【猫参り】


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逢洲等華の学園生活は朝の構内巡回から始まる。
風紀委員としての務めだ。

まず向かうべきは河川敷の小さな空き地だ。
勤勉な学生が異能の訓練をするのにちょうど良い、狭くもなく目立ちすぎもしない、そんな場所。
しかし今は午前6時。滅多に他の学生に会うことはない。

ではなぜそんな場所へ向かうのか?
答えは一つ。

猫。
等華は無類の猫好きなのだ。

猫に餌付けをしても怒られることもなく、人目に触れる心配をする必要もない場所はとても貴重だった。
しかも最近は、毎朝訪れる彼女に気を許したのか、猫たちは等華が手を触れることを許すようになっている。
その事が彼女の”猫参り”に拍車をかけないわけがなかった。

等華の異能”確定予測”によると、今日は4匹の猫たちが彼女の到着を待っているようだ。
(いつも通りだ。クロサワ、タマキチ、トラコ、ハチベー、皆そろっている。)
果たして”確定予測”の結果どおり、いつもの空き地に到着した等華を、猫たちは優しげな鳴き声で迎えた。


逢洲等華は昼の巡回も欠かさない。
風紀委員として当然の務めだ。

この時間向かうべき場所は、クラブ棟の裏手にある小さな空き地だ。
だが目的地に到着する前に、彼女の異能が、そこに愛しい猫たちはいない事を告げた。

仕方なく道中出会った全裸の変態を追い回しておいた。
決して猫と戯れられなかった腹いせに八つ当たりをしたわけではない。
風紀を乱すものを指導するのは風紀委員の務めだからだ。


逢洲等華の一日は放課後の巡回で終わる。
もちろん、風紀委員として欠かすべからざる務めであるからに他ならない。

行き先は、校舎からは少し離れた林のそばにある小さな草地だ。
そこにはいつも通りなら、3匹の猫がいるはずだ。
そしてその通りであることを”確定予測”が報せた。

しかし同時に、そこにいるのが猫たちだけでないことも、等華の異能は告げていた。

(カテゴリービーストか・・・・・・)
主に獣に似た姿で現れる化け物”ラルヴァ”その総称が”カテゴリービースト”だ。
その名の通り獣程度の知能しかなく、いつもの等華であれば、さして怖い相手でもないはずだった。

だが、猫たちの居場所に到着した彼女の目に飛び込んできたのは、彼女の最も恐れる”犬”の姿だった。

(不味い・・・・・・)
等華は犬が苦手だ。
具体的に言うと、一声吼えられただけで足がすくむほど苦手だ。
怒気を孕んだ吼え声が、幼い頃、野犬に追い回された記憶を一気に甦らせるのだ。

(とにかく冷静にならなければ・・・・・・うろたえるな!武士たる者、いかなる状況でもうろたえない!)
緊張で汗に塗れた手で、腰に佩いた一対の刀”黒陽”と”月陰”を抜き、ゆっくりと構える。

(吼えられる前に仕留めるしかない・・・・・・!)
斬撃が届く間合いまで一気に詰めようとした彼女の思惑は、次の瞬間、獣の咆哮にあっさりと打ち砕かれた。

「ひ・・・・・・!」

等華の足が一歩踏み出した状態で固まる。
その一瞬はラルヴァが、刀の優位な間合いを埋めてしまうには十分すぎる時間だった。
かくして獣の爪は、彼女の白い頸に届いた。

しかしそれと同時に、化け物は甲高い叫びを上げて等華から離れた。
我に返った彼女が目にしたのは、犬の形をしたものに飛び掛る猫たちの姿だった。

猫たちにしてみれば、ただ生きるためにとった行動だったろう。
だが、彼女の目にはまるで自分を助けようとしている様に映った。
そしてその状況は、等華に冷静さを取り戻させる。

瞬間、白刃が閃いた。
中型犬に似た姿は四つに分断され、断末魔さえ上げず霧散する。

その様を見届けた等華は、ゆっくりと得物を鞘に収め、その場にガックリとひざを着く。

「ふー・・・・・・」

大きく息を吐いた彼女の元に、いつもの表情を取り戻した猫たちが集まってきた。
座り込む等華の腕に体をこすりつけ、ひざに手を乗せ、甘えた声を出す。

「ありがとうな。お前たち」

猫たちをなでながら小さく礼を言う等華。

「偶然だろうけど助かった。」

猫がわざわざ人間を助けるはずもない。
それでも今日の事はきっと、ずっと忘れられない記憶になるだろうと彼女は思った。

(明日からは犬を克服する訓練もしなければな・・・・・・)
だがそれ以上に”猫参り”を強化しようと密かに誓う等華だった。


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