R-1

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編集 by悠香 ***第1話 予告 少女が詠ったのは一つの福音 それは始まりの詩 誰もが夢見るところへの詩 *第1話 「うたかたに詠われる始まりの福音(インジール)」   うたかた=唄方(歌う事を専門とする人)/泡沫(儚く消えやすい事の例え) ***Opening 1 2years ago 陰謀まみれの支部。 ラバーカはうんざりしていた。 こんなところ、出てってやる!! ラバーカは部屋の荷物を片付け、最低限の旅装だけ整えてそれを担ぐ。 「出ていくのか?」 振り向くと、同じ享受者のラザックが扉のところに立っていた。 「貴方には関係無いでしょ。ほっといてよ。もう決めたの」 「そっか。で、どこに行くんだ?」 「…………ど、どこだっていいでしょ!」 支部を離れてどうすればいいのかなんてどうでもいい、とにかく出ていくのだ。 こんなところにはもう1秒だっていたくない。 「どいてっ!」 ラザックを押しのけて、部屋を出ていく。 「じゃあねっ!!」 ずかずかと歩き去るラバーカの後姿を見ながら、ラザックは苦笑する。 自分に対して苦笑したのか、彼女に対して苦笑したのか。 たぶん両方だ。 「まったく、なぁ……」 ラバーカは都市の城門を文字通り通り抜け、一人星空を見上げた。 支部に所属を止めるという置手紙を残し勢いで出て行ったものの、結局行き先は決めれなかった。 どこにいけばいいのかな。 一人城壁にもたれかかりずるずると座り込む。 そうして、しばらくした頃。 「やっぱり行く当てがないんじゃないか」 と、ラザックに声をかけられる。 「べ、べつにそういうわけじゃ……っ!!」 青年が手を差し出し、女はその手を――払い除けて立ち上がる。 成り行き。そう、これはただの成り行き。 2人はラザックの提言で雑芸人の支援組織、『道々の絆』を頼りに旅を始めるのだった。 ラバーカは支部の暗い部分を知っているとして最初は追手を差し向けられたものの、所詮は享受者としては初心者。数カ月もすればそれも治まり、何事もなく旅を続けた。 惰性で2年。 そこそこに客に楽しんでもらえる見世物ができるようになり、『道々の絆』からの勧めもあってコンテストに出てみることにした。 ***Opening 2 10years ago 両親が所属するキャラバンの行商に各地へと連れられるソルーシュ。 どこにでもありそうな小さな集落。ありふれた光景の広場の市場。 いつものように地元の子供たちと一緒になって遊んでいた。 不意に声が聞こえた。 奇妙な旋律。だけど、心魅かれる不思議な詩。 声の方へと足を向けると、深くフードを被った吟遊詩人がいた。 ソルーシュはその吟遊詩人の前に座り、その詩を聴くたった一人の客となった。 詩が途切れ、吟遊詩人が少年に気が付く。 「君には、私の声が聞こえるのか?」 「うん!凄い詩だね!!」 「君が……そうか。  ならば詠って聞かせよう。この世界の、このゲヘナの詩を。  さぁ、よく聞いてみなさい――」 吟遊新人は詠った。ゲヘナの各地の詩を。 伝承の痕跡を抱くシェオール、幻想の海を掲げるファーユ、人の欲望に満ちたカリュオン…… 魔物が闊歩する砂漠、無慈悲な荒野、幻獣が住む峻厳なる山、慈悲深き大いなる河…… 黒き薔薇が咲く園、楔になった磔の天使、燃える巨樹、天使を奉じる里…… 詩人の詩が終わり、雑踏の気配が戻る。 どうやら極度の集中状態にあったようだ。 幾百もの景色を旅し、何時間も詩を聞いていたような気がしたが、さして時間は経っていない様だった。 「――素晴らしい、君は全ての世界をみたのだね?」 「うん!」 「では、最後に古の物語を歌おう。  忘れられし王国を、失いし天と地を。かつて世界には太陽と呼ばれるものがあった。」 「太陽?」 そう言って、少年は空を指差す。 そこには、焼け付けるような光を放つ光の帯、このゲヘナでの昼を作りだす光源があった。 「いや、あれは光帯だ。太陽は、そう、光の点のようなものだ」 「点?」 「そうだ、地上には眩く光る太陽があった――」 詩人が紡ぐ言葉に耳を傾ける少年ソルーシュ。 「――『地上』について、私からは何も言うことができない。  だが、少年――」 吟遊詩人が両手を広げ、言葉を続ける。 「――真実は、全てはそこにある。  君がそこにたどり着いた時、白夜の果てに世界は君と一つになるだろう。  そして、新たな詩が紡がれるだろう――」 何を言われているのかは良くわからなかった。 だが、詩人の詩は、言葉はとても印象強く少年の心に刻まれた。 ふいにさっきまで遊んでいた子供たちから声をかけられる。 「ソルーシュー??何処行ったー?」 「ん? あ、こっちだ!」 ソルーシュは子供たちの方に手を挙げた。 「今、この人の……」 子供たちに吟遊詩人の事を言おうと振り返ると、そこには誰もいなかった。 はじめからそこには誰もいなかったかのように。 ***Opening 3 6years ago 起伏に富んだ地形、豊かな緑。白く美しい神殿を抱く小さな集落。 神殿の中には美しい花が咲き乱れ、その中で一人の少女が花飾りを作って遊んでいる。 黒い髪に褐色の肌の少女。白くふわふわとした可愛らしい服を着ている。 そこに1匹の砂鼠が迷い込んできた。どうやら怪我をしているらしい。 少女はそれを見て、その砂鼠に向かってにこりと微笑む。 すると、どうだろうか。 見る間に砂鼠の怪我が癒えていく。 「イシュタル様! またそのようにっ!!」 それを近くにいた侍女に見つかってしまったようだ。 「で、でも怪我をしていたら、治してあげなきゃ」 「そうですが、みだりに力を使ってはならないと……」 「怪我を治すことは悪い事なの?」 「そうではありませんが……」 言葉に詰まる侍女。 「ねぇ、そろそろお勤めの時間じゃない?」 「そうですね。あぁ、そういえばイシュタル様。今日、珍しくキャラバンがこの里に着ましたのよ」 「キャラバン?」 「えぇ、きっと珍しいものを沢山持ってきている事でしょう。今晩にもこちらに着てくれるでしょう」 「それは楽しみね」 夜、宴が催されさまざまな品が出される。全て少女が知らない世界から来たもの。 そんな楽しい夜はすぐに過ぎ、またいつものように長閑で平穏な朝を迎える。 一方、少年はまたいつものように子供たちと遊んでいた。 「神殿は勝手に入っちゃいけないんだよっ!」 だが、そう言われるとますます好奇心が湧いてくる。 この里で一番きれいな建物に入ってみようと、塀を乗り越える事に決めた。 渋る子供たちを駆り立て、踏み台になってもらい自分の身長よりも高かった塀を乗り越える。 が、上ったと思った瞬間バランスを崩して塀の内側へと落っこちてしまった。 「大丈夫かソルーシュ~??」 と、声をかけられたのと同時に、塀の向こうで大人のどなり声がしてくる。 「お前らっ!! 何をしているんだ! ここは入っちゃならんといつも言っているだろう!!」 「うゎぁ~~~~っ」 バタバタと走っていく足音。どうやら一人置いてきぼりになってしまったようだ。 どうしようか。起き上がって辺りをきょろきょろと見渡していると、どうやら外での騒ぎが中にも伝わったらしく、少々あわただしい気配がする。 「ねぇ、あなた大丈夫?」 びくっと少年が驚いて声のした上を見上げると、綺麗な女の子が自分の方を見ている。 見つかった! そう思って逃げようとするが、少女は思いがけない言葉を口にする。 「こっちの部屋、おいでよ」  …… 少女の部屋へと入った少年は、簡素ながらも美しく白を基調に整えられたその部屋に見惚れ、立ちつくす。 外はまだ少しざわついたような感じがしていた。 扉をノックされ、少女が扉の前で「誰も来てないわ」と言うのが聞こえた。 「どうして……?」 「どうしてかな。話をしてみたいなって思ったの。たぶん」 「あなた"外"から来たんでしょ。"外"ってどんなところ?」 「外に出た事無いの?」 「うん。この里から出た事が無いの」 そして少年は自分たちが歩いてきた街の事、出会った人、そしてつい先日詩人との不思議な体験も話す。 「外の世界には色んなものがあるのね。私も行ってみたい」 「行けるさ!君さえ外に出ようと思えば、今からだって」 「今から?」 「そうだよ!ちょこっと抜けだせばすぐだよ」 2人は手と手を取り合い、少年が入ってきた神殿の塀を乗り越え外へと駆け出した。 少女はあっけなく神殿の外に出れた事、そして自由に歩き回れる喜びとともに少年との時を過ごす。 その次の日も。さらにその次も。 しかし、すぐに別れの日が訪れた。 キャラバンが旅立つのだ。 その寂しさからか、2人はそれまでよりもさらに遠く、森の奥深くへと小さな探検に出た。 「何だろう?この場所」 2人が見上げても見渡せないほどの廃墟となった巨大な神殿があった。 いたる所が崩れ蔦が蔓延り、風化している。 「ここ…もしかして……。聞いた事があるの。里には太陽にまつわる神殿があるって」 「ここが?じゃあ探せば何か太陽や地上へのものが見つかるかも!!」 2人は神殿の奥へ奥へと進み、途中に欠けた壁画があり、太陽と思しき絵が描かれたものを見つける。 「僕はいつか絶対に地上に行って、太陽って言うのを見てみたいんだ」 「太陽?」 「そう、青い空に浮かぶ眩しい大きな星なんだって」 「私も見てみたいな」 「じゃあ一緒に見ようよ」 そんな話をしながら階段を上り、遂に最上部へと至った。 きょろきょろとあたりを探すと、対になったようなサイズが不揃いなリングが二つ見つかった。 指輪でもない。腕輪でもない。不思議なリング。 探検に夢中だったため、光帯が徐々に赤へと色を変えつつあった。 少年は少女に片方を渡し、言う。 「約束だよ。いつか一緒に地上に行って、太陽を見る」 「約束……うん。ソルーシュと一緒に地上に行って太陽を見る。絶対だよ」 「あぁ、絶対だ」 赤く染まった廃墟で交わされたのは幼き誓い。 しかし、これが―― ---------------------------- ***naw 雑芸術のコンテストで賑わう都市スィフル。多くの人々が集っていた。 ラバーカとラザックは賑わう広場の一つで場所取り。ラザックが客引きをし、ラバーカが芸を披露する。 少女ギーメルと知りあう。詩の詠い手で、このコンテストにも出るらしい。 ラバーカと協力判定>ラバーカ2+ギーメル5(だったかな) 詠い終わって興奮するギーメル。やや妖化。突如めまいを起こし倒れてしまう。 ラバーカが宿に連れて行き介抱する。 ソルーシュとイストの二人は、ガリーブからコンテストを警備がてら見て回って来いとお小遣いを渡される。 完全に遊んでいるソルーシュ。 途中、同じく凌渦所属の道場の兄弟弟子たちムッキーズと会う。「兄貴!!兄貴!!」「兄貴っぱねぇっっす!!」 マギーのマジックを身にいく。 会場を出る時、人の波に押されて2人がはぐれる。 そこでエレキシュガルと名乗る、イストにそっくりな少女に出会う。 ギーメルが目を覚まし、会場へと連れて行く事にするラバーカとラザック。 会場で、ギーメルの所属する楽団?のおばさんダレットにギーメルを渡す。 半妖霊で、興奮すると危ないというような話をし、明日からギーメルの感情コントロールの為の特訓を請け負うことになる。 そして二人はギーメルが歌う会場へと向かう。 なんとか合流するソルーシュとイスト。 コンテストの目玉の歌姫ギーメルの詩を聞きに一番広い広場へと行く。 詩が始まり、7歳とは思えない素晴らしい歌声が披露される。 次の曲が始まろうとするとき、ギーメルがトランス状態に。 歌われるフィサールの四行詩×3。 「遅かったかっ!!」という声とともに、突如聴衆が広場を去っていく。 邪眼術のフィアー。 振り向く2+2人。 そこにはエレキシュガルと名乗った少女ともう一人男が立っている。 「でも、これ以上は歌わせない!  ゾーライザァァーッ!!!! 私の願いを叶えなさい! あの少女を殺すのよ!」 と、壇上のギーメルを指さす。 去っていくエレキシュガルとネルがると呼ばれた連れ。 戦闘。 戦闘が終わるころ目を覚ますギーメル。 しかし、四行詩を歌えた興奮から再び妖化。 「私、もっともっと歌える!」 >聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな >万軍の神よ、主(アドナイ)よ >天と地はあなたの栄光に満ちています >いと高きところに救い給え > >祈り願い望まん >世界の意志は地上を求む >詩は足跡 詩は道標 詩は地図 >詠われるは永久の願い 希望の道 > >古の御技を伝えし里が砂に呑まれ >背中合わせの月と鍵が出会う時 >救済への詩が詠われ >始まりと終わりとが動き出す >使用曲=モーツァルト~レクイエム Sanctus >  四行詩の1個目はこの歌詞のまま使用。ただの趣味でした。 そう言いながら、更に四行詩を歌いあげ炎となって消えてしまう。 ショックを受けるラバーカ。 そこに転がり落ちる世界意思の雫≪森≫が一つ。 一同はひとまず状況報告に支部へ。 後始末やら報酬やら。 翌日、ガリーブの呼び出しで集まる2+2+その他大勢。 「どうやら、今この街は邪霊や魔物たちによって取り囲まれているみたいなの」 ――To be continued ---------------------------- ***四行詩
編集 by悠香 ***第1話 予告 少女が詠ったのは一つの福音 それは始まりの詩 誰もが夢見るところへの詩 *第1話 「うたかたに詠われる始まりの福音(インジール)」   うたかた=唄方(歌う事を専門とする人)/泡沫(儚く消えやすい事の例え) ***Opening 1 2years ago 陰謀まみれの支部。 ラバーカはうんざりしていた。 こんなところ、出てってやる!! ラバーカは部屋の荷物を片付け、最低限の旅装だけ整えてそれを担ぐ。 「出ていくのか?」 振り向くと、同じ享受者のラザックが扉のところに立っていた。 「貴方には関係無いでしょ。ほっといてよ。もう決めたの」 「そっか。で、どこに行くんだ?」 「…………ど、どこだっていいでしょ!」 支部を離れてどうすればいいのかなんてどうでもいい、とにかく出ていくのだ。 こんなところにはもう1秒だっていたくない。 「どいてっ!」 ラザックを押しのけて、部屋を出ていく。 「じゃあねっ!!」 ずかずかと歩き去るラバーカの後姿を見ながら、ラザックは苦笑する。 自分に対して苦笑したのか、彼女に対して苦笑したのか。 たぶん両方だ。 「まったく、なぁ……」 ラバーカは都市の城門を文字通り通り抜け、一人星空を見上げた。 支部に所属を止めるという置手紙を残し勢いで出て行ったものの、結局行き先は決めれなかった。 どこにいけばいいのかな。 一人城壁にもたれかかりずるずると座り込む。 そうして、しばらくした頃。 「やっぱり行く当てがないんじゃないか」 と、ラザックに声をかけられる。 「べ、べつにそういうわけじゃ……っ!!」 青年が手を差し出し、女はその手を――払い除けて立ち上がる。 成り行き。そう、これはただの成り行き。 2人はラザックの提言で雑芸人の支援組織、『道々の絆』を頼りに旅を始めるのだった。 ラバーカは支部の暗い部分を知っているとして最初は追手を差し向けられたものの、所詮は享受者としては初心者。数カ月もすればそれも治まり、何事もなく旅を続けた。 惰性で2年。 そこそこに客に楽しんでもらえる見世物ができるようになり、『道々の絆』からの勧めもあってコンテストに出てみることにした。 ***Opening 2 10years ago 両親が所属するキャラバンの行商に各地へと連れられるソルーシュ。 どこにでもありそうな小さな集落。ありふれた光景の広場の市場。 いつものように地元の子供たちと一緒になって遊んでいた。 不意に声が聞こえた。 奇妙な旋律。だけど、心魅かれる不思議な詩。 声の方へと足を向けると、深くフードを被った吟遊詩人がいた。 ソルーシュはその吟遊詩人の前に座り、その詩を聴くたった一人の客となった。 詩が途切れ、吟遊詩人が少年に気が付く。 「君には、私の声が聞こえるのか?」 「うん!凄い詩だね!!」 「君が……そうか。  ならば詠って聞かせよう。この世界の、このゲヘナの詩を。  さぁ、よく聞いてみなさい――」 吟遊新人は詠った。ゲヘナの各地の詩を。 伝承の痕跡を抱くシェオール、幻想の海を掲げるファーユ、人の欲望に満ちたカリュオン…… 魔物が闊歩する砂漠、無慈悲な荒野、幻獣が住む峻厳なる山、慈悲深き大いなる河…… 黒き薔薇が咲く園、楔になった磔の天使、燃える巨樹、天使を奉じる里…… 詩人の詩が終わり、雑踏の気配が戻る。 どうやら極度の集中状態にあったようだ。 幾百もの景色を旅し、何時間も詩を聞いていたような気がしたが、さして時間は経っていない様だった。 「――素晴らしい、君は全ての世界をみたのだね?」 「うん!」 「では、最後に古の物語を歌おう。  忘れられし王国を、失いし天と地を。かつて世界には太陽と呼ばれるものがあった。」 「太陽?」 そう言って、少年は空を指差す。 そこには、焼け付けるような光を放つ光の帯、このゲヘナでの昼を作りだす光源があった。 「いや、あれは光帯だ。太陽は、そう、光の点のようなものだ」 「点?」 「そうだ、地上には眩く光る太陽があった――」 詩人が紡ぐ言葉に耳を傾ける少年ソルーシュ。 「――『地上』について、私からは何も言うことができない。  だが、少年――」 吟遊詩人が両手を広げ、言葉を続ける。 「――真実は、全てはそこにある。  君がそこにたどり着いた時、白夜の果てに世界は君と一つになるだろう。  そして、新たな詩が紡がれるだろう――」 何を言われているのかは良くわからなかった。 だが、詩人の詩は、言葉はとても印象強く少年の心に刻まれた。 ふいにさっきまで遊んでいた子供たちから声をかけられる。 「ソルーシュー??何処行ったー?」 「ん? あ、こっちだ!」 ソルーシュは子供たちの方に手を挙げた。 「今、この人の……」 子供たちに吟遊詩人の事を言おうと振り返ると、そこには誰もいなかった。 はじめからそこには誰もいなかったかのように。 ***Opening 3 6years ago 起伏に富んだ地形、豊かな緑。白く美しい神殿を抱く小さな集落。 神殿の中には美しい花が咲き乱れ、その中で一人の少女が花飾りを作って遊んでいる。 黒い髪に褐色の肌の少女。白くふわふわとした可愛らしい服を着ている。 そこに1匹の砂鼠が迷い込んできた。どうやら怪我をしているらしい。 少女はそれを見て、その砂鼠に向かってにこりと微笑む。 すると、どうだろうか。 見る間に砂鼠の怪我が癒えていく。 「イシュタル様! またそのようにっ!!」 それを近くにいた侍女に見つかってしまったようだ。 「で、でも怪我をしていたら、治してあげなきゃ」 「そうですが、みだりに力を使ってはならないと……」 「怪我を治すことは悪い事なの?」 「そうではありませんが……」 言葉に詰まる侍女。 「ねぇ、そろそろお勤めの時間じゃない?」 「そうですね。あぁ、そういえばイシュタル様。今日、珍しくキャラバンがこの里に着ましたのよ」 「キャラバン?」 「えぇ、きっと珍しいものを沢山持ってきている事でしょう。今晩にもこちらに着てくれるでしょう」 「それは楽しみね」 夜、宴が催されさまざまな品が出される。全て少女が知らない世界から来たもの。 そんな楽しい夜はすぐに過ぎ、またいつものように長閑で平穏な朝を迎える。 一方、少年はまたいつものように子供たちと遊んでいた。 「神殿は勝手に入っちゃいけないんだよっ!」 だが、そう言われるとますます好奇心が湧いてくる。 この里で一番きれいな建物に入ってみようと、塀を乗り越える事に決めた。 渋る子供たちを駆り立て、踏み台になってもらい自分の身長よりも高かった塀を乗り越える。 が、上ったと思った瞬間バランスを崩して塀の内側へと落っこちてしまった。 「大丈夫かソルーシュ~??」 と、声をかけられたのと同時に、塀の向こうで大人のどなり声がしてくる。 「お前らっ!! 何をしているんだ! ここは入っちゃならんといつも言っているだろう!!」 「うゎぁ~~~~っ」 バタバタと走っていく足音。どうやら一人置いてきぼりになってしまったようだ。 どうしようか。起き上がって辺りをきょろきょろと見渡していると、どうやら外での騒ぎが中にも伝わったらしく、少々あわただしい気配がする。 「ねぇ、あなた大丈夫?」 びくっと少年が驚いて声のした上を見上げると、綺麗な女の子が自分の方を見ている。 見つかった! そう思って逃げようとするが、少女は思いがけない言葉を口にする。 「こっちの部屋、おいでよ」  …… 少女の部屋へと入った少年は、簡素ながらも美しく白を基調に整えられたその部屋に見惚れ、立ちつくす。 外はまだ少しざわついたような感じがしていた。 扉をノックされ、少女が扉の前で「誰も来てないわ」と言うのが聞こえた。 「どうして……?」 「どうしてかな。話をしてみたいなって思ったの。たぶん」 「あなた"外"から来たんでしょ。"外"ってどんなところ?」 「外に出た事無いの?」 「うん。この里から出た事が無いの」 そして少年は自分たちが歩いてきた街の事、出会った人、そしてつい先日詩人との不思議な体験も話す。 「外の世界には色んなものがあるのね。私も行ってみたい」 「行けるさ!君さえ外に出ようと思えば、今からだって」 「今から?」 「そうだよ!ちょこっと抜けだせばすぐだよ」 2人は手と手を取り合い、少年が入ってきた神殿の塀を乗り越え外へと駆け出した。 少女はあっけなく神殿の外に出れた事、そして自由に歩き回れる喜びとともに少年との時を過ごす。 その次の日も。さらにその次も。 しかし、すぐに別れの日が訪れた。 キャラバンが旅立つのだ。 その寂しさからか、2人はそれまでよりもさらに遠く、森の奥深くへと小さな探検に出た。 「何だろう?この場所」 2人が見上げても見渡せないほどの廃墟となった巨大な神殿があった。 いたる所が崩れ蔦が蔓延り、風化している。 「ここ…もしかして……。聞いた事があるの。里には太陽にまつわる神殿があるって」 「ここが?じゃあ探せば何か太陽や地上へのものが見つかるかも!!」 2人は神殿の奥へ奥へと進み、途中に欠けた壁画があり、太陽と思しき絵が描かれたものを見つける。 「僕はいつか絶対に地上に行って、太陽って言うのを見てみたいんだ」 「太陽?」 「そう、青い空に浮かぶ眩しい大きな星なんだって」 「私も見てみたいな」 「じゃあ一緒に見ようよ」 そんな話をしながら階段を上り、遂に最上部へと至った。 きょろきょろとあたりを探すと、対になったようなサイズが不揃いなリングが二つ見つかった。 指輪でもない。腕輪でもない。不思議なリング。 探検に夢中だったため、光帯が徐々に赤へと色を変えつつあった。 少年は少女に片方を渡し、言う。 「約束だよ。いつか一緒に地上に行って、太陽を見る」 「約束……うん。ソルーシュと一緒に地上に行って太陽を見る。絶対だよ」 「あぁ、絶対だ」 赤く染まった廃墟で交わされたのは幼き誓い。 しかし、これが―― ---------------------------- ***naw 雑芸術のコンテストで賑わう都市スィフル。多くの人々が集っていた。 ラバーカとラザックは賑わう広場の一つで場所取り。ラザックが客引きをし、ラバーカが芸を披露する。 少女ギーメルと知りあう。詩の詠い手で、このコンテストにも出るらしい。 ラバーカと協力判定>ラバーカ2+ギーメル5(だったかな) 詠い終わって興奮するギーメル。やや妖化。突如めまいを起こし倒れてしまう。 ラバーカが宿に連れて行き介抱する。 ソルーシュとイストの二人は、ガリーブからコンテストを警備がてら見て回って来いとお小遣いを渡される。 完全に遊んでいるソルーシュ。 途中、同じく凌渦所属の道場の兄弟弟子たちムッキーズと会う。「兄貴!!兄貴!!」「兄貴っぱねぇっっす!!」 マギーのマジックを身にいく。 会場を出る時、人の波に押されて2人がはぐれる。 そこでエレキシュガルと名乗る、イストにそっくりな少女に出会う。 ギーメルが目を覚まし、会場へと連れて行く事にするラバーカとラザック。 会場で、ギーメルの所属する楽団?のおばさんダレットにギーメルを渡す。 半妖霊で、興奮すると危ないというような話をし、明日からギーメルの感情コントロールの為の特訓を請け負うことになる。 そして二人はギーメルが歌う会場へと向かう。 なんとか合流するソルーシュとイスト。 コンテストの目玉の歌姫ギーメルの詩を聞きに一番広い広場へと行く。 詩が始まり、7歳とは思えない素晴らしい歌声が披露される。 次の曲が始まろうとするとき、ギーメルがトランス状態に。 歌われるフィサールの四行詩。 >聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな >万軍の神よ、主(アドナイ)よ >天と地はあなたの栄光に満ちています >いと高きところに救い給え > >祈り願い望まん >世界の意志は地上を求む >詩は足跡 詩は道標 詩は地図 >詠われるは永久の願い 希望の道 > >古の御技を伝えし里が砂に呑まれ >背中合わせの月と鍵が出会う時 >救済への詩が詠われ >始まりと終わりとが動き出す > >使用曲=モーツァルト~レクイエム Sanctus >  四行詩の1個目はこの歌詞のまま使用。ただの趣味でした。 「遅かったかっ!!」という声とともに、突如聴衆が広場を去っていく。 邪眼術のフィアー。 振り向く2+2人。 そこにはエレキシュガルと名乗った少女ともう一人男が立っている。 「でも、これ以上は歌わせない!  ゾーライザァァーッ!!!! 私の願いを叶えなさい! あの少女を殺すのよ!」 と、壇上のギーメルを指さす。 去っていくエレキシュガルとネルがると呼ばれた連れ。 戦闘。 戦闘が終わるころ目を覚ますギーメル。 しかし、四行詩を歌えた興奮から再び妖化。 「私、もっともっと歌える!」 そう言いながら、更に四行詩を歌いあげ炎となって消えてしまう。 虚しく詠い上げられた四行詩もまた、誰にも解される事無くそのまま空へと消える。 ショックを受けるラバーカ。 そこに転がり落ちる世界意思の雫≪森≫が一つ。 一同はひとまず状況報告に支部へ。 後始末やら報酬やら。 翌日、ガリーブの呼び出しで集まる2+2+その他大勢。 「どうやら、今この街は邪霊や魔物たちによって取り囲まれているみたいなの」 ――To be continued

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