§2 最小作用の原理

最小作用の原理

力学系を特徴付けるある関数L(q,\dot{q},t)を与える。

時刻t=t_{1}およびt=t_{2}において

S=\int_{t_{1}}^{t_{2}}L(q,\dot{q},t)dt

が最小値を取るよう運動する。 このように力学系の運動法則は最小作用の原理で与えられる。 このときSを作用、Lをラグランジアンという。

q=q(t)Sを最小にする関数であるとする。ここで時刻t=t_{1}からt=t_{2}にわたって小さな関数(変分)\delta q(t)を定義する。

これは条件\delta q(t_{1})=q(t_{1})=0を満たす。

作用の変分は


\begin{align}
\delta S &= \int_{t_{1}}^{t_{2}}L(q+\delta q, \dot{q}+\delta \dot{q},t)dt\,-\,\int_{t_{1}}^{t_{2}}L(q, \dot{q},t)dt \\
&= \int_{t_{1}}^{t_{2}}\left[L(q,\dot{q},t)+\delta q\frac{\partial L}{\partial q}+\delta\dot{q}\frac{\partial L}{\partial\dot{q}} + \mathcal{O}\left((\delta q)^2\right)+\mathcal{O}\left((\delta\dot{q})^2\right)\right]dt\,-\,\int_{t_{1}}^{t_{2}}L(q, \dot{q},t)dt \\
&=\int_{t_{1}}^{t_{2}}\left(\frac{\partial L}{\partial q}\delta q+\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\delta\dot{q}\right)dt \\
&=\left[\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\delta q\right]_{t_1}^{t_2} \,+\, \int_{t_1}^{t_2}\left(\frac{\partial L}{\partial q}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\right)\delta q\, dt \\
\end{align}

第1項は上の条件より0となる。任意の\delta qに対してこの変分0にならなければいけないので


\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\,-\,\frac{\partial L}{\partial q} \;=\; 0

というわけで、これをラグランジュ方程式という。

ラグランジアンの具体的な形は与えずに、最小作用の原理だけからこの条件が出てくるって、なんか感動ですね。

ラグランジアンには、任意関数f(q,\,t)の時間についての完全導関数を加えても変わらないという任意性がある。

なんでfq,\,tだけの関数で、\dot{q}は入らないんでしょう?

答えのつもり

二つのラグランジアンに対応する作用は

S'=S+f(q(t_{2}),t_{2})-f(q(t_{1}),t_{1})

であり、作用の変分でS'-S=f_{1}-f_{2}=0となる。 本文p17より2点間(2時刻間?)ではqは等しいので、上の変分の式が成り立つ。ここで2点間の速度は等しいとは言っていない。ゆえに一般化速度を含むと変分が0とならない。って、説明になっているのかな・・・

ポイント

  • 最小作用の原理
  • ラグランジュ方程式
  • ラグランジアンの加法性
最終更新:2008年09月04日 23:33