【放課後ラルヴァ倶楽部 ①】


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 春の花咲く進学の季節、双葉学園中等部三年小鳥遊明夫《たかなしあきお》も高等部に進学していた。
 双葉学園は特殊な学校の為、進学は普段の模試と同程度の進級試験だけでほぼエスカレーター式に高等部に上がるだけだったが、中等部の頃と変わり映えがしないと言う事はなかった。
 異能力者やデミヒューマンのラルヴァがいつでも転入してくる性質上、真新しい顔の発見には事欠かないのだ。
 そんな日常の中でも中等部から高等部への進学は特別な意味合いを持っている。
 それは勿論子供から大人へ変わる第一歩と言う事もあったが、この進学のタイミングは学園への新顔が一番多く入ってくるタイミングでもあるのだ。
 新たな先輩達との出会い、そして新たな級友達との出会い。新しい生活が始まる季節だった。
「あ、あの……僕お金持ってませんから……」
「へぇ、じゃあおめーそこでジャンプしてみろ」
 本作の主人公明夫は進学早々カツアゲに遭っていた。
 校舎裏がどうなっているのか好奇心から探検してみようと思ったのが間違いだったのだ。
 そこで丁度たむろって居た不良グループに見つかり、こうして絡まれているのである。
「え、えぇ!? いや……それはちょっと……」
「あぁ!? よく聞こえねーな!」
 明夫が小声でそう言うと不良の一人が明夫の太腿を蹴飛ばした。
 体格差もあるが、不良の遠慮ない一撃で明夫は姿勢を崩しながら囲まれた反対側の不良の方に倒れそうになり、何とか持ち堪える。
 ニヤニヤと楽しそうな不良達の顔を見て、明夫は(あぁ、進学しても何も変わらないのか)と絶望的な気持ちになり、今までもそうしてきたようにするしかなかった。
「痛いっ! わ、分りました! ジャンプします、ジャンプしますから打たないで!」
 明夫がジャンプすると微かにチャリンチャリンと小銭の音がする。財布を持っている事が丸分りだ。
 財布を持っているなど当たり前の事なのに、この不良達は明らかに明夫を弄んで楽しんでいる。
 そんな下種な不良達相手でも、明夫は逆らったら振るわれるであろう暴力を恐れて逆らえないのだ。
 情けないと思いつつも逆らう勇気が出ない。そんな自分を高等部になったら変えると決意していたのに、進学数日で脆くもその夢は崩れ去った。
「ちゃんと持ってんじゃねーか、あぁん!?」
「俺ら騙そうとしやがったのかよゴラァ!」
「ご、ごめんなさいごめんなさい! だから打たないで! 許して下さい!」
「情けない奴だな君は」
『っ!?』
 明夫が自分の情けなさに半分涙目になっている時、どこからか声が聞こえた。
 凛と澄んだ声、女性の声だ。その場に居た全員が一斉にその声のした方を振り向くと、そこには茶髪で気の強そうな一人の女子生徒が立っていた。
「見ない顔だな。新入生か?」
「んだこのアマ!?」
「てめーにゃ関係ねーだろ!」
「すっこんでろやゴラァ!」
 不良達が明夫を放って今度はその女子生徒を囲み始める。
 全員が各々思う恐いと思う顔で一人の女子にメンチ切っているのだが、当の女子はそんなものどこ吹く風で一歩も引かない。
「確かに関係ないな。そんな弱虫の男には興味も無い」
 その女子生徒と明夫の目が一瞬合う。とても可愛い娘だ。
 明夫はドキリとしたが、同時に女子の呆れているような表情に酷く情けない、恥かしい気持ちになった。
「だが一人を寄ってたかって苛めている所を見過ごす訳にも行かないのでな」
 明夫が目を逸らした時、女子と不良達の方でまばゆい光が輝いた。
 その光に驚いて明夫がその方向を見ると、女子の手には大きな光の剣の様な物が握られている。
「て、てめー異能力者!?」
「やべぇ、ずらかるぞ!」
 それを見た不良達が一目散に逃げていった。この学園には異能力を持つ者も多いが、そうでないラルヴァや異能力を知ってしまったが故に入学している生徒も多数いるのだ。
 そんな一般人の彼らにとって、異能力者は羨ましい存在でもあり可哀想な存在でもあり、また恐怖の対象でもあった。
 一目散に逃げていった不良達を見て、女子がふんと鼻を鳴らす。そして明夫に見せたのと同じ心底情けなさそうな表情を見せる。
「ふん、自分より弱い者にしか凄めない情けない連中だ」
「あ、あの!」
 男の明夫があんなに怯えていたのに、この女子は臆す事無く不良達に向かっていった。
 明夫はそんな女子を見て格好良いと思いつつも、少し情けない気持ちになる。
 しかし助けられたお礼はしなければならない。明夫は目の前の勇敢な少女に勇気を出して声を掛けた。
「助けてくれてありがとうございます。ほ、本当に……」
「君も君だ」
「え?」
 明夫が謝辞を述べ終わらぬ内に少女は言葉を挟んだ。
「男だろう? 情けないとは思わないのか」
「う……」
 明夫はその言葉を言われてすぐに言い返せなかった。
 それはまさに自分でも思っている事だからだ。しかし今までそれをどうする事も出来なかった。明夫には勇気が無いのだ。
「ぼ、僕は……あなたのような異能力者じゃないから……」
 そして今日もまた言い訳をする。いつも自分にしてきたように、今日は女の子にその言葉を言う。
 女子に助けられ、挙句立ち向かわなかった言い訳を言ったのだ。
 目を合わせずにそんな事を言う明夫に、女子は最早一瞥もせず振り返り立ち去ってしまった。
 次の一言を残して。
「情けない男」
 その言葉を聞いて、明夫はギュッとズボンを握り締めたままその場に立ち続けた。
(だって、しょうがないじゃないか。僕は強くないんだ。わざわざ痛い目にあう方がバカなんだ。僕は間違ってないんだ)
 下を向く地面にポタポタと水滴が落ちてゆく。その内熱いものが込み上げて次第に嗚咽が漏れ始める。
 明夫の悔し涙だった。 
「う……うぅ……ちくしょう……ちくしょうぅ……」

――これは優しいけれど勇気が無い少年と、明るく可愛い人外少女達との物語――


【放課後ラルヴァ倶楽部 ①~~】


――翌日――

(結局あれから一睡も出来なかった……)
 明夫は寝ぼけ眼を擦りつつ学生寮から登校していた。
 昨日助けられた少女の事が気になって一睡も出来なかったのだ。
(何であんな事言っちゃったんだろう。最悪に格好悪い所見られちゃったよな……絶対僕の事蛆虫以下に思ってる)
 少女の顔を思い出すたび恥かしい思いと重い後悔が明夫の胸に去来する。
 明夫はその少女に恋をしてしまったのだ。
「はぁ、もしまた遇った時どんな顔して会えば良いんだよ……何を言えば良いんだ? つか会話してもらえるかさえ怪しい」
 吊橋効果のせいだろうか憧れのせいだろうか、明夫は昨日からずっと少女の事が気になって仕方ないのだ。
 そうしてあれこれ考えて思い悩む内に夜が明けてしまったと言う訳である。
「サッカー部ー! サッカー面白いよー! 足の早い人、もてたい人はサッカー部までーーー!」
「野球部に入って一緒に甲子園目指しませんかー! 肩に自信のある方お待ちしていまーす!」
 そうこう思い悩んでいるうちに、明夫はいつの間にか校門の所まで来ていた。
 校門の中では新入生を勧誘する部活動の人達が、我や我やと体格の良い生徒を取り合いしている。
「部活かぁ。帰宅部ってないのかな?」
 中等部の時も特に身体を鍛える事もせず文化部でサボりまくっていた明夫は、高等部でもそうするつもりでいた。
 明夫は背も低めだったし痩せ型で運動神経も良くなかった。かと言って何か芸術的才能があるわけでもなく、真面目な趣味なども持ち合わせていない。
 文化部の人達はチラシを配って回ったり作品を片手に大人しそうな人達を勧誘して回っている。
 何か部活動や委員会に所属していると多少なりとも内申点が良くなる(と学生は思っている)ので、明夫が一番サボれる部活は何かなと考えていると声がかかった。
「ねぇねぇ君君、写真に興味ってない?」
「文学に興味ありませんか? 小説を書いてみたいって思いませんか?」
 いくつかの文化部に声を掛けられチラシを手にねじ込まれる明夫。
 意外と積極的なアプローチに少々たじろぎながら、明夫が一番サボれる部活は何かと考え始めた時、校門から離れた一角に昨日の少女の顔を見つけた。
(あっ! 昨日の!)
 明夫はほぼ反射的に少女の方に向かって駆け出した。向うは明夫に気づいていない。
 だが人混みを掻き分けながら進むうち、明夫の足は次第に勢いを失って行く。
(やっぱり、何て声かければ良いか分らないや……)
 今更「昨日はありがとう」なんて情けなさ過ぎるし、かと言ってそれ以外にかける言葉など見つからない。
 第一、今のままでは声をかけても無視されるかもしれないし、そうなれば明夫の初恋はたった二日で失恋に変わってしまう。
 その恐怖が明夫の足を止めたのだ。
(やっぱり……よそうかな……)
 明夫がそう思い始めていた時、突然後から声を掛けられた。
「キミ、ウチの倶楽部に興味あるん?」
「え?」
 振り向くとそこには銀髪で赤い瞳の女の子がいた。少し面長な顔付きにニコニコとした細い目。狐顔と言うのだろうか。美人系ではあったが印象的な顔付きだ。
「さっきからウチの倶楽部ブースじっと見てたやろ?」
「あ、それはその……」
 その女子が指差すのは明夫が昨日助けられ恋に堕ちてしまった少女がいるブースである。
 机に部紹介のチラシの束が詰まれ『ラルヴァ倶楽部』と書かれた幟が立っている。
 明夫は別にその倶楽部に興味があったわけではなかった。そこに座っている少女に興味があったのだが、今そこにホイホイ行く訳にはいかない。
「まぁまぁ、興味持ってくれたんやったらちょい寄ってってぇな。ウチの倶楽部ホント良い所やさかい」
「あの、困ります僕……あの、ちょっと」
 明夫は逃げようとしたが目の前の狐っぽい女の子に捕まって少女の所へと引っ張られて行く。
 よく見ると明夫の手を引く少女の頭には二本のピンと立った三角耳があり、スカートの下から生えた太いフサフサの尻尾はフリフリと左右に振れている。
 しかし今の明夫にそれをジックリ観察する程の余裕は無い。力尽くで逃げようか、でもそれは失礼かなと悩んでいる内に、とうとうブースの前まで来てしまっていた。
「じゃーん、新入生一人ゲットやで~♪ それも男の子や」
「ん? お前は」
「っ!!」
 とうとう再開してしまった二人。
 明夫は心の準備も出来ぬまま連れて来られ、何を言って言いか分らずひたすら愛想笑いを浮かべるばかりである。
 一方少女はグレーの瞳をきつく吊り上げ明夫を睨むように見つめるばかりであった。
「ん? なんやお二人さん知り合いやのん? それは良かったわぁ、ヒルデちゃん勧誘してぇな~」
(ヒルデさんって言うんだ。先輩かな)
「……」
 ヒルデと呼ばれた少女は狐の少女にそう言われたが、尚も明夫を睨み続けている。
 当の明夫もまるで蛇に睨まれた蛙のように、笑顔を貼り付けたまま金縛りにあった様に動けないで居た。
 と、ここで二人の沈黙を破ったのは意外にもヒルデの方であった。
「こいつは駄目です。意気地の無い男ですから」
「っ!?」
 そう吐き捨てるとヒルデはそっぽを向いてしまう。
 チラシを配りに行こうと言うのか紙の束に手を付け作業を始めるヒルデを見て、明夫はやっぱりかと言った様子でガックリと肩を落とした。
「あらあらあら、そないな事言わんといてヒルデちゃん。堪忍な~あの娘気難しい娘やさかい」
 気を落とす明夫を気遣うように狐の少女が二人の間に割って入った。
 狐の少女はこの倶楽部の会長を務めている。自由奔放に見えて結構気の利く優しい少女なのだ。
「ウチの名前は細《ささめ》。ここは『ラルヴァと人間の共存可能性を模索する会』、通称『ラルヴァ倶楽部』言うんよ」
「『ラルヴァ倶楽部』?」
 聞きなれない言葉にそのまま言葉を返してしまう明夫。
 ラルヴァと人間の共存可能性を模索する会、と言う長い名前からは何をしている部活なのか全く想像がつかない。
「そうや~。ラルヴァと人間が仲良ぅ共存出来る道を探すんがウチらの倶楽部の目的なんよ。どや? 壮大かつ崇高やろ?」
 そう聞くと確かに立派な活動をしていそうな倶楽部に聞こえる。しかしそれでもその具体的活動内容は分からない。
 明夫がその疑問を解決すべく細に質問する事にした。
「あの、具体的には何をしている倶楽部(部じゃなくて倶楽部なんだ?)なんですか?」
「それはな~」
 すると細は何を思ったのか明夫の腕に手を絡め、横にピタリと寄り添うようにくっついたのだ。
「こうしてラルヴァの女の子と人間の男の子が仲良うするのが目的の倶楽部なんよ」
「~~~~~っ!(胸! 胸当たってる!!)」
 二の腕に感じる柔らかな双丘の感触。微かに挟まれている感じがして、明夫は先程の緊張とは逆の意味で硬直してしまった。
「止めて下さい!」
 と、そこに割って入る一人の影。
 くっつく細をベリと剥がし、深々と頭を下げた黒髪をポニーテールに結った少女。少し吊り目気味で堅苦しそうな印象を受ける。
 そして何故か巫女さんのような着物袴姿だった。脇差も持っていた。
「いきなり失礼した。誤解されたかもしれないが、私達は本当に真面目な倶楽部なんだ。いつもこんな事をしている訳ではない、信じてくれ」
「は、はい(サムライガール?)」
 一気にそう捲くし立てた変わり者の少女の迫力に圧倒される明夫。
 真面目な人だなぁと思っていると、どうも目の前の少女の様子がおかしい。ブルブルと震えているのだ。
(くぅ~~細《ささめ》先輩また抜け駆けしようとして! 私だって、私だって本当はもっと積極的に)
「あの、どうかしましたか?」
「ん!? あ、いや。何でもない。気にしないでくれ(やだ、私ひょっとして今変な顔してた!? も~最悪だ~)」
「?」
 明夫はその挙動不審な少女に多少の不信感を抱きつつ、再びヒルデの方を見た。
 しかしヒルデはその視線に一瞥もくれないまま、チラシを持ち勧誘に行く準備を済ませ細に言った。
「兎に角、そいつを入れても倶楽部の目的達成には貢献できないかと」
(うぅ、やっぱり印象最悪だったのか……嫌われてるよぉ)
 意中の娘の変わらぬ態度に明夫は軽く絶望した。昨日の情けない所を見られれば当然の反応だろう。
「ヒルデちゃん、そないな事言うたらあかんよ? ウチら人間の男の子と仲良うせなあかんのやから、ちゃんと優しゅうせな」
「しかし……」
 細に諭され迷うヒルデ。明夫はヒルデの事が気になって見ていただけだったと言うのに何故こんな事になっているのか。
「男の子の事知るには男の子に聞くのが一番やろ? この子が入ってくれたら大いに倶楽部の為に貢献できるやんか~」
(いつの間にか僕が入会する方向で話が進んでいる……)
 細の中ではもう明夫がラルヴァ倶楽部に入会する事になっているらしい。
 明夫はそんなつもりなど全然無かったのだが、こうも入る前提で話を進められてしまうと断り辛くなってしまう。
「それに……」
 と、困惑する明夫の腕に再び腕が絡められた。
「ウチ、この子の事気に入ってしもたかも♪」
 キャッ♪とお茶目に笑う細。
 そんな会長のいつもの突拍子も無い行動にいつもの如く驚く二人と一人。
「えぇっ!?」
「先輩!(え~~~!? 何何何? もう先越されちゃったの!? うそーそんなー!?)」
「副部長としてそれは反対です! それに新入生の人間の男子は他にも大勢居ます!」
 そんな中でもツンツン厳しいヒルデの態度。明夫は何だかもう居た堪れなくなってきた。
(どんだけ嫌われてんの僕~)
 落ち込んでもう放心状態の明夫に関係なくベタベタする細。それを引き剥がそうと躍起になるサムライガール。
「や~ん、ウチはこの子がええの~」
「ちょ、離れて下さい! 公衆の場ですよ!(これ以上仲良くされてたまるか! は・な・れ・ろぉ~~~!)」
「わわ!? ちょっとあの……わぷっ!?(ポヨヨンッ)」
 二人の女の子に揉みくちゃにされながら明夫はガクンガクンと揺さぶられる。そして倒れたその先でまたしても感じた柔らかい感触。
「え?」
「あっ」
 倒れる明夫の顔をクッションのように柔らかく保護したモノ。それはまさにスイカのような脂肪の塊。目を疑うような爆乳だった。
「ちちち、違うんです! 決してこれはわざとではなく、事故……そう! 事故なんです! だからごめんなさい!」
「アッハッハ、別に気にしてないネ。今度から気をつけるヨ、ボーイ」
 明夫が顔を埋めてしまった超乳の持ち主は、胡散臭いアメリカ人風日本語で快く許してくれた。
 見るとその人は春なのに、と言うか校門前なのに何故かスイカ柄の水着一枚と言う出で立ちだった。痴女だろうか。
「あの、本当にごめんなさい。今度から気をつけま――」
 明夫がまた変わった人に遇ったなぁと思いつつも、胸に触ってしまった事を再度謝ると、スイカのようなそれを覆っていた布がヒラリと取れた。
「お?」
「あっ」
「え?」
「いぃ!?」
 ぶつかった衝撃でビキニの水着の紐が解け、学園でも有数だろう大きなウォーターメロ~ンが衆人環視の下顕わとなった。
「わぁ~~~~! ごめんなさいゴメンナサイ! そんなつもりは~~~!!」
 驚き固まるスイカ子さん(仮称)と、女の子の生乳を手ブラで隠す明夫。
 それまでの部活勧誘の喧騒がそこの周りだけ止まった。

「Verweile doch! Du bist so hakusyonn(時よ止まれ、お前は――ハクション!)」
『どうしたのですかマスター。風邪ですか?』
『いや、何かどこかで呼ばれた気がして』
『それより今失敗したせいで状況が悪くなっているのですが』
『……ごめん』
 何処かの誰かも時が止まっていた。

「その手を離すヨ、ボーーーイ?(ジャキ)」
「あの……あれ……?」
 生乳を生手で触られたスイカ子(仮称)が銃らしき物を明夫の頭に突きつけた。
 ゴリリと言う音が頭蓋骨を伝い響いてくる。そして恐る恐る少女の顔を覗く明夫。下を向きこぼれたウェーブがかったブロンドが顔を隠している。
 そのブロンドの髪に隠れた少女の目が語っていた。
(殺《と》る)
 明夫は手ブラの役目を放棄してダッシュした。
「ファック!!(ドンッ! ドンッ! ドンッ!)」
「うわーーーホントに実銃だったーーー!?」
 銃声と共に蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う周囲の生徒達。
 おっぱい丸出しで追い掛けてくる痴女から逃げる明夫。
 明夫は「助けてー!」と誰彼構わず助けを求めるが「こっち来んな!」「あっち行け!」と追い払われ、行く先々を大混乱させて行く。
「何をしているセイバーアックス! ボルテッカや!」
「ボルテッカだと!? 相手はただの魔乳ではないか――て! こんな時に何言ってんですか先輩!」
 それを見て細がボケたりサムライガールが乗り突っ込みしたりしているが、その間も二人の追いかけっこは続いている。
 狩る側と狩られる側の追いかけっこが。
「待ちやがるデスこのもやしボーーーイ!!」
「待ったら殺されちゃうよーーー!」
 某本官さんのように景気良く撃ちまくるスイカ子は、何も無い空間から予備マガジンを取り出していくらでも弾を撃ってくる。
 明夫はその銃弾の嵐を奇跡的に避けまくっているが(お互い全力疾走中なので狙いが付けられないが)、いつ弾で命《たま》を取られてもおかしくない。
 第一かような狭所で撃っていれば他の者達も無事ではry
「大変ですよ! 早く助けなければ!(私の新入生くんが死んじゃうよ~><)」
「ふん、自業自得だ」
「あらあら~大変やねぇ」
 事態は本当に大変な事になってきていた。
 朝の部活勧誘会はメチャクチャ。逃げ惑う生徒と面白がって囃し立てる生徒で辺りは騒然としていた。
「助けてーーー!」
「絶対に許さないヨーーー!」
 最終的に逃げ場を無くしたのか、明夫は今門前の噴水の周りをグルグル回っていた。スイカ子もそれを追いかけてグルグルと回っている。
「アホか……」
「このままじゃバターになっちゃうやん。と言うのは冗談で、これ以上放っといたら醒徒会が来ちゃいそうやね~」
「そうですよ! そうなったら倶楽部存続の危機です!(やたっ♪ 先輩が動いてくれる。良かったね~私の新入生くんっ)」
 二人のその様子を呆れ顔で傍観するヒルデと、アセアセと心配顔で見守るサムライガール。
 二人の後輩の心配そうな様子を受け、三年で会長である細が胸の前で印を結び呪文を唱えた。
「ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン、不動守護結界や」
 そう言うって細が手をかざすと、明夫の姿が突然として消えてしまった。細の能力『結界』に囚われたのだ。
「(ごんっ!)いてっ! あ、何だ? ここ見えない壁がある?」
「どこ行きやがったデスかー! 出てくるネーーー!」
 突然消えた明夫にざわつく周りの生徒達。スイカ子もその場で立ち止まって前触れ無く消えた明夫を探している。
 そして結界の中からその様子を見る明夫の元に、ラルヴァ倶楽部の三人が入ってきた。
「僕の事見失ってるみたい、助かった……」
「結界に隠してあげたんよ」
 細が明夫に安心してやと声をかける。この結界は外部から見えなくなる隔離空間を作り出す結界で、中から外を見る事が出来ても外から中は見えないのだ。
「改めてウチらの事自己紹介するわ。ウチは細《ささめ》、狐のラルヴァや。一応倶楽部の会長やさかい、よろしゅーな。その……」
「あ、小鳥遊明夫《たかなしあきお》です。こちらこそ宜しくお願いします」
 明夫はここでまだ自分が誰にも名乗っていなかった事を思い出した。
 まさか出会ってものの数分で名乗る暇も無くこんな事になってしまうとは、誰も夢にも思わなかっただろう。
 しかしそんな事が起こるのがラルヴァ倶楽部なのである。
「お、おほんっ。私は幽霊の毘沙門だ。困った時は遠慮せず頼ると良い(やたっ! 今日始めてのポイントアップ! このまま仲良くなりたいなぁ)」
「こちらこそ宜しくお願いします、あの……(毘沙門って、女の子なのにすごい名前してるなぁ……)」
「スゴイ名前やろ? 呼び辛いからびっちゃんでええよ」
「な、勝手に――」
「宜しくお願いします、びっちゃんさん」
「……うん。(きゃー! きゃー! びっちゃんて呼ばれちゃったびっちゃんて呼ばれちゃったぁ♪)」
 サムライガール毘沙門は明夫にびっちゃん(さんも付いていたが毘沙門には聞こえていない)と呼ばれた嬉しさで舞い上がり、顔を下ろして赤面した。
(やっぱり何か変な人……)
 その様子に(何故そんなに顔を赤く?)と意味が分っていない明夫は不信感を抱きつつも、いよいよ最後の一人ヒルデの番だと少女の方を向いた。
 少女は自分の番だと言うのに恐い顔をしたまま明夫の顔を見ない。
「あ、あの」
「……私はまだお前の事は認めていない」
 その様子に明夫が声をかけるが、ヒルデは相変わらず梨の礫である。
 落ち込む明夫だったが、そんな呑気に自己紹介しあっている間にスイカ子の怒りはマックスに達したらしく、空間転送で武器やら兵器やらをメチャクチャ引っ張り出している。
「出てこないならここら一体焼け野原にするネ!!」
「あ、キャロが切れとったの忘れてたわ」
 細は落ち着いた顔でそう言ったが、どう見ても落ち着いていられる状況じゃない。
 キャロと呼ばれたブロンド碧眼爆乳の少女は完全に頭に血が昇って見境がつかなくなっているようだ。
 今や校門前はテロリストが買いに来る兵器の闇市のような感じになっていた。こんな物を一斉砲火《フルバースト》された日には憩いの噴水が硝煙漂う血の噴水になってしまう。
「どどど、どうすれば良いんですか!? 何か物騒な物一杯出し始めましたけどー!?」
「あちゃ~、こりゃミリオンズアームズのワンマンアーミーを始める気やね~」
「流石に不味いですよこれは……全員で出て行って撃ち始める前に叩きのめしましょう」
 三人であの暴走するおっぱいをどうするか話し合っていると、それまで黙っていたヒルデがとある提案をした。
「こいつ一人行かせれば良いだけの話では?」
『えぇ!?』
 驚くヒルデ以外の一同。こいつとは勿論明夫の事だ。何とヒルデは明夫一人を犠牲にしろと言い出したのだ。
「狙いはこいつ一人です。何も全員で行く必要は無い」
「そ、そんな事――」
 確かにヒルデの言う事は一理ある。しかしそれまでの経緯を考えれば守ってやるのが世の情けと言うものだろう。
 ※生乳揉んで美味しい思いをした罰だと思う方もいらっしゃるかも知れないが、ここは話の都合上ご容赦下さい。
「どうする? 女の子を危険に晒すのか?」
 『女の子を危険にさらすのか』その言葉を聞いて明夫はヒルデの気持ちを理解した。
 ヒルデは明夫に汚名返上のチャンスを与えているのだ。ここで格好良い所を見せろと言っているのだ。
「ぼ、僕は……」
 明夫は躊躇した。当然だろう。相手は銃を持って乱射しながら人を追い掛け回すようなじゃじゃ馬娘だ。
 ここまで死ななかったのも奇跡的なのに、今目の前に出て行ったら確実に殺される。
 明夫はヒルデの方を見た。するとヒルデの瞳は今日初めて明夫に向けられていた。ここで行かなければ男が廃る。
 死ぬほど恐くて足がガクガク言っている中、明夫は恋と言う麻薬で無理やり恐怖を紛らわせ立ち上がった。
「僕が……一人で行きます!」
「よく言った」
 そしてヒルデから明夫に向けられた初めての微笑に、明夫は改めて勇気を貰った。
 そして明夫は一人で結界の外に出たのだ。
「あっ! やっと出てきましたネもやしボーイ!! そこに直るヨ!」
 結界から出た途端発見される明夫。しかし今の明夫には構わなかった。
 ヒルデに見直してもらう為、明夫は何も考えずガムシャラにスイカ子、キャロに向かって全力疾走した。
「っ!? 良い度胸ネ! 蜂の巣になるがいいネーーー!」
「やぁぁぁぁーーーーーー!!」
 当のキャロはその突進が意外だったのか大量に出した重火器からすぐ持てる物を適当に引っつかみ明夫に向けた。
 ――しかし――
「キャーーー!」
「わーーー!?」
 キャロが銃器を構えて発砲するより先に、明夫のタックルが届いていた。
 二人はそのまま一緒に後ろに転げ今度こそ明夫は転倒した。
「いったた……良かった、生きて――(ポヨンポヨヨンッ)」
「アンッ」
 またしても明夫の手に伝わる学生にあるまじき暴力的弾力。柔らかいのに弾力がある二つのスイカを、今度は両手で思いっきり鷲掴みにしてしまっていた。
「お前~~~~~」
「違うんです! これは必死にやった結果で――て別におっぱいも揉むのに必死になった訳じゃなくて止める為に――」
 おっぱいから手を離し後ずさる明夫。これでは折角決死のタックルを決めた意味が無い。しかしまだウブな明夫は手に残る超ドレッドノート級の感触にすっかり慌てふためいていたのだ。
 そんな明夫に今度は胸を両手で隠しながら向かってゆくキャロ。その表情は暗くブロンドの下に隠れ見えない。
「ひっ!?」
 そしてとうとう明夫の目の前にキャロが立った時、爆乳少女は意外な反応を見せるのだった。
「い、一度ならず二度までも(生乳)揉まれたら、もうオヨメに行けないネ……責任、とって欲しいヨ」
「へ?」
『えぇ~~~!?』
 明夫に抱きつくキャロと突然の事に状況を理解しきれない一同。
 おっぱい丸出しで走り回っても恥かしくない娘の、生乳《おっぱい》を二回揉まれたからなどと言う理由で行う告白。
 さっきまで銃で追い回されていた相手に責任取れと迫られ、明夫はすっかりたじたじである。
「あのっ! これ……僕はどうすれば!?」
 明夫はキャロに抱きつかれたままヒルデに助けを請う明夫。しかしヒルデの態度は冷ややかだ。
「男らしく責任取ればよかろう?」
「ヒルデさ~~~ん!」
 明夫より少し背が高いキャロ。貧弱な明夫は力もどうやらどっこいらしく、羽交い絞められたまま逃げる事が出来ない。
 見直されたと思ったのに再びヒルデにそっぽを向かれ困る明夫。相変わらず空気を読まず明夫にべたべたくっつくキャロ。
「ダーリンって、呼んで良い?」
 キャロの瞳はすっかり恋する乙女に変わっていた。
「まさかこうなるとは……大混乱やね~」
「キャロ先輩離れて下さい! 大和男子《やまとおのこ》にはそんなスイカのようなお乳より私のような|上品な胸《ひんにゅう》の方が良いのです! 離れて下さーい!(公衆の面前ですよ! 自自重して下さい先輩)」
 呆れるヒルデ、混乱を楽しむ細、本音と建前が逆になってる毘沙門。さっきまで大騒ぎしていた四人が落ち着いたのを見てバラケ始める物見遊山達。
 こう言う所は流石騒ぎに慣れている双葉学園生と言うべきか……。
「それよりあれ、タイマー動き続けているように見えるのだが?」
『あっ』
 そう言われて一同が先程キャロの出した武器群を見ると、爆雷の表示タイマーが今も進み続けている。
「ヒルデ!」
「分っている!」
 細がヒルデの名を叫ぶ。その瞬間、ヒルデの手に昨日と同じ、いや、もっと巨大な光の刃が現われた。それは剣《ソード》と言うより両刃の槍《ランス》。
「あっ、あの時の光の剣!」
 ヒルデが跳んだ。ロケットランチャーやら機関砲やらミサイルやらの山の中から爆雷一つ目掛けて襲い掛かる。
「壊れろーーー!」
 爆雷の一点、大きな球体の中にある信管その一点を見切り光の刃を突き刺す!
 そして続けざま立ち並ぶミサイル群の信管をも斬り飛ばした。質量が殆ど0の刃は自由自在に素早く振れる分、その扱いには特殊な剣術を要する。
 その特殊な剣術を以って凄まじい体術と共に、爆発物を全て無力化させたのだ。
「すごい……あれだけのミサイルを全部叩き斬った」
「当然だろう。理論上タキオンブレードに斬れない物質は存在しないからね」
 感嘆の声を上げる明夫の横で、白衣を着てタバコを銜えた女性がそう説明した。
「タキオンブレード内の空間連続体は非常に不安定でね。触れた物質は空間歪曲により崩壊に到るんだよ」
「へぇ~……て、ん? あの、誰ですか?」
 この突然現われた得意気に解説している女性。
 余りに当然の如くこの喧騒の中そこにいたので気付かなかったが、明夫はようやくその人物が見た事の無い人物であると気づいた。
「誰とはご挨拶だねキミ」
「せ、先生!」
 先生、と言ったのは細だった。この白衣でタバコを吸う化粧っ気の無い女性は教師だと言う。
「ホンマすいません豊島先生。ウチが一緒やったのにこんな」
「キミらは目を離すといつもこんな調子だね。いや困った困った」
 と頭を掻きながら言う豊島だったが飄々としている為全然困っているように見えない。
 この色気もへったくれも無い女性、豊島がラルヴァ倶楽部の顧問なのだ。ちなみに彼女は人間である。
「後の事は私が何とかしてあげよう。幸い怪我人も居ないようだし何とかなるだろうからね。あ、部長の細は事情説明の為残るように」
「は~い」
 こうして明夫の波乱のクラブ活動は始まりを告げた。
 この時、残り一週間の仮入部期間、もう他の所には行かせて貰えそうにないなと明夫は思ったのだった。


――翌日――

「おはよーダーリン!」
「わっ、キャロラインさん!」
 明夫が昨日と同じように校門を潜ると、相変わらず部活勧誘で騒がしい人混みの中真っ先にキャロが飛びついてきた。
「も~そんな他人行儀じゃ嫌だヨ。ミーの事はキャロって呼んでネ♪」
「じゃあウチの事も細って呼び捨てにして♪」
 左腕に縋るキャロの方を見ていると、反対から独特の関西弁が聞こえてくる。銀狐の細会長だ。
「細さんいつの間に!?」
 朝から両腕に伝わる柔らかな感触。方や完全に二の腕が埋没し、方や山と山の間に程よく挟まれている。
 昨夜もヒルデに見直してもらえたか気になりあまり眠れなかった明夫。
 二つの双丘の感触に朝モッコと相まって暴れだそうとするジュニアを、明夫は何とか悟られまいと抑える為、別の事を考える事にした。
「しかしキャロさんもラルヴァ倶楽部の一員だったんですね」
「そうだヨ~。ダーリンとは運命を感じるネ」
 昨日あの後、明夫はキャロラインこと通称キャロがラルヴァ倶楽部の三年生だと細から聞いた。
 ラルヴァ倶楽部のメンバーは現在豊島先生を顧問に三年の細とキャロライン、二年のヒルデと毘沙門だけだと言う。
「で、入部の決心はついたのか?(お願い入部して! キミが来てくれないと私また何年も売れ残っちゃう~)」
「僕は……(チラッ)」
 学校から正式に部活動として認められるには最低でも五人の部員数が必要だと言う。ラルヴァ倶楽部はあと一人誰かが入らないと廃部の危機なのだ。
 明夫はラルヴァ倶楽部は結構楽しそうだし同情心もあって入っても良いと思い始めていた。
 しかし想い人のヒルデが明夫を嫌いなままでは入会しても辛いだけである。明夫は細とキャロに挟まれながら毘沙門と並んで歩くヒルデの方を見た。
 その視線を感じたのか、ヒルデは一瞬明夫の方を振り返った後、再び前を向いて顔を見せないままこう答えた。
「入りたければ入れば良かろう。君がそれで良いと言うならな」
 それはヒルデのOKサインだった。ヒルデは明夫の事を少しは認めてくれたのだ。
「(やった~!)入部します! 僕をラルヴァ倶楽部に入れて下さい!」
 憧れのヒルデに認められた事が嬉しくて、明夫は昨日の内に書いておいた入会届けをポケットから出す。
 それを受け取った細は満面の笑みで、小鳥遊明夫のラルヴァと人間の共存可能性を模索する会、通称『ラルヴァ倶楽部』への入会を受理した。
「決まりやね」
「これからはずっと一緒ネ~!」
「改めて宜しく頼む(これでまだ私にもチャンスが……フフッ)」
 新一年生の入会を心から歓迎する三人の笑顔の花が咲く。細、キャロ、毘沙門は手を取り合って明夫を迎え入れた。
 そしてヒルデは……。
「こ、この前は失礼な事を言ってすまなかったな」
 ヒルデは道の真ん中で立ち止まり明夫の方を振り返った。
 これまで見せた事の無い照れ隠しの表情で、そっぽを向いたままだったがヒルデは明夫にキチンと謝ったのだ。
「いえ、良いんです」
 そしてそれを明夫は爽やかな気持ちで受け取る。そう、今やっと明夫はヒルデの前に恥ずかしい事無く立てるようになったから。
(僕はヒルデさんのお陰で勇気が出たんですよ)
 一つ年上のクールで厳しい女性。しかしその人を好きになってしまった明夫はこれから頑張っていくしかない。
 いつか彼女に認めてもらえるその日まで……。
「ただ……」
「ただ?」
 認めて貰えた感動に浸っていた明夫の耳に不吉な言葉が響いてくる。
 見るとヒルデの顔はいつの間にかいつもの不機嫌そうな目とへの字口に戻っていた。
「軟派者」
「え?」
 そう言われて明夫は思い出す。ヒルデが真剣に謝っている間も、明夫は四つの柔らかい物に挟まれたままだったのだ。
「あの! これは違うんです! これは何て言うかその……兎に角違うんです~!」
 軟派者と言うセリフを叩きつけて、ヒルデは再び向き直り明夫を置いて行ってしまった。
 明夫はヒルデを追いかけようとするが両脇の二人が掴んで放さない。
「ダーリン、一緒にクラスまで行ってあげるヨ」
「あきくんはウチと一緒に行った方が嬉しいんよね~」
「二人とも自重して下さい! もう校門ですよ!(私が入る隙間が無い~うぅ~)」
 明夫の両脇で睨み合う細とキャロ、そしてそれを引き剥がそうとする毘沙門。
 そうこうしている内に明夫の想い人は校門前の雑踏の中見えなくなってしまう。
「ヒ、ヒルデさん……ヒルデさーーーん!」
 明夫は中々届かない想いを胸に、今日もヒルデの後を追う決心をした。


――終わり――




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