【異能力研究室2】


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異能力研究室2

 今日も始業のチャイムが鳴り『異能力研究室』が開講される。

「えー、今日の講義は『超科学の詳細』からだが、その前に前回の『召還』についての補足をしておこう。
みんな前回のページを開いて。」

 講師の指示に従い受講生たちは各々、教室備え付けのPCを操作し『異能の分類と発現条件について』と題されたページの最終項目をモニターに表示させる。

「えー 『召還』能力のサイコキネシスによる物質再現に関してだが、これが『召還』能力で召還したモノを使役できるかどうか、という問題を解決してくれる。
 どういうことかというと、まずテレポートによる『召還』の場合、任意のものを他の場所から呼び寄せることは出来てもその対象が従順なモノとは限らない。
これは呼ぶだけ呼んで後は何も出来ない可能性が高い、ということを意味する。
 ところがサイコキネシスによる『物質再現』ならば術者の都合の良い性質にすることが出来る。
理由は言うまでもないかもしれないが、本物を呼ぶわけではなく術者が作り出しているからだな。
だからこそ『物質再現』型の『召還』は『召還した上に使役できる』という、一見複数能力に思える例外性を見せることになる」

「先生、私と同じクラスの男子に『架空の存在も召還できるけど何を召還しても使役できない』子がいるんですけど、これはどうなるんですか?」

 講師の説明を聞き終えた後、一人の女子生徒が手を上げるとともに質問を発する。

「そうだな、それはおそらくは異能に対する熟練度の問題だろう。
 その彼はただ漠然と『召還する』と考えているんだろうが、架空の存在を召還するのは『物質再現』なわけだから確実に使役できるはずだ。
 テレポートとサイコキネシスの複合型の『召還』は『どっちが効率がいいか』によって本能的にテレポートとサイコキネシスを使い分けていると考えられるが、現実に存在するものであればまずテレポートを行使することになる。
するとそれは呼んでも使役できない場合がほとんどだ。
ここで術者は『呼べても使役は出来ない』と思い込むことがあり、その彼もこの落とし穴にはまっているんだろうな。
 機会があればこのことを彼氏に教えてあげるといいと思うよ」

 女子生徒は説明を頷きながら聞いていたが、最後の言葉には少し顔を赤らめて「あんな変態彼氏じゃありません!」と反論した。
講師は「これは失礼」と肩をすくめた。

「さて、では『超科学の詳細』に入ろうか。」

 講師はPCを操作しつつ説明に入る。

「えー、他の系統もその中にさまざまな異能を内包するわけだが、この『超科学』も同様だ。
が、他の系統と異なり明確に3種に分けられている。
 ひとつは設計図、構造図、組成図などを生み出す『デザイナー』
 ひとつは設計図などを介さず、機器、合金などを作り出す『アセンブラー』
 最後の一つは特定の機器の使い方を一瞬で理解、操作できる『ハンドラー』
 『ハンドラー』を除いた2つは『天啓』を受けると同時にほぼ自動筆記のように作業に没頭する。
これは時と場所を選ばない上に、場合によっては何日も不眠不休で作業し続けてしまうため大変危険だ。
 こういった事情から『超科学』系の異能者はその大半が、なかば『引きこもり』のように自室や研究室にこもりきりになっている。
決して彼ら自身、引きこもるのが好きなわけではないよ」

 生徒たちの間から「ああ」とか「それでか」などと納得の言葉が漏れる。
身近な『超科学』系ひきこもり異能者を思い出しているのだろう。

「もちろん全員が全員『ひきこもり』なわけではないし『天啓』の頻度も個人個人で異なっている。
 頻繁にさまざまな『天啓』を受けるものもいれば、何年かに一、二度しか『天啓』を受けないものもいる。
その内容や規模も『ちょっと便利な時計』レベルから使うことすらはばかられる『超兵器』まで多岐にわたる。
 さて、ではここから3種それぞれの詳細を説明していこう」

 講師の操作に従い、教室前面の大きなモニターに『デザイナー』の項目が映し出される。

「『デザイナー』は前述の通り、設計図、構造図、組成図などを生み出す異能なわけだが、これは現行の技術で作成可能なものからまったく不可能なものまでさまざまだ。
うまい具合に作りやすい機器、素材などの設計図であればいいが、そうでなければまさに『絵にかいた餅』となってしまう」

 その言葉に対し「設計して自分で作ってる人もいますけど」と何人かの生徒が疑問を投げかける。

「それは本人が『デザイナー』でありながら、設計図などを元に努力して独力で組み上げているということだろう。
 ただ、簡単な機械ならともかく『デザイナー』は設計図を作ることは出来ても理解はできないという場合も多々あり、一般の科学者に頼らざるを得ないことも多い。
このあたりの泣き所は『アセンブラー』とは逆だな。
 では続けて説明に入ろう。

 『アセンブラー』はいきなり機械などを作り出す『天啓』を受けるわけだが、これにはなかなか大きな障害がある。
 一つは素材の問題。
いくら『異能』といえど、手元に必要な素材がなければどうにもならない。
 もう一つは再現性の問題。
『デザイナー』と違い、設計図の類は一切形として残らないため、単純なものならともかく現行の技術を超えるような機器はどうにもならないし、そもそもどうやって分解するのかすらわからないものが出来上がったりもする。
壊れたらそこまでというわけだ。
 『アセンブラー』の問題点で特徴的なのは以上の二つ、それとは逆にプラスになる点は『作った者には使い方もわかる』という所だ。
まあ、使い方がわからなかったらまったく意味がないが」

 室内にクスクスという笑いがもれる中、講義は続く。

「さて『超科学』系3つめの『ハンドラー』だが、これは『デザイナー』『アセンブラー』とは随分と趣が異なる。
何が違うか?それは『超科学』に系統付けられながらも何かを作り出すわけではなく、機械を理解し操ることがその異能の全てであるという所だ。
 機械のことを理解するだけなら『超人系』の異能者、その中の頭脳強化型であれば可能な場合もあるが、操る能力を得ることは出来ない。
そこをあっさり乗り越えてしまうのが『ハンドラー』の最大の特徴であり、長所だ。
 ただ『ハンドラー』といっても全ての機械にその能力が対応できるわけではない。
つまり何らかの乗り物であったり、電子機器であったり……異能者によって使える物が異なる、というわけだ。
 ここまでで何か質問がある者は?」

 講師の言葉に反応を示す生徒が一人、手を上げて質問に移る。

「特定の機器をすぐ使えるというのはわかりましたが、それ以外には何も制限はないんですか?
他の系統だと魂源力が消費されると異能の効力が弱まったりすると思うんですけど」

「そうだな。異能を使うときは当然、魂源力が消費される。
これ自体は『ハンドラー』を含む『超科学系』も同様だ。
 が、『ハンドラー』はその『魂源力を消費する』という場面が限られている。
つまり『機械を理解する』時のみ消費される、ということだ。
だからその後どんなに機械を使っても魂源力は消費されない。
 まあ、体力を必要とする乗り物の運転などは個人のスタミナに大きく依存するのは間違いない。
すぐにバテる様ではただのドライブならいざ知らず、対ラルヴァ戦のサポートを任せるのは怖いよね」

 講師は頷き答えた。
説明の最後に冗談を交えるのも忘れない。
ふたたび室内に忍び笑いが漏れ、講師は一人ほくそえむ。

「他に質問は――どうぞ」

 講師が再び口を開くと同時に手を上げる者が一人いた。
『召還』の補足の時に質問をした女子生徒だ。

「同じクラスに『超科学系』の人に作ってもらったっていう電磁警棒を持ってる子がいるんですが、魂源力を動力源にして動作するものって現行の科学で再現可能なんですか?
『アセンブラー』が作ったものだと難しそうですけど」

「そうだね。確かにそういった『効果付与《エンチャント》』や『異能再現《エミュレート》』は君の推察どおり『アセンブラー』の手によるものが多い。
そしてそういった物は再現性が低いのは先に言ったとおりだ。
 だが『アセンブラー』にはまれに『自ら天啓を引き出す』者がいて、ある程度自分の想定に近い物を作り出すことが出来る場合がある。
君の彼氏が持ってる電磁警棒はそういった『アセンブラー』が作ったものかもしれない。
 ただこの種の『アセンブラー』は大体がささやかな『天啓』を引き出すにとどまる様だ。
まあ、超兵器を自分の意思でホイホイ作れたら危ないなんてものじゃないし、おそらくは『天啓を引き出し製作する』という二段構えの流れがそれぞれ魂源力を消費する事で、小さな結果を出すことしか出来ないという縛りの原因になっているのだろう」

 再び「彼氏」と言われた女子生徒は「だから彼氏じゃありません!」と反論したが、講師はかまわず最後まで説明し続けた。
講師に「納得いったかな?」と問われ、彼女は憮然としながらも頷くと席に着く。

「君たちバックアップ役はその性質から、実務に就けば『超科学系』の異能者とも関わることが多くなると思う。
異能者の中でも特に変わり者の多い系統だが、根気よく付き合っていくことできっと前線の者たちを助けるのにプラスになることがあるだろう」

そう締めくくった講師の言葉に続くように就業のチャイムが鳴り響く。

「よし、今日の講義はここまで。来週は『魔術系』について話そう。
 今どうしても聞いておきたい事がある者は?」

 講師の言葉に一人の男子生徒が力強く手を挙げ質問の言葉を発する。

「風紀委員長のパンツの色は実際白なんですか?」
「本人に聞くといいよ。以上、解散」

 講師の回答は実にそっけなかった。


  • このSSは筆者の勝手な解釈による創作であり、D設定の域を出るものではありません。



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