィヴィオはひどく落ち込んでいた。
一時的とはいえ大人の身体になり、レリックまで見つけた。
これならきっと自分の身を守れる。それだけじゃなく、涼子お姉ちゃんやなのはママだって守れる。
周りにいる大事な人たちを守る力を手に入れることができる。

そう思ったのだが―――。

(バルディッシュまで…あんなこと言うんだもん)

きっとバルディッシュなら自分の想いを分かってくれる、協力してくれる。
ヴィヴィオはそう信じていたが現実は甘くなかった。

フェイトママはそんなこと望んでいない。

確かにそうかもしれない。
でも、ママが間違っていると言っても、それがみんなのためになるのなら。
自分で考えて正しいと思ったことのならばやらなくちゃいけないのではないか。
バルディッシュはフェイトママのために作られたデバイス。それができない。
それをするのは娘である私の役目じゃないのか。

ヴィヴィオは落ち込み半分、恨めしさ半分の眼で胸元のバルディッシュを見た。
考えていることを知ってか知らずか、当然無反応である。

「…………………」

そのとき、ヴィヴィオの前方から声が聞こえてきた。
リナが発した言葉なのかも判然としない。
単なる空耳だろうか?

「身の程を過ぎた力は身を滅ぼすわよ」

今度は間違いない。リナが言った。
ヴィヴィオのほうからは前方を歩いている彼女の表情を窺い知ることはできない。

「あたしも経験あるのよ。
 自分じゃ扱えないような魔法を無理やり唱えて、危うく世界を滅ぼしかけたこと」

もはや身を滅ぼすとかいう次元ではないが
とりあえず誰もツッコミを入れず黙って聞いていた。

「あなたが過去にレリックで何をやらかしたのかは知んないけど―――
 もしここで厄介なトラブルを引き起こしたりなんかしたら
 あたしもドロロも、もちろんアサクラも、下手すればみんな死ぬわ」

あまりにそっけないリナの言葉。
そのそっけなさが、逆に『死』が身近なものと感じさせる。
腕章をつけている左腕がズキンと痛んだ気がした。

「アサクラも言ってたけど、人が一段階強くなるのは簡単なことじゃない」

リナは歩みを止め、振り向いた。
それまでの厳しい基調とは裏腹に、彼女は優しい顔をしていた。

「いい、ヴィヴィオちゃん?
 あなたはあなたができる精一杯を全力でやればいいのよ。
 ヴィヴィオちゃんにしかできないことだってあるんだから。
 魔法で戦うとか守る、なんてのは…あたしに任せときなさい!」

親指をグッと立てたリナの優しい言葉が染み込むが―――それじゃヴィヴィオは納得できなかった。

「…私にしかできないことってなんですか?
 今までも、情報交換のときもそうでした。
 私にしかできないことなんて全然―――きゃっ」

ヴィヴィオの言葉は途中で中断された。
―――何を思ったか、リナがでこぴんしたのだ。

「じゃ、あたしがヴィヴィオちゃんが使える
 とっておきの魔法を教えてあげるわ。
 いい、よく聞きなさい。



 ――――――『頑張って!』」

「………はい?」

リナの突飛な行動と突飛な発言により、ヴィヴィオの思考が一時停止させられる。

「オトナってものはね、肝心な時にどーでもいいこと考えていたりするわけよ。
 ものすごく強い敵を相手に『こりゃ勝てないわ』と戦う前から諦めたり、とかね。
 そういうときに『勝てるよ!頑張って!!』って魔法かけてあげなさい。
 本当に力が湧いてきちゃうんだから。
 可愛いコにしか使えない高等魔法なのよ」

リナはヴィヴィオの肩をぽんぽんっ、と叩きながら笑った。

     負けるつもりで戦えば、勝てる確率もゼロになる。
     たとえ勝利の確率が低くても、必ず勝つつもりで戦うっ!

これはかつてリナが言った言葉。
しかし、本当に絶望的な戦いのときはリナさえもそれを忘れかけることがある。
それをみんなに思い出させるのには"不屈の心"を示すことが必要だ。

あるときは叱責かもしれない。
あるときは開き直りかもしれない。
あるときは応援かもしれない。

それを示す鍵が何か分からない。
でもヴィヴィオならそれをみんなに伝えられるんではないか。
それが彼女のできる、彼女しかできないことなのではないだろうか。
根拠なんて何もないけど、リナはなんとなくそんなことを思ったのだった。


どれくらいの時間が静かに過ぎただろう。
しばらく呆然としていたヴィヴィオだったが、少しずつ顔が綻んでいく。

「えへへ…ありがとう、リナさん」

胸のつっかえがひとつ取れたような笑顔。
遊園地ではしゃいでいた時よりも幾分清々しいように思える。

「私、みんなに"魔法"かけるよ」

力強い少女の声が朗々と響いた。

「でも"魔法"かけても恥ずかしくないように私も頑張る。
 もっと強くなる。少しずつでも、ちゃんと順番追って強くなってく。
 リナさんや涼子お姉ちゃんに迷惑かけないように。
 なのはママにエヘンと胸を張って会えるように。
 フェイトママにもう心配させないように!」

爽やかな笑顔。オッドアイの瞳に映る確かな輝き。
まだまだ小さい彼女に言うには少々難しいことだったかもしれないが、
どうやら余計な心配だったらしい。
大したものね、とリナは素直に感心した。

「…ーー…ー……ーー…」

再びヴィヴィオに背を向けたリナが、ゆっくりと言った。
聞き取れはするのだが、何と言っているのかはよく分からない。
もちろんその言葉の意味もヴィヴィオにはさっぱり理解できないだが―――

「炎の矢(フレア・アロー)!」

リナが『力ある言葉』を放つと同時に、彼女の目の前に燃え盛る炎の矢が生まれた。
そのままにしておくことも消すこともできないのか、とりあえず手近な地面に放つ。
レンガ造りの地面を一か所を黒く焦がし、炎は消え去った。

「この魔法の詠唱は訳すと『全ての力の源よ 我が手に集いて力となれ』ってとこね。
 呪文は短いから丸暗記できるだろうし、割と実用的な魔法よ」

そう言ってリナはもう一度ヴィヴィオのほうを見た。
ニヤッともニコッともとれる、不敵な笑みを浮かべて。

「ちょっとヴィヴィオちゃんが考えていたような順番じゃなくなっちゃうかもしんないけど―――
 覚えてみる?」

一瞬、何を言われたのかよく分からなかったのか
ヴィヴィオはきょとんとしていた。
その瞳が、徐々に輝きを増していく。

「―――よろしくおねがいします!」

深々と頭を下げ、ヴィヴィオが言った。
すぐに使えるようになるかどうかはリナにも分からない。
無駄手間になるかもしれないしそもそも余計なお節介かもしれないが―――
戦場の一端、遊園地の光に照らされた彼女らの顔にはそれぞれの笑みがあった。


【D-02 遊園地/一日目・夜】

【リナ=インバース@スレイヤーズREVOLUTION】
【状態】疲労(小)、精神的疲労(小)
【持ち物】ハサミ@涼宮ハルヒの憂鬱、パイプ椅子@キン肉マン、浴衣五十着、タオル百枚、
     レリック@魔法少女リリカルなのはStrikerS、 遊園地でがめた雑貨や食糧、ペンや紙など各種文房具、
     デイパック、 基本セット一式、『華麗な 書物の 感謝祭』の本10冊、
     ベアークロー(右)(刃先がひとつ欠けている)@キン肉マンシリーズ
【思考】
0.殺し合いには乗らない。絶対に生き残る。
1.遊園地を調べながらヴィヴィオと行動する。
2.20時が過ぎた頃にはスタッフルームに戻りドロロ達と合流する。
3.朝倉の正体が気になる。涼宮ハルヒについても機を伺い聞いてみる。
4.当分はドロロと一緒に行動したい。
5.ゼロスを警戒。でも状況次第では協力してやってもいい。
6.草壁サツキの事を調べる。
7.後で朝倉と首輪解除の話をする。
8.後で朝倉やバルディッシュとさらに詳しい情報交換をする。
9.時間ができれば遊園地のkskコンテンツにしっかりと目を通しておく。

【備考】
※レリックの魔力を取り込み、精神回復ができるようになりました。
 魔力を取り込むことで、どのような影響が出るかは不明です。
※ガイバーの能力を知りました。
※0号ガイバー、オメガマン、アプトム、ネオ・ゼクトールを危険人物と認識しました。
※ゲンキ、ハムを味方になりうる人物と認識しました。
※深町晶、スエゾー、小トトロをほぼ味方であると認識しました。
※深町晶たちとの間に4個の合言葉を作り、記憶しています。
※参加者が10の異世界から集められたと推測しています。
※市街地の火災の犯人はもしかしたらゼロスではないかと推測しました。



【ヴィヴィオ@リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(小)、魔力消費(小)、16歳程の姿、腕章を装備、メイド服の下に白いレオタードを着ている。
【持ち物】バルディッシュ・アサルト(6/6)@リリカルなのはStrikerS、SOS団の腕章@涼宮ハルヒの憂鬱  メイド服@涼宮ハルヒの憂鬱 
     ディパック(支給品一式)、ヴィヴィオが来ていた服一式
【思考】
0.誰かの力になれるように、強くなりたい。
1.リナと一緒に行動する。
2.なのはママが心配、なんとか再会したい。
3.キョンを助けたい。
4.ハルヒの代わりにSOS団をなんとかしたい。
5.スバル、ノーヴェをさがす。
6.スグルとゼロスの行方が気になる。
7.ゼロスが何となく怖い。
8.涼子お姉ちゃんを信じる。

【備考】
※ヴィヴィオの力の詳細は、次回以降の書き手にお任せします。
※長門とタツヲは悪い人に操られていると思ってます。
※キョンはガイバーになったことで操られたと思っています。
※149話「そして私にできるコト」にて見た夢に影響を与えられている?
※ガイバーの姿がトラウマになっているようです。
※炎の矢(フレア・アロー)を教わり始めました。すぐに習得できるかどうかは不明です。

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彼女らのやったコト リナ=インバース 比較魔法論
ヴィヴィオ






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