【放送委員会アーカイブス『七夕大祭カップル100組突撃取材!あんなことこんなことさらさらしちゃいまSHOW!』より】


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【放送委員会アーカイブス『七夕大祭カップル100組突撃取材!あんなことこんなことさらさらしちゃいまSHOW!』より】


Mission XXX Mission Extra-01
放送委員会アーカイブス『七夕大祭カップル100組突撃取材!あんなことこんなことさらさらしちゃいまSHOW!』より




《VTRが終わり、カメラはスタジオに移る》
《スタジオには茶髪のパーソナリティーと冒頭で『いずれ劣らぬ最強の』と形容された5人のゲスト》
「以上3位の映像でした。いやー、それにしてもあんなに綺麗どころばっかり引き連れて。おじさんホント羨ましいよ」
《パーソナリティの言葉を口火にゲストも─―既に喋り始めている一人を除いて――話し始める》
「僕としては男の子にやたらお節介を焼いていた子が可愛いって思いましたね。きっといい奥さんになりますよ………………………………………」
「女の子独り占めするハーレム男死ね!」
「――人とラルヴァとは魂源力“”アツィルト“”によりつながっています。すなわちそれは人とラルヴァは同じ木の二つ枝、姿こそ違え同じ糸でつながった兄弟なのです。無論今の理論ではそれは証明されていません。ラルヴァと魂源力“”アツィルト“”との関係も仮説レベルです。ですが人と動物とは同じ生物という輪の一部であるというのはもはや全世界の人間が共有するところであり、そして例えば古の伝承が示すように動物が変じて形を成したラルヴァもまた存在します。後は人とラルヴァの繋がりというミッシングリンクがあれば天使の輪と呼応する生物の調和と秩序の輪が完成するのであり、それこそが人とラルヴァが同じ木の二つ枝だという何よりの証明となるのです――」
「罵ってください」
「蔑んでください」
《ゲストの語りが一通り終わったところで――一人まだ話し続けている男がいるがそれは放置して――パーソナリティが場を引き取って口を開く》
「いよいよ第2位の発表です。意外な人の意外な姿、そして超レアな出来事が。これは本当に貴重な映像ですよ!」
《『おおー』というSE》
「それではVTRどうぞ!」


《VTR始まる。場所は中央公園双葉区七夕大祭特設会場の中央入口寄り。公園中央に鎮座する超科学の力で巨大化した笹にまずカメラのピントがあう。カメラを下ろすと公園いっぱいに集まっている人、人、人。カメラの視線は滑らかに流れていき、周りの人並みより頭半分ほど突き出て目立つ女性とその連れの所で止まる。カメラ、その二人に近づく》
「すみません、私たちは双葉学園放送委員会のものです。七夕について色々インタビューしたいんですが、よろしいですか?」
《長身の女性と連れの女性は一瞬目を見合わせるが、長身の女性のほうが軽く頷くと二人して「いいですよ」とにこやかに応える》
「ありがとうございます。それでは…」

Q1. あなたの名前を教えてもらえますか?

「皆槻直。双葉学園高等部の2年生だよ」
「双葉学園高等部1年、結城宮子です」
《その名を聞いて一瞬動揺するインタビュアー。数瞬の間を置いてようやく言葉を返す》
「えっと…あの〈ワールウィンド〉の皆槻さん…ですか?」
「?そうだけど?」
《インタビュアー、ようやく平静を取り戻し話を続ける》
「そうですか、失礼しました。次の質問お願いします」

Q2. あなたは七夕の伝説についてどう思いますか?

「…抽象的な質問ですね…」
《眉根を寄せて考え込む宮子》
「まあまあ、そんなに考え込まなくても今思いついたことを言ってもらえれば」
「そうだね、織姫と彦星は別離の果て、一年に一度しか逢うことを許されない、これは辛いことだと思う」
《おもむろに直が話し始める》
「でも、反対から見ればどうだろう?その待つ日々は心の余計なものを削り取り、磨き上げる砥石となる。私は最近そう思えるようになってきたよ」
「………」
《変な方向に話が転がりかけている中、どう反応すればいいのか分からず見守るのみのインタビュアー》
「哀しい物語ではあるけれどもう二度と逢えないわけでもないし、そう考えると希望を残した話なのかもしれないね。ともあれ、欲求というのはすぐ満たすばかりが能ではない、時には待ち、忍耐を味わうのも人が成長するのには必要だと思うよ」
《なおも話を続けたげな直だったが、一瞬開いた話の間に宮子がするりと入り込む》
「ええと、そうですね…昔は私、愛する二人を引き裂くなんてひどい、って憤慨してたんですよ。でも、今になって考えてみればあの二人、ずーっと一年に一度だけ逢う生活を続けてるんですよね。夫婦の形も人それぞれって言いますし、案外あの二人にはこの形が一番合ってるのかもしれない、って思うんですよ」
「確かに、そう言われてみるとそうかもしれないですよね」
《ようやく返しやすい球が来た、と一目でわかる口調でインタビュアーは答える》
「それでは3問目いきますね」

Q3. あなたの七夕の思い出を教えてもらえますか?

「それなら…」
《と直が口を開く》
「一年前の今日、私はあるラルヴァと戦い、そして取り逃がしてしまったんだ」
「そうなんですか?あなたにしては珍しいですね…。そんなに強いラルヴァだったのですか?」
「いや、単純に力だけで言えばかなり弱いはずだよ。ただ、こいつはとても厄介なんだ
「それは?」
「まず、こいつは雨季とその後の一時期…日本では梅雨時かその直後しか現れない。しかもこいつは人間の生気を吸うタイプだけれど、効率を極大化するために人がとても多く集まる所にしか姿を現さないんだ」
「それは逆にラルヴァが見つかりやすくていいんじゃないですか?」
《直は困ったように首を横に振る》
「それがね、ここからがこのラルヴァの最大の特徴なのだけど、このラルヴァはほぼ完璧に人間に擬態できるんだ。知能は虫レベルだから喋ることはできないけれど、その分本能的にその場の大多数に馴染む格好や行動を取れるので見つけるのはとても難しいんだよ。その上ラルヴァを探知できる能力にもどういうわけかほとんど引っかからない。去年私がそのラルヴァを見つけたのもほとんど偶然だったよ」
《はっと息を呑むインタビュアー。恐々と問いかける》
「あの…皆槻さん、ひょっとして1年前そのラルヴァが出てきたのって…」
「そう、この七夕の会場なんだ。ひょっとしたら、いや多分今年も招かれざる客として来ているはずだよ」
《す、と巨大笹に向かう人の流れを指差し、直は続ける》
「もしかしたらあの中にもういるのかも…」
《指の指す先を追っていたカメラがその言葉に一瞬大きく揺れ、インタビューを見物していた人の輪にも動揺が走る。後方から『ゴスッ』と鈍い音が聞こえた》
「まったく…怖がらせてどうするのよ、ナオ…」
《カメラが二人の方に戻ると直は脇腹を抑えてうずくまっている。さりげなく横に動いて直を視界から隠した宮子が口を開いた》
「私の思い出ですか?恥ずかしい話なんですけど、小さい頃の私はすごく臆病だったんですよ。学校でも人と同じことをしていないとどこか安心できないっていうか…だから、七夕になると織姫の境遇を自分の身に置き換えて考えて寂しい思いをしっぱなしだったんですよ。ああ、もちろん今はそんなことないですよ」
「確かに今はとてもそんな風には…いえ、お二人とも面白い思い出話ありがとうございます」
《照れ隠しなのか腕を小さくパタパタと振る宮子。インタビュアーにも思うところがあったようだが突っ込むのはやめたようだ》
「もう少し付き合ってくださいね。4問目です」

Q4. あなたの今日これからのご予定は?

「しばらく祭りを楽しみながら探しもの、かな」
《軽く脇腹をさすりながら再び起き上がった直が答える》
「探しものってさっきのラルヴァのことですか?」
「そうだよ。オフの日までこんなことをするのもどうかと思うけど、責任感というのかな、どうにもちょっと引っかかってね」
《ついで、カメラは宮子の方へ向く》
「やっぱり結城さんも皆槻さんと一緒なんですか?」
《宮子は質問も耳に入らないのか軽く俯いて考え込んでいる。少ししてカメラの前でポン、と手を叩くと直に何か耳打ちした》
「なるほど…それはいいアイデアかも」
《直はそう頷き、宮子はスタッフの方に行き小声で話をした。今度はスタッフとインタビュアーが話し合い、やがてスタッフの一人が拡声器を構えて口を開いた》
「七夕大祭をお楽しみの皆さん、こちら放送委員会のものです。突然ですが今からちょっとしたアンケートみたいなものをしたいと思います。すぐ済みますのでぜひご協力ください」
《カメラは周りを取り囲む人の輪を舐めるように動く。お祭り好きの双葉区民――そうでなければここでの暮らしを楽しむのは大変だ――が物珍しさから大挙して集まっている》
「それでは…皆さんの中でカップルで来ている方だけ座ってもらえますか!?」
《ざわざわと騒ぎながら多くの人が座っていく。若者向けのイベントだけあって8割以上の人がその場に腰を下ろした》
「ナオ!」
《きょろきょろとそれを見回していた宮子が叫ぶ。途端、周囲に風が吹き荒れ砂埃が舞った》
「ああ、見つけたよ」
《砂埃が晴れると直が空中に弓なりに築かれた不可視の道を行くがごとく駆けていた。『道』がその途中で捩れているかの様に直の体は横を向き、やがて空中で倒立した状態で跳んでいた》
「ようやく…捕まえたよ!」
《直の行く先には座り込むカップルたちの中一人で座っていた男がいた。高速で近づく直を見て慌てて走り出すが、ほとんどの人間が座っている状況では人並みに紛れることもできない。あっという間に直に首と肩を掴まれる》
「人が多いからね、場所を変えさせてもらうよ」
《直は縦に回転する勢いで男を思いっきり空に放り投げる》
「ミヤ!」
「もう来てるわよ!」
《着地した直はそのままの勢いで大地を大きく蹴り、前に移動した宮子の肩を踏み台に空中の男を追って大きく飛び出す。直を追うカメラに男が再び写る。体全体が枯葉色に染まり、体表面も硬質化したように見える。服のたるみが弾けとぶかのように開き乾ききった木の枝のような脚に変わる、迎えうつように振り下ろされるそれを、直は両腕で軽々と受け流すともはや人の姿を言われなければ分からない程度にしかとどめなくなったラルヴァに膝蹴りを叩き込んだ》
「失礼します!」
《直を追いかけていくクルーを宮子が追い抜いていく。位置エネルギーを運動エネルギーに転換しつつ自由落下する一人と一体。人込みの端に落ちかけていた軌道が強引に変更され、高い木立の中に突っ込んでいく。ラルヴァの喉首をひっつかみながら落ちてきた直、ラルヴァを勢いよく地面に叩きつける。ラルヴァの細長い脚が天を指しかすかに揺れるが、すぐに力なく崩れ落ちる》
「一年、か…ずいぶんと待ちわびたよ。まるでそう…織姫みたいな、と言えばいいのかな?」
「織姫って…普通それはないわよ」
《走り寄った宮子、突っ込みを入れつつ大きくジャンプして軽く前に手を伸ばした直とハイタッチする》
「失敬な。私だって好きでこんな身長に生まれついたわけではないんだよ」
「いや、そういう意味じゃなくて」
《軽口を叩きながら再びクルーの前に戻る二人。クルーの代表に向けてぺこりと頭を下げる》
「協力していただいてありがとうございます」
「本当に助かったよ。おかげで大分時間が空きそうだからせめてものお礼に何かできることがあったら協力したいんだけど…」
《クルーたち、慌てて首を振る》
「いやいや、こっちもラルヴァが背中にいるかもしれないと考えながら仕事したくないですし。その気持ちだけで十分です、はい。あ、あと最後の質問が残ってるのでそれを答えてもらえれば」
「はい、喜んで」

Q5. あなたは七夕に何を願いますか?

「それならちょうど短冊を持ってきているんだ。本当なら笹の前でミヤと見せあいっこするつもりだったんだけど…いいよね?」
「もちろんよ」
《二人して鞄から短冊を取り出す。裏返しにした短冊をカメラの前に差し出し、声を合わせてカウントダウンを行う》
「「1、2の、3!」」

[願わくば我に七難八苦を与えたまえ(強敵的な意味で)。]
[ナオの願い事をなかったことにしてください。 ナオの無茶にいつもやきもきしてるこっちの気持ちも考えてよね!]

《一本取られたといった感じの苦笑いを浮かべる直。してやったりの表情の宮子。インタビュアー、感心したように呟く》
「…なんというか、ある意味本当に息がぴったりですねえ」
「「まあ、パートナーだからね」ですから」
《満面の笑顔で答える二人》
「ご協力ありがとうございました!」


《VTRが終わり、カメラはスタジオに移る》
「以上2位の映像でした。しかし、噂に聞いてたより面白いキャラしてますねー。おじさん今度ゲストに呼んでみようかな」
《パーソナリティの言葉を口火にゲストも─―既に喋り始めている一人を除いて――話し始める》
「いやいや、でもあの強さは噂通りでしょう。さながら戦乙女とでも言うべきでしょうね………………………………………」
「女同士でくっつくレズ共死ね!」
「――しかしてその意味では“”ワンオフ“”の存在をどう規定すればいいのでしょうか?私はこう考えます。規定外の力を持つ突然変異体である彼らは調和と秩序の輪から離れた存在であると。何故ラルヴァから生まれた“”ワンオフ“”が調和と秩序の輪から離れた存在であるのか、そう疑問を持たれる方もいるかと思います。先程も話したとおり、この世にありえないことを起こしえるのはかの忌まわしき世界の敵『皇』、異界の主、世界至る所の神話で神に抗いし者、おぞましきデーモン、輪の破壊者、黒より来るもの…それらの尖兵として送り込まれた精神ウィルス生命体がラルヴァに取り付き変質させたもの、それこそが“”ワンオフ“”なのです――」
「罵ってください」
「蔑んでください」
《ゲストの語りが一通り終わったところで――一人まだ話し続けている男がいるがそれは放置して――パーソナリティが場を引き取って口を開く》
「それではいよいよ待望の第一位の発表です…がその前にCMです」
《『ええー』というSE》
「チャンネルはそのままで、おじさんとの約束だ!」
《一部にモザイクがかかったインタビュー映像が流れ、『まさか!醒徒会のあの人があんなことに!』というテロップが入る》
《『ううぉー』という雄たけびのようなSE》
《CMがはじまる》






○この話に登場するラルヴァ
【名称】   :紛遁蟲
【カテゴリー】:ビースト
【ランク】  :下級B-2
【備考】   :ほぼ人間代の大きさの虫型ラルヴァ。
        雨季とその後の一時期、人が密集している場所にのみ姿を現し人間の生気を吸い取る。
        知能は虫レベルで戦闘能力もかなり低いが、対ラルヴァ探知能力にもほとんど引っかからず、
        更にほぼ完璧な人間への擬態を行うことができるため発見することが難しい。
        本能的にその場の大多数に馴染む格好や行動を取ることができるが喋ることはできないため、
        これをどう利用するかが紛遁蟲探索の正否を左右するとされている。





○この話に登場する変態ども

【名前】   :藤堂 一角(とうどう いっかく)
【外見】   :日の丸の鉢巻に甚平、下駄履き。雄臭いスメル
【備考】   :あらゆる種類のカップルに怒りの炎を燃やす男。
        カップルを標的にしたテロリスト集団「しっと団」、「12月のクリスマス」との関連が囁かれている。


【名前】   :ジョージ・E・G・ヴァンデクリフト
【外見】   :金髪碧眼の典型的アメリカ人。超絶美形
【備考】   :彼にしか認識できない場所からの言葉を伝えるために世界中の言語を学び、旅をする男。
        人呼んで「歩く遊撃放送局・でんぱの泉」。道行く人が必ず振り向くほどの超絶美形だが、
        彼にとって他者は須らく自分の言葉に耳を傾けるリスナー以上でも以下でもないため、全く無意味である。


【名前】   :美濃屋 徹彦(みのや てつひこ)
【外見】   :チビ、デブ、禿
【備考】   :自分を罵る声に性的興奮を覚える、ドM集団「S美八犬士(さどみはっけんし)」の一人、「声」。
        究極の罵り声「パーフェクトボイス(perfect S voice)」の持ち主を探すことを生きがいとしている。


【名前】   :久々 吉兵太(くぐ きっぺいた)
【外見】   :2m近い身長、病的な痩身。極端な猫背
【備考】   :自分を蔑む視線に性的興奮を覚える、ドM集団「S美八犬士(さどみはっけんし)」の一人、「眼」。
        究極の蔑む目「パーフェクトアイズ(perfect S eyes)」の持ち主を探すことを生きがいとしている。


【名前】   :北条 薫(きたじょう かおる)
【外見】   :いつも笑みを絶やさない中肉中背の青年
【備考】   :常に女性を立て、褒めることを忘れない好青年。
        ただし、よく聞くとその語尾には常に小声で「煮込んで食べたら美味しいかな?」という言葉がついている。



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