【最強の能力に関する昼休み談義】


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【最強の能力に関する昼休み談義】



「尿意を自在に操る異能力?」
「……怖くね?」
 昼休みの真っ只中に、真顔でそんなバカな話を僕に振ってくるこの女は一体何なんだろうか。
 僕の幼馴染だった。
 うん、早く縁を切りたい。

「で、その頭の悪そうな能力が何だって?」
 バカな話に乗る僕もバカなのかもしれないが、この際そのことは棚に上げておく。僕の幼馴染は人の話を聞かないだけでなく、人が話を聞かないと五月蝿いのだ。
 ならば、とっとと話だけでも聞く振りをして、右から左に聞き流してしまうのが一番手っ取り早い。
 それがこいつと十年以上つきあってきて得た結論だ。

「怖くない? むしろ最強じゃない?」
「そうだな、ある意味怖いかもな」
 もっとも最狂なのはお前の頭の構造だけどな。
「息詰まる能力者同士の戦い。その最中に訪れる猛烈な尿意。能力者はその驚異的な尿意に恐れおののくのよ! あ、ちなみにいまのセリフの中の<脅威>と<尿意>は韻を踏ませてあってね……」
 そういう事を自分で解説するな、めちゃくちゃ恥ずかしいから。
 突っ込む気力すら削がれるから。

「そして何より恐ろしいのは、コントロールするのは<尿意>であって、<排尿行為>でないことなのよ! 尿意に襲われながらも決してそれを解決できない。そして排尿を済ませた後もなおも襲いくる尿意! 怖くね!? なんだか怖くね!?」
「いいから、いい年した女の子が『尿』を連呼しないでくれるかな!?」
 聞く振りをするだけのつもりが、つい突っ込んでしまった。僕の十年間で得た結論はアッサリと打ち崩された。

いや落ち着け、僕。このままではいつも通り、こいつのペースに巻き込まれるだけだ。
「そしてなによりも、この能力の真骨頂はまだ他にあるのだ!」
「いや、もういいから」
 簡便してくれ……。なんか周囲の視線あつまってきてるから。奇異な目で見られ始めてるから!

「この能力、<尿意を司る程度の能力>の真の恐ろしさとは!」
 なんか微妙にカッコよく言おうとするな。そして某弾幕シューティングゲームの登場人物の能力っぽく言うな。

「実際に尿意をもよおしているのにも関わらず、尿意という認識を外すことができるということ! その意味が分かるかね!?」
「知らん。分からん。分かりたくもない」
 変な方向にヒートアップしてきてるぞ。ちょっと怖い。
「ふふふふふ。つまり一言で言うとだね」


「<尿漏れを引き起こす程度の能力>なのだよ」


「ん?」
 なんかそのあまりの素敵な恐ろしさに興奮気味だぞ、僕。

 いや、別に可愛い女の子のリアル失禁シーンを見てみたいとかそういうわけではなく。そういう性的嗜好があるわけでもなく! いや本当に!

「で、話のオチはなんだ?」
 あやうくちょっと話に乗りかけてしまったので、少し強引に軌道修正。
 この頭の悪い話を終わらせるとしよう。

「うん。この話のオチなんだけれどもね」
「なんだ?」

「その能力を持ってるみたいなんだよね」

「誰が?」
「私が」
「何の?」
「その<尿意を司る程度の能力>の」
 その言い回しが気に入ったのか。
 いや、そこに素直に肯かなくてもいいから。
 僕が聞きたいのはそこじゃないから。

「てか、一人に一つしかない能力が<それ>だったのか……」
 最初っから、なんとも頭が悪そうな能力と思たものだが……。
 なんとなくコイツが使い手というのなら納得できてしまう不思議。
 それにしても、なるほど。それでさっきから、この能力について熱弁をふるってきたのか。

「ふーん。まぁ良かったんじゃないか? その最強の能力を手に入れることができたのなら」
 我ながら適当な話題の流し方だとは思うが、これ以外の答え方が思いつかなかったのでこれで許してもらおう。
「うん」
「ていうか、マジでさっきからご機嫌だな。そんなにその能力が気に入ったのか?」
「うん」
 うわぁ、すっげぇ笑顔。
 僕ならそんな能力が自分の異能だと聞かされたら首を吊りかねないが、本人が納得しているのならそれはそれで良し。

「だってさぁ、この能力で京子ちゃんの失禁シーンがみれるんだもん」

「は? 僕の?」


「そうそう。そうやってボーイッシュなクールビューティ気取ってる幼馴染の失禁シーンだよ? いつも私のことをバカバカ言って馬鹿にしてきたあの京子ちゃんがお漏らしする姿だよ? 一年前にはこんな光景が見れるなんて思っても見なかったもん」


 こいつ、いま何ていった。


「あ、ちなみにこの能力なんだけど、京子ちゃんに話しかけた瞬間から既にしかけてるから。あしからず」
 さっきからテンション高いのはそういうことか。

 あぁ、そういえば去年、僕が当時覚えたての<風を巻き起こす能力>で、コイツのスカートを大勢の前で捲り上げたとき、涙目になりながらこんなことを言っていたっけ。

―――『覚えとけよ、京子ちゃん! いつか私が能力に目覚めたら、ぜっっったいに、真っ先に京子ちゃんに使ってやるんだから!!』

 ……はぁ。
つか、マジでこの能力つかえば、あの醒徒会のメンバーにも勝てるんじゃなかろうか。ダメージが半端ないぞ、これ。









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 金曜の夜に、<尿意を操る能力>という鬼のようなお題をゾロ目で出した としあきの存在を絶対に許さない。



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