【時計仕掛けのメフィストフェレス Re-Turn 第一話 後編 1】


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「ふぅ」
 朝風呂のシャワーで気持ちを落ち着ける。 二日連続で朝風呂というのも珍しい。普段は別に朝風呂なんてあまりしないのだが。
 熱めの湯で体を温めた後、水で一気に冷やす。暖かくなった春先だから出来る芸当だ。
 冬だと自殺行為である。まあ冬場でも水風呂に入る人もいるらしいから断言できないのだが。
「おはよう」
「うん、おはよう」
「親父たちまだ帰ってないの?」
「みたいだねー」
 放任主義にもほどがあるっつーの。
「やだね仕事の虫は。俺たちがグレたらどうすんだって」
「でもお兄ちゃんぐれないでしょ。そんな度胸とかなさそう」
「馬鹿言うな。俺はワルなんだぞ。中学の頃なんかそりゃもう、あまりのワルっぷりにハブられてたぐらいだからな!」
 いわゆる中二病をこじらせていた、という奴だ。
 思い出したくない。冬に皆がコート着て学校に登校する中、俺一人だけマントを着て登校していったあの日とか。
 目がものもらいになった時、眼帯を病院のものではなく、海賊みたいなかんじの黒い眼帯にした時の事とか。
 ……あ、駄目だ気が滅入って来た。
「自分の言葉でダメージうけないでよ……」
「お前にもいずれ判るさ……ふふ、ふ。自分自身の若さゆえの過ちを不意に思い出してもだえ苦しむ瞬間って奴。
 ああそうさ、いずれお前だって俺のことを「お兄ちゃん」から「兄貴」「クソ兄貴」とか呼ぶようになったりして、俺と仲良かった事を消したい黒歴史にしたりするんだぜ……
 そして……」
 …………。
 …………………………………………………………………………………………………………………………。
「駄目ぇーっ! そんなのお兄ちゃん許しませんよ! 門限ちゃんと守りなさいッ! お前は帰れ餓鬼ャァッ!! つかもぐぞゴルァァ!! 我が闇黒の根性焼きを食らえいっ!!」
「落ち着いてお兄ちゃん帰ってきて! あと誰と戦ってるの!? ていうか何をもぐの!?」
 ……。 やめよう。 考えれば考えるほど大ダメージだ。
「……うん」
「?」
「昨日の夜元気なかったみたいだけど……安心した。 いや別の意味で元気なくなってたけど、それでもやっぱりいつものお兄ちゃんだ」
「……。悪い。心配かけたか?」
「ううん」
 微笑む一観。
 ……ううむ、駄目な兄貴だよなあ、俺。 心配かけるなんて、兄貴失格だ。
「じゃ、ご飯にしようよ。今日の朝ご飯はとんかつだよ」
 ……。
 昨日の島田との話を思い出す。 とんかつ……もしかして、うちの妹はエスパーか何かなんじゃなかろうか。





 時計仕掛けのメフィストフェレス Re-Turn

   第一話 〝愛すべからざる光の君〟後編




「おっす」
「よう」
 島田が挨拶してくる。
「ンだよ、その元気いっぱいなのか意気消沈なのかわかんねぇ微妙なツラ。なんかあったのか?」
 ……鋭いのか何なのか。島田は俺にそう言ってくる。
「妹にヘコまされた」
 事実を端的に言う。詳しくは言いたくない。
「喧嘩……じゃねぇよな」
「違うけど似たようなもの?」
「いいじゃねーの、賑やかで。俺もかわいい妹欲しいよなー」
 島田は言う。そしてその後はお決まりの姉に対する愚痴が……
「一人っ子はつれぇぜ」
 ……。
「……は?」
 ちょっと待て。
 一人っ子……だと?
「おい」
「んぁ?」
「一人っ子って何だよ。あれか、姉と喧嘩でもしてんのか?」
「何言ってんだよ時坂。姉? いねーってそんなの」
 その怪訝そうな顔には、俺をかついでいるというような気配は微塵も感じられなかった。
「姉でも妹でもいいから欲しいよなー、いやかわいければ弟でもこの際我慢するわ俺……あーあ、くそ、いきなり血の繋がってな年上の妹でも出来ないもんかねー」
「……」
 どう……なっている? なぜ島田は……いつも口にしていた姉の事を忘れてる!
 俺は何度か、彼女に会ったことがある。口喧嘩が絶えないものの、仲のよい姉弟だった。
 断じて、島田の妄想姉貴とかいうオチはなかったはずだ。なのに。なんでだ……?




 あの後、どうしても腑に落ちなくて俺は色々と聞いてみた。だが答えは同じだ。
 島田の姉を知っている人間がいない。最初から知らない人たちも多い。だが、確実に知っているだろう島田の友人たちの誰も彼もが、彼女のことを綺麗さっぱりと忘れているのだ。それどころか、俺に疑いのまなざしを向けてくる。
 ……ああ、この視線は見覚えがある。
 疼く。
 あの時だ。俺がいじめられ、無視されたあの時に近い。
 だが、そのものじゃない。それに近いだけだ。今なら引き返せる。ここが分水嶺だ。
 俺もすっぱりと忘れて話を合わせれば……それでいい。それで、いいんだ。
 それが処世術だ。笑顔で自分を殺して周りに合わせる。それで一切合財何もかもが万事滞りなく上手くいくのだ。
 それで……。


(出来るかよ)
 無理だ。俺は覚えている。島田の、姉の事を愚痴るときの、迷惑そうでかつ嬉しそうな、あの顔を。
 俺は覚えている。島田の家に遊びに行ったときに食べさせられたクソまずいメシを。
 俺は覚えている。忘れたほうも、忘れられたほうも――つらいって事を。

 だから、そんな簡単になかったことになんて……出来るはずがないだろう!
 だけど、現実問題として……どうすればいいんだ。みんな忘れてる。知ってる人はいない。何よりも、島田本人が忘れてしまっている。
 そんな状態で俺がいくら何かしたところで、これじゃただのお介、大きなお世話って奴になるんだろう。……駄目だ。考えても埒が明かない。行動しなければ。


 そういうわけで休み時間。 俺は聞き込みを再開することにした。
 ゲームとかではまず情報収集だ。
 もっと色々と聞いて、何か手がかりを探すしかない。ただ、島田の友人たちにはもう聞けないし、それに聞く方法も色々と考えなければならないだろう。
 確実なのは、三年の教室……彼女の同級生に聞くのが一番だ。俺は、階段を昇り、三年の教室のある階へと向かう。
 そして、吾妻先生と会った。

「どうした、時坂。三年の教室に用事か?」
「え、いや……その」
 ……。待てよ……そうだ、先生なら生徒の事を見ていて当然だ。それに吾妻先生は生徒指導にも熱心だと聞くじゃないか。……聞いてみる価値はあるかも。
「先生は、島田の姉を覚えてますか?」
「ん? ああ、それがどうかしたのか?」
 ……! いた。
 島田の姉を覚えている人がいた! 俺は事情を話す。
「忘れている、か……ふむ」
 先生は考え込み、そして言う。
「こういう事はあまり言いたくないんだが。先生も昔な、親友と喧嘩して、絶交したことがある。だが、しばらくして仲直りしたよ、先生たちはな」
「え……?」
 それは。聞きたかった答えとは違った、しかし容易に想像できる、大人の回答だった。
「時が解決するだろう、そういう事は。いいか、時坂。友人だからといって、どこまでも踏み込んでいいというものじゃない。境界線というものがあるんだ。そこを見極めるのが大切だ」
 違う!
 そうじゃない、そうじゃないんだ……!
 この違和感。世界から隔絶されているというような……
 上手くいえない。だけど無視しているとかそんなんじゃない。無視という空気に漂う、あの悪意が感じられないんだ。
 からっぽなんだ。抜け落ちているんだ。
(……)
 だけど、上手く言えない。上手く言葉にならない。
 先生は、身内の喧嘩だろうから放っておけと。そんな、判りやすく正しい理屈で、優しく俺を諭してくる。
 だけど……。
 そう、先生が正しい。俺がやろうとしていることはただの下らない自己満足で、島田に頼まれたわけでもなんでもない。
 まっとうに考えたら、喧嘩なりあるいは事情なりで……ってのが本当に正しいんだろう。
 だけど……だけど……っ!
 俺は俯くしか出来ない。本当に俺は無力だと思い知らされる。夢の中ですら無力で、現実でもこの有様だ。
 そうやって俯いていると……
「だが」
 先生が言った。
「まあ、時と場合にもよる。本当に必要な時なら……お前が、お前自身がそう思うなら。たとえ相手が心から嫌がって拒否しようと、それでも手を差し伸べ、無理やりにでも首を突っ込む事が必要な時もある」
「え……?」
「人は不器用だから、本当に困っていても他人にSOSサインを出せない場合もあるからな、思春期だと尚更だ。
 そういう場合はだな、時坂。失敗を恐れるな、嫌われる事を恐れるな。心の底から、誰かのために、その人のためにと行った事は……たとえその人からその時は嫌われ疎まれようとも、必ずいつか判り合える。そういうものなんだ」
「……先生」
 吾妻先生は、笑顔だった。
 その笑顔は、教師としてではなく……一人の人間としての、吾妻修三としての顔なんじゃないかと、俺には……そう思えた。
「がむしゃらになれ、時坂。馬鹿になれ、時坂。
 少なくとも俺は、偉そうに諦めて動かない優等生より、無謀に挑戦する落第生の方が好きだ」
「……はい」
 それは教師としてどうよ、と思ったりもするが。
 だけど……その言葉はすごく心強くて。
 俺の芯に、何かを灯した気がする。
「ありがとうございました、先生」
「ああ」
 先生は笑顔を返し、そして下の階へと降りていく。
 俺は深く息を吐き、そして気合を入れる。
 迷う必要なんてない。迷うほど頭もよくないんだ、元々。俺は……俺のやりたいようにやる。
 気合ひとつ入れ、そして顔をあげると――
「なんだ、また君か」
 見知った顔があった。
「……」
 入れた気合がいきなり霧散する。想定外にいきなりだし。
「あ、どうも。えーと……その」
 しどろもどろになる俺。そういえば、この人の名前も知らないんだった。そんな俺の様子を見てか、彼女は言う。
「鶴祁。敷神楽鶴祁だ。君は?」
 ……そういえば、俺も名乗ってすらいなかったんだった。
「時坂祥吾です。えと、二年の」
「……時坂祥吾、か。なるほど。いい名前だ」
「……」
 いきなり褒められるとは思わなかった。
 というか、昨日の今日だから、てっきり嫌われるか、そこまでいかなくても警戒されているものだとばかり思っていた。
「それで三年の教室に何の用事だ?」
 敷神楽先輩が聞いてくる。素直に答えるべきか、どうすべきか……
(……よし)
 先生に背中を押されたことを思い出す。
 そうだ、俺は俺の記憶を信じよう。先輩本人が違うと言っても……隠しているだけかもしれない。
 もし本当に俺の勘違いってだけならそれでもいい。つい今しがた言われたばかりじゃないか。嫌われる事を恐れるな、と。
「……実は、人を探してるんです」
「ほう、人探しか」
「はい。……いなくなったんです、友人の姉が。そして……変な事いいますけど。友人もその事覚えてなくて……」
 俺は事情をかいつまんで話した。
「……ふむ、不思議だな」
 先輩は、それを馬鹿にする事なく、あごに指をあてて考える。
「その友人は本当に覚えていないのか?」
「はい、あり得ないと思うのに、まったく……」
「ふむ」
 先輩はしばし熟考した後、顔を上げる。
「これは思った以上に深刻な問題だな」
「え……」
「秘密結社だ」
「……はい?」
「記憶を消して人を拉致する。これは思ったより大変なことだ。記憶を消すには催眠術、が妥当だ。だがこれだけの広範囲に催眠をかけるなら、一人一人拉致していっては埒があかないだろう。ゆえに広域範囲に影響を及ぼす音波兵器による催眠誘導波、が妥当だと思うがどうだろうか?」
 ……。
 どうだろうか、と言われても……。
 秘密結社? 音波兵器による催眠誘導波……?
「ええと、先輩。それ本気ですか」
「無論だ」
 自信満々に先輩は言う。
「……そう、最近読んだ大衆小説(ライトノベル)に書いてあった」
「……」
「なんだその顔は。馬鹿にしたものではないぞ。あらゆるヒントは周囲から得るものだ。特に本は基本だ」
「いや、真面目にやってくださいよ!」
 俺は思わず怒鳴る。
「私は真面目だ。荒唐無稽な出来事が起きたのなら、解決の糸口も荒唐無稽であるべきではないか? 確かどこかの学者が、この世に起きる事は全てが人の想像力で起き得るものだとか言っていたと記憶している。なら創作物からヒントを得るのも当然ではないだろうか。
 本はいいぞ、様々な知識が手に入る。君は知っているか? かつて世界を震撼させた事件の幾つかは、某国やあるいは政府の自作自演であり、秘密兵器の実験だという話だ。そう大衆小説に書いてあった。うん、やはり俄然真実味を帯びてきたな」
「……」
「きっと彼女は何らかの大きな事件に巻き込まれたのだろう。そう、国家的陰謀という奴だ。きっとこの学園すらも巻き込んだ。故に慎重に対処しないといけないだろう。いいか祥吾君。君は動きすぎている。もっと慎重に、静かに、隠密的に事にあたるべきだ。もし私が国家諜報員だったら今頃君は危なかった」
 ……。
 もしかして、いやもしかしなくてもこの人……ちょっと変?
 頼もしくはあるが、ベクトルが別の方向に向いてる気がする。
「いいか、この事はもう誰にも喋るな。あとは私に任せておいてくれ、悪いようにはしない」
 悪いようにしかならない気がする。
 だが先輩もただ面白がっているとかそういうのではなく、これはこれで純然たる善意なのだろうとはわかる。
 ……まさに、小さな親切大きなお世話、という奴だろうか……島田から見たら俺もこんなかんじなのかなあ。
 そう思うとちょっと気が滅入ってきた。
「……はい」
 ここは素直に頷いておく。
 いくらちょっとズレているとはいえ、先輩がこうして力になると言ってくれるのは、素直にうれしい。
 先日が先日だっただけに、だ。だけど……。
(やっばり……それは聞けない)
 任せておくことは出来ない。先輩が信用できないとかそういう話じゃなくて。俺がやろうと決めた事だから。



 先輩に頷いた手前、俺はそのまま素直に戻る事にした。動き回ってたら先輩に見つかって、色々と言われそうだし。
 何か起きたら教えて欲しい、と先輩は俺に携帯電話の番号を教えてくれた。
 ……。
 母と妹以外の、初めての女性の携帯番号を知った気がする。いや、男友達とか当然普通にいるけど。でもなんというか、女の子の携帯電話番号を登録するというのは……。あ、いや、別に浮かれていたりしていない。
 そういう事じゃないわけだし。あくまでも緊急連絡用だ。気をしっかりと引き締めろ、俺。
 気を引き締める。
 そして学校が終わり、放課後。俺は帰宅して……。

「一観、俺ちょっと出てくるから。戸締りしっかりしとけよ」
「あ、うん。何処いくの?」
 素直に言うわけにはいかないので、適当にごまかす事にする。
「ああ、友達とカラオケ。無理やりつかまってさ」
「ふーん。気をつけてよ? 最近物騒らしいし」
「物騒?」
「うん。クラスで聞いたんだけど、化け物に襲われて行方不明になる人がいるとか。まあ噂なんだけどね」
「……」
 化け物。か。
「一観。俺も気をつけるから、お前も本当に気をつけろよ」
「な、なによお兄ちゃん。真面目な顔で」
「真面目なんだよ」
 昨日の夢が俺の頭によぎる。
 磔にされ殺されていた一観の姿、その不吉すぎる姿が。
「……頼むから」
「……うん、わかった」
 素直に頷く一観。
「そか。じゃあ俺出てくるから。じゃあ、お休み」
「うん、おやすみなさい、お兄ちゃん」





 俺は夜の街を徘徊する。
 ……といっても、まだそんなに遅い時間じゃないし徘徊というようなあれでもないんだが。
 しかし……化け物の噂、か。
 女子って噂とか好きだからなあ。そういう噂があるのは……もしかして、あれだろうか。
 時計仕掛けの獣。
 あれは多分夢じゃない。
 島田の姉の不可思議な失踪……そんな常識外の出来事が起きたんだ。ならあれも……不思議と繋がっている気がする。
 理屈じゃないし確信もないが、それでも。何かが繋がっているような……

〝正解です〟

 突如。
 視界が暗転し、空転し、切り替わった。白昼夢に陥るような、そんな感覚。
 そして――俺は、発条仕掛けの森に居た。
「な――!?」
 ここは夢の中の世界だ。昨日の夢であいつがそう言った。
 そう、あいつが――
『夢とは。寝ている時のみ見るものではありませんから。
 そう、つい今しがたあなた自身が思い描いた単語……
〝白昼夢〟もまた夢でしょう?』
「……今は夜だ」
 まるで俺の考えに呼び出されて現れたかのように、そこに少女は立っていた。
 悪魔を名乗る少女。
 少女の姿をした悪魔。
 ……メフィストフェレス。
『昼に見る夢、というより、起きている時に見る夢、ですから。ですがそうですね、夢と言ったけど正しくは少し違うかもしれません。私とあなたの共有する、精神世界――といった方が正しいかもしれませんね』
 精神世界、か。
「それはわかった」
 あまりよくわからんが、まあだいたいは。
「寝てる時ならともかく、しっかり起きて行動中にこれか……」
『はい』
「俺の頭がおかしくなったんじゃないとすれば、あの夢もまた現実にあった事、か……」
『夢ですよ。現実にあった事、ではなくて実際に見た夢、です』
「違わないだろ。それともお前はただの夢で俺の妄想なのか」
『私は実際にいます。だけど現実に干渉できません。〝今は〟』
 ……。
 どういうことだ? 全くわからん。
『悪魔は人に望まれ呼び出され、初めて力を行使出切るのです。今の私は未だ人の心の海にあるも同然。媒介を通じてあなたとコンタクトは取れていますが……何も出来ないんです』
「つまり、無害って事か」
『有体に言えば、そうですね』
 ……少しだけ、安心した。
 悪魔とか言うから、こいつが島田の姉を……とかも一瞬よぎったりしたけど。それはなさそうだ。
「……で、何だよ」
 というか、それならなんでいきなり話しかけてきた?
 俺はこんな所で白昼夢に浸っている時間はないんだが。
『契約手続きのお願いを』
「いきなりリアリティたっぷりだな! なんだ、そのハンコお願いします、みたいな感じは」
『似たようなものですから。
 ……いきなり事実を突きつけられて混乱する気持ちは、わからなくもありません。だけど、このままでは……』
「妹が、死ぬって?」
『はい』
 あっさりといいやがる、こいつは。俺は、その見透かしたような態度が気に入らない。
 あり得ない。あり得ないんだよ、そんな事は。
 第一……
「お前、俺が契約とやらをしなきゃ、何も出来ないんだよな?」
『……そうですね』
「だったら俺の答えはノーだ。契約しない限り、お前は何も出来ない」 
 何を企んでいるか知らないけど。
 他人の命を盾に脅迫するような奴の考えてることなんて、ロクなもんじゃないだろう。
『……』
 その俺の答えに、メフィストフェレスは悲しげに目を伏せる。
 ……く、卑怯な。
 女の子の格好でそんな表情されたら俺の鋼の決意が揺らぐ。これが悪魔の常套手段って奴か。美少女の姿で情に訴える。
 引っかからないぞ、メフィストフェレス。
「そ、そんなツラするなよ、メフィ」
 引っかかりはしないが、それでもついつい慰めの言葉みたいな声をかけてしまう俺だった。
『……メフィ?』
 鸚鵡返しに反応する。
「ああ、いや、長いだろ名前」
 噛みそうで困るんだ。悪魔と対峙する時に相手の名前を噛みましたとかかっこつかないし、ここは適当に省略させてもらう。
『メフィ……です、か』
 ……。
 いやなに心なし嬉しそうに反復してんのよこいつ。
『……そんな風に呼ばれたの、初めてです』
「……」
 待て。
 待て待て待て、なんだこの雰囲気。
 何を嬉しそうにしている。
 何を頬を赤らめている。
 ……こいつ、悪魔、だよな?
 俺の知る限り――悪魔ってのは人を騙し、裏切り、利用し、傷つける悪性の具現であり権化のはずだ。
 人類の敵。神の敵。絶対悪の怪物。
 だが、俺の夢、いや精神世界だというここに現れてるこいつは一体何だ? 
 とてもそういうモノには見えない。
 俺の慣れ親しんだ、悪意というモノが感じられない。
 こいつは……邪悪では、ない。
「お前……何なんだ?」
 危険なのは変わりないはずだ。自称悪魔だし、一度夢に出てきただけではなくこうやって白昼夢の形で俺に干渉し、妹が死ぬと脅しをかけて俺に何かをさせようとしている。
 真っ当に考えて、危険すぎる。このまま無視を決めていけばいい、そのはずだ。何かの本で読んだことがある。悪霊への対処はとにかく明るく笑う事を心がけ、そして無視することだと。
 悪霊、魔物の類にコンタクトをとろうとするとそれだけで引きずられる。縋り憑かれる。奴らは人間を求めているから、だと。
 だから関わらないように努めればそれでいい――と。
 だけど。
 俺は関わろうとしている。
 何故だ。
 この自称悪魔のメフィが、島田の姉の失踪へのヒントになるかもしれないから……か?
 いや、違う。そこまで俺は考えられない。
 ……単純に、ただ、気になっただけか。彼女の瞳の奥に見える、微かな翳りが気にかかって。そう、あれは……昔日の俺に少し似ていて。
 孤独。その色が、どうしょうもなく俺の心を騒ぎ立てる。
 確信する。この悪魔は、どうしょうもなく孤独なのだと。

『私は悪魔。正しくは……その模造品、紛い物、贋作ですが』
「にせ……もの?」
『はい。私はとある目的によって造られ……危ないっ!』
 突如、メフィが叫ぶ。
 刹那、俺の意識は現実へと戻る。
 そして――
 その直後に、異変は起きた。





 空気が軋む。音が消える。世界が凍える。
 これは――覚えている。知っている。
 あの時、俺は一度、これに遭遇した!

 時間が、止まっている、この世界に。

「!」
 一度体験したからだろうか、その凶の気配を俺は感じ、全力で身を翻す。
 その暴力は上から。
 巨体が降って来る。どうやって飛び跳ねたのか、その重量感がとんでもない鋼の巨体が、俺の居た場所に落ちてきて、アスファルトを粉砕する。
 それは。
 あれは。
「夢の……!」
 いや……違う。
 やはり確信する。あれは、夢なんかじゃなかった!
 ただ夢だと思い込んでいただけだ。そしてもう疑いようがない。
 これは……現実!


   キリキリ。
                      ガシャガシャ。
         チクタク。

 カチコチ。         キリキリ。


(時計仕掛けの獣!)
 細部は違うのかもしれないが、俺には判別がつかない。そしてその破壊的な悪意は、あの時のと同じだ。
 もう一体居たなんて……!俺は全力で逃げ出す。あの時と同じなら――やはりどうやったって勝てない。
 逃げの一手しかない。

〝逃げられません〟

 意識が切り替わることは無い。だが俺の脳裏に声が響く。

〝あれは人の足で逃げ切れるものじゃありません!〟
「ならどうしろってんだ!」
 走る。
 俺の後ろで壁か何かが砕かれた音がするが振り向いたら即デッドエンドだと判りきっているので振り向かない。
 ただただ勘と勢いに任せてがむしゃらに走る。

〝契約を〟

 メフィは言う。

〝私と契約してください。そうすれば――戦う力が……!〟

 メフィは言ってくる。
 力をくれてやる、と。戦う力。抗う力を。
 だが……。
「だめだ……!」
 こいつは自分を悪魔だといった。
 悪魔の甘言に引っかかるわけにはいかない。悪魔は人を騙す――それが常套だ!
 それに、騙していないというのなら。こいつは俺に、人を殺させるつもりだ――!

「それは出来ない……!」

〝ならこのまま死ぬのを、良しとするのですか?〟

 そんなわけはない。死にたくないし死ねない。
 だからといって……悪魔の甘言に乗るわけにもいかない。だが、手はある。
 俺は走りながら携帯電話を取り出し、番号を呼び出す。
 そう、敷神楽鶴祁先輩の電話番号だ。
 もう完璧にあれが夢ではないと判った。それならば、きっと鶴祁先輩ならあの時のように、この化け物に対処できる。
 他人に頼りきりで情けないことこの上ないけどそうも言ってはいられない!
 しばらくして、電話が繋がる。
『はい、もしもし』
「敷神楽先輩ですか!? 俺です、時坂祥吾っ」
『ああ、君か。どうした?』
「っ、こないだの……化け物にっ、また襲われて……っ!」
『――』
 電話の向こうで沈黙が過ぎる。
『今、何処だ』
「えっと……!」
 俺は周囲を見回し、目印になりそうなものを教える。
『わかった。いいか、とにかく走れ、逃げ続けるんだ。直ぐに、
私たちが行く』
 そして電話は切れる。
 ……よし!
 これでひとまずの対処は完璧だ。
 あとはとにかく逃げ続ける。
 前の時の、恐怖に駆られてただ逃げ回るだけのあの時とは違う……戦うための逃走だ。勝つための逃走だ!




 道を曲がったその時――激しい衝撃。
「うわっ!」
 体勢を崩す。
 人とぶつかったのか、声がする。その人は――
「……え?」
 予想外の人物と遭遇した。
「時坂……! 危ないじゃないか、道を走ったら事故の元に」
 吾妻先生……!?
 なんでここに!
 拙い。後ろから時計仕掛けの獣が追ってくる。そして、そこには新しい獲物がまた一体。
 御馳走がふたつ。拙い、追いつかれる。走れ。逃げろ。そうじゃなきゃ死ぬ。確実に死ぬ。
 見捨てて逃げないと、死ぬ!
(――そんなこと)
 一人だけ逃げて、助かる。
 先生を、見捨てて。
(出来るわけねぇだろが!)
 どっちも生き残る!
 二人で全力で走ればいい、ただそれだけだ!
「先生! 走って! 逃げて!!」
「おい、時坂――?」
「いいから!」
 俺は叫ぶ。
 だが後ろからは凶暴な気配。
 間に合わない。間に合わない!
 なら――!
 俺はとっさに、木の棒を拾い上げる。倒せるなんて思わない。だが受け流してせめて隙を作り、そして二人で――
(……あ)
 駄目だ。実感する。直感する。確信する。
 タイミングが致命的にズレた。
 間に合わない。
 時計仕掛けの獣の腕は、俺の体を貫くだろう。
 間に合わない。
 時を止めでもしない限り――間に合わない!

 そして――

 果たして、確かに俺は間に合わなかった。

 だが――


 金属がひしゃげ、くだける音が響く。
 そして、地面に落ちる音。

 何が――あった?

 俺の目の前で、いつもどおりの変わらぬ表情で立っている、その姿は何だ。その生身の腕で鋼の兇器を受け止め、ヘシ折った今の動きは一体何なんだ?

「蛮勇、無謀は勇気とは言えないぞ、時坂」

 そういえば。
 何故先生は、ここに居た。
 時の止まったこの結界の中に。

「確かに俺は馬鹿になれと言ったが、馬鹿すぎるのも問題だ」

 そうだ。確か先輩があの時言っていた。
 時計仕掛けの獣によって時を止められた世界で動けるのは――
 獲物として狙われた、俺のような人間か、
 或いは――

「これでは及第点をやれんな、落第だ。
 だが――」

 ――それを、倒す力を持つ者……異能者のみだ、と。


「俺は、それでも嫌いじゃない。さあ、補習の時間だ、時坂」


 吾妻修三先生は、時計仕掛けの獣を前に、まるで学校にいるかのように、平然と言った。


『GOOOREEEEAAAAAAaaaa!!』

 時計仕掛けの獣が吼える。
 無事な脚を先生に向かって振り下ろす。
 巨大な鋼。無骨な兇器。鈍く輝く杭。あれを人間が食らえばひとたまりも無い事など、火を見るより明らかだ。
 先日、俺を襲った奴よりも強いだろう。トマトを地面に叩きつけたかのように爆ぜる、そんな光景が俺の脳裏に浮かぶ。
 だが――その杭は地面を穿つ。
 先生は一歩たりとも動いてない。
 ただ――その手で、払いのけただけだ。
「相手は確かに強い。だが所詮は獣。機械で出来た怪物ではあるが――それでも猪突猛進する猪と変わらない」
 先生は静かに、俺に向かって言う。
「そういう時はな、相手の力をそのまま利用するんだ」
 ただ払い、力の流れをずらした。
 それだけで、敵の巨大な杭は地面を突き刺し――そして、外れない。
「威力とはすなわち、力と速度と重量だ。ああ、こいつの攻撃はなるほど強力すぎる。だが、故に外してしまえば、こうなる。
 さて、打ち下ろす一撃には重量と速度が加わったが……突き刺さったこの杭を引き抜くには、やはり同等、ないしそれに近いパワーが必要だ。しかし……わかるな、時坂?」
「あ……はい」
 単純な足し算、力+速度+重量での攻撃。
 だが引き抜くためには、重量も速度もそこには無く、単純な力のみで行わなければならない。
 時間をかけることで引き抜くことは当然可能だろう。それだけのパワーがある。
 だが、それでも。
 その時間こそが、こちらにとっての圧倒的なアドバンテージとなる。
「外してしまったら次に転じることが出来ない攻撃など、まさに愚の骨頂、獣の所業だ。いや、獣でももう少しましだろうな。
 さて時坂、だがそれでも獣というものはしぶとい。動きを縫った程度では倒せない。どうする?
 答えは簡単だ。心臓を止めればいい」
 先生は、先ほどねじ切った敵の腕を拾い上げる。
 長く鋭い鋼の爪だ。
「敵の鋼の皮膚は硬い。普通に突き刺しても阻まれる。だが――そういう時はな、しっかりと見て、考えるんだ。
 敵の心臓は何処だ。急所は何処だ。そこに至る道程は何処だ。
 考えて見極めて、そして――」
 先生は、腕を振るう。
 まるでハンマーのように。
「迷わず、叩き込め」 
 装甲と装甲の合間。
 機械仕掛けの獣、すなわち動くロボットとしての構造上、どうあっても発生する、隙間部分。
 そこを一直線に縫い、その一撃はおそらく、敵の心臓部を貫いたのだろう。
 動きが停止する。
 不快な鋼の鼓動が止まり、ダイオードの目から光が消える。
「…………」
 なんというか、声が出ない。
 先生は平然としたまま、俺のところまで歩いて来て、そして手を差し伸べてくる。
「立てるか、時坂」
「え……あ、はい」
「しかし、鶴祁から聞いてはいたが――」
「え?」
「二度連続で狙われる、か。お前も間が悪いな」
 うわあ、先生からも間が悪いって言われたし。
 ……ていうか、今先輩の名前を……?
「先生、敷神楽先輩とは……」
「ふむ。まあこの状況だ、もう隠しても仕方ないか。
 彼女は私の教え子だ。ああ、普通の学校の教師と生徒、という意味ではなく、師弟という事だ。退魔の道のな」
「……なるほど」
 合点がいく。
「先ほど、鶴祁から連絡があってね。それでお前を探していた、と言うわけだ。間に合ってよかった」
「……ありがとうございます、先生」
 俺は頭を下げる。
「礼には及ばん。生徒を助けるのは教師として当然だ。それに」
「……それに?」
「お前を助けに来ただけではないからな。言ってみれば、お前はついでだ。見ろ」
 笑顔で俺をついで呼ばわりしながら、先生は時計仕掛けの獣の残骸を視線で指す。
「……!」
 俺は驚く。
 その崩れた残骸が消えていくのは、先日と同じだ。
 だが、それと入れ替わるように、虚空から実体化していく光。
 それが人の姿を取っていく――
「奴らは働き蟻や蜜蜂のようなものだ。人を襲い、時間を奪う。だが、奴らの犠牲になった人間は、すぐに死ぬ訳ではない」
 だが先生の言葉も俺の耳には入らない。
 そこに居たのは――島田の姉だ。
「奴らの主人に捧げられる前に。あるいは、奴らに食い尽くされる前に。時計仕掛けの獣を破壊すれば――開放される。
 救うことが出来るんだ」
 先生は。
 俺が昼間に言った、島田の姉がいなくなったという言葉を受けて――探してくれていた?
 俺は先生を見る。
 先生は俺の視線に気づき、笑う。
「よかったな、時坂」
「……はい」
 よかった。本当によかった。
「……一足遅かったようですね。いえ、先生が早かった、というべきでしょうか。流石です」
 その時、俺の背後から声がかかる。
 この声は……。
「先輩……」
「遅くなって済まなかった、祥吾くん」
「あ、いえそんな」
 先輩が頭を下げるが、謝ってもらう理由なんてない。
 先輩が先生に連絡を入れてくれなかったら、そもそも俺はとっくに殺されていたんだから。
 先輩にも、感謝してもし足りない。これで命を救われたのは、二度目なんだから。
 先輩は微笑むと、先生に言う。
「あれが、彼女が祥吾くんの友人のお姉さんですか」
「ああ」
「ほとんど食われてはいないようですね、彼女の時間も。これならば修正がかかり元に戻るでしょう」
「そうだな」
 時間……?
 そういえば、さっき先生もそういう事を言っていた。
「あの」
 俺は質問する。
「時間を食うとか奪うとかって……どういう事ですか?」
 その質問に二人は顔を見合わせる。
「そうか、そこらの説明をしないといけなかったな。
 まず、もう判ると思うが……私達は異能者だ」
「あ、はい」
 だけど先日、先輩は異能者だという事を隠していた。
 あれはつまり……
「じゃあ先輩が昼間言ってたことは、あえて無茶な事を言って俺を冷静にさせるために……」
「ああ」
 先輩は思い出したように言う。
「あれはただの本心だ」
「ぅおいっ!?」
 侮れねぇ! うすうす気づいてたけどこの人天然だ!
「無論、時計仕掛けの獣に襲われたか、という懸念もあった。だが同時に国家的陰謀論の可能性も捨てきれない。そして君に判りやすく伝わるのは後者だと判断した」
 いや捨てろよその可能性。
「じゃあ、あの怪物は一体……」
「あれか。あれは時計仕掛けの獣だ。
 人を襲い、人の時間を奪う。襲われて犠牲になった人間は、時間軸から隔絶され、人々から、世界から忘れられてしまう」
「……それで」
「ああ。彼女の弟……君の友人が姉の事を忘れたのもその為だ。だが安心していい、今頃は思い出しているだろう。違和感を覚える事も無く、忘れていた事を忘れて」
「……いや、ちょっとまってくれ」
 ふと浮かんだ違和感を、俺は疑問にして口にする。
「なんで、俺は……覚えていたんだ?」
「ふむ」
「君は一度、時計仕掛けの獣に襲われて、助かった。そこで何らかの……言うなれば縁のようなものが生まれたのかもしれない」
「そうだな、いままで霊感がなかった人間が、一度いわく付物件で心霊現象に遭遇したら、以後頻繁に幽霊に会うようになるのと似たようなものだ」
 判りやすいたとえだが、どうにも緊迫感に欠けるなあ。
「彼女は運がいい。君が彼女を覚えていた。そして君は彼女を助けるために動き、そして私達がその事を知った」
「ああ、時坂。彼女は、お前が助けたんだ」
「先輩。先生……」
 そういわれるとこそばゆい。
 でも……そうか。俺でも、こんな俺でも……間に合ったんだ。
 間に合ったんだな。俺は。
「しかしこれで五体目ですね。そろそろ打ち止めのはずですが」
「そうだな鶴祁。しかし楽観は出来ん。本体がいる可能性も」
 二人は物騒なことを話している。
 俺はつい口を挟んだ。
「どういうことなんですか?」
「ああ……」
 先輩と先生は振り向く。
「先日と今日の君を襲った二体。あれで全部ではなかったんだ」
「俺たちは、他にも三体ほどあれを倒している」
「……そんなに?」
 あれが全部で五体いて……しかも、まだいるかもしれないってそういうのか?
「ああ。だがそう悲観もすることはないだろう。すでに五体だ。俺達が前に確認したのも五体。これで一応は終わった。それに本体がいるなら、そろそろ痺れを切らしてくる頃だろうしな」
「本体?」
「ああ。本体がいるのではないかと私達は睨んでいるよ。あれを使わして人を襲わせ、時間を集めている何か……」
「おそらくは、時計仕掛けの悪魔」
「悪魔……?」
「ああ。先日、私が使役したのと同類だ。あの時計仕掛けの獣はそれが生み出している可能性が高い」
「生み出して……?」
「そもそも時計仕掛けの獣は、日本風にいえば式神のようなものなんだ。使い魔、というべきだろうか」
「さっきも言ったように、蜜蜂や働き蟻のようなものだ」
 蜜蜂や働き蟻。
 女王に餌を捧げる奴隷、兵隊。
 ……時間を。奪う。集める。
 捧げる……。
(……)
 今、何か。
 一瞬、何かが頭をよぎつたような気がしたが、今の俺にはそこ
まで考えを巡らせる事は出来なかった。



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