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☆7月26日(木)の日記本日も藍ミリでイミソを打つべく、チャイムと同時に職場を飛び出す。最近早苗さんに裏道を教えてもらったんだが、この道を通れば、鴨島まで一つも信号に捕まることなく、一気にバイパスまで出れる。何で今までこの道使わなかったんだろ?もっと早くに教えてもらってれば、鴨スタ行くのとか、どれだけ時間短縮できてたことか・・・。という訳で、今日もその道を爆走しつつ、とりあえず鴨島を目指す。さてこの裏道、非常に快適なんだけど、最後大きな道に突き当たる手前に、とても道幅が狭くなってる箇所がある。普通乗用車2台がギリギリ対向できる程度の幅。左側が田んぼに面しており、踏み外そうものなら1m下まで落下という、非常にデンジャラスなゾーンである。この道を使うのは今日が2回目で、初めて通った時は対向車も無かったから容易に通れたんだけど、今日はやたら対向車が多く、ちょっと進むのにも かなり困難を極めた。ぬぅぅ・・・一刻も早くイミソを打ちたいのに。仕方なく、まだ道幅がマシな部分に停車し、対向車をやり過ごす。それにしても、何でどいつもコイツも突っ込んでくるかな。ちょっと先には広い場所があって、そこで待っててくれれば簡単に対向できるのに。ホント徳島のドライバーには譲り合いの精神が皆無だな・・・イライラ。何台か車をやり過ごしたあと、俺は目を疑った。えぇえ!? なんか大型のトラックまで突っ込んできてるぞ!?対向できんのかコレ!?(汗)ハラハラドキドキする中、トラックは俺の横を、無理矢理対向しようとする。くっそ~、愛車擦られでもしたらスロットどころじゃねーぞ(汗)うぅむ、仕方ない。 左に目一杯寄せてるけど、あと まだちょっとなら寄せれるかもしれん。更にハンドルを左に切り、恐る恐るアクセルを踏んでみる。 次の瞬間だった。「ガコンッ!」ひぃぃぃぃっ!だ、脱輪してもーた!!!(汗)い、いや、うろたえるなッ!(汗)鴨島町民は決してうろたえないィィィッ!!!(滝汗)
落ち着け・・・素数を・・・素数を数えるのだッ!素数は私と同じく、孤独な数字・・・素数を数えて、気を静めるのだッ!2・・3・・・5・・・7・・・精神を落ち着け、ハンドルを切り直す。ギアをバックに入れると、慎重にアクセルを踏んでみる。「ギュゥゥン、ギャルギャル、キュキュキュ・・・」あ゙ぁぁっ! ダメだ! タイヤが空回りしとる!!(汗)そそそ素数、素数を数えて落ち着くのだッ!11・・13・・・17・・18・・・いや、18は素数じゃないッ!おおお落ち着け、私はパニックを知らない生き物なのだッ!もう一度心を静めて、ゆっくりとアクセルを踏む。「キュルキュルキュル・・・」しかし聞こえてきたのは、タイヤが虚しく空回りする音であった。 もうだめぽ ○| ̄|_諦めて車を降り、JAFに電話してみる。俺「あのぅ、脱輪してしまいまして・・・場所は鴨島町の○×付近です。」係「それでしたら 現場までどのぐらい掛かるか確認して、もう一度ご連絡致します。」俺「とても狭い道なんです。 他の方に迷惑なので、できるだけ早くお願いします。」電話を切ると、改めて愛車の惨状を確認する。左前のタイヤは おもっくそ踏み外し、田んぼ側に落下。方や右側後方のタイヤは、哀れにも宙に浮いている。愛車の変わり果てた姿に、ただただ呆然と立ち尽くす。
そうこうしている間にも、続々と対向車や後続車がやってきて、俺の愛車の横をすり抜けてゆく。皆一様に、車の中からこの俺を、奇異の目で見つめる。(あらあら可哀想に・・・)(きっとギリギリまで車を寄せようとしたんだろうねぇ)(プッ、こんなトコで脱輪してんじゃねーよw)(オイオイ迷惑だろうよ。カスが!)哀れみ、同情、嘲笑、侮蔑・・・そんな彼等の心の声が聞こえてくるようで、俺はその場に立っているのがやっとであった。対向車の冷たい視線に晒される中、ようやくJAFから電話が掛かってくる。俺「もしもし!? あとどれぐらいで到着します!?」係「えぇと・・・石井町からの出動になりますので、早くてあと30分ですね。」俺「さ、30分!?(汗) もうちょっと早くなりませんか!?」係「無理ですねぇ。 急いで参りましても、30分以上は掛かるかと。」俺「そ、そうですか・・・よ、よろしくお願いします。」ガックリと肩を落とすと、途方に暮れる。ちくしょう、JAFめ・・・! ここ数年、事故ったこともないけど、それでも有事に備えて、毎年高い会員料払ってるのに・・・こんな大変な時に、今からまだ30分以上掛かるって!? 金返せドロボー!!(涙)脱輪した者の せめてもの罪滅ぼしとして、愛車の横に立ち、交通整理をする。俺「はい、ハンドルをもうちょっと左です。 あ、そのまま真っ直ぐで! OKです!」ちくしょう、何だってこんな目に・・・今日は厄日だ・・・。今までにこんな屈辱的な経験があったろうか?もう嫌だ。 こんな状況、もう耐えられないっ・・・!(涙)その時だった。近所の民家から息子を引き連れ、ジャッキを片手に オジサンが飛び出してきた。
オジサンは迷うことなく1m下の田んぼに飛び降りると、ジャッキをタイヤにあてがい、回し始める。オ「うぅ~む、やっぱ高さが足りんか。 オイ息子、ブロックと板、あるだけ取ってこい!」息子に的確な指示を飛ばしつつ、クルクルとジャッキを回す。我に返ると、俺は言った。俺「あのぅ、もう結構です。 JAFも呼んでありますし、もうすぐ来てくれると思いますので。」オ「うぅむ、ジャッキがうまくはまれば、持ち上がると思うんだけどねぇ。」俺「いやいや、車が落ちてきたら危険ですし、赤の他人に こんな事させられません。」オ「まぁまぁ。 困った時はお互い様!」オジサンは俺の制止を聞かずに、息子と あれやこれやとブロックを積んでいる。ふと気が付くと、田んぼの中は蚊だらけ。視認できるだけでも20匹以上の蚊が、周りをウヨウヨと飛び回っている。オジサンも息子も半袖半ズボンだから、あっという間に蚊が集り、既に何ヶ所も刺されている。俺「ちょ、蚊が居ますよ! もうホントお気持ちだけで良いですから!」オ「いや、農家だから蚊は慣れてるよ^^ それにしてもジャッキがはまらんなぁ・・・。」うぅっ・・・。俺は2年前の ある日のことを思い出していた。ある日の夕方頃、突然 友達から電話が掛かってきた。友「むっし~、石井の農道で脱輪してもーた。 助けに来てくれん!?」切羽詰まった友達に、俺は こう返事した。俺「いやぁ~スマン、今仕事で県外なんだよ。 だから無理!」俺は電話を切ると、そのまま部屋でオナニーをした・・・。何なんだよ俺は。 最低最悪のクズ野郎じゃねぇか。それに引き替え、この親子は何だ?赤の他人の俺のために、危険を顧みず、蚊に刺され、滝のような汗を流しながら、必死に車を持ち上げてくれようとしている。俺は今までこんなに感動した事がない。泣きそうになるのを、ただ必死で堪えるだけだった。
作業から10分ぐらいが経過した。やはり1mの高さが邪魔をして、うまくジャッキが収まらない。オ「う~ん、やっぱ無理だねぇ。 男手が4~5人あれば、持ち上がるとは思うんだけど・・・。」俺「いやいや、ここまでやってくれただけで もう十分です。 あとはJAFの到着を待ちます。」しかしその時、奇跡が起こった。対向車の1台が車を停め、中から運転手が降りてきた。男「俺も手伝いますよ。」犬の散歩中のオッサンも、田んぼに飛び降りてきた。オ「ワシも手伝うよ。」すると それまで素通りしていた対向車や後続車から 次々と人が降りてきて、みんなワラワラ田んぼに飛び降りてきた。皆「これだけ居れば持ち上がるよ! みんなで持ち上げよう!!」俺「み、皆さんっ・・・!!(涙)」男7~8人が車を取り囲み、かけ声を上げる。皆「それ行くぞーっ! オーエス! オーエス!」徐々に持ち上がる車。皆「オーエス! オーエス!」徐々に左前方が持ち上がり、そして宙に浮いてた右後方のタイヤが、ついに地面に接地した。それは今までの人生で、俺が最も感動した瞬間だった。皆「兄ちゃん、良かったね!」俺「皆さん、ありがとうございます! 本当にありがとうございます!!」俺は深々と頭を下げると、一人一人にお礼を言った。みんな手を振り、その場を立ち去って行った。
俺は車を広い場所まで動かすと、JAFに電話して、先程の民家にお礼に行った。庭で先程の親子を見つけると、頭を下げて礼をする。俺「本当にありがとうございました。 見ず知らずの僕のために、あんな親切にして頂いて・・・。」オ「良いってことよ。 困った時はお互い様^^」俺「あの、これ少ないんですけど、感謝の印です。」財布から1万円札を抜くと、オジサンに差し出す。オ「あっはっは、要らないよw」俺「いえ、どうしても受け取って下さい。 僕あんなに感動したの初めてで・・・」オ「いいからいいから。 また困ってる人が居たら、助けてあげてね。」俺「オジサン・・・!(涙) 分かりました! いつか僕も必ず、人のために努力します!」オ「ははは、それじゃあね。」俺「はい! 本当にありがとうございました!!」俺は車に戻ると、エンジンをふかした。とても眩しい親子だった。あの絶望的状況下で、二人が神に見えた。何て親切な親子だったろう。そして俺は、いつからこんなクズ人間に成り下がったのだろう?人と関わるのが苦手で、なるべく他人とは喋ろうともせず、目線も会わせない様な、卑屈で矮小な人間になってしまった。面倒事に首を突っ込むのが嫌いで、困っている人が居ても、それが友達だったとしても、平気で見て見ぬフリをしてしまう、そんな性根の腐った人間。いつから俺は、こんな最低なヤツになってしまったんだろう。でも目が覚めたよ。 本当に改心した。あの親子の温かさに触れ、俺は生まれ変わる事ができた。今の俺ならあの親子のように、他人のために、迷うことなく田んぼに飛び込めるだろう。ありがとう名も知らぬ親子よ。 そして手伝ってくれた運転手達よ。俺は頑張る。 これからは他人のために生きる。今日をもって生まれ変わる。 俺は成長したんだ・・・!!その後藍ミリに行き、イミソで-17K。全然成長できてない俺であった _| ̄| ○
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