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寸善尺魔~憎魔れっ子が世に蔓延る(前編)~ ◆2XEqsKa.CM



”時間      被害者         殺害者”
”未明     日向冬樹        キョン”
”未明   フェイト・T・ハラオウン  悪魔将軍”
”明け方    モッチー      ゼルガディス”
”明け方    涼宮ハルヒ      キョン”
”明け方   ゼルガディス    ラドック=ランザード”

”時間   被害者      殺害者”
”朝    ホリィ      ゼロス”
”朝   ガルル中尉   オメガマン”
”朝   アシュラマン   オメガマン”
”朝    草壁メイ     雨蜘蛛”
”朝     セイン      ナーガ”

”時間     被害者      殺害者”
”昼過ぎ 朝比奈みくる     悪魔将軍 ”
”昼過ぎ 加持リョウジ     リヒャルト・ギュオー”
”昼過ぎ 草壁サツキ     惣流・アスカ・ラングレー”
”夕方  佐倉ゲンキ     小泉太湖(小砂)”
”夕方 小泉太湖(小砂)   ラドック=ランザード”
”夕方  碇シンジ        碇シンジ”
”夕方 ラドック=ランザード   ドロロ兵長”
”夕方  ナーガ           キョン”
”夕方  惣流・アスカ・ラングレー キョンの妹 ”
”夕方  キョンの妹        キョンの妹 ”


「へっ……」

高校実習室のPCの前で、砂ぼうずが嘆息する。
カーテンを全て閉め切られた室内の光源はPCのディスプレイのみ。
窓一枚越えれば外だ、電灯を点ければ人を寄せる。
関東大砂漠で生きる彼にとっては当然の用心と言えよう。

「なんとも、ドロドロしてる感じだな」



紙の上にペンを走らせ、ディスプレイに表示された内容を外部保存する。
砂ぼうず、水野灌太はこの殺し合いの縮図に舌鼓を打ち、ペンを置いた。

「ナーガを殺したのはキョンって奴か……こいつはヤベエな、三人殺ってるとなると"ご褒美"も貰ってんだろうな」

灌太がイメージするキョンの人物像は、冷酷な殺人鬼だ。
先ほど監視していたチャットで得た情報によると、
"ガイバー"なる、この島に複数存在する強化鎧のような物を装備しているらしい。

涼宮ハルヒ(恐らくは女だろう、ボインちゃんの可能性もある)。
日向冬樹(中性的な名前と言えなくもない、女でボインちゃんの可能性もある)
ナーガ(あの憎たらしい蛇野郎だ。ボインちゃんではない。コイツを倒せたということは相当の戦力があるはずだ)

48人中の3人と言えば少ない気がするが、注目すべきは第一放送が始まる以前にうち2人を殺害しているという点。
ゼガルディス、ラドックは殺害者と被害者が被っている事から見て乱戦に巻きこまれたのか、と推測できる。
それに比べ、全く脈絡のない人間を二人屠ったキョンの好戦的な性格が見えるというものだ。
そんな好戦的な参加者が、全参加者の大まかな足取りを知っているのだ。最大の脅威と言えるだろう。
もっとも前者の二人は既に死んでいる。露骨に"乗った"者が早死にするのはまあ、妥当ではある気もする。
ラドックは自分の弟子を殺し、チャットの参加者の一人、ドロロ兵長に殺されている。

「ROM……だったか。見てる奴がいないからって、本名を呼び合ってちゃ偽名の意味がねえだろ」

"晶"さんに、"ドロロ"さんよ。と繋いで、チャットに参加していた二人……正確には二組のメンバーを思い出す。

"晶"が率いるのは、雨蜘蛛とスエゾー。
雨蜘蛛については今更詳しく言うまでもない。「変態」「邪魔」の二言でいいだろう。
スエゾーという奴は、ゲンキという参加者(子供らしい)の仲間らしい。
強いて言うなら、雨蜘蛛の存在が危険だ。晶たちがどうなろうと構わないが、
自分がチャットメンバーを撹乱しようとすれば砂ぼうずの手口だと看破するかも知れない。

「チェ……小砂のうすのろめ、どうせ死ぬならガキなんか殺してねえで雨蜘蛛を殺してから死ねばよかったんだ!」

先ほど放送で名前を呼ばれたときとは正反対の対応で弟子を罵る灌太。砂漠の民の絆は複雑なのだ。
墓前に備えた虫ダンゴを食い尽くす勢いで毒づきながら、相方の一組にも考えを巡らせる。

"ドロロ"が率いるのは、朝倉涼子、リナ・インバース、ヴィヴィオ。恐らく全員女で、涼子ちゃんはボイン確定だ。
なんて野郎だ、両手と○○○に花じゃねえか! ボインちゃんだけならまだしも、ヴィヴィオは幼女らしい。

「やっていい事と悪い事があるぞ!」

憤慨しながら、灌太は迅速に取り出した朝倉涼子の毛髪を舐め始めた。俗に言う逃避行動である。

「んほ、ちゅぱっ! まあそれはいい……小砂を仕留めたラドックとやらを殺ったって事は、
 それなりに腕は立つだろうしな。ボインちゃんを保護してくれるんだ、問題はねーよな」

それよりも目下の問題は、キョンに次ぐ殺害数、二人を殺害した悪魔将軍である。
悪魔将軍が危険人物だという情報はすでに仕入れている(情報元のガキは自殺という事になっていた。残念だ)。
この男(鎧を着ていたらしいので、中身はボインちゃんかもしれない)が殺害した朝比奈みくるとフェイト・T・ハラオウン。
フェイトはセインが元の世界で敵対していたボインちゃん(年上確定)。自分も既に乳を揉み、首輪を譲り受けた。
朝比奈みくるもボインちゃんだ。あの馬鹿なガキを庇ったらしいから、砂漠にはいないタイプの女だったのだろう。
そう、拝み倒せば乳くらい揉ませてくれたはずだ。あのガキに行った拷問は正しかった、と灌太は胸を張る。
この悪魔将軍は、シンジとかってガキの情報ではノーヴェを連れ回しているらしい。
ボインちゃんばかりを狙って殺す異常な性癖の持ち主だ、ノーヴェもいつ餌食になるか分からない。
一応二人の関係は仲間の間柄だという話だったから、今までは安心していたが。

「冷静に考えると、やべえよなぁ」

一応セインとの契約もあるし、なによりノーヴェはボインちゃん。
姉妹丼ができなくなったとはいえ、早めに回収してヌハヌハしたいという気持ちは強い。


「まあ、それは一旦置いとくか。情報の整理整理っと」

灌太は自分の命の危険と欲望を天秤にかけつつ、チャットとkskで得た情報を検分する。

「まず、ドロロたちはラドックの本名を知らない。ズーマとか名乗ってたらしいからな」

「んで、スバル達はどっかのリングでアシュラマンとオメガマンと戦った。負けたみてーだけどな」

「他にもリングはあって、E-8,9周辺の巨大な湖畔リングと、I-4の森中リングの映像を晶たちが確認中」

「夏子は18時に仲間と合流か……もうとっくに過ぎてんな」

ぶつぶつとメモに書き取ったチャットのログの断片を読み取り、取捨選択に励む。
特に目に止まったのは、長門たちが時間を移動できる等の情報と、制裁の際に首輪が使われなかったという推測。
後者は雨蜘蛛の言うことだからあまり信用はできないが、前者はかなりの確信を持って断言されていた。

「セインもそんなことを言ってた気がするな……クソッ、冗談じゃねえぞ」

そんなイカレた能力を持った相手が、こんな殺し合いをさせて何の得をするのか。
想像するだけで頭が痛くなる、と灌太はフラフラと椅子に腰掛けた。

ちなみに中学校のPCルームは既に調べた。
20数台据え置かれた部屋を見つけ、その全てを洗ってみたが、中身は全てダミー。
基本的な機能が使えるだけで、CDを投入してみても特に何も起こらなかった。
もっと学校全体を隈なく探せば他のパソコンも見つかったかもしれないが、いかんせん時間がない。
ありったけのパソコン用のケーブルと偶然見つけた手持ちサイズのパソコンを引き上げ、今に至る。

「まあ……とりあえずは、チャットが再開されるのを待つしかねえか」

裏口入室は便利だが、二人以上の参加者が表にいないと入った途端に弾き飛ばされる。
絶好のタイミング、晶とドロロが揃う瞬間を狙い打つ為、灌太はいつ終わるや知れぬダブルクリックに精を出す。

時は、18:55。





ノーヴェに"お遣い"を申し付けてからすぐ、悪魔将軍はモールに向かった。
すぐ近くに禁止エリアがある事、様々な道具がある場所だという事から、しばらくはここを根城にするつもりらしい。

「散らかっているな……」

戦闘の痕跡と思しきものを見つける度に、悪魔将軍の目が窄む。
暴力・暴挙・暴虐を好む彼にとって廃墟の類は好ましいものであったが、同時に淋しさのような物も感じられた。
他人の食べ残しを見ているようで、本来存在しないはずの鎧の下の身体が疼く。

「むむっ」

一直線に走っていた悪魔将軍の足が止まり、膝が折れる。
手を伸ばして拾い上げたのは、泥がついたマシンガンだった。
弾はそれほど残っていないようだが、拷問などの役に立つかもしれない、と懐に収める。
強豪超人である彼には、銃火器を武器として使うという発想がなかった。

「そういえば、オメガマンがキン肉マン……いや、万太郎と戦ったというのがここだったか」

この惨状は、彼奴らが作り出したものなのだろうか。
そんな事を考えながらモール内を疾走していた悪魔将軍の足が唐突に止まる。
その理由は、彼の目指していた施設の発見。書店である。
ガラス戸に向けてショルダー・アタックを敢行し、全力で粉砕。
チリンチリンと鳴る鈴の音に警戒しつつ、店内に侵入した。

「雑誌はどこだ?」

薄暗い店内をキョロキョロと見渡しながら、2m20cmの巨体が歩く。
やがて週刊の少年誌が一まとめにしてあるコーナーに辿り着き、"週刊少年ジャンプ"を手に取る。

「刊行日時は……やはり、21世紀か」

自分が知る地球=日本よりも十数年後の年月日を見て、深く頷く悪魔将軍。
オメガマンの話とキン肉スグルの息子、万太郎の存在から見て概ね予想は出来ていた。
どうやらこういった施設は過去より未来をベースにしているようだな、と呟き、とりあえず連載漫画を閲覧する。

「……漫画は未来の知識を得るのには不適切か」

ファンタジックな設定や非現実的な描写、なんとなく恣意的なものを感じる掲載順などを見て、雑誌を閉じる。
ぐるりと視界を回し、店内を見渡す。そう広くはない、貯書数は多くて10万前後だろう。

「 竜 巻 地 獄 ! 」

愛弟子・アシュラマンの得意技を拝借した悪魔将軍が店内に突風を起こし、自身も棚に足を掛けて大ジャンプ。
本棚は容易くひび割れ、そこに収められた本が激流に流されて宙を舞い、パラパラとページを捲って飛ぶ。
巻き上げられた無数の本の中から、有用そうなタイトルの物を数十冊選びとる。
この選択眼と思考伝達速度は、知性こそ超人の要と公言する悪魔将軍だからこそ成せる業。
悪魔将軍はそれらの本を空中でキャッチし、見事着地。



「グ……グオッ!?」

しかし着地した床に本が落ちていた為、盛大に足を滑らせてしまった。
更に、後頭部を同じく床に転がった人を殺せる厚さの文芸書に直撃させて昏倒する悪魔将軍。
悪魔六騎士や7人の悪魔超人が見れば卒倒するような醜態を晒し、それでも悪魔将軍は立ち上がった。

「やはりアシュラマンの血肉を得ていないのに慣れない技を使うもんではないな。
 今度オメガマンに会ったら、ひねり殺してアシュラめの死骸を奪い返すとしよう……む?」

むくりと立ち上がった悪魔将軍の目に、据え置きのコンピュータが映る。
悪魔将軍が知る地球のコンピュータよりも幾分進歩して見える造形に感心し、スイッチを付ける。
起動を待つ間、ディスプレイの右上に『ショッピングモール・書店・弐号機』と書かれたシールが貼ってあるのに気付く。

「PC周りの様子を見るに……一基目は何らかの理由で壊れたようだな。スペアを用意するとは気の利いた事だ」

煤けた机の上を撫でつつ、先ほど入手した書籍群……言わば悪魔将軍文庫を再確認してPCが立ち上がるのを待つ。
“宇宙超人大全写本”というタイトルの本を手に取り、「なんという品揃え……」と呟いた所で、弐号機が完全に起動した。
MONONOKEが動くふざけたタイトル画面を無視し、『Ksknet Explorer』のアイコンをクリック。
掲示板、チャットルーム、kskというコンテンツが表示されるのを見て、首を傾げる悪魔将軍。

「地球の文字は読めるが、意味が分からんな。チャットとは一体……」

即座に悪魔将軍文庫の中から近代の情報技術関連の辞典を取り出して検索。
チャットとは、コンピュータネットワーク上のコミュニケーション手段のひとつらしい。
リアルタイムで情報を伝達・交換する物を指す、と書かれていた。

「つまり参加者同士の情報交換の場か。こんな物が置かれているということは、長門たちの監視策の一環か?」

掲示板を開くと、幾つかの書き込みがある。
朝比奈みくる、ゼロス、ギュオー、古泉、涼宮ハルヒといった名前が並ぶ書き込みを流し読みする。
悪魔将軍が注目したのは、書き込み番号2、5。
1は妄言(恐らく、碇シンジの)だ。朝比奈みくるには自分が直に会って"応対"している。
3は単なる連絡事項。4はここから位置が遠すぎる。

「ゼロスとギュオーか……」

書き込み2で危険人物として名が挙げられた者の特徴を読み取り、自分が出会った者がいない事を確認する。
ノーヴェからギュオーの情報は聞いていたので、書き込みと擦り合わせて本人と確証。

「……ゼロス、か。なかなか感心な男だな」

女子供でも容赦しない、という記述を見てうんうんと頷く将軍。
機会があればタッグマッチのパートナーに誘うのも悪くない、と締め括って、以降の書き込みに目をやる。

書き込み5には、古泉が涼宮ハルヒを殺したという告発があった。

「この私を騙していたとなれば賞賛物だが、恐らくそれはないな。涼宮ハルヒが古泉の知り合いだと知っていて、
 かつ古泉の容姿を知っている……キョンとやらか? 他人に自分の罪を押し付けるとは、こやつも感心感心」

文章からすれば男のようだが、朝倉涼子の書き込みである可能性もなくはない。
しかし、悪魔将軍にとっては現在捜索中のキョンがこのような卑怯卑劣の雄である方が好ましかった。

「一応、明日のタッグマッチについて書き込んでおくか。高町なのはやキン肉スグルも来るかも知れんしな」

キーボードに指を走らせて、6つ目の書き込みを仕込む。
6 名前:名無しさん@kskいっぱい 登校日:XXXX/XX/01(X) 19:18:XX ID:********
明日 09:00 E-09湖上リングにて試合の予定あり(雨天決行)。
古泉一樹とキン肉万太郎VS悪魔将軍と(未定)のタッグマッチの予定。
漁夫の利を狙う者、正義を憎む者、悪を蔑む者の観覧大歓迎。試合中、試合後の安全保障なし。


こうやって主催者側に伝わりやすいよう書き込んでおけば時間までに湖上リングを禁止エリアにされる事もないはずだ。
長門たちも、殺し合いの加速を邪魔する事はすまい、とお膳立てに満足する悪魔将軍。
続いて、『ksk』のコンテンツをクリックする。
パスワードを入力するフォームが表示され、画面下に小文字で問いが現れた。

『Q.最強の』

「A.悪魔将軍、と……」

問題を最後まで読まず、キーボードが軋む程のスピードで入力する。
悪魔将軍の自信は、『キーワードが正しくありません』という文字が出ても揺るがない。

「しまった! 当然の事なので問題を読まずに答えてしまうとは……不覚!」

問題に目を通すと、そこには『Q.最強の使徒が得意とする攻撃は?』と書かれている。

「A.地獄の断頭台、だ! 使徒とはイエス・キリストの13人の高弟を指す! サタンに選ばれし悪魔超人の総数は14。
 これは悪魔超人を束ねる大魔王サタンが正義超人だったとされるイエス・キリストを超える存在だという隠喩なのだ!
 そして、サタンの使徒である14人の悪魔超人のうち最強の存在は言うまでもなくこの私、そして私の得意技は地獄の」

『キーワードが正しくありません』

「パソコンが壊れているぞ!」

憤慨して、弐号機の外付けハードディスクを叩く悪魔将軍。
壊れた機械は叩いて直す、それが宇宙の通等真理なのだと言わんばかりに、その叱咤は勢いを増していく。
無論、キーワードを入力されない弐号機がそれに答えることはない。
しかし、異音を立てて震えるその姿は泣いているようにも見えた。だが、悪魔将軍は容赦しない。
いよいよ地獄の断頭台をかけようと勢いよく立ち上がった悪魔将軍の指が、たまたまキーボードに触れる。
それはフォームに数文字の日本語を落とし、偶然正しいキーワードを入力した。
答えが短く、更に悪魔将軍がローマ字入力ではなくカナ入力で書き込みを行っていたことによる幸運。
しかし、それが幸運と気付かない悪魔将軍は、ようやく正しい反応を示したPCに舌打ちして座り込む。
もう一度ハードディスクを触ってみると、先ほどとは比べ物にならない熱を持っている、と知る悪魔将軍。

「パソコンが照れている……? フン、自分の非に気づいたか」

寛大な心で弐号機を許し、表示された情報に目を通す。
『MAP&首輪の位置』と題されたそのページには、その名の通りの画像が浮かんでいる。
『1日目/18:00まで補完』と書かれているので、少々ズレはあるだろうが、これは便利だ。

「死者と生者の区別はつかんし、どれが誰なのかも分からんが……遊園地と温泉、あとは街に人が多いな」

分布を頭に叩き込み、ページを閉じる。
残るコンテンツは、チャット。
上手く立ち回り、かつ運がよければ、何か情報を得られるかも知れない。

「さて……名前はノーヴェの物でも借りるとして、性格はどうするか……」

悪魔将軍文庫から一冊の本を取り出し、どういった性格を装うか考えながら、悪魔将軍はチャットを開いた。
時は、19:25。


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