【金色蜘蛛と逢魔の空 第四話】

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[[ラノで読む>http://rano.jp/1558]]  一言で説明すると、家が燃えた。  正しくは家ではない。寮である。寮の部屋である。  豪華とは決して言えず、普通の規模でもない貧乏生徒用の小さな寮。  寮というか、むしろ格安賃貸アパートと言ったほうがしっくりくる風情。  そこに巨大なビーム砲が飛んできた。  異能者の戦闘に巻き込まれたのだ。  あやうく巻き込まれて死ぬところだったが、咄嗟に防ぐことが出来てかろうじて命は助かった。  だが、部屋はものの見事に全壊した。  曰く、「まさか人がいるとは思わなかった、人の気配がないから安心していた」  こうして。  逢馬空は住む場所を失った。  金色蜘蛛と逢魔の空 4  家なき蜘蛛 「マジかよ」 「嘘を言って何になる」 「ウケ狙い? そうかウケ狙いなんだなこの野郎! 家が吹っ飛ぶなんてとんだギャグだろ!」 「身を張りすぎだろうそれは。お前じゃあるまいし」  教室でその話を聞き、大げさに驚くのは川内朝飛《せんだいあさひ》。  ニット帽がトレードマークの少年である。そのニット帽の下は、スキンヘッドだ。  実は昔は――といっても数ヶ月前程度だが――は普通の髪型だった。朝飛がスキンヘッドにした理由は、クラスで浮いてる(?)空をどうにかしようとしたためである。  朝飛は頭を丸めて、こう言ったのだ。 『お前は影が薄いことを気にしているようだが安心しろ! 俺は髪が薄い!』  薄いというか、完全無欠につるつるであった。薄いというレベルではなかった。  対する空の返答。 『もみあげは濃いね』  真顔だった。  かくして一発ギャグは見事に滑ったが、それ以来二人は(何故か)友人となる。  ちなみに、その時に朝飛はスキンヘッドに目覚め、以来ずっとそれを通している。その理由は、「丸めた自分の頭がこんなに美しい球形だとは思わなかった……! う、うつくしい!」との事だ。  スキンヘッドにはけっこう頭の肌が凸凹している人も多いが、自分は稀有なつるっつるであり、これはそのままにしておいたほうがいい……という、理解も共感も出来ない話ではあった。  なお、ニット帽でよく隠しているのは、恥ずかしいからではないらしい。 『日本刀は常に鞘から抜いているか!? 違うだろう!』  とのことである。  閑話休題。  そう話していると、委員長である秋森有紀と、そしてもうひとり女生徒がやってくる。  シャギーが入ったボブカットの気の強そうな女の子。  名前は谷山彰子。朝飛の幼馴染である。 「なにアホ言ってんのよ朝っぱらからアンタは本当に……」 「いや、いつもの事じゃない」 「だぁー委員長! それは俺がいつもアホって事かぁ!?」 「そう言ってのよアホ」 「るっせー彰子、おみゃーさんには聞いてねー」 「何よ! このハゲモンキー!」 「何だと! このメスマンドリル!」  お互いにらみ合う朝飛と彰子。  火花を散らすが、浅羽鍔姫がその光景に静かに口を挟む。 「あの、ちょっといい?」 「なによつばきち!?」「何だよ浅羽!?」 「踏んでる」 「「へ?」」 「……」  足元を見る二人。  そこには、気づかれずに踏み潰されて床を舐めている逢馬空の姿があった。  潰れたカエルのようだった。 「わーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」  青空に木霊する叫び。  いつもの光景であった。 「ごめんっ」 「いやいいよ、いつもの事だし」  彰子の謝罪に平然と答える空。本当に馴れたものである。 「相っ変わらず影薄いよね……」 「それにすんなり気づくお前さまの眼力も中々のモノじゃないですか浅羽さん。アレっスか、愛っスかげぶっ!?」  おどけたせりふを全部言う前に、無言の鍔姫に定規で顔面を叩かれ、斃れる朝飛。  定規というものは存外、強力な武器である。そのしなりは実にしなやかであり、平面で叩けば痛みはかなりのもの。縦にして叩けば打撃も実に覿面である。かくして、朝飛は床に沈んだ。 「あら、気づかなかった」  そしてわざとらしく彰子が言い、踏んだ。 「ふんがっ!」  川内朝飛、ここに沈黙。 「? どうかした?」 「いや何も?」  平然と答える鍔姫だった。 「そういえばさ」  鍔姫が思い出したふうに言う。 「私あったことないけど、お姉さん、たしかいたんだよね」 「……ああ」  少し置いて、空が答える。 「え、まじ美人?」  朝飛が復活した。 「どうだろうね」 「がー! その反応は超美少女でしかも姉のくせにちっちゃくてロリな年下っぽいそんないいかげんロリキャラぱかりはどうよ? という風潮に真正面から対抗するようなそんなお姉ちゃんを慕ってるシスコンだから他の男にはみせられませんとかそんな友達甲斐のない男だとは思わなかったぞ! そして俺はそんなお前を説得してそのお姉ちゃんと出会い出会ったが最後恋に落ちてしまいだがそこに待ち構えていた新たなるヒロインが――」 「会ったこともない友人の肉親相手にそこまで妄想膨らませるなっ!」  彰子の回し蹴りが炸裂する。 「そばっ!?」  また吹っ飛んだ。 「ったく……」 「相変わらずバイオレンスだな」 「どうしてうちのクラスはそういうの多いかなぁ」 「そうよねー。もう少し大人しくてもいいと思うけど」  有紀の言葉に、鍔姫も同意する。 「出会い頭に殴り飛ばされたあのバイオレンスを僕は忘れてないが」 「忘れろ。」 「はい」  素直に頷く空。  空気が読めなくても、自分の生命の危機を感じるぐらいは出来た。 「あのアホが悪いのよ」  頬を膨らませる彰子。 「保護者、ってワケ? 彰子も大変よね、幼馴染があんなので」 「幼馴染っつーか腐れ縁よ。好きで面倒みてるわけじゃないし、ただ目の前でいちいちウザいから」 「それでいちいちボコられる身になれっつーのこのメスゴリラがあ!」  復活した。 「だったら自重しなさいってのこのハゲモンキー」 「まあアレはおいといて、話戻すけど」  鍔姫が二人を視界から外して言う。 「じゃあそこに行けばいいんじゃないの? 頼るべきは肉親でしょ」  私と違って、とは口に出さずに鍔姫は言う。  だが空は、 「いや、それは駄目だよ」  と否定した。 「なんで。お姉さん女子寮とか?」 「ああ、そんなかんじかな、教会だし」 「ふぅん」  たしかにそういう話なら仕方ない、と鍔姫は納得する。  なんとなくなイメージだが、厳格そうな雰囲気とかがありそうだ。 「じゃあどうすんのよ、これから。住むところないままなんでしょ」 「そうなんだよなあ」  考え込む。  たしかにこれでは不便極まりない話だ。  そうして思案していると…… 「じゃあ私の家に住む?」  秋森のその言葉に全員が盛大にこけた。 「な、名なななな、なななななななななに言ってんの有紀ぃっ!?」 「なら委員長、俺もごぶっ!?」  彰子の肘鉄が朝飛の鳩尾に炸裂する。  そのまま朝飛は廊下の向こうに消えた。 「ちょっと有紀、それ流石に駄目よ!」 「そうよ、間違いあったらどうすんの!」  彰子と鍔姫が並んで声を荒げる。 「間違いって……もうやだなあ。友達が困ってるんだよ? 助けるのは特別なことじゃないと思うよ」 「特別じゃなくて異常だそれっ!」  ごもっともであった。  放課後。 「まあ、消去法だよなァ」  朝飛が笑う。  空は、男子量の、朝飛の部屋にいた。  新しい住処が見つかるまで、暫定的な処置として朝飛の部屋に住むことにしたのだ。 「ところでよ、新しい寮の申請書は出したんけ? お前よ」 「うん、出したけど」 「けど?」 「スルーされた」 「どんだけだよっ!?」  見事な影の薄さだった。 「ていうか本人どころか、書類上でも無視されるんかいお前はよ……」 「僕もびっくりだ」 「ありえねー影の薄さだな……お前はあれか、ぬらりひょんか何かか」 「それはないな。でかい顔できないから」 「いや、お前の空気読まねー姿はある意味ぬらりひょんみてーに大物だよ」 「僕がそうならこんな事で悩まずにすんだんだろうけど」 「だなぁ。住むばしょねーのアレだしなあ。ずっと俺の部屋ってわけにもいかねーし」 「困ったな」 「お前が困った姿ってあまり想像できねー」 「今困ってる」 「ふつーのツラで言うな」  どこまでも動じない男だった。  そうこうしていると…… 「げっ! やべ、寮監が来た!」 「なぜ判る」 「音!」  地獄耳である。 「まずいな」 「とにかく隠れ……」  言葉が終わる前にドアが開く。 「何がやばいって?」  そこから現れたのは筋骨隆々のジャージ男だった。 「ゲェェーッ! ていうか鍵かけてたのになんであっさりと開くのよっ!?」 「寮監だからだ!」 「説得力ありすぎる無茶なお言葉御拝領いたしましたーっ!!」  がし、と首根っこを掴まれる。  朝飛はそれでも、悲痛な決意を込めて叫んだ。 「逃げろ、空っ! 俺の事はいい、俺の帰る場所はここだがお前にはない、だが逆を言えば、お前は何処にでもいけるんだ……  さあ、俺を気にするな、遥か彼方へと旅立つのだー!!」  そして目を開いたそこには、  誰もいなかった。 「……って微塵の躊躇なく逃げやがったー!?」  窓の向こう。  すでに空の姿は豆粒のように遠くに在った。 「ちくしょー裏切り者ー! そこは「いや、お前を……友を見捨てて逃げることは出来ない」とキメるとこでしょー! はくじょうものー!」 「いやだって逃げろといわれたしなあ」 『全くだ兄弟』  もう朝飛に声はとどかないだろうが、つぶやきながら全力で走る。 「シェ――――――ン! カムバァァァ――――――――ック!!」  その言葉を最後に、朝飛の姿は扉の向こうに消え――  扉の閉まる音が、無情に響いた。 「アッ――――――――――――!!」  寮から走り去り、街中を歩く。 『しかしどうすんだ? もう他の奴らんとこも寮は無理っぽいだろ』  ゴルトが言う。 「大丈夫だ」  空は言った。 「心当たりがある」 「なるほどそういう事か、なら安心してくれ、なに兄者の窮地は己の窮地でもある、力を貸さない理由などない。自分の家と思ってくつろいでくれ!」  朗らかな笑顔で言う鋭斗。 『ダンボールハウスじゃねぇーか!』  そう、そこは公園。  ホームレスの溜まり場だった。 「ぬ? どうした蜘蛛の兄者。ダンボールはいいぞ、暖かい。それにいざとなったら非常食にもなる」 『ならねぇよ! ていうかどんだけひもじい生活してんだてめーは!』 「兄者たちと約束したからな、もう己は人の食べ物を狩ったりしないと」  鋭斗はその約束を守っているようだ。 「だからここ三日ほとんど何も食ってない!」 『いや食えよ!?』 「秋森は? 弁当作るとか言ってたが……」 「ああ、断った!」 『妥協は悪じゃねぇ! お前はもう少し自分に優しくしろよ!』  とことんまで剛直な狼少年であった。 「悪魔である蜘蛛の兄者の台詞とは思えない。世界は何処までも残酷で苛烈だ、だからこそ戦い甲斐があるんじゃないか」 『もうやだこの猛犬!』  ゴルトシュピーネが嘆いた。 「安心しろ、兄者たちにはちゃんと食事を用意する。  最近ここらを荒らしてるラルヴァがいるらしい、そいつをちょっと狩って兄者たちの胃袋に捧げてくれよう」 『何食わせる気だよてめぇ! 兄弟も何か言え!』 「僕は生肉は食べられないけど」 「大丈夫だ、新鮮な生肉は美味いぞ!」 「ならいいかな」 『よくねぇし論点がちげぇよ!』  もっともだった。 「というかどんなラルヴァなんだ?」 「ああ、野良の獣や野鳥を襲ったり生ゴミを漁ったりする、巨大なムカデらしいぞ」 『てめぇーはオレらに虫食わせる気だったんかいっ!?』 「虫を食べる風習は古くから世界各地にある!」 『そういういらねぇ所だけ物知りだなてめぇ!』 「鋭斗、流石に共食いはちょっとゴルトにかわいそうだろ」 『ああそうだな虫同士は……ってちげぇよー!? オレは悪魔だ虫じゃねぇーっ!?』  そう言って騒いでいると、ダンボールの外から騒がしい声が聞こえてきた。 「大変だ犬の坊主! 風紀委員だ!」 「風紀委員?」  空が問い返する 「ああ、俺たちホームレスを撤去させて公園を綺麗にしようとする連中だ!」 「それはいい事じゃないのか」 『今のオレらが言うことでもないがな』 「兄者、ここは逃げてくれ! ……安心しろ、己は約束を守る、風紀委員たちとはてきとーにやりあうだけだ」  そして鋭斗は駆け出す。  戦うために。 「……」 『……』 「行くか」 『ああ』  そして空は公園を立ち去った。 『ど~すっかなぁ』 「どうにかなるさ」 『いやそりゃさ、住む場所もまったくありません毎晩毎晩寒さに凍えてすごしてます、ってのも「どうにか」の範疇だけどよ!? さすがにそりゃ駄目だろオイ』 「なんで?」 『全てのラルヴァの王となるお前が! んなひもじい生活してて許せるかっつーの!』 「僕はまあそれでもいいけど」 『よくねー!!』  絶叫するゴルトシュピーネ。  夜の街を彷徨いながら、二人は他愛もない話を繰り返す。  学校の教室にでも忍び込んで夜を明かすか、と学校の中庭に差し掛かったとき、ふと空は違和感を覚える。  この感覚は―― 「ああ、そうか」  空は得心する。  結界、だ。  空はその中に足を踏み入れ、進む。 「ここは、お前のお気に入りだったか」  木の上に腰掛ける少女に向かって声をかける。  シュネーヴァイス・エーデルシュタイン。  空に従属してる、吸血鬼の少女である。 「……はい」  枝から降り、答えるシュネー。 「ここは、星がよく見えます」 「好きなのか、星」 「……はい。天に飾られた宝石のようで」 「……」  空もまた、天を見上げる。なるほど、確かにその通りだ。  しばらく二人で見上げていると、シュネーが口を開く。 「私の家……とか」 「え?」 「母様が此処に住むために用意した……あの洋館です」 「ああ」  そういえば、確かでかい洋館に住んでいた。 「母様は亡くなりました。だから……母様の全ては、私の主人である空様のものです」 「いや、それは」  どうだろう。  あのエセ神父、ジョージ秋葉も似たようなことをいっていた覚えはあるが。 「住む場所がないのなら……そこに」 「そうは言われてもなあ……」 「私の全ては、貴方のものです。マイマスター」 「……だけどまあ、そういうのにつけいるようなのは」  確かに、シュネーは少なくとも契約上、空の使い魔である。  だが、そういうものにかこつけて家に押し入るというのは、空にはどうにも抵抗があった。  これがただのシュネーの家、というのなら空は遠慮はしないだろう。  だが……シュネーが住む家は、彼女の母である吸血鬼、ラヴィーネが用意したものであり……そこには思い出の品々も多々運ばれているという。  そういう場所に踏み込むには、どうにも遠慮があった。 「……我が主、逢馬空」  シュネーは言う。 「私は、貴方が憎い」  その憎悪を、歌う。 「貴方は……私を人間の使い魔へと貶めた。宝石のラヴィーネの継嗣たる誇りを汚した」  真祖たる吸血鬼、その高貴な血筋を冒涜したと糾弾する。 「私は、貴方に感謝する」  その敬意を、告げる。 「貴方は、私が友達を殺す暴挙を食い止めた。罪を犯す私を縛った」  暴走した吸血鬼、その残虐なる殺戮を食い止めた事を感謝する。 「……だから。恩讐は……差し引きで、ゼロです」  そう、穢された憎悪と、救われた感謝をあわせて、そこにはもう何もない、とシュネーは言う。  だから。 「私の……ただの好意です」 「そうか」  空は、それを聞いて答える。 「ただの好意なら……受けない理由はない、か」 「……はい」  その空の言葉に、シュネーは薄く微笑みを浮かべ、日傘でその顔を隠した。 「あれ、空じゃない」  道中、鍔姫とばったり会う。 「どうしたの? 川内の家なんじゃ」 「ああ、追い出された」 「川内に?」 「いや、筋肉ジャージの寮監に」 「……なるほど」 「お前は?」 「うん、コンビニに買い物」 「そうか」 「そう」  言いながら、鍔姫は空の隣に並ぶ。 「んー……じゃあさ、アレだよね、うん。仕方ないしさ、その……私寮じゃなくてマンション借りてるからさ、あのさ」 「?」  鍔姫は視線をせわしなく動かしながらも空から目を逸らしつつ、顔を心なしか赤らめてごにょごにょと言う。 「た、他意とか全くないんだけどっ。わ、私のマンションに、その……泊めてあげても、いいかな、って」 「いや、シュネーの家に住むことにしたから」  即答だった。  ずがんっ!  鍔姫は大きな音を立てて、看板に頭をたたきつけていた。 「? 足滑らした? 大丈夫か」 「あ、いやいやだいじょーぶだよー、うん……滑らしたというか滑ったというかー……ははは」  頭を抱えながら鍔姫は言う。  看板は盛大にへこんでいた。 「?」 「うん、こういうのってスピード勝負なんだなーって……いやいやそうじゃなくて……」 「何をぶつぶつ言ってるんだろう」 『いや、オレ初めてコイツにちょっと同情したっつーか?』 「?」 「あ、いいのようん、かんけーないんじゃぁ! うっしゃ気合入れなおしたっ!」  自分の頬を両手でばちん、と叩く鍔姫。  立ち直ったようだ。 「で、これから屋敷に?」 「いや、その前に教会にな。今回の事の報告を」 「報告?」 「うん、姉さんに」 「あ、そういえばシスターのお姉さんいたんだっけ」 『重複表現だぞそれ。頭痛が痛いとかの』 「職業としてのシスターでしょうがっ! わかって言ってるでしょあんた」 『当然だ』  影に身を隠しながらくっくっくと笑うゴルト。 「……はあ、まあいいわ。そうね、じゃあ私も付いていこうかな」 「……」  その言葉に空は黙る。 「迷惑? それなら遠慮するけど」 「いや、僕は迷惑じゃないけど。でも、面白くないよ」 「そう? でもあんたには前に助けられてるし、一応お礼もかねて挨拶とか、ってさ」 「……好きにしたらいいよ」 「?」  その空の態度に少しの違和感を懐く鍔姫。だがそれでも付いていくことにした。  そして二人は、教会へと歩く。  双葉教会。  双葉学園都市にある基督教系の教会である。  空たちは、その扉を開く。 「やあボーイアンドガールお久しぶりだねえ会えて嬉しいよ、いやいやでもここは本心がそうでも言葉の上だけでも嫌悪感や警戒心を匂わせるべきなのかなあ? だって君はそう、教会には歓迎されない人間だだって――」  扉を閉めた。 「帰ろうか」 「そうね」  扉が中から開けられた。 「ちょーっと待ったジャストモーメント! それ流石に酷くないかな顔つき合わせた瞬間にああ駄目だこいつ、ってフェイスを残して去っていくなんてそれゃひどいってもんじゃないかなぁ!?」  ジョージ秋葉が天を仰いで嘆く。 「……あんたが此処にいるのもびっくりだ。普段の廃教会はどうしたんだよ」 「ハー? そりゃさ、僕だって一応まっとうな神父だぜぇ? 此処にいて何の不思議があるのさぁ」 「不思議しかないと思う」 「オー、言うねぇ。その空気を読まない発言の数々、大人には真似できないティーンの特権さぁ、大事にしたまえよ?」  軽薄に笑いながらジョージは言う。  鍔姫もまた、眉間を押さえる。そんなに面識はないが、この似非神父の言動は苦手だった。 「……ところで神父さん。さっきの……」 「なんだいガール? 愛の告白なら間に合ってるけど」 「それは永遠にないから安心してください。で、その。空が歓迎されないって……」 「そりゃ当然さ? なんたって彼は“悪魔憑き”だ。教会がどうやって歓迎するんだろうねえ? 不倶戴天の怨敵って奴さぁ」 「あ――」  忘れていた。  悪魔憑き……というには少し違うかもしれないが、確かに空には悪魔が付いている。  いや、悪魔と魂を共有している――という話だ。 「そういうことさ。一気に退治されないだけ感謝して然るべきだよ。いや、ただの温情でそうなつてるわけでもないから感謝はいらないかなあ? 世の中はギブアンドテイク、敵の敵は味方、色々と言い方はあるけどね? ビジネスライクな付き合いって奴さ。ああ、こうも言えるね、利用できるものはなんでも利用する――たとえ相手が敵だとしても。  ああでもでもガールにあらかじめ言っておくけどさ、教会はともかく、僕らはボーイに対して憎しみも敵意もない。  魔術師は決して悪魔を憎まないものさ。そして僕らは悪魔を認める。何故かって? そりゃそうさ、神は人を作りたもう。そして悪魔が人の心の海から生まれたものであるならば、それを認めない理由はない。いやいや違うね、そもそもあれだ、悪魔がどういった形だろうとこの世に存在しているなら、存在を許されているって事になる。つまりは悪魔もまたその存在理由を与えられて許されているってさ。ああ、こういうのは難しかったかなぁ? 異論は認める」 「ちんぷんかんぷんよ」 「正直でよろしい。さてボーイ、そんな君の敵の住処にどんな用事だい? そこのガールを孕ませてしまった懺悔でもしにきたかい?」 「なっ、ななななな」 「違うよ」  平然と否定する空。その隣では鍔姫が顔を真っ赤にしている。 「いつもの用事さ」 「――そうかい。君が他人を連れてくるのは珍しいね。ああ珍しい、これで八人目?」 「……それって多いの、少ないの?」 「多いとか少ないじゃなくて、珍しいのさ。これは微妙にニュアンスが……まあいいか。で、ガールも会って行くのかい?」 「え、はい……そのつもりですけど」 「オーケーオーケー、わかった、じゃあ案内しよう」  そしてジョージは身を翻し、歩いていく。  礼拝堂を抜け、教会の奥のほうへと進むジョージに、空と鍔姫は黙ってついていく。  そして、簡素な扉に行き当たる。 「ここさ」  ジョージは鍵を差込み、扉をあける。 「――!?」  扉が開き――鍔姫は息を呑んだ。  そこに在るのは…… 「なに――これ」  磔刑だった。  だがそれは、キリストの像ではなく、生きている人間が。生きている少女が磔刑に処されていた。  鉄の十字架に貼り付けられて。  光の十字架に胸を突き刺されて。  そして――水晶に閉じ込められて。 「姉さんだよ」  空が、透けるような感情のない声で言う。  これが、姉だと。 「サプライズかい? ガール」  後ろからジョージが言う。 「こ、これって……」 「ボーイのお姉さんさ。ちゃんと生きてる。でも、生きてない。  悪魔に魂を奪われた女の子……さ。そう、魂がない」 「魂が……?」 「人間の三位一体。肉、精神、魂。これらが揃ってこそ人は人足りえる。  だが彼女はね、そのうち魂を奪われた。悪魔に、だ。その三位一体の均衡が崩れた人間は、徐々に死んでいく。そう、放置していたら肉体は衰弱し精神は崩壊する。  だから――こうやって封印しているのさ」 「なんで……こんな」 「人質、だよ?」 「え……?」 「彼を体よく使うための人質。いや脅してるわけじゃないから違うな、取引か。  死に向かう彼女の身体を補完し封印する事でその命を守る。  そしてその代わりに、ボーイはぼくたちの命令を聞く。結社に従い、隷属する。  そう、この磔刑の乙女は、彼の生きる目的なのさぁ」  そのジョージの言葉が耳に入っていないかのように、空はただその水晶の下にたたずんでいる。 「姉の魂を奪った悪魔を倒し、その魂を奪い返し、姉を解放する――なんとも気の長い話だよ。  彼自身にもどれだけ時間が残されてるかもしれないのにねぇ」 「……え?」 「秋葉。おしゃべりが過ぎる」 「おっと失礼。しかし許して欲しいね、ほらさ、彼女はどうにもいじめがいがある」 「……秋葉」 「オーケーオーケー、失礼失言失敬しました。取り消すよ。そうだね、その話は君が自分でするべきだ、僕の語るべき事じゃなかった」 「……どういう、ことなの?」  鍔姫が空に聞く。  不安げな表情で。今の言葉は聞き違いか、あるいはジョージの冗談であって欲しい、と言うかのように。 「……」  その顔に、空は少し黙った後、答える。 「簡単なことだよ。  魔術を使いすぎれば、僕はいなくなる、それだけのことだ」 「……!?」 「悪魔に魂を売った代償――とでも言うべきかな。  いや、すでに魂は悪魔と共有しているわけだけど……そうだな。  魔術を使えば使うほど、戦えば戦うほど……僕は他人に認識されなくなる」 「それって……」  鍔姫は思い出す。  初めて会ったとき、自分は空がいないものだと思った。  あの影の薄さ……透明感、それは。  それは、まさか…… 「ガールの想像通りさ」  ジョージが口を挟む。 「本来、魔術ってのは……特にボーイの使うのは西洋魔術だ。西洋魔術ってのはつまるところリチュアルマジック。儀式を前提とするものさ? それがさ、実戦に耐えうるような速度、錬度でああも使えるものじゃない。  僕みたいに何から何まで他人の力を借りた、タネも仕掛けもあるインチキとは違う。  さて、そんな魔法をあそこまで使うなら当然代償が要るってことさ。そして彼の支払う代償は……そう、自分自身が悪魔へと近づいていくということだ。  本来悪魔ってのはカテゴリーエレメント、それも完全に完璧にアストラルの側の生き物だ。物質界には存在しない。人間に呼ばれるか。あるいはその他の条件を満たさない限り、物質界への干渉は難しい、そういうモノだ。そういうモノに彼は成る」 「そんな……それって!」 「うん、君の思っている通りだよ、浅羽。僕はいつしか、誰にも見えなくなる。多分、お前にも」  それは。  とても残酷な一言だった。  ……どちらから見ても、誰からも見ても。  誰からも認識されない。誰とも触れ合えない。それは……とてつもない孤独だ。 「そんな……」 「だからこそ」  ジョージが言う。 「だからこそ戦うのさ、ボーイは。姉を救うため、そして……自分が助かるために」 「え?」 「全てはね、彼に取り付いた悪魔、ソロモン序列第一位の蜘蛛のせいだ。いや、せいと言うのは些か言い方悪いかな、だって彼がいなきゃボーイは今そもそも生きていないからね? さて、しかしあの蜘蛛は正しい意味でソロモン序列第一位の悪魔そのものではない」  鍔姫は思い出す。そういえば、悪魔アンドラスとの戦いでそんなことを言っていたような…… 「不完全なピース。だからこそ、こんなひどいひどすぎる代償を強いられる。それは何故か? 欠けた力を埋め合わそうとする、極自然な力が働くからだ、だからボーイの存在は悪魔へと近づいていく。  なら話はシンプルだ、欠けたピースの残りを集めればいい……だろう? ボーイ」 「ああ」  空は頷く。 「バールの欠片たる悪魔、それらを倒してゴルトシュピーネと統合する。そうすればゴルトは本来の力を取り戻し、僕も……大丈夫、ということだ」 「……」  その言葉に、鍔姫は胸をなでおろす。 「よかった……」 「Haー、よかってねぇ本当に。どんな苦難にも必ず解決方法はある。この世は神の愛に満ちているよハーレルーヤー!」 「お前が言うとどんどん神の愛が胡散臭くなっていく気がするけど」 「違いないねぇ、ハハッ!」 「認めるなよ……」  そして三人はその部屋を出て、空と鍔姫は教会を後にした。  二人を見送って、ジョージは誰ともなくつぶやく。 「やれやれ、彼も優しいねぇ」  その優しい眼差しは……そう、死刑囚を見下ろすかのように慈悲深かった。 「たとえバールの全てを統合したとしても……それでも君は助からない、赦されない。  君はそれでも嘘をつく。やさしい嘘を、虚しい嘘を。  だってそうだろう?  悪魔に魂を売った人間は……破滅しか無いんだから」  鍔姫と別れ、空は屋敷へと向かう。 『……くそ、あの腐れ神父が……』  その道中、ゴルトが悪態をつく。 「怒ってるのか」 『たりめぇだ! オレがあそこで出れないのをいい事にネチネチグチグチとうざってぇ……』 「あれは全て事実だよ」 『だがよぉ!』  声を荒げるゴルト。一拍置いて、声のトーンを下げて言う。 『……わりぃ。確かに事実だ。そして……オレの罪だ』 「僕たちの罪だろ……兄弟?」 『ああ……』  そのまましばらく無言で、歩く。 『オレは諦めねぇ。海も、お前も、絶対に救ってみせるぜ』 「お前は僕をラルヴァの王にしたいんだろ? なら僕が悪魔になってしまったほうが都合がいいんじゃないのか」 『最悪の展開だな、そりゃよ。悪魔がラルヴァの王になったところでくだんねー、陳腐な話だ。  オレはな、お前に、お前のままで、そうなって欲しいんだよ』 「わけがわからないな」 『いいんだよそれで。オレもそうだ、オレはオレのままバールを取り戻す。他の欠片に食われたりしねぇだ、オレというオレのまま、バールへと返り咲く。東の王へと至る。だからお前も……お前のままでいろ、兄弟。逢馬空。  それがオレがお前に望む事だ』 「……僕も」 『ん?』 「僕も。お前以外のバールなんて、望まない」 『……たりめぇだ、兄弟』  蜘蛛が笑う。    その屋敷は相変わらずの威容を誇っていた。 『まあ、王には相応しいと褒めてやってもいいかな、うん』 「声が浮き足立ってるよ」 『ん、んなことねぇよ?』  よほどホームレスは嫌だったのだろう。明らかにゴルトの声は弾んでいた。 『……つーかアレだ、結界のせいか? 予想以上に身体の調子いいわコレ! 実体化も超楽チンだぜ!』  言うが早いか、ゴルトは空の影から飛び出す。 『やっべー身体軽いぜこれ! 流石は伝説の吸血鬼の館! やっべぇ調子いい!』  そう叫びながら、ゴルトは館の奥に走り去った。 「……子供みたいだなあ」  空は素直にそうつぶやいた。  館のロビーでとりあえずくつろぐ空。  前の時は急いでいたからゆっくりとする暇が無かったが、この屋敷はかなりでかかった。  外から見てもでかかったが、中に入るとさらに大きい。魔術的な仕掛けでもあるのだろうか、と思う。  感覚を研ぎ澄ませて見ると、確かにそれらしき気配はある。  屋敷全体に魂源力を循環させ、その循環が力の増大を生み、いたる所で術式を発動させている。  しかしそれは決して、侵入者撃退……といったお決まりの術式ではなかった。  空は思う。この館の主であった宝石のラヴィーネはよほど自分の実力に自身があったのだろう、と。  結界も術式も全て、この館を快適にする、ただそれだけに費やされている。つまりは、侵入者は全て自分の力で撃退してやるという自信の表れなのだろう。  一度会って見たかった、とは思う。 「……お帰りなさい」  そう考えていると、静かな声が響く。  シュネーだった。 「ああ、シュネーか。……いい家だな、ここ。  さすが、そっくりそのまま移築させたってだけのことはある」 「……はい」  そう答えながら、シュネーは空の傍らに来る。 「ああ、そうか」  空はシュネーの眼差しをうけ、察する。  自分が今、何を期待されているのかを。 「ちょっと待ってて」  言い、影を実体化、物質化させる。  いつも使っている、儀式用の短剣を自らの影で復元する。  そしてそれを左手に持ち、右手の手首に当て……一気に引いた。  刃が風を切る音、肉を裂く音が響く。  そして、真っ赤な鮮血が空の手首から溢れ、掌を流れ、指をぬらす。 「……」  空はそれを、シュネーへと差し出した。  シュネーの顔に、血の雫が滴り落ちる。それはシュネーの唇を赤くぬらす。  舌を突き出し、シュネーは空の指を舐める。  血の粘つく水音と、唾液の音が絡まる。  赤く染まる指に舌を這わせ、その赤を舐め取っていく。  人差し指、中指、薬指、小指と順番に。  音を立てて。  喉を鳴らす、血を嚥下する音も響く。  ぺちゃ、ぴちゃ。  こく、こくっ。  だがそれでも、赤は止まらない。  だから、その舌は指から掌へと進んでいく。  さらなる赤を求めるかのように。  だが、それを留めるのは、空の指先だ。  指が、シュネーの小さな口に、そっと突き入れられる。 「……っ」 「歯、立てるなよ」  そう言いながら、親指と人差し指の二本の指が、シュネーの唇に触れ、そして中に侵入していく。  指に再び流れ、絡まる赤。指を伝い、直接シュネーの中に注ぎ込まれていく。  言われたとおりに歯は立てない。だが、代わりに舌を動かす。  ただ喉に流し込まれただけでは、血の味を味わえないから。  口の中に侵入したそれをに舌を絡ませて、血の味と、汗のまじった肌の味をその舌先で感じる。  突き入れる。  動かす。  絡み合う。 「ん……むぅっ、ちゅ……んっ」  二本も突き入れられて、その小さな口に頬張り、呼吸もままならない、それでも必死に舐め、嚥下する。  空はそっと指を引き戻す。  血と唾液の混ざり合った液体が、指と舌の間に糸を引いた。 「はあ……っ」  名残惜しそうに、シュネーは顔を近づけ、再び掌に舌を這わせる。  その先に進む。手首の、まだ真っ赤な血を脈々と流し続ける肉の裂け目へと。 「っ」  今度は、空が声を押し殺す。  痛い。  切り裂いたばかりの傷、そこに口をつけられたのだ。痛いのは道理だ。  だが痛みよりもさらに増すのは、背徳感と征服感。そのふたつが空の感覚を支配する。  傷口を丹念に舐める少女の姿を見下ろして。  空は、食わせる。自らの血を。  シュネーは、喰らう。主の血を。  みゃくみゃくと零れ落ちる命の原液。  それを与える。  それを享受する。  それは食事というよりは、妖艶な儀式めいた光景だった。  シュネーが口を離す。  血と唾液の混ざり合った液体が糸を引く。 「もういいのか」 「……」  シュネーはこくこくと頷く。 「そうか」  空は、影を再び動かし、手首の傷口に巻きつける。  止血、癒着。  簡単な治癒魔術で、その傷口を覆う。 「……」  そう処理をしていると、シュネーが包帯を持ってくる。 「一晩あれば治るからいらないけどな」 「……」  じっ、と見つめてくるシュネー。 「……わかったよ、頼む」  こく、と頷き、シュネーは包帯を空の手首に巻く。 「しかし……」  空はそれを見ながら、自分の運命に思いを馳せる。  ボロい寮からホームレス、そう思ったら巨大な洋館、だ。  せわしないにもほどがある。  それに、 「クラスの連中にまたなんと言えばいいか」  考えるだけで、気が重かった。  本当に、めんどくさくてわずらわしい。  人との繋がりというものは、人付き合いというものは、とても重くて面倒くさくて、  だから……その重みが、空には心地よかった。   ■登場人物 ・川内朝飛(せんだい・あさひ)  ニット帽がトレードマークの同級生。スキンヘッド。2-Eの男子のムードメーカー。  昔は普通の髪型だった。スキンヘッドにした理由は、クラスで浮いてる(?)空をどうにかしようとしたため。 「お前は影が薄いことを気にしているようだが安心しろ! 俺は髪が薄い!」 「気にしていないしスキンヘッドは薄いとは別次元だと思う」  かくして一発ギャグは見事に滑ったが、それ以来友人となる。 ・谷山彰子(たにやま・あきこ)  2-Eの同級生。  朝飛とはよく喧嘩する、幼馴染で友達以上恋人未満。朝飛を「ハゲモンキー」と呼ぶ。  面倒見のいい姉御肌で、そのお節介気質が有紀と馬が合うらしくよくつるんでいる。  美形に目がないミーハーな部分もある。 ・逢馬海(おうま・うな)  逢馬空の姉。悪魔に魂を奪われた少女。  生きてはいるし精神も健在だが、魂が無い為にこのままでは死ぬ運命が待つ。  その肉体の劣化と崩壊をとどめる為に教会に封印されている。  元に戻す方法は、その悪魔から魂を奪い返すこと。  健在だった頃は面倒見のいい優しい性格だった。ただし怒ると恐ろしい。  彼女を助けることが、逢馬空の生きる目的である。 ---- [[トップに戻る>トップページ]] [[作品保管庫に戻る>投稿作品のまとめ]]

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