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私は中村美沙。
ごく普通の女子高生。
好きなものは甘いもの全般。特にアイスクリームが好き。ハーゲンダッツは高いけど、コンビニへ行くと絶対買う。
嫌いなものはコーヒー。苦いから。
そんな普通の私にも、人生の転機が訪れました。
ちょっと学園に残って課題をしていた帰り、私はありえない事件に遭遇しました。
それが、屋上を人間では考えられない跳躍力で飛び跳ねる陰と、校舎の陰をすごい速さで走る一人の少年の姿で・・・。
すっごく驚いた。
あぁ、これは夢だ。
課題している途中で寝ちゃって、それでこんな変な夢を見ているんだと自分に言い聞かせて、ほっぺたとかつねってみたけど、いたかった・・・。
一度見たら気になる性質の私は、その陰が向かう方向に行ってみたの。

着いた場所は、薄暗い体育館。
ピカピカに磨かれた体育館はさっきまでの異常が嘘なぐらい静かで、冷たい空気が相まって私の背筋を凍らせる。
怖いなぁ・・・はやく帰ろう。
そう思った次の瞬間、天井が落ちてきました。
何がなんだか分からなかったけど、私は体育館に放置されていた体操マットに包まって飛び交う激しい衝突音に体を震わせて耐えた。

シーン。
突然静かになって。
瓦礫の中から一生懸命出てきたら、遠くのほうで人が倒れていて・・・。


何がなんだか分からなかった。


それからは、私もよく覚えていない。
なんだか小さな女の子と、野田君が銃で戦って、いつの間にか朝になってた。
分からないことだらけだったけど、分かったことが一つだけ。
野田君は、私をいつも護りながら戦っていたこと。
華奢な背中しか見てなかった私には彼がどんな顔で戦っていたのかは分からないけど。
でも、すごく、悲しそうだった。

私はこの学園が好き。
あんなバケモノが私の好きな学園をむちゃくちゃにするのを見てきて、辿り着いた私の結論。
だから、私は言ったんだ。
「執行者になる」って。





「え・・・?」
野田康治は戸惑いを隠せなかった。
そのデジャブは他ならぬ自身が体験したそのままの事象。
これから彼女の身に起こる悲劇と、戦いの連鎖を、彼女はまだ知らない。
そして、彼女は自分でこの非日常の世界へ進もうとしていた。
むしろもう進んでいるのか・・・?

「私、こう見えて体術は結構自身があるの!!だから・・・私も野田君のように誰かを護れる存在になるって・・・!」

「・・・・・」

こうなった人間はもう誰も止められない。
一度走り出した滑車は、始動以上の衝撃を与えない限り止ることはない。
そして今、彼女を止める術を野田康治は持ち合わせていなかった。
俯いてしばし考える。
近い将来、僕はまたこの学園へ訪れることになること。
そのときに起こる戦いの渦中に彼女の存在がいること。

未来はもう、悲劇へと進みだしていること。


こんなとき、黒崎葵ならどうする?
野田康治に出来ることは、何か?

様々な疑問を打ち払うように、その者は姿を現した。


「あら、紅い子しかいない?」
「あぁん?石田ってヤツはもう逃げたか・・・仕方ねえ、野田ってヤツだけ拘束すっか」

校舎の屋上から二人を見下ろす二人の執行者。
彼らの姿はまさに中世の騎士のような風貌で、野田康治はその姿に見覚えがあった。

「アトラス・・・!!」

桜門の精鋭中の精鋭。
常時学園にいるわけではないが、今回の騒動で各地から召集を掛けられ戻ってきたと思われる執行者としては異端の集団。
野田康治は片腕で中村美沙を制し、腰に下げられた双影の剣を展開する。
独特の粒子光と、眩い力の波動を二人にぶつけるも、微動だにしない。

「はぁん。これが英雄の息子の力か・・・とても激戦続きの身体とは思えないがなぁ!!」

「ちょっと奥山君!!先行しないの!!」

野田康治に向かって飛び掛る騎士。
手には槍のようなものを持ち、一目散にコチラへ突進を開始した。
そして、その奥で指示を出している女は巨大な銃を野田康治に向け射撃体勢に入る。

「中村さん、よく見ていて」

「これが、キミの進もうとする道。執行者同士で殺しあわなくちゃいけない、そんな世界だ・・・!!」


相手の突進に合わせ、野田康治も宙を飛ぶ。
双影の輝きは陰を打ち払い、桜門へその牙を剥いた。



「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


眼の色は朱。
あの雪の日から、
あの出会いの日から、

彼の色は、消えることがなかった。
















季節は少し流れた。


冬から春へ。
桜の咲き乱れる校内を一人歩く少女の姿が一つ。
長いノルタイルの廊下に響く足音の主の目的地はもうすぐ傍まで迫っていた。
足を止め、彼女が見るのは【物理室】と書かれたちょっと古びた理科棟の教室。
ここに来れば、自分もがんばれる気がする。
あの日二人の同級生に挑戦状を叩きつけられたからには、自分も何とか同じ場所に立たないといけないと思ったのか。
はたまた、純粋にこの学園を護りたいという正義感からか。

重く、錆び付いた扉に手を掛けて彼女は躊躇っていた心を振り払うように一気に開け放った。

「・・・騒がしいわね」

晴天の眩しい日の光を浴びて、誰とも知らない人が物理室の一角に佇んでいた。

「この学園の執行部に志願したいと思い、ここに来ました」

「なぜ?」

突然の申し出に光の影で顔もよく分からない人はクスリと静かに笑った。
そうして、執行者の道へと進もうとする少女に一言。

「・・・執行部への志願は何人たりとも断りはしない」

「そうですよね?先生。」





物理室の奥からゆっくりと車椅子で近づく男。
名を【鶴谷国重】


「我が剣となりて、この学園を護るべき者。・・・ついに来たか」



そうして中村美沙の物語は始まった。
これから起こる大きな争いの一端を担うと、今の彼女に知る術はなかった。





「さて、始めようか。あの二人が私の計画・・・Device Operationの【真実】に近づくまでの間、キミにここの指揮系統の全権を任せる・・・」




「いいかね?葵君」





「はい。すべては先生の望みを適えるために・・・」








Mirage1-The Device Operation-END