【金剛の皇女様】


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 1999年7の月というのは、かの有名なノストラダムスの大予言にある「恐怖の大王」が君臨する時だったらしい。「らしい」というのは、当時あたしがまだ7歳で、そんな話を聞いたことが無かったからだ。
 けれども、その日……恐怖の大王ではない何かが、あたしの人生を根底から動かしたのは、否定しようも無い事実だ。
 世界中で「これこそ恐怖の大王だ」という話はあったらしいが、あたしはそうは思わない。

 だって奴らは、幸せのうちに統治する、なんて事はしないから。



【金剛の皇女様】




Capture 0 「1999年7月某日」


 草原の真ん中に、目をつむって立っているあたし。
 黒い何かでべっとりと汚れてしまった、お気に入りのワンピース。
 身体のあちこちを噛み切られて、いたるところに伏している複数の人影。息をしているのも、していないのもあるけど、どちらにせよ長くは持たないと思う。
 そして、あたし達を取り囲む三つの黒い獣。
 口から血を滴らせて、そこだけ真っ赤な獣。イヌかな、オオカミかな。どちらにしても、こんなに真っ黒いはずは無い。まるで、お月様が出ていない夜の、森の中みたいに黒い獣。
 『わけが分からない』
 『このまま死ぬのはイヤだ』
 普通だったら、そう思う場面なのかもしれない。
 けれど、あたしは確信していた。
 『つぎに目をあけたときには、ぜんぶおわってる』

 轟音と共に、獣のうちの一匹が吹き飛ばされる。放たれたのは単なる鉛球で、悪魔を殺すことはできない。
 それでも、こいつらには十分だったみたいだ。一匹はもう動かない。驚いた二匹は、あわてて逃げていく。
「なんてこった……」
「おい、そこの君! 大丈夫か!!」
 あたしが得意じゃないほうの言葉で、誰かが呼びかけてくる。
『うん、大丈夫』
 そう返事をしようと思ったけど、すごくねむくって、そのまま倒れこむ。
 もう、だれもおこしてくれないのかな、と思いながら。



「……なつかしー……」
 それほど柔らかくない布団に包まれ、似たような枕に埋もれて、あたしは目を覚ます。
 最近めっきり見なくなった、昔の夢。
 あまりに衝撃的すぎて、忘れようとする努力すら無駄な出来事。
 あたしの人生を決定付けることになった、夏の日の悪夢。
 枕元に置いていた目覚まし時計に目をやると、まだセットした時間ではない。けど、起きるにはいい時間だ。
「んっ……うーん」
 ベッドから上半身だけ起こして、大きく伸びをする。どこかでバキッ、という音が聞こえた気がしたが、気にしないことにする。
「……ててっ。よしっ、今日もがんばろー」





Chapture 1 「少年と女教師」


 東京都24番目の区、双葉区。その中心としてそびえる双葉学園は、異能者を育てて怪異を討伐する専門の教育機関だ。とはいえ、育てられている彼等はあくまでも学生である。実際の扱いはともかくとして。
 今、高等部の校舎内を爆走している彼、錦龍《にしき りゅう》も、それは同じことだ。
「間に合うっちゃ間に合うけどよ……!!」
 ホームルームまであと2分。今居る1階中央口から、クラスがある3階までは彼の足なら1分で行けるだろう。そう信じて廊下を走り抜ける。
 壁際を駆けている際に何かと接触したような衝撃が走るが、多分壁だろう。気にしないで階段まで加速、三段飛ばしでそれを駆け上り、手すりに捕まって無理やり方向転換。そんな事を繰り返しながら、まだ開いているドアから教室に滑り込む。
 足下からホコリが舞い上がるほどの勢いがついてしまい、止まれない……と思った瞬間には、誰かに足をかけられていた。
「のわ、たぁぁぁぁ!!」
 龍はそのまま派手にスッこけ、まるでブレイクダンスをしているかのように壁際まで一直線に転がる。幸い壁へ衝突とはならず、壁際でビタ止まりする。
「よードラ、重役出勤ご苦労さん」
「うっ、せぇ、トラ、すき、で、やって、ん、じゃ、ねぇ……」
 足を引っ掛けた張本人である中島虎二《なかじまとらじ》が椅子越しにこっちをニヤニヤ覗き込んでいる。周りからはクスクスとかワハハとか笑い声が聞こえる。彼等にとってはいつもの事だ。

 錦龍と中島虎二は、幼稚園からの幼馴染。いわゆる、腐れ縁というものだ。スポーツマン然とした風体で、今でも空手を続けている龍と、中世の貴族然とした(現代の人間がイメージする)美形であり、勉強は出来るが運動神経ゼロの虎二。正反対なところが良かったのか、不思議と馬が合った。
 あまつさえ、両者に稀有な『魂源力』が備わっているという。それが縁で、この双葉学園高等部に編入する事となり、またもや同じクラス。腐れ縁は今も絶賛継続中だ。
 編入されてから三ヶ月、龍は『異能』の使い方をあっさり掴んだ。一方の虎二は未だそれを掴んでいない。その代わり、勉学に関して龍は、虎二の書くノートに頼りっきりだ。
そういう意味では、相変わらずバランスがとれている。
 なお、互いのことを「トラ」「ドラ」と呼び合うが、昔アニメ化してた小説はあんまり関係ない。というか両方とも男だ。

「そろそろ座らないとせんせーさんが来るっすよ?」
「わーってる、と!」
 誰かの声に反応し、ひっくり返った状態から身体のバネだけで起き上がる。軽く虎二の方を睨むが、完全にスルーされる。憮然とした表情のまま自分の席に着き、学生鞄から諸々の勉強道具を取り出す。あんな状態でも鞄だけは手放さなかったのが不思議だと思ったところで、学内に予鈴が鳴り響いた。
 学生の本分である、勉強が始まるわけだ。

 予鈴が収まると同時に教室前面のドアが開き、黒いファイルとプリントを抱えた女性が入ってくる。
 背の丈は成人女性にしてはやや低め。それだけならば良いのだが、それ以外が問題。
 水色のチェニックにロングスカートという服装、童顔な上に黒髪を顔の両側からお下げにし、さらに起伏がほとんど見られない痩せすぎのボディライン。なお、近くで見ても顔にシワは見えない。
 制服を身に着けていないという点で中等部、高等部生徒でないことは明白だが、かといって大学部の学生にも見えない。流石に初等部は有り得ない。
 クラス委員がやる気がない起立、礼、着席をこなし、再び全員が着席したところで、女性が口を開く。
「おっはよー。今日も一日がんばろー。それじゃ出席とるよー」

 そう、彼女が双葉学園高等部1-B、通称「鋼のB組」担任、春奈・C・クラウディウス《はるな・クラウディア~》、27歳。
 日英ハーフであるという話だが、容姿を見る限りはいたって普通(幼く見える所も含めて)の日本人女性である。
 あまりに似合わないファミリーネームの為、学生からは「春奈先生」「春奈ちゃん」もしくは「せんせーさん」で通っている。
 教養の担当学科は現代国語、それとは別に高等部の異能力学科で『初級ラルヴァ知識』、及び『集団戦闘』を受け持っている。
 黒い表紙の出席簿と首からかけている教員証を除いては、教員らしい外見要素はゼロである。実際大学部を歩くと間違えられる。

「そうそう、錦くーん……」
 出席をとり、各種の連絡事項が終わったところで、声をかけられる
「はい?」
「遅刻しないつもりなのはいいけど、ちゃんと周囲を見て歩こうね……」
 ぷるぷると肩を震わせている春奈を見て、一瞬で思いだす。さっき疾走していたとき衝突した感覚は……
「! す、すみません!!」
「……まあいいや、他の人にはやらないように。それじゃホームルームはここまで。また午後にねー」
 手を振りながら教室を出て行く春奈を見送り、教室内がにわかに騒がしくなる。
 頭を抱えて座った龍の後ろから、虎二がペンでつっつてくる
「おいドラ、何やったんだよ」
「……多分、今朝の接触事故相手だ」
「側面不注意でマイナス1点だな」
「何が」

 午前中の授業を、龍はあまり覚えていない。一般学科ばかりであった事と、今朝の全力疾走による疲労が堪えたのか、見事に熟睡だった。
 絶妙のタイミングでフォローを入れてくれた虎二に感謝をしなくてはいけない。

「さあ、感謝の気持ちを伝えるには最適、昼メシの時間だ!」
「イヤに即物的だな」
 昼休みの学食は、当然のように混む。学園は非常に広く、学食も複数存在する。さらに建物の外には学生向けの飲食スポットもあるのだが、やはり学食は目玉スポットであり、味や値段にバラツキはあるものの、どの学食も非常に込み合う。
「なーにをおごってもらおっかなー」
「俺がおごるのはA定だけだぞ」
 そう言いながら、虎二にチケットを渡す。サンキューという言葉を残してとっとと先に行ってしまった。
 高等部棟近くで一番の人気メニューであるAランチ。俺達はA定と呼んでいるが、定食と略す割りにメニューは日替わりだ。支給される学食のチケット一枚で頼めるのも好印象。券売機に並ばなくてすむ。とは言え、今日の龍はA定という気分ではない。ぶらぶらと券売機の方に向かう……と、微妙に混雑している。
「……先生、何やってるんすか」
「あ、錦くん? ……いやね、どっちにしようかなって」
 混雑の原因は春奈先生。券売機の前で財布の中身とにらめっこしている。
 彼女の視線の先にはカレーライスのボタン。どうやら『普通』と『大盛』で悩んでいるらしい。
「ダイエットでも?」
 まず有り得ないと思うが、一応聞いてみる。彼女にそぎ落とす肉があるとは思えない。
「まっさかー。手持ちが少ないんだよ……」
 とほほ、という表情と共に財布の中身を見せる先生。確かにこれでは、大盛を買ったら缶コーヒー一つまともに買えない。面倒だったので、券売機に大盛カレーの金額(310円)を突っ込みボタンを押す。
「……!?」
「これで、朝の事はチャラってことで」
「うわ、ほんとにいーの!? ありがとー!!」
 飛び跳ねそうなくらいキラキラした表情を見せ、出てきた券を大事そうに持って歩いていく。
「給料日前だったっけ?……手持ち少なすぎだろ」
 愚痴をこぼしながら列の最後尾に向かう。この長さだと何分かかるやら。

 午後の授業は、五限目、六限目と春奈先生の授業が続く。前半は現代国語、本日の一般科目ラストだ。
「~という所までを、中島くん読んで」
「ちょ、せんせー! 今まで席順で指してたのにドラはスキップですか!?」
「ふふふ」
「ふふふ、いいから読みなさーい」
 しぶしぶ立ち上がった虎二が、一連の文章を読み終える。
「さて、今中島くんに読んでもらった文で、明らかに主語と述語の関係がおかしかった部分があります。
 ……錦くん、それはどこでしょう?」
「フェイントですか先生!」

 後半は『初級ラルヴァ知識』。異能力学科のため、周りの目も比較的真剣だ。ただ、今の授業内容は「ラルヴァが持つ知能のレベルについて」であり、対ラルヴァ戦で既に活躍しているような一部生徒には、退屈ともいえる内容である。実際、約一名が熟睡している。
「加賀杜さーん、ちょっとまじめな話しますよー」
「ふぇ?……あ、ごめんなふぁい……」
「実際、今までの所は、もう知ってる人も結構居たでしょうからね……少しだけ、話を変えましょう」
 先生が教本をパタン、と閉じる。
「さっき話したとおり、ラルヴァの中には人間を超える知能を持った個体も存在します。ならば、人類がラルヴァに対して持っている、明らかに優れたものは何でしょう?」
 春奈先生の質問に、一同が考え始める。なかなか答えが出ないのを見たのか、ヒントを出す。
「もっと突き詰めて言うと……人類とラルヴァの大規模戦闘、いわゆる『悪魔の軍勢との戦い』では、人類は未だ負けなしです。局地的に負けていても、必ず巻き返し、失地回復をしています。どこかで負けてたら、多分大陸の一つは持っていかれてたでしょうね。……さて、なぜ負けないのでしょう?」
 ヒントは数人を混乱させた一方、別の何人かがピンと来た顔を見せ、その中から一人が挙手する。
「姫川さん、どうぞ」
「はい。メンバーの連携……チームワーク、ですか?」
 彼女、姫川哀は、同じクラスの伝馬京介、氷浦宗麻の両名と共に、ラルヴァ討伐チームの一員として活躍している。その回答に歓声が上がるが、先生の解説で、再び沈黙が訪れる。
「チームワーク……惜しいですね。数匹単位では、狩りの本能を利用して集団戦を仕掛けるラルヴァは存在します。でも、方向性は間違っていません……もうちょっと、視野を広げてみましょう。
 数十から数百単位、あるいはもっと大規模な戦闘では、個々の能力はもとより、全体の戦況を見通した戦術、さらには戦略が要求されます。人類には、数千年前から繰り返し繰り返し培ってきた、戦術、戦略があります。ダテに身内で争っていた訳じゃないですね。組織だった異能者の育成が遅れ、不利な人類側が勝ってこれたのは、これらの積み重ねがあってこそ、です。それらを駆使するラルヴァの指揮官的存在は、現在確認されていません。高い知能を持つラルヴァでも、自分の能力を過信したり、集団戦の指揮に慣れていなかったり、というのが多いですね。
 ……逆に言うと、ラルヴァが戦術、戦略を駆使するようになってからが、本当の勝負なのかもしれません。
 大学部では、異能に関する歴史を研究する学科や、対ラルヴァ戦に特化した戦術を研究する学科もあります。興味がある人が居たら、資料を取り寄せておくので、言ってくださいね」
 そこまで話し終えたところでチャイムが鳴り、教室がため息で包まれる
「お、ジャストで終わったー……せっかくですし、とっととホームルームやりましょうか」

「よっしゃ、終わりー!!」
 ホームルームも終わり、教室が開放的な空気で満たされる。適当にダベッている者、クラブ活動や委員会の活動に移る者、早々に帰る者。龍はその真ん中、空手部の活動に出るため早々に教室を出ようとする。
「おーいドラ、お前はいいなー、やれる事があって」
 虎二が少し羨ましそうに、出て行く龍に声をかける。
「お前も何か見つけろよ、俺より頭いーんだから、そっち方面で行けって」
 軽口を叩きながら、龍がそのまま教室を後にする。
「……なーんか、ありゃいいんだけどなぁ……」












Chapture 2 「Before1999の憂鬱」


 高等部職員室で赤ペンを走らせていると、これが本当の職業じゃないか、という気がしてくる。
 実際に教師は本職であるが、それとは別に、異能の力など関係ない、ただの一教師として……あの1999年が無ければ、そんな未来も有り得たのだろうかと、感傷に浸ることもある。
「……ふう」
 小テストの採点が一息つき、テーブルに置いた飲みかけの缶コーヒーを一気にあおる。錦くんに昼食をおごってもらったおかげの一本だ。重ね重ね彼には感謝。そうやって息を抜いた後、春奈は引き出しからプリントを取り出す。
 彼女が担当するクラス、1-Bの生徒32人の名簿であり、名前の横に数字、もしくは文字『特』『無』の文字が振られている。
 そのプリントとしばしにらめっこしていた彼女だが、横に座っている同僚の木津先生から声をかけられる
「春奈先生、そろそろ向かわないと間に合わないんじゃないですか?」
「ウソっ! もうそんな時間!?」
 そんな風に声をかけられて時計を見ると、約束の時間まで一時間ちょっと。バスの時間まではあと数分も無い。
「ありがとーございますっ!!」
慌ててプリントをバッグに突っ込み、そのバッグを掴んで駆け出す。
「……自分のスケジュールを把握されてて違和感を覚えないって、鈍感すぎ」

 慌てて出発直前のバスに駆け込み、揺られること一時間。そこから少し歩いた住宅地に、その建物はある。一見普通の和風建築、だがその中が魔窟と化していることを彼女は知っている。
「どうぞ、お入りください」
 メイド服の少女に案内され、家の中に入る。迂闊に足元の物を踏まないように注意し、奥の部屋へ向かう。
「クラウディウス先生をお連れしました」
『……? ああ、春奈先生ね。入ってちょうだい』
 扉越しに声をかけられ、先ほどよりもより注意し、物が溢れた一室に入る。
「久しぶり~、元気してた、那美さん?」
「まあまあって所ね。あなたこそ、全然大きくなってないじゃない」
「それはほっといて……お願いだから」

 異能、特にラルヴァ研究者である彼女、難波那美とは、同い年という事もあり懇意にしているが、それだけではない。
『似たもの同士』
 互いに1999年、運命を捻じ曲げられた者としての共感があるのだろうか。

「へぇ。高校からの編入で、未覚醒者が半分ぐらいだったのに、もう大半が使いこなせてるの?」
「あたしは何にもしてないよ、みんなの飲み込みが早かっただけ」
 大まかな能力概要とレベルを書いた生徒名簿(名前の部分は、念のため仮名にしている)を見せ、今後について相談する。
「それで、これがチーム分けね……強能力者と目覚めたばかりとのツーマンセルね。まあ、こんな所じゃないかしら。能力詳細知りたいとこだけど」
「流石にそれは、プライバシーがあるから」
 だいたいの能力とそのレベルは学園の機材で調査されているが、それで分からない部分も多々存在する。そこのあたりは互いに信頼し、自己申告で確認している為、迂闊に洩らすことは出来ない。
「さて、次はあなたね……準備いい?」
「バリウムみたいなのはダメ、今日はたくさんお昼食べたから」
「んなもの使わないわよ」

「……最近、能力使ってないでしょう?」
「まーね、使う機会ないし」
「そんなに頻繁にあっちゃ堪んないから」
「那美さんはその点、基本は単純だからねー。活躍は聞いてるよ」
「まあ、そこら辺は適当にやってるわ」
 検査が終わり、春奈がチェニックを羽織る。

 1999年に発生したラルヴァの大量発生、その前後に異能に目覚めた能力者は、色々と特殊な力を持つという。那美の『荒神の左手《ゴッド・ハンド》』は、その圧倒的な破壊力と、能力の発現原因(伏せられているが、ラルヴァに寄生されているという噂がある)という点で異彩を放つ。
 一方で、春奈の『ザ・ダイアモンド』は、いちおう超能力派に分類されるだろうが、その使用法が極めて異質である。
「で、あなたの力、ようやく原理が掴めてきたところだけど……応用範囲無限大ね、これ」
「ヘタに応用しようとしたら、あたしの居場所無くなっちゃうって。ただでさえアレなのに」
 春奈は苦笑いを浮かべ、バッグを抱えて立ち上がる。
「もう帰るの?」
「あんまりノンビリしてると、バスなくなっちゃうし」
「ん、じゃあまた……一月後くらいにね」
 軽快な足取りで部屋を出て行く春奈の後ろ姿を見つめる那美の目には、少し呆れが混ざっていた。

 帰りのバスに揺られながら、春奈はノートを広げる。中には、古今東西、史実フィクション取り混ぜた様々な『戦い』の記録が記されている。
「……うーん……」
 何かを考えながら、ノートにシャーペンを走らせ、何かを書き加えている……これで、降りるバス停を乗り過ごすのは、日常茶飯事だ。








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