【ジェノサイドカッター千波ちゃん:後編】


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 ※一部不快な表現と描写ががあります。ご了承ください。 









 ぼくと千波ちゃんは一先ず近くの公園へと出向いた。ゴスロリ子ちゃんの死体があるのは人気がないからしばらくは大丈夫だろうが、急いだほうがいいだろう。ぼくたちは公園の茂みをかき分け、猫を探した。この公園も夜になると人は一切いなくなる。電灯も少なく、頼りなるのは月灯りだけだ。
「それで千波ちゃん。その猫ちゃんの特徴は?」
「一応前に写メ撮ったのがあるんだ。見て見て」
 そう言って千波ちゃんは短いスカートのポケットから携帯電話を取り出した。もとの形が分からないほどにデコレーションされている。そしてその携帯電話にある画像をぼくに見せた。
 そこには小さな黒猫が、ピースしている私服姿の千波ちゃんの腕に抱かれていた。
 だけどその猫はどう見ても普通の猫じゃない。目玉が無く、口が耳元まで裂け、キリのような鋭い歯がそこから覗いている。尻尾も三本もあった。どっからどうみてもラルヴァの類だろう。子供が見たら泣き出す造形をしている。
「えへへ、可愛いでしょ? あたしのお師匠様が一人前になった証にって譲ってくれたのよ」
 千波ちゃんはペット自慢をするセレブのようなウザさでぼくに次々と、屍喰い猫の画像を見せつけてきた。他人の夢の話と、ペットの自慢ほど興味のないものはない。
「ああ、かわいいかわいいよ。しかしこの猫は千波ちゃんに懐いてなかったんだね。逃げ出しちゃうなんて」
 ぼくが皮肉ってそう言うと、千波ちゃんは頬をぷくーっと膨らませてそっぽを向いてしまった。
「仕方ないじゃない。あのゴスロリがめちゃくちゃな攻撃ばかりしてくるんだもん。あたしのせいじゃないもん。この子はぜったいあたしのこと好きなんだもん!」
「わかったよ。泣かないでくれ。それじゃあ一所懸命探そうね」
「うん……」
 千波ちゃんは涙を拭いて、必死に茂みの中へと顔を突っ込んでいた。
 しかし屍喰い猫が普通の猫と生態が違うのであれば、どうやって探したらいいのかさっぱり皆目見当がつかない。
「そうだ千波ちゃん。猫ちゃんに名前はつけてないの? 名前で呼んだら出てくるんじゃない?」
「ううん。お師匠様が猫に名前を付けるのは邪道だって言ってたの。それにあくまで屍喰い猫は仕事用の道具で、愛玩用のペットじゃないから、名前を付けると情がわくって言ってたの」
「もう十分情がわいてるじゃないか」
 嬉しそうに屍喰い猫を携帯電話でパシャパシャと写真を撮るイメージが頭に浮かぶ。なんでみんな猫なんて気持ち悪い生き物が好きなんだろうか。
「うう、仕方ないじゃん。だって、あの子だけがあたしといつも一緒にいてくれるんだもん……」
「へえ、それじゃあお師匠さんはどうしたの? もう巣立ちして会ってないんだ?」
「ううん。お師匠様はもう死んじゃったわ。あたしが殺したの」
「え?」
 ぼくはふと千波ちゃんの顔を見る。嘘吐きのぼくは他人の嘘には敏感だ。千波ちゃんのそのなんとも言えない表情からはそれが嘘や冗談だとは思えなかった。本当に、言葉の通りに自分の師匠を、自分で殺したのだろう。
「それがこの流派の習わしなの。弟子は師匠を殺してその総てを引き継ぐのよ。お師匠様も最後は満足そうな顔してたもの。これでよかったのよ」
 そう言って夜空を見上げる千波ちゃんの目は、どこか寂しそうなものだった。ぼくには彼女の孤独や悲しみはきっとわからないだろうけど、それでもその瞳からはこの世界でたった一人生きていく人間の憂いが見て取れた。
 ぼくより何歳も年が下のはずなのに、もうしっかり自立して殺し屋稼業で喰っているなんてすごいなぁ。尊敬しちゃうなぁ。
 まあ、そんなことはどうでもいいことなのだけれど。
 とにもかくにも屍喰い猫を探さなきゃだめだ。そうすれば千波ちゃんだって満足してぼくを解放してくれる。
「そういえば千波ちゃん。どうしてわざわざ双葉区なんかにやってきたの? 誰か標的でもいるのかい?」
 双葉区は当然ながらほかの街より警戒が厳しい。殺し屋が入り込むのだって相当苦労するだろう。
「わからないの中也? ここはね、殺し屋業界にとっての、言わば金の鉱脈なのよ。ここではいろんな陰謀が渦巻いてるの。あたしだって一応は裏の世界で生きる人間だから、この街がなんのために存在してるか知ってるよ」
「まあ確かに。ここは国家レベルの、いや、世界レベルの機密があるからね。仕事にはことかかないかもね」
「そう。さっきのゴスロリが所属してる傭兵集団“|少女地獄《ステーシーズ》”や暗殺チームの“|三重殺し《トリプルプレイ》”。それに“聖痕《スティグマ》”や“オメガサークル”なんて巨大組織の人間も潜入してるみたいだね」
「まったく。物騒な街だよ。ぼくみたいな善良な人間にとっては迷惑この上ない話だね」
 その結果こんなくだらないペット探しをするはめになるんだからたまったものではない。殺し屋なんて人にたやすく暴力をふるう人種がこの街にうじゃうじゃいると思うと背筋が凍る。ぼくは暴力沙汰が大嫌いなんだ。いや、好きなやつがいたらそいつは人としての資格なんてないね。
「もう、喋ってる場足じゃないよ中也。あたしあっち探してくるから、逃げちゃ駄目だよ! 逃げたら殺すから!」
「はいはい。逃げないよ」
 千波ちゃんは立ちあがって反対方向の草むらへ探しに行った。ぼくはそれを後ろ目で見送る。すると、どこからともなく一匹の猫が千波ちゃんの前に飛び出してきた。
「ん?」
 一瞬屍喰い猫が姿を現したのかと思ったが、違う。それは普通の三毛猫で、どうやら公園に住み着いている野良のようだ。この双葉区は猫の数が異常に多い。どうも猫好きが多いようで、餌を与えているうちに数が増えてしまったのだろう。
「わーニャンニャンだー! かわいいー!」
 千波ちゃんもここの住人と同じく猫が大好きなようで、いきなりテンションをあげて猫のほうへと駆け寄っていった。
「ねー猫ちゃん。あたしの屍喰い猫知らないかなぁ? 知らないよねぇ」
 千波ちゃんは嬉しそうに猫に話しかけた。綺麗な毛並みをしていて、夜だからか目がまん丸だ。きっと猫好きにはたまらないだろう。
「あー、猫ちゃん可愛いなぁ」
 そう千波ちゃんが我慢しきれず右手で猫を撫でた瞬間――

 ぼんっ。

 というコミカルな擬音で表現したくなるような軽快な音が、深夜の公園に響き渡る。まるでポップコーンでも爆ぜたかのような音だ。
 一体何が起こったのか、ぼくは一瞬理解できなかった。
 音が聞こえた千波ちゃんのほうに視線を向けると、そこには無くてはならないものが無くなっていた。
 千波ちゃんの右手と、猫の体。
 猫はまるで体内から爆発したかのように、体のパーツがあちこちに飛散していた。頭と胴体は完全に消滅し、小さな四つの足が数メートル先にぼたりと落ちていて、飛び散った肉や内臓が公園の地面をピンク色に染めていく。その猫の死骸からは煙が上がり、火薬のにおいがここまで漂ってきた。
 千波ちゃんの右手も同じように肉の焦げたような悪臭を放っている。手首から先が吹き飛び、彼女の白い五本の指がここまで飛んできていた。思ったより血は出ていないが、骨がむき出しになり、断面が赤黒く焼けている。
 猫の肉が顔にへばりついている千波ちゃんは、茫然と消し飛んだ右手と、猫を茫然と見つめていた。そしてほんの半秒後、ようやく状況を理解したのか、痛みが脳に到達したのかわからないが、千波ちゃんは絶叫した。
「あああああああああああああああああああああがああああああああああ」
 喉が裂けそうなほどの悲鳴を上げる千波ちゃんのもとへぼくは咄嗟に駆け寄る。呼吸もせず、ただひたすら空気を吐き出すかのように叫び続ける千波ちゃんのお腹を、ぼくはつま先で思い切り蹴り上げた。
「かひゅぅ――」
 地面に崩れ落ちる千波ちゃんの呼吸が一瞬止まる。これでいい。あのまま叫んで酸素を吐き出し続ければすぐに酸欠になって気を失ってしまう。
 ぼくはその隙に千波ちゃんのスカートの中に手を突っ込み、手際良くパンツを脱がす。赤いリボンの白いパンツだ。女子中学生の体温でほかほかしてる。ぼくはそのパンツを丸め、千波ちゃんの口の中に突っ込む。これで声を上げずに済むし、舌を噛むこともできないだろう。
 それでも痛みで体を捻じらせる千波ちゃんに、ぼくはつとめて冷静に言う。
「おちつけ千波ちゃん。腕が吹き飛んだだけだ。どうでもいい些細なことだよ。肉が焼けてるから出血は少ないし、大した傷じゃない。それよりそんな大声で叫んだら人が寄ってくるぞ」
 すると、千波ちゃんはさすがプロの殺し屋と言ったところか、涙を大量に流しながらも冷静さを取り戻し、ペッと口から涎まみれの自分のパンツを吐きだした。うへえ、ばっちい。えんがちょ。
「けほっ……けほっ……。ありがとう中也……。でも何もパンツじゃなくてもいいじゃない。この変態」
 痛みをこらえながらも、千波ちゃんは残った左手だけで器用にパンツを穿いた。
「そんな減らず口が言えれば大丈夫だな。それより、さっきの猫はなんだ。どうやらあの猫が爆発したみたいだったけど」
 ぼくたち二人は無残にも肉塊と化した猫を見つめる。
「わからない。だけど猫を抱き上げた瞬間、猫が爆発したの。それこそ爆弾のように……」
「ラルヴァってわけじゃないよなこの猫。もしかして誰かの異能……」
 そう言いかけた時、次々と草むらから猫が飛び出してきた。その無数の猫たちはぼくたちを囲み始め、闇夜に光る緑の目がぼくたちを睨んでいる。
「な、なによこの猫ちゃんたち!」
「やれやれ。どいつもこいつも物欲しそうな眼をしてるね。餌なんて持ってないっていうのに。だから猫は嫌いなんだよね……」
 その猫たちと同時に、茂みの奥から小さな人影がこっちに歩いてくるのが見えた。その人影は高笑いをしてぼくたちを嘲笑った。
「えへへへへへへ。はははははは。僕ちゃんの“爆弾猫《バントライン》”からはもう逃げられないなの!」
 そこに現れた人物にぼくたちは目を剥く。
 無数の猫を引き連れて現れたのは十歳くらいの可愛い女の子だった。
 しかもその女の子は白いスクール水着のようなものを着ていて、白い手足をすらりと露出している。まるで昔見た女児向けアニメみたいな派手な装飾のなされた帽子をかぶり、手には安っぽい玩具のステッキを握っている。
 そう、安易な描写をするのならば“魔法少女”を彷彿とさせる格好だった。
「なんだこの変な子。コスプレか……?」
 ぼくは思わず呆れ返ってそう呟いてしまう。だが、横で手を押さえていた千波ちゃんの反応は違った。
「あの変な格好に、女の子の異能者……まさか」
「知りあい?」
「ううん。でも……」
「『知らない』だなんて言わせないなの」
 その魔法少女は年齢と似合わない冷たい目で千波ちゃんを睨みつけた。その冷めた目は、千波ちゃんと同じ殺し屋のそれだった。
「僕ちゃんはさっきお前に殺されたお姉ちゃんの妹なの」
「さっきって……。やっぱり」
 千波ちゃんは彼女の正体に気づいたようだった。ぼくも千波ちゃんとの会話を思い出し、さっきの死体が何者だったのか考えた。
「そうなの。僕ちゃんは“|少女地獄《ステーシーズ》”十二姉妹、その第七妹のマリー・ステーシー。僕ちゃんのお姉ちゃんである第六妹リリカ・ステーシーの仇討ちをしにきたなの!」
「へえ、あのゴスロリちゃんリリカって言うんだ」
 外人さんには見えなかったけどね。とは言わないでおこう、どうでもいいことだ。
 しかし、どうやらこれは千波ちゃんが撒いた種ということらしい。やっぱり殺し屋なんて暴力的な人種と関わるとろくなことがないね。
「中也は離れてて。これはあたしの問題だから」
 言われなくてもそうする。加勢する理由もない。まあ離れていろって言われても四方八方爆弾猫だらけだし。前門の猫、後門の猫ってところか。
 千波ちゃんは残った左手でナイフを握り、魔法少女姿のマリーちゃんと対峙した。やはり右手を吹き飛ばされたダメージが大きいのか、足元がふらついている。ぼくが蹴ったせいなんかじゃないよ、きっと。
「きなよ魔法少女。中学生がキレたら怖いってこと教えてあげるよ」
 その言葉を受けて、マリーちゃんはステッキをその小さな舌で舐め上げながら千波ちゃんを睨み返した。
「中学生なんかババァなの。僕ちゃんの若さの力を見せてあげるの。さあ、行くの僕ちゃんの可愛い“爆弾猫”たち!」
 そうしてマリーちゃんがステッキを振るうと周りにいた猫たちは一斉にして千波ちゃんに飛びかかっていった。千波ちゃんはそれを必死に避けるが、猫は素早く数が多い。数匹の猫が千波ちゃんの背中に乗っかる。
「さあ、爆発するの!」
 マリーちゃんはパチンと指を鳴らした。それからワンテンポ遅れて猫たちの体が一瞬膨張し、激しい音と共に爆発する。三匹の猫の肉片が公園に飛散し、猫の細い腸などが近くの木に引っ掛かり、肉片が池へと音を立てて落ちていく。
「うっ!」
 だが猫が爆発する直前に、千波ちゃんは猫を引きはがしていた。しかし爆風の影響を受け、千波ちゃんの背中の肉は火傷を負い、セーラー服が破れてブラのフックが丸見えになってしまっている。
「えへへへへへ。あははははは。どうしたの。まだまだこんなのは序の口なの!」
「この外道幼女! 猫ちゃんにこんなことするなんてあんた人間じゃないわよ! あたしは、人は惨殺しても猫は殺さないわよ」
 猫が大好きな千波ちゃんとしては、猫を爆弾化するなんて外道の所業が許せないのだろう。猫を気にするあまり彼女の動きはかなり鈍くなっている。それでもなんとか直撃を避けてはいるが、もう何十匹という猫の死骸を体に浴びて悪臭がこっちまで漂ってくる。
「だったらあんたが早く死ねば、これ以上猫ちゃんが爆発しなくて済むの。おとなしく爆死するの!」
「ふざけるなクソガキィ!」
 千波ちゃんは怒声を放ちながらナイフを逆手に持ち、マリーちゃんのほうへと駆けていく。しかし、マリーちゃんはステッキをぶんっと縦に振り、猫をまるで壁のように千波ちゃんの前へと集めた。猫へ攻撃することにためらいがある千波ちゃんは、ナイフの動きを止めてしまう。しかし、それもマリーちゃんの狙い通りだったようだ。
「バーカ」
 千波ちゃんがパチンと指を鳴らすと、壁になっていた一ダースの猫たちは、「ニャー」という間延びした鳴き声と共に一斉に爆発しはじけ飛ぶ。
 猫爆弾の威力は見たところそれほどのものではないが、これだけの数が一気に爆発すればその威力は何倍にもなる。咄嗟の判断で千波ちゃんは直前にバックステップしたが、爆風は凄まじく、それを受けた千波ちゃんは地面を転がっていってしまう。
「はぁ……はぁ……」
 なんとか千波ちゃんは立ちあがろうとするものの、体へのダメージは半端ではないだろう。セーラー服はボロボロになってしまい、スカートも破けている。目のやり場に困ってしまう。しかしサービスシーンだなんて喜んではいられないだろう。既に千波ちゃんは満身創痍だ。骨が何か所、何十か所も折れているのだろうか、立ち上がれもせず膝をついたままだ。
 そんな千波ちゃんを、小さな体のマリーちゃんが見下ろす。
「どうだ殺し屋。これが僕ちゃんたちのお姉ちゃんを殺した罰なの!」
「うるさいなぁ……。あんたお姉ちゃんのゴスロリ女が弱いのが悪いのよ。この双葉区で同業者が生き残るために、出会ったら殺しあいをするなんて当然でしょ。そんなこともわからないのこのガキ!」
「うるさい! リリカお姉ちゃんは僕ちゃんたちに唯一やさしくしてくれたお姉ちゃんなの! お姉ちゃんがいなくなったら、僕ちゃんたちは一体どうしたらいいのかわからないの! “お兄様”は僕ちゃんたちのことなんて本当はなんとも思ってないの!」
 マリーちゃんは感情が爆発したかのようにそう叫ぶ。目からは大粒の涙を流すその姿だけを見れば年相応に見えるだろう。人殺し、猫殺しと言えど、まだ小さな女の子だ。身内を殺されれば悲しいのかもしれない。
 しかし、そのマリーちゃんの言葉にぼくは違和感を覚えた。
 僕ちゃん――『たち』?
 それはどういう意味だ。単純に傭兵集団全員のことを含めて言っているのか?
 いや、そんなニュアンスではなかったはずだ。
 そしてそれと同時にぼくの中にある疑問が浮かぶ。それはマリーちゃんの爆弾猫のことだ。猫を爆発させるのがマリーちゃんの異能なのだとしたら、猫を操っているのはどういう理屈だ。
 異能は一人に一つ。
 これは覆らない前提のはずだ。
 なのに、現にマリーちゃんは猫を自在に操り、そのうえで猫を爆発させている。おかしい。もしかして……。
「千波ちゃん! 予備のナイフをぼくに寄こせ!」
 ぼくの言葉を理解できないのか、千波ちゃんは顔をゆがませてぼくを睨んだ。
「はぁ? 何言ってるの中也……」
「いいから、早く!」
「わ、わかったわよ!」
 どうにでもなれと、千波ちゃんは太ももに隠していた予備のナイフをぼくの足元に投擲した。ナイフは地面に刺さり、ぼくはそれを抜く。それを見たマリーちゃんはぼくに激しく怒鳴った。
「何をしているのそこの一般人! 殺し屋の戦いに手を出そうって言うの!?」
「だって、『二対一』なんて千波ちゃんが可哀想だろう」
「なっ、なんのことよ!」
 その瞬間、マリーちゃんの表情に焦りが見えたのをぼくは見逃さない。ぼくはいつだって他人の表情を気にして生きているんだ。誤魔化されるものか。
「どういうこと中也!」
 千波ちゃんがそう尋ねてくるが、答えている暇は無い。ぼくはナイフを握りしめ、千波ちゃんとマリーちゃんとは反対方向に走る。
「させないの! 猫ちゃんたち、あいつに飛びかかれ!」
 走るぼくに猫たちはすぐに追いつき、飛びかかってくる。マリーちゃんはパチンと指を鳴らし、「吹き飛べ!」と叫んだ。
 だけど、甘い。
「にゃあ!」
 猫のか細い鳴き声が耳に響き、ぼくの顔には猫の血しぶきがかかる。しかし猫が爆発したわけじゃない。
 飛びかかってきた一匹の猫の首に、ぼくの手に握られたナイフが刺さっている。
 いや、そんな紛らわしい言い方はよそう。
 ぼくは猫の首にナイフを刺した。
 ぼくが猫の首にナイフを刺した。
 さすがプロの殺し屋の持つナイフだ、猫の首が豆腐のように簡単に切れていく。ぼくはそのままナイフを横に振りきる。猫の首が空中を舞い、その汚らしい血がぼくの顔全体に降ってくる。
「なっ――」
「悪いねマリーちゃん。ぼくは動物が嫌いなんだよ」
 だから殺せる。ぼくは千波ちゃんとは違う。猫ごときに容赦はしない。十匹だろうが百匹だろうが千匹だろうが殺しても心は痛まない。
 なぜならぼくは何も感じないから。何も思わないから。
 ぼくは何も喜ばない。ぼくは何も怒らない。ぼくは何も哀しまない。ぼくは何も楽しまない。
 なんてね。そんなのは大げさな話だけれど。誰だってこんな状況なら猫を殺すだろう。ぼくを責められても困る。
「猫ちゃんが、僕ちゃんの可愛い爆弾猫ちゃんが……」
 マリーちゃんは茫然と死骸となって転がる猫を見つめた。
 彼女が指を鳴らして猫が爆発するまでにはタイムラグがある。猫が爆発する前に殺してしまえば爆発はしなくなる。その推測は賭けだったが、どうやらぼくの読みは当たっていたようだった。
 そして、おそらくもう一つの推測も。
「ダメー! そっちに行っちゃ駄目なの! 猫ちゃんたち、みんなあいつを止めて!」
 何匹もの猫たちがぼくに飛びかかってくる。しかし、ぼくが戦闘の素人とは言え、操られ、ラジコンのように単純な動きしかしていない小動物に負けるわけがない。ぼくは猫が爆発する前に総ての猫をナイフで殺していく。死んでただの“物体”へとなり下がった猫が爆発することはなかった。
 飛びかかってきたうちの、最後の一匹の尻尾をぼくは掴み、爆発する寸前に前方の茂みのほうへと思い切り放り投げた。
 すると、茂みの中で猫は爆発し、そこから慌てて一人の女の子が飛び出してきた。 
「な、なんでなのぅ。なんであたちがここにいるのバレちゃったのぅ!」
 茂みから出てきたのは、黒いスクール水着に派手な帽子を被っている十歳くらいの女の子だ。そして、驚くことにその女の子はマリーちゃんとまったく同じ顔をしていた。猫の爆発をかろうじて避けたのか怪我はしていなかったが、その子の体にはべっとりと猫の血がついていた。
「出てきちゃ駄目でしょエリー!」
 マリーちゃんは彼女のことをエリーと呼び、涙目になりながらぼくを睨む。
「ふぅん。まさか双子とは思わなかったなぁ」
「どういうこと中也。なんで二人組だってわかったの?」
 状況が飲み込めない千波ちゃんは目を白黒させながらぼくに説明を促した。
「簡単だよ。異能は一人一能力だ。なら話は早い。今この場には『猫を操る能力者』と『猫を爆発させる能力者』の二人がいなきゃおかしいだろ?」
「言われてみれば確かにそうね……」
「おそらく猫を操ってるのがステッキを持っているマリーちゃんだろう。そして猫を爆発させているのがあっちのエリーちゃんだ。指令塔のマリーちゃんが指パッチンで合図を出してから爆発させているから、いつも爆発がワンテンポ遅れてるんだろうね」
 ぼくは二人の顔を交互に見て確認する。二人とも悔しそうに黙っているところを見ると、図星のようだ。
「だから何なの。だからってあんたたちが死ぬという事実は変わらないの!」
「そうなのぅ。あたちたちのリリカお姉さまを殺した報いは受けてもらうなのぅ。あたちが出てきたからにはマリーの合図は必要ないなのぅ。もう猫を殺して不発にする時間も与えないなのぅ!」
 二人はそう啖呵を切った。まったく、可愛い子たちだ。
「千波ちゃん。マリーちゃんのほうはまかせた」
「……うん」
 千波ちゃんは力強く頷いた。
 ぼくが戦う義理なんてありはしないけど。人助けはいいことだ。気持ちのいいものだ。人助けこそ我が探偵部のモットーだ。さあ、“部活動”を始めよう。
「ちねー!」
 エリーちゃんがぼくに向かってそう叫ぶ。だけどそんなことには意味がない。ぼくとエリーちゃんの距離はわずか二メートル。猫がこっちへと向かってくる前に、ぼくはエリーちゃんとの距離を一気に詰める。
「ううっ」
 そう、ここまで近づいてしまえば自分も爆発に巻き込まれるため、猫を爆発させることができないのだ。
 だがそれはエリーちゃんの判断ミスだ。ここで肉を切らせて骨を断つように、自爆覚悟で爆発させていればぼくは死に、エリーちゃんはせいぜい重症程度で済んだだろう。だけど殺し合いにおいてはその一瞬の妥協が敗北につながる。
 ぼくは拳を握りしめ、エリーちゃんの腹部を思い切り殴る。ぐにゅるという、女の子独特の柔らかな感触が拳に伝わってくる。ぼくの拳はエリーちゃんのスクール水着の中に沈んでいく。
「げぼっ!」
 エリーちゃんは前のめりになりながら胃液を吐き散らした。汚いけどそんなことは構っていられない。ぼくは吐瀉物でズボンが汚れるのを気にせず、そのまま膝を屈んでいるエリーちゃんの顔面めがけてぶち込んだ。
「――!」
 もはや呻き声すら聞こえない。エリーちゃんの可愛いらしい顔は苦痛に歪み、鼻は折れ曲がり、そこからは大量の血が流れる。ぼくの膝は口にも当たっていたのか、前歯が宙を舞っているのが見えた。乳歯であることを祈ってあげよう。嘘だけど。
 しかし、たとえ幼い女の子でも、幾度も修羅場をくぐってきた殺し屋だ。エリーちゃんはすぐに状況を覆そうとぼくの体に抱きつき、そのまま後ろに回ってぼくの首に手をまわした。はがい絞めだ。これなら力はいらない。極まればエリーちゃんの腕力でもぼくを落とすことができるだろう。だけど甘い。これは柔道じゃない。殺し合いだ。
「いだあああああああああああああああああああああい!」
 エリーちゃんは女の子とは思えないほどの絶叫を上げる。
 それも仕方ないだろう。ぼくはエリーちゃんの白い腕に噛みついているのだから。それも恋人同士がする甘噛みなんかじゃない。全力の全力だ。堅いスルメを噛みきるようにぼくはエリーちゃんの腕を噛み千切る。エリーちゃんの細い腕から血があふれ、彼女はぼくから体を離して地面に転がる。口の中のエリーちゃんの肉と皮膚はぐにぐにとした触感で、錆びた鉄のような血の味が口内に広がっていく。女の子の肉って言うのはやはり柔らかい。ほどなくして飲み込むことができた。喉越しが最高だ。癖になるね。
 ありえないことでも起きたかのようにエリーちゃんは半分に千切られている腕を見つめていた。ちょっとやり過ぎちゃったみたいだ、骨が見えている。でも仕方ないよね、千波ちゃんの腕を吹き飛ばした罰だよ。それに男はオオカミだ、食べられないように気をつけなさいってお母さんに習っただろうに。最近の子供は教養が無いね。やれやれ。
「じゃあぼくがしつけをしてやる」
 ぼくはポケットから例のものを取り出す。
 バチバチと青白い光を放つ黒い道具。
 弟の龍之介《りゅうのすけ》から護身用にもらった違法改造スタンガンだ。ぼくはうつぶせになりながら倒れこんでいるエリーちゃんの上に馬乗りになる。足で彼女の腕を押さえこみ、体重を乗せているからぼくから離れることは子供の腕力では無理だろう。
 ぼくはそれを、エリーちゃんの木の枝のように細い首筋へと当てる。「ひっ」と、エリーちゃんはか細い悲鳴を上げた。どうやら何をされるかを察したようだった。
「ダーリンお仕置きだっちゃ――なんて、今の子供はわかんないか」
 そしてぼくは一切合財の躊躇もなく、スタンガンのスイッチを入れた。
 その直後、文章で表現できないような濁音だらけの絶叫をエリーちゃんは叫ぶ。体に流れる電流に体が反応して、背骨が折れるんじゃないかと思うくらいに彼女の体はのけ反っていく。思わずその反動でぼくも倒れてしまいそうになるが、ぼくはエリーちゃんの頭を掴み、地面に叩きつけてなんとか押さえこんだ。
 三秒後、ぼくはスタンガンのスイッチを切る。ブスブスと煙がエリーちゃんの首から立ち上る。彼女の首筋には黒い火傷の痕が残った。じょろろろろと言う音が聞こえたかと思ったら、温い液体が地面を濡らしていた。やっぱり子供だね。お漏らし癖もあるみたいだ。
「も、もう許ちて……」
 エリーちゃんは懇願するようにぼくを見た。まさかあれで意識があるとは思わなかった。腐ってもプロの殺し屋か。この程度では足りないようだ。
「なら続行だ」
 ぼくは再びスイッチを入れ、もう一度エリーちゃんに電流を流す。数秒に一回切り、そしてまたすぐに電源を入れていく。これを十回ほど繰り返したところだろうか、エリーちゃんの口から泡が溢れ、もうぴくりとも動かなくなってしまっていた。本当を言うと三回目くらいで白目をむいて気絶しているのはわかっていたけど。念のためさ、念のため。ぼくは用心深い性格なんだ。決して遊んでたわけじゃないよ。
「まあ、なにはともあれ。ぼくの勝ちかな」
 高らかに、ここに誇らしい勝利を宣言しよう。
 とりあえずこれで一安心だ。自分のことで精いっぱいだったので、千波ちゃんがどうなったかはわからない。ぼくは視線を千波ちゃんとマリーちゃんのほうへと向ける。
「あたしも、終わったよ」
 そこには血塗れで立っている千波ちゃんの姿があった。
 その地面には無数の猫の死骸と、マリーちゃんが転がっている。しかしそのマリーちゃんは首と胴体が完全に切り離されていた。マリーちゃんの空っぽの瞳が星を見上げている。どうやらこっちも決着がついたようだ。
「しかし大惨事だね千波ちゃん。こんなの誰かに見られたら大騒ぎだよ」
 ぼくは血の池地獄になっている公園を見渡して肩を落とした。まったくここは本当に日本なのか。法治国家とは思えない光景だ。やだやだ、ここは危険なことがたくさんで住みにくいったらないね。
「まあ、でも一先ず決着がついてよかったじゃないか。一安心だ」
「まだ終わってないよ」
 そう言ってふらふらな足取りで、千波ちゃんはぼくのほうへ近寄ってきた。その手には猫とマリーちゃんの血で赤く染まったナイフが握られていて、それを思い切りぼくのもとへと振り下ろした――。






「屍喰い猫ちゃん! もう、どこ行ってたのよー!」
「みぎゃー」
 公園のゴミ箱から飛び出てきた屍喰い猫と、千波ちゃんは再会の抱擁を果たしていた。その顔は幸せそうで、不気味な姿をした屍喰い猫に頬ずりまでしている。そんなに自分の飼い猫が可愛いのかな。よくわかんないや。
 しかしあれだけ必死に探したのに、ひと騒動のあとにこんなにあっさり見つかるなんて、人生ってのはよくできているというか都合がいいというか。
「それにしてもよく殺したな。殺し過ぎだよ。猫が好きな千波ちゃんだから、この子には容赦しなかったのかな」
 ぼくはバラバラに切り刻まれたエリーちゃんの死体に目を落とす。恨みたっぷりとばかりに百分割くらいにされている。千波ちゃんがナイフをこっちに向けた時はびっくりしたよ、もしかしてぼくが殺されると思ったからね。
「さあ、屍喰い猫ちゃん。たっくさん死体《エサ》があるから、たんとお食べ」
 そう言って千波ちゃんは屍喰い猫を死体の山へと連れてきた。すると、屍喰い猫はおぞましいことに、口ががばりと開き、触手のような長い舌を何本も伸ばして公園に落ちている幼女二人の死体と、爆散している野良猫の死骸を食べ始めた。
 話には聞いていたものの、屍喰い猫が死体《エサ》を食べるシーンはクリオネの捕食の仕方を始めてみたときよりもショッキングだった。よくこんな気味の悪い怪物《ラルヴァ》を可愛がれるものだよ。屍喰い猫の捕食スピードは速く、「みぎゃぁ。みぎゃぁ」と鳴きながらあっという間に死体が処理されていって、血すら舐め取ってしまい、公園は最初から何もなかったかのように綺麗になった。
「でもまあ、これで一件落着だね。これでようやくぼくも帰っていいよね千波ちゃん」
 疲れきったぼくがなんとか立ち上がりながらそう言うと、千波ちゃんはずんずんとぼくのほうへと歩みよってきてぼくに抱きついた。
「ありがとう中也!」
 女子中学生の甘いシャンプーの香りがぼくの鼻をツンと刺激する。ああいい匂いだ。惚れちゃいそうだ。なんていうのは大嘘で、人と血の匂いに、汗の匂いが混じってものすごい悪臭になっていて吐き気がしてくる。トラウマになりそうだ。
「ハグはいらないってばハグは」
 ぼくはなんとか千波ちゃんを引きはがす。不満そうな顔だが、無視することにしよう。
「いいじゃん照れないでよ。なんだかんだで屍喰い猫ちゃん見つかったし、結果的に今日は“|少女地獄《ステーシーズ》”を三人も殺すことができたんだもん。殺し屋デビューとしては上々だった。きっと地獄にいるお師匠様も喜んでくれてるよ」
「そりゃあよかったね。そんなことより」
 すっとぼくは手を千波ちゃんの前に差し出した。
「え? 握手? でもあたし右手無くなっちゃったから手が反対じゃないと……」
「違う。報酬のアイス代。そういう約束でしょ」
「えー。このタイミングで言うことー? ムード読めてないなぁ中也は。そんなんじゃモテないよ」
「残念だけどこれでもモテるんだよ。そりゃあもうよりどりみどりさ」
 道に放置していたゴスロリちゃんの死体も処理した後、ぼくはブーブーと文句を言う千波ちゃんを引き連れて、近くのコンビニに再びやってきた。爆発で服が破れて半裸状態で、その上右手が酷い状態のままなので、店員は驚いて固まってしまっていた。幸い深夜のためかほかに客がいなくてよかった。
「『気にしないでね店員さん。これはそういうプレイだから、犯罪とかじゃないからね』」
 ぼくはぼくの異能である“嘘《ペテン》”を使って店員を洗脳しておく。そうして安心してアイスボックスの蓋を開けて吟味する。
 アキ姉のためにまずはピノを手に取り、次はガリガリくんを……
「いや、やっぱりこれにしようかな」
「あれ? それパピコだよ。それでいいの?」
「ああ、半分こして一緒に食べて帰ろうぜ。千波ちゃん」
 共に戦った仲間同士、なんて臭いことを言うつもりはないけど、たまにはこういうのも悪くないよね。嘘だけど。
 コンビニを出たぼくたちは、互いに手を振って別れの挨拶をした。
「じゃあね千波ちゃん。お仕事がんばってね」
「うん、中也も風邪引かないよう気を付けなよ。それじゃあ、また会えたらいいね」
「『ああ、また会えるといいね』」
 そう言って千波ちゃんは夜の闇に消えていった。殺し屋は、暗い夜の世界へと帰っていった。




◆◇蛇足◇◆


 あれから千波ちゃんと別れてアパートに帰ったら、アキ姉は爆睡してしまっていた。こんなに苦労してアイスを買ってきたのに。まああれから時間かかり過ぎてしまったのだから仕方のないことかもしれない。
 ぼくもアキ姉と同じ布団の中に潜り、ごく普通に眠った。疲労感が半端なく、泥のように深く眠ることができた。
 しかし翌朝大変なことが起きた。
「おっはよう中也!」
 そんなやかましい声で飛び起き、窓のカーテンをさっと開けると、外の柿の木にぶら下がっている千波ちゃんの姿があった。幸い、アキ姉は眠ったままだ。
「なんでここにいるんだよ千波ちゃん」
「えへへ。あたしもこのアパートに住むことになったから、挨拶に来たのだ」
 そう言う千波ちゃんの服はボロボロのセーラー服ではなく、ピンクのシャツにチェックのミニスカートという可愛らしい私服で、木に足を引っ掛け逆さまの状態のためかスカートが盛大にめくれてパンツが丸見えになっている。今日は縞パンだ。ちゃんと穿き替えたみたいで安心。
 だけどそれ以上に驚いたのは千波ちゃんの右手だ。そこにはちゃんと手首から上が存在した。
「どうしたんだよそれ。もしかして千波ちゃんの腕ってトカゲみたいに生えてくるのか?」
「そんなわけないでしょー。義手よ義手」
 そう言って千波ちゃんは右手をグーパーとにぎにぎした。その際にミョンミョンと機械音が聞こえる。どうやら本当のようだ。
「それに見てこれ、義手を外すと、仕込みナイフがあるんだよ! サイボーグみたいでかっこいいでしょ」
「百鬼丸かよ!」
 まあ元気そうで何よりだ。たった一晩で義手まで用意して住む場所も確保するなんて、馬鹿そうに見えて案外抜け目ない子だよ。
「しかしこのアパートに住むって、きみ学園の人間でもない不審者なのによく住むことができたね」
「色々あってねー。兎にも角にもそんなわけだからよろしくー」
「できればよろしくしたくないなぁ」
「ひどい! 昨日も『また会えたらいいね』って言ってくれたじゃん」
 いやあれは嘘なんだけど。なんて言えやしない。
「それじゃあ、あたし朝食食べるから、まったねー!」
 千波ちゃんは満面の笑みでそう言い、木から飛び降りてそのまま下階の窓に入って行った。ぼくが窓から下をのぞくと、千波ちゃんは窓から義手の右手を出してピースをしていた。
 隣には吸血鬼と元闇医者。下の部屋には殺し屋。
 こうしてぼくの周りに犯罪者がまた一人増えたのであった。



(了)






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