【MPE 2】


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   2


「大地にあまねく魂源力よ!」
 巨大なラルヴァの足元に、不思議な幾何学模様の魔方陣が描かれた。淡く発光しており闇から浮き出てきたかのようだ。純白のゴシックロリータに身を包んだ魔法少女は、くるりと回ってフリルを浮かせ、装備である日傘を満月に掲げた。
「今こそ集いてその力を示さん! 魂回帰魔法『アストラルリバイバ』――!」
 魔方陣が輝きだし、夜の児童公園を地面から照らす。大型のビーストラルヴァは聖なる光に取り込まれ、瞬く間に消滅し魂を失った。
「ムッキ――――――――ッ! 覚えてなさいよまな板娘ェ――――――ッ!」
 ハンカチを噛んでヒステリーを起こしているバニーガール。大量の涙を後ろに流しながら、公園から走り去ってしまった。自分の召還してきたラルヴァをまたしても宿命のライバルに葬られてしまい、悔しいことこの上ない。
「もう二度とこないで――――――ッ!」
 魔法少女も怒鳴り返す。連日、あのバニーガールが連れてくるラルヴァと戦わされてうんざりしていたところであった。
「まな板とか、大きなお世話だよ!」
 ほっぺたを膨らませながら日傘の少女も公園を後にする。そんな二人の戦闘風景を、陰でこっそり伺っていた人物たちがいた。
「あれが双葉学園の異能者か」
 男性とも女性ともとれない、きわめて中性的な声。
「ド派手ねぇ。個性的、って言えばいいのかしらぁ?」
 続いて聞えてきたのは、おっとりとした性格を感じさせる、大人の女性の声であった。
 二人は公衆便所の影から戦いを見ていたのだ。用意してきたアツィルトチェッカーの数値を見て、軽く言葉を失う。
「やっぱり並みのレベルじゃないわねぇ。最初からここに来てればよかったわぁ」
「さすがは日本唯一の異能者教育機関ってところかな」
 公園に誰もいなくなったのを見計らい、二人は物陰から出てきた。銀髪の青年はぽきりと指を鳴らし、白衣の女性のほうは酸素ボンベのようなタンクを背負った。
「僕はバニーガールのほうをやる。シホは魔法少女のほうを頼む」
「任せなさぁい」
 二人は分かれて闇へと消えた。


 児童公園でそのようなことがあった、次の日。
 今日はまだ水曜日なので、双葉学園はいつものように授業がある。ちょうど昼休みの時間帯になっていた。廊下もグラウンドも生徒たちの声で賑やかだ。
 校舎の陰になっている荒れた草むらで、何やらしゃがみこんで作業をしている三人の女の子たちがいた。
「なーんで私がこんなことしなければなりませんの!」
 ××××××××はそう不満を爆発させた。軍手の指先は土まみれになって汚れ、足元には彼女のむしり取った雑草が小さな山を作っていた。
「仕方ないよ××ちゃん。これも奉仕活動なんだから」
 麦藁帽子の似合う××××××××はそう言った。××は首にかけているタオルで汗をぬぐいつつ、彼女に言う。
「こんな夏場に草むしりなんて。お肌焼けちゃうじゃない」
「私は特に気になりません」
 小さな鎌を手にし、鼻歌を歌いながらすぱすぱ切っていく××××。「楽しそうね、×××」と半ば呆れながら、仕方なく作業に戻った。
「謹慎期間・・・・・・楽じゃない・・・・・・」
 前髪のとても長い×××××が言った。汗が数滴頬を流れ落ちていき、かなり暑そうにしている。
 この三人と、××××××××××、×××××××××××、××××、そして××××は、学園からの指示により登校禁止かつ謹慎期間中にあった。
 これは先月に学園を相手に反乱を起こしたためで、結果として敗北に終わった彼女らは、二週間ほどの登校禁止と島内・学内の奉仕活動を行うことを命じられた。××と×が浜辺の掃除をしたり、×××が草野球の助っ人を務めていたりしていたのも、奉仕活動の一環であったというわけである。
 そして今日も奉仕活動として、××たちは学園内の草むしりをやらされていた。初等部から大学まで存在する双葉学園の敷地内を全て周れ、と黒髪の風紀委員長に言われた。
「これ、今日中に終わるんですの?」
 げんなりしながら××は言う。こういうときに限って××と×はなぜか来ていない。×××××は後から図書室より駆けつけてくると聞いている。×××××も懲罰房に引きこもっていないで、とっとと脱走でもしてきて手伝って欲しいですわ、などと思っていたそのときであった。
「みんな元気にしてるー?」
「あら? ×××××ですわ」
 ちょうど×××××のことを考えていたら、本人が登場してきたのである。長い髪の毛をサイドポニーにしてまとめている眼鏡っ子は、大げさにため息をついて三人にこう言う。
「昨日は大変だったわ。懲罰房脱走して合奏部邪魔したこと×××さんにチクられて。おかげでお説教と反省文で死にかけたんだから」
 そりゃあ怒りますわ、と××は呆れ果てる。彼女の口から出てくるしょうもない話を断固拒否するかのように、××は新しい軍手を取り出して×××××に押し付けた。×××××は快く草むしりの手助けを買って出た。
「ところで×××××、今日は何で出てきたの?」
 ××××が×××××にそうきいた。すると、よくぞ聞いてくれましたとばかりに×××××は眼鏡のフレームをいじってから、三人にこんな話を持ち出してきたのである。
「今、島の外はちょっとした騒ぎになってるのよ」
「騒ぎ? どういうことですの?」
 ×××××はにこりと不敵な笑みを見せてこう言った。
「魔女――『エリザベート』」
 エリザベート?
 三人は同時にその名前を口にしていた。
 今、双葉島の外――関東地方での異能者社会が騒然としている。各地に暮らす異能者が次々と失踪しているのだ。
 どういうわけか、狙われるのは若い女子の異能者だった。恋人を襲われてしまった男性異能者の話によれば、真っ赤なドレスを着た真っ赤な髪で、真っ赤な瞳の女が恋人の魂源力を「吸いつくして」しまい、そのままどこか遠くへさらっていったという。
 彼らは異能者でも戦闘タイプの異能を持たない人たちだったので、ほとんど抵抗できなかったそうだ。しかも真っ赤な女は二人も強い異能者を従えていた。
「魂源力を『吸う』?」
「それが異能だとしたら、とんでもない悪人異能者ですわね」
「吸血鬼・・・・・・エリザベート・・・・・・バートリー・・・・・・」
 ×××がそう言ったことで、××も××××も合点がいったかのように「ああ」と零す。
 ハンガリー王国の貴族にエリザベート・バートリーという女性がいた。彼女は「血の伯爵夫人」と恐れられた、凶悪な連側殺人鬼である。
 召使や農奴の娘を連れてきては残酷極まりない道具で血液を搾り取り、その血を全身に浴びて恍惚に浸っていた。まさに「魔女」「吸血鬼」。件の人物が女子異能者を襲い、魂源力を根こそぎ抜き取っていることから「エリザベート」という俗称が付いたのだろう。
「醒徒会も調査に入ったって言うから、ちょっと小耳に挟んできちゃったのよ。どう、面白い話でしょ?」
「悪趣味ですわ! どこが面白いんだか!」
「女の子だけを狙うって、嫌だね」
「犯人の・・・・・・目的は何でしょう・・・・・・?」
「全くの不明。動機とか目的とか全然わかんないんだってさ。自分の力にしちゃうとか、自分の美容のためとか色々言われてる」
 偵察で得た情報を得意げに語りながら、ワイシャツをばたばた引っ張って胸元を冷却していたときだ。突然×××××は「あっ、やべっ!」と血の気が引いたような顔を見せた。
「おい、君たち」
 ××、×××、×××は呼ばれたほうを見る。
「あ、逢洲等華さんこんにちは」
 ぺこりと××××が丁寧にお辞儀をした。十三時も過ぎとても暑いなか、風紀委員長の逢洲等華は汗水一つ流さない冷静な顔つきで、××××ら三人のところにやってきたのである。
「×××××××××××を見なかったか?」
「あっち・・・・・・逃げていきました・・・・・・」
 ×××がしれっと、あさっての方向を指差して言う。
「そうか助かった。あいつ今日も脱獄したんだ! もう今日という今日は・・・・・・!」
 ぎりっと歯を鳴らし、怒れる風紀委員長は走って行ってしまう。ミニスカートが微動も見せない、静かで素早い走り方だ。
 ××の隣にこんもりと積もっている、むしった雑草の山。彼女はジト目でそれを見ながら、「ほら、行きましたわよ?」と話しかける。
「ぷはー!」ばさぁっと中から×××××が顔を出した。「ありがとう×××さん! やっぱ持つべきものは仲間ですよねー!」
「どういたしまして・・・・・・」
 ×××は×××××を見ることなく、黙々と草をむしり続けていた。


 サッカーボールが高く上がり、離れたところへと飛んでいってしまった。
「おーい、どこ蹴ってんだ」
「イタタ・・・・・・。もう、転んじゃったじゃなぁい。あ! パンツ見たわねエッチ!」
「大丈夫だ。俺はお前のパンツにゃ興味無い」
「それどーいう意味よ!」
「いーから早くボール取ってきなさい! 二十四秒以内に取ってきなさ――い!」
「拍手あとでぶっ叩くかんね!」などと大声で喚きながら、六谷彩子は遠くへ飛んでいったサッカーボールを拾いに行く。この昼休み、昼食を早めに切り上げてクラスメートの友人たちとキックバレーで遊んでいたのだ。
 まっさらな白いグラウンドの真ん中に、一球だけぽつんと置かれたサッカーボール。それを、誰か高等部の女の子が拾い上げた。I組の××××××××××だ。
 図書室での勉強を終えて、××らの草むしりに合流するところであった。謹慎期間もようやく今週で終了だ。あと三日だけみんなで力を合わせて頑張りたいと思っていた矢先の出来事である。
「どうぞ」
 サッカーボールだったので、×××××は彩子にボールを転がして渡してあげた。ボールは数回小さく弾んでからころころと転がっていき――。
 彩子はボールを乱暴に蹴っ飛ばした。
 サッカーボールが青空に吸い込まれる。×××××は瞠目する。八つ当たりにも似た、ボールに対する暴力。少なくとも彼女にはそう見えた。
 彩子は顎を少し上げた、意地の悪い笑い方をしてこう言った。
「あんたのばっちい菌が移るでしょうが」
「・・・・・・!」
 悪い相手だった。六谷彩子は先月の事件をきちんと覚えていたのだ。たいていの生徒は×××××による暗示で記憶操作の工作を施したのだが、彼女の異能が通じない異能者だっている。その一人が彩子である。
「あんたたちのせいでね、麻耶子姉もスミちゃんも、私もひどい目にあった。凍傷を負ったり頭痛が残ったりね。のうのうと外に出てきてんじゃないわよ」
 ×××××は真下に視線を落とし、涙を一粒、二粒落とす。
「学校が嫌いなら早く出て行けば!」
 苦痛に顔を歪める×××××に対し、容赦なく彩子は怒鳴りつけた。
 彩子のようにあの事件を記憶している生徒たちが、×××××たち七人の悪行をしっかり広め、伝えている。だから今、彼女たちは非常に肩身の狭い思いをして奉仕活動をしていた。誰も決して口に出そうとはしないが、辛いわけがないだろう。
 例えば×××××のように、生徒たちからの冷たい視線が気にならない子もいる。だがか弱くて優しい心を持つ×××××は、どちらかといえばこうして冷たくされたり意地悪をされてしまったりすることに、ひどく心を痛めていたのである。
 遠くから誰かの声が聞えてくる。「ちょっと六谷さん? 早くボール持ってきなさい! お昼休み終わっちゃうじゃない!」。
 機嫌の悪い彩子は「うっさいわね貧乳眼鏡」と呟いてから、「うんわかったー、ボール空気抜けちゃったから新しいの持ってくるねー!」とにっこり笑顔を作って遠くのクラスメートたちに言った。
 それなりに×××××たちには、学園や学園のみんなに対して声を大にして訴えたいことやぶつけてやりたい並々ならぬ不満というものがあった。××、××、そして×××××がそうであったように。
 しかしだからといって、あのような暴力的な手段に頼るのは間違っていた。結局何も得るものは無かったし、何も変えられなかったのだから。
 もう何もかもが遅かった。手遅れだった。物語は一歩一歩、悲しい方向へと進んでいる。一人残された×××××はさめざめと泣いていた。


「草むしり・・・・・・行かなきゃ・・・・・・ぐすっ・・・・・・えぐっ・・・・・・」
 ××たちが待っている。自分の今やらなければならないことは、謹慎期間をきちんと過ごすことだ。学園全域の草むしりは、人数がいても骨が折れる作業になるだろう。早く駆けつけてやらないといけない。
 体育倉庫のほうへ行った彩子を見る。あの子と仲良くなることは無いだろう。自分は学園の問題児であることを自覚し、今後一切あの子やあの子の姉妹には近づかない。それがあの子のために自分にできること・・・・・・×××××はそう悲しいことを思った。
 彩子は木造の古い体育倉庫の前にいる。恐らく扉が開かないのだろう、頭に来た様子でガンガン扉を蹴っていた――そのときだった。
 彩子を一気に二人の人物が取り囲み、一気に地面に押さえつけて制圧してしまったのだ。×××××は驚愕し、すぐさま走り出した。
「何すんのよ!」
 二人がかりの拘束を抜け出し、彩子は脚を振り回す。相手がそれを避けて離れたのを機に、体育倉庫の壁に立てかけてあった竹ボウキを握り頭上でぐるぐる回して激しい威嚇を見せた。
 眼前の銀髪をした美青年に、彩子は声を荒げる。
「あんたたち、この私が六谷彩子様と知っての狼藉なの?」
 ところが背後に回っていた白衣姿の女性が、薬品の仕込まれたハンカチを片手にゆっくり接近していることに彩子は気づかない。
「シホ!」
「!」
 青年がその女性に呼びかけたことで、彼女は身を小さくかがめることができた。彼女の頭があったところを、ギラリと輝くナイフが通過していったのだ。どすんと木造体育倉庫の壁に突き刺さる。確実に脳天を射抜く、訓練された恐ろしい一射であった。
 ナイフ――愛用のバヨネットを投げつけた×××××が、いよいよ彩子と背中合わせに立ち、構えを取る。普段の優しい目元を捨て、死線をいくつも潜り抜けてきた修羅の目と化す。「ちっ。あんたなんかに借りを作るとはね」と意地っ張りな彩子は言った。
 彩子も、×××××も並みの異能者じゃない。謎の二人組みも真剣な表情になって彼女らと対峙していた。
「何者です?」先に口を開いたのは×××××だった。「あなたたち何者なんです? 学園では見ない顔ですが」
「か弱い彩子様に暴力ふるって! タダじゃ済まさないんだから!」
「フフフ。やっぱり一筋縄じゃいかないなぁ。さすがは異能者の学校・双葉学園の仔猫ちゃんたちだ」
「ちょっと想定外だったわねぇ」
 銀髪の青年と、白衣姿の女性はそう言った。×××××たちは彼女たちの発言の意味が全然理解できない。
「僕はジュン。異能者の一人さ。島の外に住む、ね・・・・・・」
「島の外? 双葉島の異能者じゃない?」
「異能者みんながここに来ると思っちゃ、大間違いよぉ」
「ふーん。んでヨソ者が何の用よ? 観光のわりには調子乗りすぎなんじゃないの!」
 竹ボウキの柄を真っ二つに折ってしまい、足元に叩きつける彩子。×××××はまずいな、と感じていた。いきなり襲われたことで、彩子は完全に頭に血が上ってしまっている。
「『ファランクス』で粉々にしてやる!」
 左手を高く掲げ、右手を前に突き出すポーズを取った。魂源力が怒りに共鳴し、足元から渦を巻いて上昇気流を発生させ短めの後ろ髪を立たせた。
 しかし彩子が攻撃に出たのとジュンが前へ一歩踏み出したのは同時のことだった。
「君たちはどうも異能に頼りすぎる・・・・・・」
 隙だらけの彩子の懐に、一瞬にして潜り込んでしまった。大嫌いな男性の顔に近づかれ強い不快感を覚えたのも、ほんの一瞬のことだった。
「がふぅっ!」
 みぞおちに拳を叩き込む。彩子の体は腹から折れて前のめりにずるずる沈んでいった。
「彩子さん!」
「おっと」
 ×××××がバヨネットを手に仕掛けてきたが、ジュンは刃物の一閃をしっかり避けて彼女の背後に回った。
「ここぞというときに使うものなのさ」
 そして×××××の後頭部に左の手のひらをかざし、力を込める。
 バチンという頭の後ろ側がはじけ飛ぶ衝撃。やがて全身の力がほとんど抜けてしまって、×××××も崩れ落ちた。彩子などよりもこの外人の子のほうがずっと脅威だとジュンは落ち着いた判断をしていた。
「さて。この眼鏡の子にしとこうか」
「く・・・・・・くっそぉ・・・・・・」
 完敗だった。異能や実力の差などより、未熟であったから敗北した。彩子は悔しがった。
 と、そのとき彩子の背中に誰かが覆いかぶさってきた。×××××だ。
「僕のスタン攻撃を食らって、動けるなんて」
「彩子さんに・・・・・・指一本触れさせません・・・・・・!」
 決め細やかなブロンドを汗まみれにしてぐちゃぐちゃにさせ、×××××は一生懸命張って彩子の背中に覆いかぶさったのだ。
 バカ、と彩子は漏らした。手ひどく罵倒した人間に対してすることじゃない。×××××は彩子の想像もつかないくらい、優しい少女であったのだ。
「まってジュン。その外人にしときましょ」唐突に白衣のシホが言う。「見て、このアツィルトチェッカーを」
「なるほど、メーターが振り切ってるじゃないか・・・・・・」
「相当の異能者よ! これならエリザベート様もすっごく喜ぶわぁ!」
(エリザベート?)
 彩子は疑問符を頭の中に浮かべる。エリザベート? いったい誰のことなのだ? いったい何を目的にして、こうして。
 だが×××××はそうでない。「そんな・・・・・・エリザベートが、双葉島に」と怯えた声で言っていた。彼女は昨日、龍河からエリザベートの話を聞いていたのである。
「それならこの子にしておこう」
「じゃ、行動に移しましょ」
 白衣の女性がハンカチを持って近づいてきた。何か薬品の仕込まれているものだ。まず×××××がそれを口元に押し付けられ、もごもご抵抗を見せたがすぐに無言となった。
 続いて彩子にも同じ手口で襲いかかる。何をされるかわかったものではない。必死にもがきあがくのだが、ジュンに手足と胴を押さえつけられており、もうどうしようもなかった。
「お・・・・・・覚えて・・・・・・なさい・・・・・・よ」
 白衣の女性が向ける嫌らしくて憎たらしい目元に、野獣の睥睨を突きつけるのが精一杯だった。彩子の意識はすっと暗闇へと収束していき、意識や記憶はそこで途絶える。




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