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俺は悲鳴を上げることはなかった。常人ならここでパニックに陥ってしまうだろう。
なぜなら俺は、これまで読んできたTS小説によって仮想的にこうした状況に慣らされていたのである。
このあたりは俺の危機管理能力の高さが伺える。(ちょっと違うか)
まぁ、下手に悲鳴を上げて今の状況で親とご対面するのは極力避けたい事態である。
説明しても分かってもらえるはずもないし、ましてや俺自身もまだ理解できていない。
階下の気配を見る。幸い親はもうすでに寝ているのか大きな動きは感じない。
目下の心配が解消されると今度は別の大きな心配が頭をもたげてきた。
「これって戻れるのか・・・?」
TSにおいて可逆か不可逆かは非常に大きなファクターである。
それによりTSに対する心構えも大きく変わってくるのである。
もしも不可逆ならどうしてこうなってしまったのか原因らしい原因がない以上、
一生女として生きていく覚悟がいるかもしれない。
スキューバダイビングの潜水服を着るような感じで俺はまだ生暖かい自分の皮を身にまとう。
皮を着る際に何も引っかからずにこすれる股間の感覚が、自分が女になってしまったことを俺に突きつける。
ぶかぶかになってしまっているのは女になって体格が変わったせいだろう。TS小説ではよくあることである。
破ってしまわないように細心の注意を払いながら手、頭を皮の中に入れ、最後に胸の前の裂け目を閉じる。
まるで体に空気入れを接続されて風船みたいに膨らまされるような感覚とでも形容しようか、
はたして俺の体は元に戻っていた。人並みに筋肉のある手足、平らな胸、股間のモノ、人は故郷が一番とはよく言うが
その言葉がいかに的を射ているかがよく分かった。
これほどの安堵感を感じたのは高校の合格通知が来て以来だ。
「良かった、俺の場合は取り合えず可逆っと。」
しかし安心するにはまだ早い。脱いだ状態の皮を損傷してしまうことで今まで可逆だったものが
不可逆+ダークにまでなるということもありえない話ではない。
皮は細心の注意をもって扱わなければなるまい。
「さて、戻れることも確認したし、もう一度脱いでみようか。」
無事元に戻れることを確認した俺はもう一度胸に手をかけ、今度は足の先まで完全に脱いだ。
「元の皮はたたんで机の上においておこう。」
皮を畳む間にも二の腕に当たる自分の胸に俺のボルテージはいやでも上昇していく。
クローゼットを開けて鏡を見る
「これが・・・俺・・・?」もちろんお約束の台詞も忘れない。
鏡の中には黒髪の美しい裸の少女がいた。近づきがたい美しさではなく
誰もが寄ってくるようなかわいい的な美しさである。正直俺だと信じられない。
もし街で見かけたらぜひともお近づきになりたいと思ったことだろう。
その少女に向かって手を伸ばす。すると俺の視界に俺の手が見える。白くて、細い。
これが俺の手なんだと思うとなんだか興奮してくる
顔の前に持っていって手を握ったり開いたりしてみる。
手のひらはふっくらとしていて男のごつごつとした手とは比べ物にならないほど繊細で華奢である。
今度は手から視線を下に持っていく。形よく、ほどよく膨らんだ胸がそこにある。
「さっきはあまり触れなかったけど、こっちはどうなっているのかな。」
かすかに息が荒くなる。顔が紅くなるのを感じる。
親指と四本の指でつまむように揉んでみる。
とても柔らかい。前に太った男友達の胸をふざけて揉んでみたりしてみたが
このさわり心地は正直言ってそれをはるかに上回る。
今度は反対側の胸をわしづかみにしてみる。やはり同じように柔らかく、肌もすべすべしている。
そうやって胸をいじっているうちに体の奥からじんじんと疼くような感覚が湧き起こる。
そして俺は――――
日の出が近づき、雀たちが鳴き始める頃まで、俺は体の欲望に逆らえなかった。
つづく(?)
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:元レス|[[http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220262396/50-51]]
:最終レス投稿日時|2008/09/19 02:25:08