2011年度の活動-1

「都市防災とまちづくり」

東日本大震災により被災された方々に謹んでお見舞い申し上げます。


5月の月例会では、慶應義塾大学特任助教の高橋武俊さんを講師に「都市防災とまちづくり」のテーマで勉強会を開催いたしました。東日本大震災の被災状況については、New York TimesのHP掲載の写真を例に、改めてその被害の甚大さや問題の多様さを痛感し、また、日本各地で取り組まれている防災まちづくりの発想や工夫の例の紹介がありました。

【■防災まちづくりの発想(京都市防災都市づくり計画を例に)】
  1. 都市レベルの防災対策: 避難場所・防災拠点(公園など)の確保/避難経路の確保(道路整備、沿道建築物の不燃化)/被害の拡大対策(道路の拡大)/ライフラインの防災強化(電線地中化)など
  2. 地区レベル防災対策: 市民・地域と行政が協働して、建物内外の防災対策/避難場所・経路の整備/防災意識を醸成/延焼への対策

【■防災まちづくりの工夫】
  1. 都市計画の工夫(防火地域や準防火地域での耐火建築の推進)
  2. 1993年北海道南西沖地震で大津波災害にあった北海道奥尻町の津波対策の例(防潮堤、高床式構造の小学校、誘導避難路、津波侵入防止水門、津波対策としての人工地盤など)

【■江戸時代から続く防災への工夫】 
  1. 防火用水の常備(天水桶、雨水タンク)
  2. 保護対象物の周囲などに防火林の設置や生垣による防火
  3. 延焼遮断帯の設置(広小路、火除地、防火帯、建物疎開、防火路線など)
  4. 建築の不燃化(瓦屋根、蠣殻屋根、土蔵造、漆喰造)

【■「緑」の防災まちづくりの役割】
  1. 防風林や高木は波の勢いを軽減したり、波が引く際の引っかかりを増やす
  2. 樹木は、周りの温度が高くなると水蒸気を放熱し、水分がなくなるまでは簡単に燃えないため、地域の防水槽的な意味合いがある(防火性樹木・耐火性樹木)
  3. 道が狭い所では、建物の不燃化/隣棟との間隔をあける/建物間の植え込みをする(特に延焼しやすい窓の前には高垣などが望ましい)より、燃えにくくする。
  4. 地域では、いざという時に生命線となる道を何本か決めておき、抜きやすい植え込みや壊しやすい塀にしておく。
  5. 阪神大震災の際には、倒壊した建物や切れた電線が街路樹に引っかかったおかげで交通機能が寸断されるという二次災害を防いだ例がある。


鵠沼藤が谷会での「住み心地に関するアンケート」の結果について

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多くの鵠沼地区自治会では住環境の充実などに向けた「まちづくりアンケート」を行っています。今回は、鵠沼藤が谷自治会で実施された「住み心地に関するアンケート」の結果概要について、鵠沼藤が谷会と慶應義塾大学SFC大学院助教高橋武俊さんのご協力も得て、 ご意見の一部を掲載します。鵠沼地区でこうしたアンケート調査がさらに進み、全体としてよりよいまちづくりに発展していけばと思います。

アンケート実施回収状況

  • 実施時期:2010年5月 
  • 配布世帯数:817件 
  • 回収件数:432件 
  • 回答率:52.9%
  • 回答の性別では63%が女性。40代を筆頭に幅広い世代から回答

【関心の高いことの上位項目】

1位:空き巣やひったくり、詐欺などの犯罪について不安を感じることがある
2位:自然災害や火災に対して不安を感じることがある
3位:医療・福祉の施設や情報が充実している
4位:自転車・自動車事故などの交通安全に不安を感じることがある
5位:高齢者が安心して住み続けられる環境が整っている

「空き巣ひったくり詐欺」「災害」「事故など交通安全」への不安と同時に、「医療福祉の充実」「高齢者が安心して住める環境」への関心が高い一方、近隣を含む地域全体の住み心地には満足している方も多い結果となっています。

「自然災害や火災」 「交通安全」 「まちなみ(景観・環境)」 「くらし」などについていろいろなご意見や具体的提案が寄せられています。

【交通安全】
  • 自動車が30km/h制限のところをスピードを出して走っているのがとても危険。
  • 外部の車もあるが、住民の車でも配慮のない運転をしている。特に十字路。T字路は危険で、停止ラインがなくても左右確認なく走り抜ける車がある。
  • 住宅街の路地を乗用車や工事の車がスピードをあげて走っているのは怖い。
  • 歩道は歩行者優先のはずなのに、自転車がスピードを出して走っていたり、ベルを鳴らして歩行者にはよけるように合図して、そのまま自転車で走っている。危ないと感じることがよくある。
  • 鵠沼は道が狭く、とび出す歩行者や自転車がこわい。車の運転にはとても気をつかう。交通ルールを守ってほしい。また狭い道でスピードを出しすぎる車もある。
  • 自転車に乗ることが多いのですが、カーブミラーの角度がなく、見ずらい所があります。
  • カーブミラーに木の枝がかぶさって見えない所がある。

【防犯】
  • 空き巣やひったくりなどうわさでなく情報として、正確に入ると(鵠沼内で起きたことなど)良いと思います。

【防災】
東日本大震災前のアンケートですが、多くのご意見が寄せられています。
  • 昨今の世界的な自然災害について特に関心があります。ここ鵠沼も川が流れ海が近く、自然豊かなところが大好きですが災害については気になる一つです。地域として既に取り組まれている事もあるかと思いますが、付近で発生した過去の災害とその取り組みなどのついても知りたいと思っているので、取組を増やして頂き、我々でもそえに参加していきたい。
  • 鵠沼地区は町並みの景観は他より良いと思うが、道路の幅が狭く、消防車や救急車等の車両が入りにくいと思います。対策の一環として、林立する電信柱を廃止して、地下に埋設する方式(市と電力会社・電話会社が協議して向う20年計画で取り組む)を採用してみてはどうかと思います。
  • 一人暮らしなので災害発生時、安否確認の一声懸けて頂きたい。
  • 防災無線の音が聞きづらいので、もう少しクリアにしてほしい。
  • ここ数年土地が細分化され住宅が増えましたが、道路、上水道、下水道は昔のままです。大丈夫かな?と思っています。
  • 地震が起きた時の行動を班別(又はいくつかの班一緒)に防災訓練をしてほしい。地区によってそれぞれの事情が異なるのでみんなで話し合いをしたい。

【まちなみ(景観・環境)】
  • 松の木が減っている。松の維持に補助とか何かできないか。松は鵠沼のシンボル。
  • 懐かしの鵠沼の風景が失われていくのが残念。安らぎを感ずる木々を残していってほしい。
  • 緑の多い鵠沼の環境を守りたい。ここ数年、不動産会社による環境破壊がこわい。
  • 近年、土地分割・新区画割の不動産の売買に伴う、松などの永年砂防、防災、景観に役立ってきた樹林の伐採が目にあまります。開発する時はまず鵠沼の樹木の保有から。
  • まちなみに花が少なすぎる。花のある町は防犯にすぐれている。植栽には個人的に寄付可です。もちろんお手伝い出来ることがあれば積極的に参加したいと思います。
  • 開発による宅地の区画割りや家屋の形、色彩に何らかの統一感が必要。また風致地区内の緑化率の維持も。

【くらし】
  • 藤が谷会ニュースにはいつも目を通しています。賀来神社での催しもの等行かれなくても、行かれてもお知らせがありがたいです。イベントでご近所の顔見知りが増えるのはとても良いことだと思いますし、そういう場で防災・防犯意識も高まると思います。
  • 地域での連携が大切であると思う。周りの人々の顔と名前も知らない。それで助け合い、いざとなったら協力をとるのはむずかしいと思った。日頃から集まれる機会があったり話すような努力が必要だと思う。


松浪会での「住環境維持アンケート」の実施結果について

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鵠沼のような第1種低層住居専用地域では長らく建物の高さは8mを基準とし、それを超える場合は、協議を行う手順となっていましたが、平成21年7月に藤沢市の規定が変わり、高さ10mまで無条件で建築可能に変更となりました。

こうしたことにより、本年初め、松が岡4・5丁目の自治会「松浪会」(約100世帯)では、建物の高さに絞った「住環境維持アンケート」が実施されています。松浪会のご協力を得て、アンケート結果の掲載をします。

アンケートは大半の世帯から回収され、アンケート結果は「従来通り建物の高さ8mが適切」の意見が多数です。また、「まちづくりのための住民協定」も検討すべきとの意見が過半数を超えています。松浪会では、今後、アンケート結果の課題をどう取り組んでいくか検討していくとしています。

Q1 今お住まいの建物の高さは?
1. 8メートル以下   72%
2. 8メートル超     7%
3. わからない     21%

Q2 建物最高部の高さは?
1. 10メートルでも構わない 10%
2. 従来通り8メートルが適切 72%
3. どちらとも言えない    18%

Q3 松浪会でもまちづくりのための住民協定を今後は検討すべきである?
1. 検討すべき     67%
2. 検討する必要ない  16%
3. わからない     17%


ニコニコ自治会や五友会でのまちづくりの動き

  • ニコニコ自治会では、約4年前に住民協定を締結し、良好な住環境のために成果を上げていますが、行政や事業者のより一層の協力を得るために、現在、景観形成地区へ向けての最終的な作業が進められています。
  • 五友会では、公募委員も参加のまちづくり委員会を自治会内に設置し、風致地区基準を軸とした「まちづくり案」の内容検討が重ねられ、住民協定締結に向けたアンケート実施が検討されています。
  • こうした鵠沼地区のより良い住環境の維持・形成に向けた動きが、着実に大きくなり、鵠沼全体に波及していってほしいと思いますし、そうした動きに可能な限り協力していきたいと思います。
景観まちづくりでの住民間の連携は、必ずや防災や防犯面でも大きく役立つものと考えます。


(2011年6月記)

会報にも詳しく載せています、ぜひご覧下さい。

松ぼっくり第9号



最終更新:2011年11月12日 17:02
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