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魑魅魍魎~草の根分けるは鬼にあらず~◆2XEqsKa.CM



「いままでのあらしゅじー! なんかばくはちゅしてー、ばくはちゅしゅればいいとおもいましたぁぁ!!」

作文ー!? と、呂律の回らない舌で妄言を吐きながら。
俺は、肌寒い夜の中を千鳥足で進んでいた。
なんだって俺はレストランを出て、何故大声を張り上げながら森を歩いているんだ?
寿命切れの電球のようにパチパチと思考能力が明暗する俺の頭では、もうその疑問にすら答えが出せなかった。
レストランで調達した木材を杖代わりにして、不規則に前に進む……しかし、前に進んでどうなるんだろうな?
俺みたいな奴がこの殺し合いに最後まで生き残れる筈がないことくらいは、この酩酊した頭でも分かった。
だったら、どこに行こうが、どこに隠れようが、いずれは死ぬ。
死にたくないのに、死ぬ。冗談じゃない。死んでたまるか。
だってそうだろ? 自分が消えちまうんだぞ? 漫画やアニメみたいに、誰かに後を託せる訳がない。
この平和な世界で、俺くらいの歳で自分の死を意識する奴がどれほどいるってんだ?
俺から見える範囲には、少なくともそんな奴はいなかった。
強いて言うなら、朝倉くらいか……? いや、あいつからは今俺が感じているような狼狽はまるで感じられなかった。

「ああ……しょうかぁ……」

長門も、朝倉と同じ存在だったな。だから、こんなばかげた殺し合いの強要を平気で出来たのか?
長門の言葉を借りれば、俺やハルヒは有機生命体。別の生き物の感情など、宇宙人様には関わりないのか。
俺だって、こんな事は考えたくなかった。あのSOS団で、確かに長門は俺達の仲間だったからだ。
だが、事実長門は俺達をこんな殺し合いに放り込んだのだ。それだけが目に見えるリアル。
一度だけこの島で見たあいつは……あいつの目は、もう俺達といた頃の長門のそれではなくなってしまっていた。
長門が、引いてはそのバックに存在する統合思念体とやらが何を考えているかなど分かるはずもなく。
俺に、俺達にできるのは目の前の現象に抗い、自分の命の減少を避けることのみ。

「ちきしょお……ちきしょおおおお……!?」

肺の底から吐き出すように怨嗟の声を上げて、

「げ……げげげ……げええええ……」

同時に俺は、またもや吐瀉物を地に垂らす。
痙攣する腕が木材を手放し、頭から吐瀉物の上にダイブ。
嘔吐は幾度目になるのか、酸鼻極まる悪臭は、もはや俺の服に完全に染み付いていた。
遠くなる意識の中で、俺の胃のどこからこれほどの量の小間物が出てくるのか、という疑問が走る。
吐瀉物を指でなぞって見ると、サラサラとした感触で、もう固形物は無いに等しかった。
……最初のころのように、気管が詰まるあの感覚すらなかった。
暗くて見えないが、あるいはこれは血なのかも知れない。だとしたら……俺もそう長くないという事なのか!?

「うっ……ぐぅ……死にたくねえ……死にだくねえよぉぉぉ……!」

涙が、鼻水が吐瀉物にまみれる。
何度同じ事をやっているのか、自分でも情けなくなるが、何度やっても心から不安が尽きないんだ。
枯れたはずの涙も鼻水も言葉も、死を意識するたびに満タンに給油された。

「ハルヒ……ハルヒぃぃぃぃ……」

人の死に意味があるというのなら、それは遺された者への影響だけだろう。
特にそれが殺人による死ならば、加害者に降りかかる影響は果てなく大きい。
「人を殺してもなんとも思わない」なんて大量殺人者や軍人の話を聞くが、殺人者の意識は問題じゃないんだ。
人が人を殺せば、消えた命の重みは残った命に移り、何を償っても、何を忘れても、その重みが減ることはない。
霊魂だのなんだの、オカルト的なことを言いたいわけじゃない。ただ眼前で起こっている現実が、その結論を導き出す。
だから、この島で3人もの人間の命を奪った俺が、限界を超えた体液を垂れ流しても不思議はないのだ……。
この涙はハルヒの悲しみ。この鼻水はあの子供の恐怖。この吐瀉物はナーガのおっさんの怒り。
それらを背負えず、吐き出す俺のなんと弱いことか。

「ア……アア……アー……」

酔いが醒めていく。心の冷静な部分がアルコールで壊れた部分の比率を超え、全身の痙攣が止まる。
フラフラと立ち上がり、木材を付きながら歩く。何故歩くのか、目的などない理由などない意味などない……。
胃酸で溶け始めた歯をがちがちと、力を失った顎をがくがくと動かし、幽鬼のように前進する。

「禁止……エリア……は……」

それでも、保身だけは忘れない。コンパスと地図を取り出し、周囲を確認。
俺は何故……生きる事を諦めないんだろう。
今生きているからって、こんな俺が生き続けてどうなるというのか。
ハルヒも妹も朝比奈さんも死に、古泉を裏切った。スバル達からは見捨てられた。

「へへ……へへぇ……決まってんだりょお……」

そうだ。
意味などいらない。理由などいらない。目的などいらない。
ただ生きたくて、何が悪い。
どうしてこうなったかなんて、もうどうでもいい。

「生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたいよぉぉぉ……」




  し  に  た  く  な  い  







山小屋を追い出されたオメガマンは、仕方なく最寄の川沿いで腰を下ろしていた。
これから精力的に行動するに当たり、ディバッグ三つを抱えて歩くのは何かと不便なので。

「色々と整理して、一つに収まるように詰めていたのだが……?」

ボソリと呟くオメガマンの手には、一枚のメモ用紙。
どのディバッグをどこで手に入れたのかなど覚えていないので、いつ何処で入手したのかも分からない。
メモ用紙をしげしげと眺めるオメガマン。星明りだけでは見辛いが、なんとか解読できた。
『18時にB-06の公民館で待ち合わせ』と書かれたそのメモを、ポイっと川に放り捨てる。

「もっと早く気付いていれば奇襲も出来たか……いや、将軍の下にいたからなぁ~~。ま、もう関係ない事よ」

今から行っても誰もいない可能性の方が高いだろう、と当たりをつけ、オメガマンは作業を続行する。
ふと、その手が止まる。
黒いビニール袋に包まれた、ゴツゴツした感触の物に手が触れたのだ。

「食料ではないようだが……ビリビリ、と」

袋を開けてみると、中には爪の先ほどの消しゴムのような物と、100円ライター程の大きさの機械に繋がれたイヤホン。
説明書がひらりと足元に落ちると同時に、雲が切れて月明かりが川辺に射す。

「ふむ……これは便利そうだな。もう少ししっかり持ち物をチェックしておくべきだったか」

『ケロン軍制式超高性能小型盗聴器』と名を冠されたその機械の解説を読み、オメガマンの顔が綻ぶ。
機器を懐に仕舞い、地図を取り出して周囲を見渡す。

「街に向かおうと思っていたが、近くにもうじき禁止エリアになる場所がある、か……」

もしかしたら有用な物が落ちているかもしれない。
そう時間はないが、とりあえず向かってみよう、と立ち上がり、オメガマンは川の中に視線を飛ばす。
背中の巨大な五本の指に一纏めにした荷物を掴ませ、川を泳ぐ魚を凝っと見つめる。

「Ωメタモルフォーゼ! フィッシャー・オメガー!」

魚に向けて吸収光線を照射し、背中にエラと鱗の塊のような物を顕現させ、オメガマンは川に飛び込んだ。
川の流れに任せるようにして、23:00に禁止エリアと化すE-6に突入。
川底を舐めるように眺めつつ、時折水上に飛び跳ねて川沿いをじっくりと検分する。
背中の鱗に包まれたディバッグは濡れることもない。

(人間ってのは水場に集まるもんだからなぁ~! フォッフォッフォ、こうやって川周りを見ていけば……ぬ?)

泳ぎだして十数分、予想したよりも早く、川が途切れた。
泥っとした土の壁に遮られ、オメガマンの動きが止まる。

(……何も無かったな。無駄足か……? っと、これは……)

川底に、海草に隠れるようにして、何かのスイッチが設置されていた。
あの湖のようにリングを出現させるのか、と興味本位で近づき、迷わず押すオメガマン。

(まあ、リングが出てきてももうじき禁止エリアになるのではな……)

身構え、何が起こるのかじっと待つオメガマン。しかし、特に何かが変わった様子はない。

(……何だというのだ? せっかく見つけたというのに……)

数分身動きせずにじっとしていたオメガマンだったが、流石に痺れを切らして川面に上がる。
陸の方を見渡してみるが、何が起きたという感じもない。
やむなくメタモルフォーゼを解除し、川辺に這い上がるオメガマン。

「……」

あれは、一体なんだったのだろうか。
オメガマンは首を傾げながら、僅かに水がついたディバッグを叩いて水気を落とす。
このまま真っ直ぐ街に向かおうか……そうオメガマンが考えると同時に、ゴポゴポ、と水を掻き分ける音が聞こえた。

「!? 俺と同じ事を考えたやつがいたのか……?」

川の方向に向き直り、警戒するオメガマンだったが、その警戒は容易に解けた。
川底から、今しがたオメガマンが押したスイッチの直上にせりあがってきたのは、見覚えのあるフォルム。
もふもふとした毛皮を持つ、そう、それは――――――。

「中トロではないか! ……いや、これは……石像!?」

中トトロ。リングの上でちょこまか動く、主催者達の尖兵。
その石像が、プラカードではなく矢印のような物を掴み、オメガマンの前に現れていた。

「どういうことだ……ぬお!?」

ガタン、と音を立て、中トトロ像がオメガマンに向けて矢印を向ける。
撃たれる―――直感的にそう感じ、地面に伏せるオメガマン。
だが、一向に矢が飛んでくる気配は無く。

「……何かを指しているのか?」

恐る恐る立ち上がって中トトロ像が指す先を見れば、それは市街地とは真逆、南。
この先に何かがある、という事なのだろうか。
あるいは、先ほどのスイッチを押したことで、何かが南で起きている、という意味なのか。
あなたはこの矢印に従って南に進んでもいいし、これを無視して街に向かってもいい。
そんな風に選択肢を突きつけられている気がして、オメガマンの心に不満の灯が燃え上がる。

「思わせぶりおって……気に食わん雇い主だぜ~っ! ……まあいい、とりあえず南に向かうとするか」

せっかく自分の手で掴んだ情報だ。その正体が何であれ、自分の目で確かめたいという気持ちもある。
オメガマンは水中で少しポジションがズレたマスクを被り直し、時計を眺めて、

「次の放送までには、まだ少し時間があるが……殺しを急ぐに越した事もないだろうな」

全速力で走りだした。

数十分後。オメガマンの目に、ずりずりと杖を突きながら歩く人間の姿が映る。
かなり弱っているようだったが、オメガマンは油断無くスーパーアンチバリア装置を発動させ、背後に忍び寄って。

「フォーッフォッフォ! 夜中に出歩いてはならんと、ママに教わらなかったのかな!? 死……」

標的には聞こえない笑い声を上げながら腕を脳天に振り下ろす寸前。
何かに気付いた様子もなく、標的の人間がいきなりビクンと痙攣して倒れこむように振り返り―――――。

「おげげえええええええっ!!!」

「BAWWOHHH!!!」

姿無きオメガマンの顔面に、血とも胃液ともつかぬモノが降りかかった。

「お……俺のゲロが……浮いてる……?」

「違うわぁぁぁぁっ!!!!」

渾身のツッコミも、スーパーアンチバリア装置によって標的には届かない。
だが怒り心頭のオメガマンは、標的の顔を見て。

「……バッテリー切れまであと六分弱か」

不思議なほど穏やかに、その矛先を収めた。


突如目の前に現れた怪人に足払いをされて、貴方は冷静でいられるだろうか。
少なくとも、キョンという少年はその問いに「NO」と言うだろう行動を取った。
必死で這いずって逃げようとするキョンを、オメガマンが両腕を押し付けて捕らえる。

「やめろぉぉぉぉっ! 殺さないでくれぇぇぇぇっ!!」

「いいか! 幾つか貴様に聞きたい事がある! 質問に答えろ!」

キョンの悲鳴など意に介さず、自分の用件だけを伝えるオメガマン。
彼らはこれが初対面であったが、オメガマンの方はキョンの事を知っていた。
悪魔将軍と共に行動していた際、彼が『部下候補』として挙げていた者だ、と理解していた。

「し、質問に答えたら生かしてくれるのか?」

「もちろんだ。ただし、正直に答えれば、の話だがなぁ~」

怯えきった様子のキョンを見れば、将軍の期待は的外れな事は明白だったが、そんな事はオメガマンには関係ない。
とりあえず、将軍から聞いた―――又聞きということになるが―――特徴を持つ男に、「お前の名は?」と問う。
これに対しては想定しない返答が帰ってきたが、髪の毛を200本程抜いてからもう一度問うても、同じ返答が帰ってくる。
人違いか、と落胆しかけるが、返答された名前が名簿にないことに気付き、強い語調でそれを指摘すると、

「名簿に乗ってる名前はキョン! キョンだぁ! もう髪を抜くのはやめてくれぇ!」

「ビンゴォ……フォッーフォッフォ、キョンよ! 貴様の知り合いに古泉という男がいるな!?」

「……あ、ああ」

「よしよし、それは知っている。だが、正直に答えた事は褒めてやるぞ。次の質問だ」

探りを入れるように出した問いでキョンの腹の内を探り、虚偽を行う気がないことを悟るオメガマン。
こうなれば後は、質問をマシンガンのようにぶつけるだけだ。

「ガイバーの力はどうした!? 古泉の話では貴様が持っているはずだろう?」

「も……もう駄目になっちまったんだ、アレは……」

「ふむ? 奪われたのか使えなくなったのか知らんが、好都合だな……」

オメガマンにとって、ガイバーの力は十分警戒に値するものだ。
なんせただの人間である古泉が自分とも戦えるだけの力を得られるのだから。
悪魔将軍が古泉からその力を奪わない事を見ると、超人には使えないのか、力の譲奪は不可能なのか。
どちらにせよ、力がないならその方が扱いやすい、とオメガマンはほくそ笑む。

「では……貴様がこの島で出会った人間の事を詳しく聞こうかな?
 言っておくが、貴様について私は少々知識を得ている……嘘をつくのは自由だが、それがバレれば……」

言葉を濁して、ズン、とキョンの眼前にアシュラマンの指が埋め込まれた巨大な指を伸ばす。
キョンは空ろに窪んだアシュラマンの目に気絶寸前まで恐怖を高めたようで、がくがくと首を縦に振るだけだった。

「まあ、少し落ち着いてから話すといいぜ。俺の指になりたくなければなぁ~(最も貴様なぞを蒐集する気もないがね)」

「ひゃ……はいいいい!」



「ウホホ~ッ! まさかスバルナカジマンやあの目玉の化け物の居場所まで知っているとはなぁ~!
 こいつは俺の優勝に一筋の……いや大量の光が射してきやがったぜぇ~~っ!」

「あ……ああ……」

キョンのこの島での履歴を全て聞き取ったオメガマンは、思わぬ優良情報の入手に狂喜乱舞していた。
一方のキョンは、仲間ではないとはいえ……自分に敵意を向けなかった者達を明らかな危険人物に売った、という
ショックで、地に伏せたまま目を白黒ぐるぐるさせて、嫌悪感に沈んでいた。

「古泉も大概だったが、お前も相当な外道だぜぇ~~っ! 志も何も無く、生き残るためだけに道を踏み外すんだから、
 外道というよりは転落者って感じだがな! おい、恥ずかしくねえのか、ああ~っ!?
 完璧のカの字もねえキョンさんよぉ~~っ! フォーッフォッフォッフォ! お前ほど惨めなヤツも珍しいぜぇ!」

「う、うるさ……」

「ちょっと寝てな!」

「ふぐうっ!?」

口答えしようとしたキョンの胸板、丁度心臓の部分に蹴りを食らわせ、血の流れをカットする事で効率的に気絶させる。
ビグンビグンと痙攣し続けるキョンの身体に腰掛けながら、オメガマンはキョンの所持品を物色しはじめた。

「汚ったねえなぁ~! ゲロ塗れじゃねえか、ったく……まあ、中身は無事だからいいか」

吐瀉物に塗れたディバッグを漁り、食料をほぼ全て自分のディバッグに移す。
水と最低限の食料だけは残し……むしろ、水に関しては自分のを一本、キョンのディバッグに忍ばせてやった。

「途中で力尽きられても困るんでなぁ~。フォーフォッフォ」

特別な支給品がないことには嘆息したが、目当ての物は見つかった。
基本支給品の一つである、夜中には欠かすことの出来ない大事な物だ。そう、ランタンである。

「時計やコンパスは一つあれば事足りるが、これはあればあるほどいいからなぁ~」

しかし、オメガマンの目的はこれを入手する事ではない。
以外に器用な手先でランタンを解体し、底の、熱が届かない部分が空洞であることを確認し、懐に手を突っ込む。
懐から取り出したるは、黒いビニール袋。再びビリビリと破いて、中身の盗聴器を取り出す。
白い爪先ほどの消しゴム状の物体……こちらが本体といえる、盗聴発信部を手に持ち、ランタンの底部に仕込んだ。
そして再びランタンを組みなおし、強く振っても音でも感触でも盗聴器が探知できないことを確かめ、ディバッグに戻す。

「将軍はキョンを探していた……だが実際会ってみれば、こんなゴミ虫! 間違いなく失望して殺すだろうぜ。
 そして、支給品を奪うはずだ……特に夜間に有用なランタンを捨てるはずがない!
 しからば、そのランタンに盗聴器を仕込んでおけば……奴の動向を確かめられる、という訳よ!」

自分の声が耳に付けたイヤホンから聞こえてくる事をしっかりと認識し、十分にそれが可能であることを確信。
オメガマンは満面の笑みを浮かべながら、受信器の電源を落とす。常時盗聴し続ける訳にもいかない。
集中を乱してもいい、例えば休息中などにちょくちょく探るくらいで、十全の効果があるだろう。

「島全域で有効とはなぁ~! もっと早く気付いていれば、こんな面倒をしなくても……おっと、起きたか」

激しく咳き込みながら目を開けたキョンの上から立ち上がり、肩を掴んで抱き起こすオメガマン。
大丈夫か、突然気絶したので心配したぞ、などと白々しく嘘を付いてキョンに転がっていた木材を返す。

「キョンとやら。貴様、古泉に会いたいか?」

「……いや、それは……」

「だろうなぁ! かっての仲間にそんな情けない姿など晒せまい! よ~し、そんなお前にいい事を教えてやろう!
 Eの9辺りの湖に行ってみな! そこにお前を救い、導いてくれる奴がいるぜ!
 ……それまでにもし、危険な目にあったらこいつを使うといい。説明書も付けてやるぜ、フォーッフォッフォ……」

「……お、俺を殺さないのか? 本当に?」

「このオメガマンは完璧超人! 悪魔のように、約束を破ることなどしないんだよ、フォーッフォッフォ!」

自分を見逃すとは思っていなかったのか、キョンは一瞬安堵したように見えた。
しかしいつ気が変わるとも分からない、と言わんばかりに、即座にその場を離れようと、木材をついて歩き出す。
それを少し未練そうに見送りながら、オメガマンはコンパスを手にした。


「フォーッフォッフォ……さぁて、スバルナカジマンと目玉野郎、どちらに先に借りを返してやろうか……!」

キョンから聞き出したスバルの位置は、G-2の温泉。スエゾーの位置はH-7の森(近くの博物館にいるかもしれない)。
位置的にはスエゾーの方が近い……しかし、キョンがスエゾーに会ったというのは相当以前だ。
それに加えて、ガイバーⅠという強力な仲間を連れているらしい。
一方のスバルはどうやら満身創痍で、老いぼれとカエル、そして子供と共に養生しているというではないか。
カエルというのは博物館で戦ったあのガルルとやらの仲間かも知れないが、足手まといを二人抱え、自身も重傷。
狙うならば、こちらの方が妥当か。状況からして、移動しているとも考えられない。

「むうう……」

しかし、恨みの度合いで言えばスエゾーの方に高らかに軍配が上がる。
なにせオメガマンは下半身とはいえ――いや下半身だからこそか、あの目玉に純潔(はじめて)を奪われているのだ。
それだからこそ、三度目の屈辱……サードインパクトだけは絶対に避けたいという気持ちもある。
やはり、スバルの方を狙うべきか……いや、危険から逃げるようでは完璧超人として……。

悩むオメガマンは、やがて結論を出した。


それは、どちらか――――?


【H-6・森/一日目・夜中】
【ジ・オメガマン@キン肉マンシリーズ】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、アシュラマンの顔を指に蒐集
【持ち物】デイパック(支給品一式×3&食料1/2入り)、不明支給品0~1、5.56mm NATO弾x60、
    マシンガンの予備弾倉×3、 スーパーアンチバリア発生装置@ケロロ軍曹×2、
    スタームルガー レッドホーク(4/6)@砂ぼうず、.44マグナム弾30発 超高性能小型盗聴器(受信)@ケロロ軍曹
【思考】
1:皆殺し。
2:今のところは、古泉の策に乗っておく。
3:温泉に行くか、それとも博物館周辺に行くか?
4:スエゾー、スバルナカジマン、悪魔将軍に復讐する。
※バトルロワイアルを、自分にきた依頼と勘違いしています。 皆殺しをした後は報酬をもらうつもりでいます。
※Ωメタモルフォーゼは首輪の制限により参加者には効きません。

【備考】
※E-6の川底のスイッチを押したことにより、そこから南の地で何かが起こった(あるいは何かが動作した)ようです。
 (詳細は以降の書き手さんにお任せします)


  • 支給品解説

【超高性能小型盗聴器@ケロロ軍曹】
日向家の各部に監視カメラと共に仕込まれた、ケロン軍が誇る偵察用の軍用機器。
イヤホンつきの受信機と、発信機のセット。島全域で受信と発信が行えるが、バッテリーが持つ時間は不明。
盗聴は犯罪です。




木材が手から離れて、

「う……ぐ……」

俺はまた、倒れこんだ。まったく、これじゃあまるで老人だ。
せっかく運よくあの怪人から逃れられたってのに、こんな事じゃあいつくたばってもおかしくない。

「湖……湖……ごぜばぁ……ごぜばぁ……」

あの怪人が言っていた事を、思い出す。
今の俺を、救ってくれる……? 馬鹿を言え。神様だって、そこまで慈悲深くはないだろうよ。
朝比奈さんだったら、あるいは……とも思えるが、と考えて、自棄気味に笑う。
へへっ、俺は何を虫のいい事を考えてるんだかなぁ。
雨蜘蛛のおっさんに朝比奈さんを殺してくれと頼んだのを忘れたのか、馬鹿野郎。
救いの御手なんて、あろうはずもない。俺にはもう――――優しい夢なんて、見る権利すらないのだから。

「……う、うっ」

それでも、また悪い癖……酔い、といってもいいんだろう。とにかくそれが、ぶり返した。
俺にとっての救い。それは、SOS団だ。妹にフライングジャンプで起こされる、なぁんてのでもまあ次善解さ。
もう一度、SOS団の温い空気に浸りたいって願う事は、そんなに許されない事なんだろうか?
生きたいのと同じくらいに、救われたいと願うのは、そんなにやってはいけない事なんだろうか?

「ハ、ハル、ハルヒぃぃ……ハルヒぃぃー」

えっ? お前が、湖にいるのか? そうなのか?
そうかぁ……お前、湖ではしゃいでるの、似合いそうだもんなぁ……居てもおかしくないよなぁ……。
わかったよ……俺も行くから、それまであんまり羽目、外しすぎるなよ……?

「ハルヒ、ハルヒ、ハルヒ、ハルヒ……」

倒れた身体を、ずるりと前に進める。もう、立ち上がる事さえ億劫だ。
こうやって、冷たい地面に触れていれば、こぉんな温かい夢が見続けられる気がするんだ。立たなくたっていいだろう?
ずり、ずり、ずりと、這って這って、這って。草を分けて、進む。

「……これじゃあ、まるで」


芋虫だ、と呟いて、それでも俺は、立ち上がらなかった。


―――――ああ。

はやく、はるひにあいたいなぁ。


【H-6・森/一日目・夜中】
【名前】キョン@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】ダメージ(小)、疲労(大) 泥酔で躁鬱・正気度の増減が極端
【持ち物】デイパック(食料半分消失、盗聴器(発信)がランタンに仕込まれている)
      スーパーアンチバリア発生装置@ケロロ軍曹×1 木材@現実
【思考】
0:はやくハルヒに会いたいな~☆(はぁと
(1:―――死にたくない。)
【備考】
※「全てが元通りになる」という考えを捨てました。
※ハルヒは死んでも消えておらず、だから殺し合いが続いていると思っています。
※ガイバーは使用不能になりました。以後使えるようになるかは後の書き手さんにお任せします。
※現在は泥酔(?)しているため、正常な判断ができていません。
  正気に戻ったあとどうするかは次の書き手にお任せします。


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どうしてこうなった キョン 闇夜の森の隠れ鬼
ザ・ネゴシエーター ジ・オメガマン 真実のしっぽ




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