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 灰色に染まったビルの街並みを静寂が支配している、朝焼けとともに立ち込めた霧が晴れ
コバルトブルーの青空が頭上を染め上げる、三舟はベットからけだるい身を起こし窓際に立つと、
Yシャツと下着一枚だけの姿から、はだけた肢体を冷ますように大きく一つ溜め息をついた。

凛とした顔立ちに腰まで伸びたつややかな長髪がブラインドから差し込む光に当てられ
ゆらゆらと光を放つ、三舟は胸元のポケットからハイライトを1本取り出すと、
愛用のジッポで火をつけ大きく息を吸い――。

「ゲホッ! ゴホッ!ガハヘッ!!」

思いっきりむせた。

「――ゲホッ! か、体が受け付けないのか?
な、なんか一気にテンション下がったな……」

「大丈夫かい? 僕が背中をさすってあげよう」

「あぁ、悪いな清水……って! 何でお前が俺の部屋にいるんだ」

何故か先ほどまで三舟が寝ていたベットから清水がブリーフ一枚で現れると、
むせて無防備になった三舟の肩に手を伸ばし背中をさすり始める。

「えぇい、き、気色の悪いッ、触るなッ!」

「僕たちの仲じゃないか、遠慮はいらないよ――さぁ、二人でもう一度夢の続きを……」

「バカぬかせーッ!!」

肩に回した手首を捻り上げ背後に回ると、膝裏に蹴りを打ち込み清水の体勢を落とし、
そのままクローゼットへと頭から突っ込むように放り投げる。

「はぁはぁ……訓練中、同じ宿舎にいた頃から薄々怪しいとは思っていたが、
まさかモノホンだったとは……油断ならん奴」

「ふふ、照れ屋さんだなぁ、あぁそうそう学校で使う制服と教材はテーブルの上に置いておいたから
あと、登下校中に変な人に話しかけられても、ついてっちゃだめだよ」

「やかましいわ、変人はしばらくそこで寝てろ」

頭から激しく流血している清水をよそに、三舟は脱衣所で手早く着替えを済ませると
Cレーションを片手に通学路を走り抜けていった。

「へっへっへ、まだ持ってんだろ? 一之瀬君よォッ!」

「今日はそれだけしか持ってきてなッス、本当ッス」

「いいから飛んでみろや、森羅万象チョコの金箔レアシール出すまでここは通さねぇぜ!」

「ちょっと待ちにゃい!」

不良からカツアゲにあっている一之瀬の横から、台詞を噛みながら颯爽と三舟が現れた。

「あぁッ!?」(台詞噛んだッス)

「だ、誰だテメェは!?」(台詞噛みやがった)

「お前のようなチンピラに名乗る名前は持ち合わせちゃいないぜ、
さぁ、さっさとそのボンボンを放してやりな!」

三舟は年齢不相応の言動でチンピラにくってかかると、ゆっくりと腰を沈めて、
一糸の乱れも見せない構えを取り、チンピラを威圧する。

「ふっ、このクラヴマガは、いつ、いかなる時・場所でも効率的に
相手を倒す為に生み出された究極の軍隊格闘技、いわば殺人技――お前如きに見切れるかな?」

「さ、殺人技だと、上等じゃねぇかぁッ!」

チンピラが襲い掛かってくるよりも早く、三舟は携帯電話を取り出すと、
目にも留まらぬスピードで電話をかけた。

「あ、もしもし、警察ですか?」

「ち、ちくしょう――覚えてやがれッ!」

「す、凄いッス! あの屈強な男をたったの一撃でッ!

一之瀬が助けた礼を言う前に三舟が後ろを向きその場を立ち去ろうとすると、
ヒョこヒョコと子犬のように一之瀬が後を追いかけてくる。

「なんだ? なんか俺に用か?」

「おいら、一之瀬豊って言う名前ッス、それでその……貴女のお名前を」

「三舟権ぞ――じゃねぇ、三舟愛璃だ」

「み、三舟さんーッ! おいらを子分にして欲しいッス!
おいら、三舟さんの為なら、な、なんでもするッス!」

細身のあどけない美少年が、弱々しい上目遣いで子犬のように目をウルウルさせ懇願するのをみた三舟は
心の奥深くから嗜虐心フツフツとわきあがってくるのを感じた。

「――よし、じゃぁお手」

「はいッス!」

「――おかわり」

「余裕ッスよ!!」

一之瀬が調子に乗って指示にのってくると、三舟はニヤリと笑みを浮かべた。

「――チンチン」

「えッ! えぇぇッ!?」

「どうした?早くやれ」

「そ、そんな、おいら恥ずかしいッス……」

 顔を真っ赤にしてモジモジしている一之瀬を尻目にそそくさと三舟はその場を離れ、学校へと辿りつくと、
指定されていた教室のドアをくぐった、クラスの全員が三舟に注目すると、担任と思しき中年の教師が
三舟を黒板の前へと誘導し、自己紹介を勧めた。

「さっ、みんなに自己紹介お願いね」

「今度からこのクラスでお世話になります三舟愛璃と申します
皆さん今後ともよろしくお願いします」

無難に挨拶を済ませると、周囲の男子達から冷やかすように口笛がなる。
多少不快感を感じたが、席に着いたとき、常に戦いの中に身を置いてきた三舟にとって、
何者からの束縛も受けない真の自由とも言える、この時が何事にも変えがたいものに感じられた――

「では本日から新しくこのクラスの担任になられる『清水幸也』先生です」

「清水です、皆さんよろしくね!」

「ブーッ!!」

清水がいつもの営業スマイルを振りまきながら教室へと入ると、女生徒たちの間で黄色い歓声が巻き起こる。
三舟は「お前がそうやって女生徒たぶらかせばいいんと違うか?」と思ったが口には出さないでおいた。
一方その頃――

「で、でもおいら、三舟さんの為なら……」

一之瀬はまだ悩んでいた。


終わりッス

元レス
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220262396/33-35
最終レス投稿日時
2008/09/07 00:47:12