【オニ×モモ 2話】


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 さて、諸君は追われる恐怖というものを感じたことがあるだろうか。
 鬼ごっことかでの、スリルとかそういうものではなく、純然たる恐怖を。
 ホラー映画とかである、殺人鬼が追いかけてくる恐怖を自分の身で体験したことのある人間はそうそういないと思う。
 なにがおそろしいかって、相手は歩いてる。こっちは走ってる。なのに距離が離れないどころか縮まってくる。
 あの恐ろしさは並大抵のものじゃない。
 どこまで逃げても追ってくる。
 どこに逃げてもやってくる。
 これを恐怖といわずして何と言う?

 前置きが長くなってしまったが……俺、浦尾晃一とそして吉備津すももは、逃げていた。
 追ってくる、怪物としか形容できない追跡者に。

「大丈夫かな……」
 すももが不安げに見上げてくる。
「大丈夫だ、鍵はちゃんと閉めてる」
 俺達は、理科準備室へと逃げ込んでいた。中から鍵をかけている。
 足音が、ゆっくりと……近づいてくる。
 俺達は息を殺す。見つかったらまずい。
 こつ、こつ、こつ……足音がやたら反響する。
 そしてそれは、部屋の前で止まる。
「……」
 がちゃ。
 ドアを開けようとして、鍵が大きく音を立てる。
 がちゃ。
 ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!
 ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!!
 ――。
 何度も何度も何度も何度も盛大に音がなり、そしてそれは静まった。
 助かった……か?
 俺とすももは安堵の息を吐いた。
 次の瞬間。

 ボゴォン!

 盛大な音をたて――壁が吹き飛んだ。
 拳が。
 拳で。
 そいつは――扉ではなく、壁を殴って突き破りやがった!
 しかも一撃で。たったの一発で、人間が通れるようなでかい穴を開けた!
 土煙が、埃が舞う。
 光が差す。その少女の姿をした怪物は、静かに、ゆっくりと……一歩、足を踏み出した。

「さーちあんど・ですとろい。」

「ひいいいいいいいいいいいいいい!」
「ひゃあああああああああああああ!?」
 俺とすももは、全力で窓を開け、飛び出した。
 ここは二階――だけど構わない。すももの華奢な身体を脇に抱え、ジャンプ。
「んぎっ……!」
 衝撃を殺しきれず、足に激痛が走るが、そんなことは構ってはいられない。
 俺はそのまま走る。
 直後――それは、俺達のいた場所に振ってきた。
 直立不動で、落ちてきた。
 爆発音すら立てて、墜落してきた。
 足や腰を曲げ、衝撃をやわらげる――そういった受身などは一切考えない、直立不動。
 普通なら、骨が折れる。いや砕ける。
 だが、そいつは。
 盛大に土煙をあげ、クレーターすら作りながら、何のダメージも受けず、ゆっくりと歩いてくる。
 鋼鉄で出来てんのかこの女!?
「いぎゃああああああああああ!?」
 俺達は絶叫をあげて走る。
 情けないと言うなよ。この恐怖は実際にその身で体験しないとわからねぇよ!
 あんな怪物みてぇな女の子に無表情で追われる恐ろしさ!

 そう、俺を追っているのは、女の子だ。
 ただし――金太郎の子孫である。
 怪力無双の足柄山の金太郎。後の名を、坂田金時。
 その子孫――坂田カナタ。

 俺が鬼だから、という理由で俺を追いかけている、ただの女の子と書いて怪物と読む、バケモノである。




 オニ×モモ 2




 放課後。
 なんとか振り切った俺達は、ファミレスで作戦会議を行う。
 幸いなことにカナタは俺達の家をつきとめているわけではないようで、放課後に振り切ることさえ出来れば、翌日の登校までは安全がなんとか保障される。
 その間に、現状打破のための作戦会議、というわけだ。
「対抗するためについにこの私、桃太郎の子孫こと吉備津すももは犬・猿・雉を集めました」
 集めたのかよ。
 家来が俺一人の、友達いない人望ない女だと思っていたが……
 それでも頑張って俺の為に集めてくれたのか。ちょっと感激した。
「犬がこの人」
「……」
 その人物は怪しい風体だった。
 覆面かぶっていた。
「犬は犬でも犬○家の人だ!」
 スケキヨさんだった。
 役にたたねぇよ! ていうか返してきなさい!
「……気を取り直して次は猿」
 どうせゴリラだとかオランウータンとかマントヒヒという定番だろう。
 だがそれはそれで戦力にはなるか?
「猿は……これ!」
 テーブルに置かれたコップの中の微生物。
 泳いでる。
 めっさ泳いでる。
「シーモンキーじゃねぇか!」
 類人猿どころか哺乳類ですらねぇ!
 戦力の欠片もねぇよ! コップこぼしたらそれで死んじゃうよ! 戦わせちゃ駄目!
「じゃあ最後」
 めげずにすももは最後のを紹介する。
 新聞を取り出した。
「晃一くんがロリコンだっていう学園新聞のキジが」
「キジ違いだ! というか今初めて知った驚愕の事実! 俺が三面記事に載るとは思わなかった!」
 つーかこんなの書いたの誰だコノヤロウ!
 そもそもロリコンならもっといるだろう! 大学部のイニシャルM・Eさんとか!
「ちなみに序列としては、晃一くんが一番下です」
「新聞紙に負けた!」
 生物として立ち直れねぇ。
 なんだこの敗北感は。
 そうため息をつきながら、ふと窓の外を見る。
「!?」
 そして俺は後悔した。窓の外なんか見なきゃよかった。
 ぶらさがっていた。
 私服のカナタが雌伏していた。いや我ながら上手くもなんともねぇ、そんなくだらいジョークでも言わないと平静保てないほどビビった。
 ぶらり、といきなり逆さに現れたのだ。いつもの無表情で。 
 ちなみに服装はオーバーオールだった。なるほど色は違うが金太郎っぽいファッションだな、とどうでもいい事を考える。
 次の瞬間。
 窓がブチ割られ、カナタがテーブルに華麗に着地する。そして立ち上がる。超恐えぇ!
「ひゃああああん!?」
 すももがようやく事態を認識し、悲鳴を上げる。
 そして俺達は慌てて立ち上がり、逃げる。
 食い逃げになるので、乱暴に財布を取り出してそのままレジに叩きつけ、釣りはあとで取りに来ますと叫ぶ俺。ああ小市民。


 逃げる。
 走る。
 カナタはひたすら付いてくる。駄目だ、なんだあの歩行性能は。ありえねぇ。
 こうなれば……
「タクシー!」
 俺はタクシーを止めて、乗り込む。
「何処でもいい、とにかく飛ばしてくれ!」
 俺の懇願をうけて、タクシーは発車する。
 これで助かった……

 と思った瞬間。

 どんっ!

 盛大に車体が揺れる。何だ!?
「こっ、ここここここここ、こうこう晃一くんっ!?」
 すももが叫ぶ。
「後ろぉおおっ!」
「な――!?」
 タクシーの後ろに、乗っていた。
 あれだけの距離をジャンプして、飛び乗っていた。カナタが。
 そして、カナタは……タクシーの天井へとのぼり、腕を――突き刺してきた。
「ひゃぇええええええええええ!!」
「どわぁああああああああああ!?」
 それも二本。
 天井から生えた二本の腕が、その指が、獲物を探して蠢く。
「なろぉおおお!」
 タクシーの運転手が、ドリフトをかけて急ブレーキを踏む。
「!」
 その慣性の法則には、流石にカナタも耐え切れなかったのだろう。盛大にロデオを踊り、そして振り飛ばされる。
 そしてカナタはブロック塀に激突する。
 だが、その程度で止まるようなカナタではないことを俺達は知っている。
 今のうちに逃げないと……!
 タクシーの運転手もそれを肌で感じたらしく、アクセル全開で突っ走った。




 ある程度逃げたところで俺たちはタクシーを降りる。
 運転手さんは、係わり合いになりたくないから、とタクシー代を受け取るのすら拒否して光のように走り去っていった。
 たぶんあの人、ここ数日夢に見るんだろうなあ。
 ちなみにすももは、軽く目を回している。
「ふぇ~、ぐるぐるする~。うう、気持ち悪い……つわり?」
「それは車酔いだ」
 俺でさえ少し頭がフラフラする。しかし気合で意識をはっきりともたないと、どうせすぐに追いついてくるだろう。
 ホラー映画の殺人鬼とは、そういうモノだ。理不尽な現象として対処しなければ駄目なのだ。

「……仕方ない」
 公園に差し掛かった時、俺は言う。
「ん?」
「このままじゃ全滅する」
「するよね……」
「二手に分かれて逃げよう」
 そう提案する。
「二手に……」
「ああ、それにお前だけなら身体がちっこいから狭い場所でも自在に逃げ込めるし、俺は足が速いから一人のほうがもっと逃げられる。
 二人で互いの足を引っ張り合うより、よほど両方が助かる可能性が高い」
「ん……確かに」
「なら決まりだ」
「どっちにきても恨みっこなしだよ」
「ああ」
「無事に生き延びようね」
「ああ」

 そして俺達は二手に分かれる。
 ……しかし、すももは「どっちにきても恨みっこなしだよ」とか言ってたが――あいつ、やっぱりバカだろ。
 なんか律儀に付き合ってたが、そもそもカナタは「鬼」を追いかけてるわけで。
 すももを追いかける理由とか全く無いんだよな、これが。
 鬼を追いかける、か――とんだ鬼ごっこだよまったく。

 というわけで、当然のごとく。
「来たかよ……」
 坂田カナタは、俺を追いかけてきていた。



「なんで……と聞くのは野暮か?」
「はい。鬼は悪いものです。だから倒すのは当然です……それが家訓ですから。」
 流石は鬼退治で名を馳せたお家柄。教育はしっかり行き届いているようだ。
 はた迷惑この上ないが。
「ぶちのめします。そして二度と悪さできないようにします。」
「してねぇよ!」
 喧嘩とかはしたけどそれはあくまで専守防衛だ。俺が自分から喧嘩売ったことは今まで一度だってねぇ。
「女の子を。」
「え?」
「すももちゃんを――騙してたぶらかして連れまわして陵辱しました。」
「騙してもないしたぶらかしてもないし連れまわされたのは俺だし陵辱なんてこれっぽっちもやってねぇ!!」
「犯人はみんなそう言います。」
「清々しいほど決め付けで濡れ衣だ!」
 会話にならねえ!
「問答無用。」
 そしてカナタは鉞を持ち上げる。
 いやだからどっから……まあいいか。もうそんな突っ込みする気力ねぇよ。
 突っ込みするぐらいなら、その攻撃をとにかくかわして……敵を無力化することを考えないといけない。
 逃げ続けるだけでは駄目だ。攻勢にでないと何も変わらない。
 相手を見ろ。
 敵を見ろ。
 いかに相手が怪物みたいだろうと、人間だ。ホラー映画の怪物じゃない。
 異能者だろうと――人間であるのなら。
 勝てない道理はない。
 そして、カナタは跳躍し、鉞を振るう。
 それは予想できた一撃だ。だから、身をかがめることでなんとか回避できた。
 公園の木々どころか、鉄の街頭すら見事に叩き折る破壊力は予想できなかったけど。
 うん、前言撤回。
 勝てる道理が――無い。
 無理だこれ!
 そんな俺の驚愕をよそに、カナタの鉞は竜巻のごとき烈しさで唸りをあげる。
 次々と木々を伐採していく。
 その暴虐の嵐から必死に逃げる俺。
 だが、逃げてばかりでは埒があかないのは当然だ。
 こうなれば……死中に活を見出すしかない。
 懐に飛び込めば……勝機はある!

 見極めろ。集中しろ。
 一撃の破壊力はものすごいが、速度自体は特筆すべきものじゃない。
 この女の攻撃は、ただただ強い――強すぎる、だがそれだけだ。
 振り切った、その隙を狙う!
 そして俺は走る。
 潜り抜ける。
 そして――それ以降の事を特に狙っていたわけではない。
 とにかく動く。そしてそれからだ、と。
 だから、それは偶然だった。
 俺が手を伸ばした、その手は――

 坂田カナタの、バンダナを掴んでいた。

 そして、俺の体制が崩れて、押し倒す形になって。
 はらり、と。
 バンダナが、落ちた。
 そして――髪の毛が、頭が、あらわになる。

「あ……」

 それは、妙な頭だった。
 最初は、カッパ禿げかと思ったがそうではない。
 頭頂部に綺麗な円形に、髪の色が変わっている。遠目傍目で見たら、まさしく金太郎のような禿げ頭に見える、そんな髪の色だった。

「……!」
 ばっ、と頭を隠そうとするカナタ。だがすでにしっかりと見えてしまった。
 本当に、すごい頭だった。
 ていうかいっそ本当に禿げてた方がマシなんじゃないの、っていうような髪の色だった。
 隠すということは自分でこんなふうに染めてるわけじゃないのだろう。
 遺伝異常か何かの呪いか。それが彼女にとって不本意なのは明白である。

「……」
 カナタは俺を睨みつける。
 目尻に、涙さえ浮かべて。
「……面白いでしょう。」
 いや、まあそりゃ面白い頭をしているとは思うが。
「笑えばいいでしょう。」
 そう、突き放したように言う。
 カナタの身体が震えている。小刻みに震えている。
 羞恥に耐えるように。
 俺はその姿を見下ろし、そして言う。
「笑わないよ」
「…………え?」
「お前は、俺を笑わなかっただろ」
 追い掛け回したけど。
 でも、普通は納豆かぶって大ダメージ受けるような奴を見たら、大笑いする。
 小学校の頃、そうだったように。俺や姉がなんどもそうされたように。
 そんな俺を笑わなかったのは、お前で二人めだ。
「だから、俺も笑わない。そもそも他人の身体的特徴をあげつらって笑うのは嫌いだ。そんな行為も、そうする奴も」
「……」
「だから、笑わない。忘れろって言うなら忘れるよ」
 そうじゃなきゃ、フェアじゃないと思う。いや、自分をおいかけまわす凶暴な女相手にそんなこと言う俺もたいがいにバカだとは思うが、こういうのは自分ルールだ。俺自身がスッキリしない。
 そんな俺の言葉に、カナタは、
「ずきゅーん。」
 変なことを口走った。
「?」
「貫かれた音。……はーとを。」
「いや死ぬだろそれ!」
 ていうか何も刺さってないぞ? 異能者にしか見えない類のか? いやしかしそれでも刺さってたなら死ぬだろ。
 でも普通にしてるし。
 何言ってるかわかんねぇ、相変わらず。
「……やめます。」
「え?」
「倒すの。ぶちのめすの。やめました。うん。鬼だからって悪い人ってことじゃない、って反省しました。」
 ……どういう風の吹き回し?
 いや、もう追い掛け回すのやめてくれるのならそれはそれで大歓迎なんだけど。
「わ、わかってくれればそれでいいんだが」
 まあ、こいつもさっきの話からして、正義感で俺を追いかけてただけのようだしな。
 誤解が解けたのならそれに越したことは無いだろう。
 カナタは立ち上がり、バンダナを再び頭にかぶる。
 そして、俺に向かって手を差し出してきた。
「……?」
「握手。仲直りの、です。」
 ……いや、うん。
 さっきまでのアレがあるから、素直に握手するのもおそろしいものがあるんだが……まあ、いいか。
「では、仲直りということで。」
「ああ」
「だからこれから貴方は私のペット。」
「家来よりひでぇ!? そして脈略がねぇ!?」
「じゃあ奴隷。」
「わぁい動物から人間に格上げだ! って人権ないのは一緒だしどっちみちひでぇよこれ!」
「……わがまま。」
「どっちがわがままだよ!」
「このまま潰されたくなければ……」
「嫌な予感大的中!」
 超こええ!
「冗談。」
 そう言ってカナタは俺の手を離す。
 うん、マジで肝冷えた。
「……諦めませんけど。」
「いや、諦めてくれ」
 今度は別の意味で狙われ始めたよ俺。
 まあ命狙われないだけまだマシ、ということにしておくか……






 翌日。
 お互い無事に生き延びた俺とすももは学校への道を歩いていた。
 ただし、今までと違って、約一名が追加されていた。
 そう、カナタである。
「でも誤解とけてよかったよー。うん、私すごく恐かったもん」
「うん。誤解とけてよかった。」
 オマエが言うな、と突っ込みたい衝動を必死で抑える俺。
 というか……なんかこいつら仲良くしゃべってるな。
 すももには友達がいないと俺は聞いていた。自分でもそう言ってたし。
 だけど、そういえば……

 ――すももちゃんを――騙してたぶらかして連れまわして陵辱しました――

 カナタは、そう言って静かに怒っていた。
 俺に対して、怒っていた。
 二人の関係を俺は知らない。知り合いではあるのだろうが、そこにどういった事情があるかは知らないし、知りたいとも思わない。
 だけど。
 すもも自身が思っているほど、孤独じゃないんじゃないか……と、俺はそう思った。
 人は、どうでもいい相手の為に怒ったりはしないのだから。
 なら、あの地獄のような鬼ごっこも、すももの為になったのかもしれない。そう思えば、まあなんというか、少しはあの苦労も報われたのだろうか?
 いや、別にどうでもいいことなんだが。




 そして放課後。
 すもももカナタもそれぞれ用事があるらしく、俺は独りで帰路につくことにする。
 背を伸ばす。なんというか、久々にのんびりできる気がする。
 そして俺は、街角を曲がり……


 油断していた。
 油断していたのだ。
 昔の人はいいました。二度あることは三度ある。
 香ばしい香り。この臭いは嫌いじゃない。だけどうちで使われることは絶対にない、そんな日本で最も普及しつつ黒くて香ばしい液体が俺にかかった。そりゃもうぬっぷりとたっぷりと、バケツをひっくり返したかのように。
 醤油だこれ。
 それが頭の上から全身に。
「ん――ごぉおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
 全身が激痛を伴う猛烈な痒みに襲われる俺。
 痛てぇ! 痒い! 死ぬ!
 なまじ物理的破壊力がないだけにキツいわこれ!
 そして俺は悶絶した。
 どうやら、俺の苦難はまだまだ続きそうな予感だ。
 俺が何かしたか? もはや親の因果が子に報いとか、祖先が七代祟られてるとしか思えねー。
 ……。
 その可能性でけぇよな。鬼だし。
 渡る世間は鬼ばかりってこの事だ。








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