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諸行無常~もしも願い一つだけ叶うなら~ ◆2XEqsKa.CM



車体が揺れる。操縦者は浮かない顔で車窓から夜の街を眺めていた。
水野灌太の瞳に映る街には、明かりがなかった。火の手も街灯も、視界から消えて久しい。
固いシートに背を預け、対向車も交通ルールもない道を走破していく彼の心は沈んでいた。
一時間足らずの探索による疲労は、想定していたほどではなかった。
時計回りに三つの施設を訪れ、有用な物を探すだけの簡単な仕事。
その作業に疲労がついてこないのは、成果がそれほどでもなかったから。

「……無駄足だったかもな」

助手席に積んだ戦利品を見遣って、砂ぼうずは愚痴った。




最初に訪れた小学校には、PCがなかった。
いや、正確にいうならば、設置型の、kskコンテンツを使用できるPCがなかったのだ。
職員室に秘蔵されていたノートパソコンを発見したが、砂ぼうずは既に同じものを持っている。
バッテリーの替えに使う、ノートパソコン間での掲示板で自演行為を行うなどの使い道はあるが、
砂ぼうずにとってはさほど嬉しい拾い物ではなかった。他には、何もなかった。
廊下で点々と続く血痕を見つけて追いかけてみたが、それはただの時間の浪費。
血痕の先に花壇に何かが埋められた形跡を見つけて掘り返したが、埋まっていたのは死体……否、それ以下。
支給品もなく、ズタズタに引き裂かれて個としての判別など出来そうもない、ただの屍骸だった。
ビニール袋に押し込まれたそれを忌々しげに花壇に放り返し、埋めなおす時間を惜しんで小学校を後にする。

―――はずだった。砂ぼうずの足はそこで一瞬止まり、砂ぼうずの頭に浮かんだ違和感を確かめる為に居戻る。
かって人間だった、奇怪なオブジェ。脈動するような錯覚を覚えさせる不快な肉と骨と筋のそれの端に、鈍く光るもの。
それは、首輪だった。砂ぼうずはしばらくそれを眺め、何を思ったかビニール袋ごと持ち運ぶ。
そして、死体を埋めたであろう人間の髪の毛も採取した。長さとツヤからみて女性……魂の嗅覚からしてボイン。
砂ぼうずはシリアス顔で赤みがかった茶色の髪を懐にしまい、小学校を後にした。

二番目に訪れた倉庫群。無論PCなどあろうはずもない。
ここを本格的に捜索した者はいなかったようでほぼ手付かずではあったが、何もないのでは意味がない。
鉱物……恐らくはG-7の採掘場で取れたものが、雑多に積まれているばかりだ。
だが、砂ぼうずは採掘場と関係があると判明した倉庫群を引っ掻き回す。
彼の持つksk車両位値一覧のメモには、採掘場に秘蔵された車両について『関連地区に鍵在リ』と特記されていた。
首尾よく、鍵は見つかった。余韻に浸ることもなく、すぐさまその場を後にする。
大事なトラックとハルヒを放置してのんびりできる男ではない。
慌しくその場を去った砂ぼうずは、流石に屋内でないここで、地面に落ちた髪の毛を見つけることはできなかった。
もっともそれは、飾り気ない中年男の黒髪だったが。見つけていても、砂ぼうずにとって価値などない。
置き去りにされた黒髪は、既に胴体から離れている首に倣うように風に揺られて低所に落ちていった。



最後に訪れた警察署には、砂ぼうずも幻滅した。物々しい外観に反して武器はおろか、拘束具すらなかったのだ。
既に2回ほど探索が行われた形跡があったが、物の移動などから見て先客も何も見つけられなかったらしい。
潜むようにして窓際に置かれていたPCにksknetキーワード入りCDを挿入して、kskコンテンツを探る。
警察署のPCのkskコンテンツは、「参加者の犯罪歴」という重要なものだった。
一回のアクセス毎に五名の参加者をランダムに選出し、その者達が行ったある一定以上の罪状を列挙するという。
危険人物の特定に留まらず―――使うものが使えば、参加者との交渉にも役立つだろう。
砂ぼうずが試しにアクセスして見ると、「冬月コウゾウ、キョン、フェイト・T・ハラオウン...」
という具合に順に名前と顔写真が表示され、罪状が並べられていく。ささやかな罪は書き込まれないせいか、
冬月には殆どなく、キョンには全くなかった。砂ぼうずが直接目にしたフェイトは、昔はやんちゃしていたようだ。
砂ぼうずの目からはほとんど感情が読み取れないが、何か得たものはあったようで、首を傾げていた。
四つ目の名前は、セイン……砂ぼうずと縁深きものだった。その罪状はフェイトの物より多く、重い。
だがその罪状は、砂ぼうずがセインに抱く思いには、一片の変化すらもたらさなかったようだ。
「契約は必ず果たすぜ」と亡き彼女が坐す天に向けて親指を上げ、セインの顔写真を見てふんすと鼻息を荒くする。
彼女の妹のノーヴェの顔でも想像しているのだろう。そういう思いかよ。
しかし、そんな一種弛緩した時間も、五人目の名前が浮かぶと同時に終わった。

『悪魔将軍』

罪状が無数に並べ立てられ、画面がめまぐるしく変わっていく。やがてあまりの極量に、PCがフリーズしてしまった。
自分がこれから交渉を行う者の危険性を如実に示すデータに、砂ぼうずの表情も引き締まる。
そう、ふざけてばかりはいられない。ここは殺し合いの舞台であり、命を削りあう戦場なのだから。
真剣な所作で立ち上がり、先刻警察署の外で拾った2本の髪の毛の検分を始める。彼にとってはこれも闘争。
やがて髪の毛を放り捨てると、砂ぼうずは黙って警察署から出た。
そしてトラックに乗り……現在に至る。





助手席に積まれているのは、刑務所で見つけたダンボール箱に収めた冬樹の死体だ。
流石の砂ぼうずでも、他の物と散々に損壊した死体を同じディパックに入れるのは抵抗があった。
ハルヒの乳を揉みながら運転し、危うく事故りかけた体験の反省もあって、彼女は今トラックの荷台に積まれている。
バックミラーに視線を送り、ハルヒが落下していない事を確認。KRR‐SPと一緒に、静かに揺られていた。

「ああ、ハルちゃんと離れ離れか。辛いな~っ、たくよ」

本来、砂ぼうずは死体と本気で戯れる程破綻した人格の持ち主ではない。
このようにおどけて見せているのは、死体の重い印象に呑まれないためのポーズと言えた。
完全に密閉された寝袋に包まれたハルヒの死体に、彼は実はそこまで頓着していない。
砂漠では死体など、すぐに干からびる形骸に過ぎないのだから。
死体をモノとして扱える彼だからこそ、ここまで生き残れたのかもしれない。

「ン―――?」

B-4を南下するトラックが、奇妙に揺れた。同時にタイヤの方からパン!という音がして、速度が急低下する。
狙撃によるパンクか、と砂ぼうずの顔に緊張がよぎる。しかし身を低くしても、次のアクションがない。
停止したトラックのドアを慎重に開け、体を出さずに状況を確認しようとする砂ぼうず。
その視界に、ひしゃげた人間の頭が入り、パンクを免れたタイヤが続く。

「……なんだ、お前か」

奇妙に歪み、通常人にできない表情を浮かべているのは、彼の弟子だった。


「警察署に髪の毛を落としてたな……あの後すぐに死んだ、か?」

無表情に、弟子だった少女の頭を見下ろす灌太。返事は当然ない。
周囲を見渡すと、路地裏にシーツに包まれた小砂の胴体が転がっていた。
強風に煽られて、路地裏から転がってきた小砂の頭部を、トラックが踏みつけたのだ。
首輪を奪われて乱雑に扱われた弟子の死体にも、灌太は憤りや悲しみを見せない。内心がどうかはともかく。
軽い足取りで胴体に近づいて小砂に供えられた人形を拾い上げ、一応荷台に投げ入れる。

「凄腕美人、なれなかったな。残念だったな」

無表情に言って、頭を拾い上げて胴体の位置に戻し、シーツを被せ直す。
もう風に煽られないように死体を少し奥に押しやって、弔いの言葉すらなく弟子の死体から離れていく。
灌太は弟子が誰に殺されたかを知っている。そして、その男も既に死んでいる。小砂との繋がりは、もう存在しない。
ゆえに師匠として灌太が小砂にしてやれることなど、もう何もない。弟子は死に、彼は師匠でなくなったのだから。

「じゃ、おつかれさん」

トラックに乗って、地図を広げる砂ぼうずはもう、小砂の事など気にしていなかった。

「……涼子ちゃんたちが、遊園地からどう脱出したかわかんねえ。これ以上の無駄足は避けるか」

砂ぼうずの執心は、今を生きている人間だけに向けられる。
ボインちゃんである朝倉のチームが、海を渡って禁止エリアに囲まれた遊園地を抜けたのか。
それとも、多少のリスクを背負って禁止エリアの隙間を潜り抜けたのか。
はっきり確認する術がないので、砂ぼうずはモールに向かう事を決めた。

「次の放送まで二時間ってとこか……急げば間に合いそうだな」

トラックが、走り出す。砂ぼうずは小砂の死体を顧みない。
砂ぼうずの通った跡に死体が残されるのは、いつもの事なのだから。
今回もまた、違う死体が残されるという、それだけの事なのだから……。



夢から醒めた。悪夢へ褪めた。
俺は、現実に帰還した。現実とは、この島に来る前の平穏な生活ではない。それはもう終わっている。
悪夢のような現実。ここで行ってきた行為が正気に還る俺の脳裏を走馬灯のように駆け巡り、そのうち俺は思考能力を取り戻していた。
酩酊した頭は生き返ったようにすっきりとしている。痛みも感じない。心の痛みも感じない。
死の淵で垣間見た走馬灯の残光が、今もはっきりと俺の頭に残留している。
心を抉る他人(ヒト)の言葉と、自分(オレ)が走らせ続けた思いが。

『あぁ……長門、一体何でこんな事を始めちまったんだよ?ハルヒと、俺と、お前と、小泉と、朝比奈さんと、
 鶴屋さんや谷口とか、皆で過ごしたあの日常を、お前は忘れちまったのか? 』

「……」

『考えてみればその方法は簡単な事だった。奴らはハルヒの親しい人を殺す事で観測を行おうとしている。
 なら、それはSOS団以外のメンバーでも構わないのではないか?この舞台でハルヒと親しくなった奴を殺す。
 そうして得られた情報で長門の親玉を満足させる。そうすれば俺達を殺す必要ない筈だ。だってそうだろ?
 もう既に観測し終えているんだから。観測が終われば、SOS団を元の世界に帰すくらいなら長門に頼めば何とかなるだろうし。 』

「そう……」

『ざっと頭に浮かんできただけでもこんな化け物達が居る空間で、ただの小学生の女の子が、
 使えもしない能力を持つ超能力者が、臆病な未来人が、常識と呼ばれるものを持っているが
 欠片も使おうとしない女子高生が、生き残れるわけないだろう!故に必要なのは、殲滅だ。 』

「そうだ……」

『教えてやろう、『悪』気取りの青二才よ。 貴様に足りなかったのは悪としての覚悟、年季、実力。――そして―――『格』だ』

「俺は……」

『ハルヒは。ハルヒはどこまでもハルヒだった。皆を守るため人間をやめた俺と違って、ハルヒは、
 いつもと同じ、強引で、トラブルメーカーで、好奇心旺盛で、そして―――俺の、好きな女だった。』

「俺は!」

『だから―――朝比奈さん、古泉、長門、朝倉さん、妹……ごめんな。
 俺は、お前らをも全員殺して生き残ろう。そうすれば強い人間に守ってもらう必要もなくなるだろ?
 そして、俺は皆を蘇生して、そして死ぬ。それが、俺の罰だ。』

「俺の……手はッ!」

『俺は全員を殺すつもりだ。…だけど妹と朝比奈さんだけは自分の手で殺したくない。
 甘いことを言ってるってのは分かってるがな。
 だから、雨蜘蛛さん…もしこの二人に出会ったら……二人を…その…… 』

「何よりも汚れていて!」


『仲間の為だ。何も考えずに殺人が悪だとか言う奴は偽善者に過ぎない。
 楽しんで人を殺す奴はもっと異常だ。……だから、俺は間違っていない。』

「ハハハ、俺の頭は!」

『何を、何をやっているんだ、俺は。違う、俺はこんなつもりじゃない。夢だろ?
 どうして夢の中でまで、俺は人殺しなんてしなきゃいけない?
 どうして、夢の中でまで―――俺はハルヒを殺そうとしなきゃいけないんだ!』

「誰よりも壊れていて!」

『その考えは、絶対間違ってる! キョン君は……それに気付くべきだと思う、あたしが気付かせてあげる!』

「俺が……俺は……ッ!」

『キョン君、今の貴方……とっても格好悪いよ』

「俺、は」

『なあ! 長門! おっさん! この試合は無効だ!
 俺は同意してないんだぞ! 片方だけやる気になって成立する試合なんてあるか!?そうだろ!? なあ!』

「それでも……こ、んなでもっ……!」

『俺はここに来て力を手に入れた。
 その力さえあればあいつに俺がしてやれることが一つだけある。
 今力がいるんだ。あいつを苦しみから救ってやる力が。』

「俺は!」

『どうしてこんなことになったんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!』

「間違って……」

『古泉も大概だったが、お前も相当な外道だぜぇ~~っ! 志も何も無く、生き残るためだけに道を踏み外すんだから、
 外道というよりは転落者って感じだがな! おい、恥ずかしくねえのか、ああ~っ!?
 完璧のカの字もねえキョンさんよぉ~~っ! フォーッフォッフォッフォ! お前ほど惨めなヤツも珍しいぜぇ!」 』

「間違って、なんか」

『反吐が、出そうなんですよ。"彼"を……一時でも、仲間と呼んでいたと思うとね……』

「間違ってなんか、いないッ……!俺は……もう引き返せないんだから!」


迷走を回想しながらも、俺はもう折れなかった。俺には、生き延びる決意があるのだから。
そうだ。俺はまだ、生きている。命がある限り……自分が生きるために選んで来た選択肢は、否定できない。
ハルヒを殺し……SOS団を守る為といいながら、稚拙な暴力と悪意を撒き散らして。
誰からも見放され……思考を捨てて……本性を剥きだしにして……自分が殺したハルヒに頼った。俺は、正しい。


でも。


でも、そんなどうしようもない"俺"を理解できるのは、きっと"俺"だけだ。
ハルヒが俺を救ってくれても。俺を理解してくれる人間は、どこにもいない。いるはずもない。
俺の道は……決して間違っていない、ここまで生き延びられた俺のルートは、それでも。どれだけ、正手でも。

「……もう、詰んでいるんだよなぁ」

足掻いた。もがいた。抗い、暴れ、逃げて、向き合った。
自分の運命。自分の意思。自分の本能。自分に……仲間達に、向き合って。
俺は、理解したのだ。俺自身を。俺が、もう、前に進めない。存在意義を失った、人形であることを。
居場所も。仲間も。家族も、なくしてしまった。俺には明日が見えない。明日を見ないのは、生き物ではない。
とっくに崩壊していたのだ。俺の意味も、俺の役目も。そうして壊れた人形が、空しい一人芝居を打っていたのだ。

「死のう」

肉体が活力を失って、しかし精神だけはとある境地に達した俺は、強殖装甲を身に纏う。
己が選んだ、『生きる』という意志は一片の曇りもなく正しい。だが、それは磨耗した、無価値な目標でしかなかった。
生きていて……なんになる? 全てをなくした俺が、正しいから、生きたいという思いが正しいからといって。

生きていて、なんになるのだ。

「禁止エリアに、突っ込もう。楽だし、痛くないだろうし。最後くらいは……誰にも、迷惑をかけずに」

この決意ですら、誰かに会えば揺らぐだろう。俺は俺によって俺を、完全に理解した。
俺は弱く、力を手に入れてもそれを扱う資質がない。葦のような……生き方だ。
だが、それは普通なのだ。そうでない人間が、おかしいのだ。俺にとっては。
あの、SOS団の異常な楽しみを知って……俺自身の芯は普通でいたいと思うことの、何が間違っている。
今なら分かる。きっとハルヒも、そうだったのだろう。前に進む意志を持ちながら……進んだ先に意味が見えない。
普通であることを捨てきれないからこそ、俺のような平凡な男に興味を持った。それが後退だと知っていながら。
だから、あいつは未来人、宇宙人、超能力者を探し出した。また前進して、確かに目に見える結果を求めたのだ。
あいつの道の先に何があるのかは知らないが、あいつなら……俺が好きだったあいつになら、きっと何かがあったのだろう。
俺にはない。俺には、何もなかった。俺が俺の道を進んだ結果見えたのが、あの走馬灯。醜い、無様な、足跡だけだった。
……ああ、そうだな。あいつに"それ"があって、俺にないのなら。俺が生きて、ハルヒが死んだ事だけは。

「ハルヒ……お前を殺したことだけは、本当に。本当の本当に、たった一つだけ。頭から足の先まで、間違いだった、なぁ……」

俺が酩酊状態であいつを求めたのは、あいつに謝りたかったからなのかもしれない。
もしかしたら、死んでも消えていないかもしれない、俺の好きな女に――――。
……無駄だ。もうやめよう。誰にも理解されない、"俺"に、幕を閉じよう。

そうして禁止エリアに向かって駆け出して、俺は―――。



「イエーイ! ってうおっ、急に飛び出してくんじゃね……」

森の中を疾走してきたトラックに、撥ねられた。
ガイバーになって強化されているとはいえ、体力自体がカラなのだ。そりゃ簡単に前後不覚になるさ。

「やっちまった……」

加害者の声が聞こえる。怒りなんて沸いてくるはずもない、俺は終わっているんだからな。
薄れる意識の中で、また人に出会った事を嘆く。

「おい! ここが凹んじまったじゃねえか! お前を轢いたせいだぞ、クソッ!」

しかも、人でなしだ……。俺は、こいつにも迷惑をかけるのだろうか?
まあいい、それも運命だよなぁ……死ねるまでの。
こうして、死ぬ事すらできずに、俺は再び意識を失った。




勿論、偶然ではない。
砂ぼうずはキョンの姿を視認してから、彼を撥ね飛ばしたのだ。
彼の持つ情報では最も多くの人間を殺した相手に、無策でやる行為ではない。
だが、砂ぼうずには確信があった。警察署で得た、キョンの新たな情報。
第一放送開始までに二人の人間を殺しておきながら、キョンは一切の大罪を犯していなかった。
そして、キョンはガイバーという異形の力を手に入れている。
砂ぼうずは、キョンがガイバーの力にに振り回されている、御しやすい相手だと踏み、
さらに禁止エリアに向かって死のうとした彼の姿をしばらく観察した上で、行動を起こしたのだ。

「お前は、でかすぎる力を得て調子に乗り、いまさらビビッてドロップアウトしようってアンポンタン……」

ガイバー化が解けて気絶しているキョンを引きずり、荷台に乗せる。

「でもよ、命ってのは結構値打ちもんなんだぜ。お前にとって捨てたい程腐ってても、俺に取っちゃあお宝だ」

モールに急行するのが先決で、ゴルフ場や山小屋には寄る暇がなかったが、キョンを見つけたなら話は別。
放送までまだ一時間弱ほどあったのも、キョンに関わる理由になった。
チャットでは、悪魔将軍はキョンと一緒に行動している……というような発言をしていた。
キョンが悪魔将軍から逃げてきたとすれば、悪魔将軍への何らかの牽制手段に繋がるかもしれない。
将軍に渡さずにガイバーの装備を手に入れるだけでも収穫だろうと、砂ぼうずは下卑た笑いを浮かべる。
こんな得体の知れないものを自分で使うのは御免被るが、交渉材料としては最上だろう、と。
キョンは「戦う」ことで生き残ろうとしたが、この砂ぼうずのような人間は、「生きる」ことで生き残る。
シンプルゆえに、千変万化。袋小路に陥ることも、結果や過程に執着しすぎることもない。

「ハルちゃ~ん。悪いな、隣にちょっと人間置きますよ~」

ハルヒが入った寝袋にウインクして、小学校で入手したシーツで包んだキョンを投げこむ。
運転席に戻り、まっすぐモールに向かうか、少し寄り道するか考え込む砂ぼうず。
彼は、気付いていない。キョンが無意識に、隣に寝かされた寝袋に手を伸ばした事を。
そしてその手が偶然、まったくの偶然で、寝袋の中の死体の手の上に、被さっている事を。
そして何より……キョンがこの島に来てから、最も安らかな寝顔をしている事になど。

キョンの道は既に終わっている。ハルヒの道も、キョンが終わらせた。
終わった道が交差しても、残念ながら何も始まらない。

それはきっと、別の終わりを呼び込むだけなのだろう。



【F-08 森林/一日目・夜中】

【名前】キョン@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】生き延びる決意(壊)、ダメージ(中)、疲労(大)、気絶
【持ち物】木材@現実
【思考】
0:ハルヒに謝りたかった。
1:葦のように生きて、一体何の意味があるっていうんだ?
(2:―――俺を終わらせたい。)
【備考】
※「全てが元通りになる」という考えを捨てました。
※ハルヒは死んでも消えておらず、だから殺し合いが続いていると思っています。
※再生機能が自動で発動しましたが、以後戦闘等で本格的に使えるようになるかは後の書き手さんにお任せします。

【水野灌太@砂ぼうず】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)
【装備】73式小型トラック@現実
【持ち物】オカリナ@となりのトトロ、手榴弾×1、朝倉涼子・草壁メイ・ギュオー・なのはの髪の毛
 ディパック×2、基本セット×4、レストランの飲食物いろいろ、手書きの契約書、フェイトの首輪、
 ksknetキーワード入りCD、輸血パック@現実×3、護身用トウガラシスプレー@現実、リボン型変声器@ケロロ軍曹
 FirstGood-Bye@涼宮ハルヒの憂鬱、コルトM1917@現実、第ニ回放送までの殺害者と被害者のメモ、チャットの情報を書いたメモ
 ksk車両位値一覧のメモ、ノートパソコン×2、KRR‐SP@ケロロ軍曹、冬樹の惨殺死体(ビニール詰め、ダンボール入り)、採掘場の乗り物のカギ
 人形@新世紀エヴァンゲリオン、涼宮ハルヒの死体in寝袋
【思考】
0、何がなんでも生き残る。脱出・優勝と方法は問わない。
1、モールに向かい、悪魔将軍にハルヒの死体と(場合によっては)キョンを渡し、ノーヴェをおいしくいただく。
2、遊園地にいる朝倉涼子とヴィヴィオには何が何でも接触したい。用事が済んだら、山小屋かゴルフ場に行ってみるか。
3、首輪を外すにはA.T.フィールドとLCLが鍵と推測。主催者に抗うなら、その情報を優先して手に入れたい。
4、悪魔将軍が有用であり、流れが良ければ手を組んでもいい。有用でなければ将軍と対立する側につく。
5、首輪を分析したい。また、分析できる協力者が欲しい。
6、関東大砂漠に帰る場合は、川口夏子の口封じ。あと雨蜘蛛も?
7、死体しか話し相手がいなくてちょっと虚しい・・・・・・
【備考】
※セインから次元世界のことを聞きましたが、あまり理解していません。
※フェイトの首輪の内側に、小さなヒビが入っているのを発見しました。(ヒビの原因はフェイトと悪魔将軍の戦闘←灌太は知りません)
※シンジの地図の裏面には「18時にB‐06の公民館で待ち合わせ、無理の場合B-07のデパートへ」と走り書きされています。
※晶達とドロロ達のチャットを盗み見て、一通りの情報を暗記しました。
※図書館のアクセスログから使用されたパソコンの位置を把握しました。
※図書館のチャットの発言ログ(152話・10個の異世界~153話・情報を制す者はゲームを制す?(前編)まで)から、情報を得ました。
具体的には『東谷小雪の居候=ドロロ』『ドロロとリナ・ケロロ・タママの特長』『チャットでの合言葉』。図書館の発言ログは灌太によって消去されました。
※掲示板での七番目の書き込みにおける集合場所は、山小屋かゴルフ場と予測しています。

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名探偵スナボゲリオン 水野灌太(砂ぼうず) [[]]
目褪め/目醒め キョン [[]]






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