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*ジェーン・オースティン&br()&size(12){&italic(){Jane Austen}}&br()&size(12){(1775~1817)} **略歴  ハンプシャーの田舎牧師の家に生まれる。兄弟が六人、姉が一人おり、姉とは終生親密であった。当時の一般の女性よりも充実した教育を受け、この間に文学作品に接し、影響を受ける。1789年頃から小説のようなものを書き始めたが、これは発表するためではなく、あくまでも家人に読み聞かせるためのものであった。父の勧めで出版社に送ってみた作品も、出版にはいたらなかった。生涯独身を通し、42歳で没する。生前に出版された作品も全て匿名であり、本人もまた自分の英文学にもたらした功績に気づくことがなかった。 **作品  彼女は生涯で長編6作を書いた。いずれも平凡な田舎の日常を描いたものである。実際に彼女は「田舎の村の3、4家族が、小説の題材には最適なのです」と述べている。彼女は自分が生きた小さな世界の、よく知る人々を丹念に描き続けた。自分の強みと限界を、はっきりと自覚していた稀有な作家である。  『&bold(){分別と多感}』&italic(){(Sense and Sensibility,1811)}は1797年の段階で最後の改筆が終了していたのにもかかわらず、出版されるまでには何年も待たねばならなかった。内容は二つの性質、「分別」と「多感」をそれぞれ二人の人物(姉妹)に代表させている。彼女は常に「分別」ある姉を支持し、ロマンスに憧れる「多感」な妹と比較している。ロマン派の時代にあって、彼女のこの傾向は特筆すべきものであり、また単に優劣をつけるだけでなく、最終的には妹も過度な多感を反省して分別に目覚める、つまり登場人物が成長していくあたりが、18世紀小説よりも近代小説に近い特徴である。  日本でも馴染みのある『&bold(){高慢と偏見}』&italic(){(Pride and Prejudice,1813)}は、『分別と多感』と同じテーマである。この作品も1797年に書かれていたが、出版されたのはずっと後になった。この作品は最初『第一印象』と題されていた。要するに第一印象で直感的に判断するのは「多感」であり、落ちついて正しい選択をするのが「分別」である、というわけである。しかし、性質の表し方は複雑になっている。エリザベスは聡明な娘であるが、ダーシーという青年貴族と出会う。しかし彼女は彼が「高慢」であるという「偏見」を抱く。これが第一印象であり、成長するに従って彼女は「偏見」から脱却していく。彼女の(偏見を脱却し、ダーシーの真価に気付くだけの)感受性と「分別」というものが成長するに従って備わっていくものだということが描かれている。なおこの作品は後年[[モーム>サマセット・モーム]]が『世界の十大小説』の一つに選んでいる。彼曰く「たいした事件もないのに、ページを繰らずにはいられない」という。 『&bold(){マンスフィールド・パーク}』&italic(){(Mansfield Park,1814)}では、女主人公ファニーは親戚の家で養われ苛められながらも、そこの次男エドマンドに想いを寄せるようになる。同家の娘たちは軽薄な男と出奔してしまい、エドマンドも一時他の娘に惑わされるが、最後はファニーと結ばれる。  『&bold(){エマ}』&italic(){(Emma,1815)}は彼女の作家としての円熟が見られる作品で、代表作の一つである。女主人公エマは、病身の父と暮らしている。美しく賢い娘であるが、他人の恋路のお節介をしたりと恋愛喜劇的でもある。  『&bold(){ノーサンガー・アビー}』&italic(){(Northanger Abbey,1818)}は、流行していた&bold(){ゴシック小説}のパロディである。この作品も1797-8年頃に書かれ出版社に送られたが、出版は死後になった。女主人公のキャサリンはゴシック小説を読み過ぎて、神秘的なロマンティックなものに強い憧れを抱くようになった。「ノーサンガー・アビー」という中世風の屋敷に招待された彼女は、期待に胸をときめかせるが、現実に幻滅する。これもまた「多感」から「分別」への成長である。  『&bold(){説きふせられて}』&italic(){(Persuasion,1818)}は彼女の最後の作品である。周囲の説得により婚約を解消した二人が、紆余曲折を経てよりを戻すという話。派手さのない落ち着いた展開で、移り変わる二人の心理が巧みに描かれている。 ----
*ジェーン・オースティン&br()&size(12){&italic(){Jane Austen}}&br()&size(12){(1775~1817)} **略歴  ハンプシャーの田舎牧師の家に生まれる。兄弟が六人、姉が一人おり、姉とは終生親密であった。当時の一般の女性よりも充実した教育を受け、この間に文学作品に接し、影響を受ける。1789年頃から小説のようなものを書き始めたが、これは発表するためではなく、あくまでも家人に読み聞かせるためのものであった。父の勧めで出版社に送ってみた作品も、出版にはいたらなかった。生涯独身を通し、42歳で没する。生前に出版された作品も全て匿名であり、本人もまた自分の英文学にもたらした功績に気づくことがなかった。 **作品  彼女は生涯で長編6作を書いた。いずれも平凡な田舎の日常を描いたものである。実際に彼女は「田舎の村の3、4家族が、小説の題材には最適なのです」と述べている。彼女は自分が生きた小さな世界の、よく知る人々を丹念に描き続けた。自分の強みと限界を、はっきりと自覚していた稀有な作家である。  『&bold(){分別と多感}』&italic(){(Sense and Sensibility,1811)}は1797年の段階で最後の改筆が終了していたのにもかかわらず、出版されるまでには何年も待たねばならなかった。内容は二つの性質、「分別」と「多感」をそれぞれ二人の人物(姉妹)に代表させている。彼女は常に「分別」ある姉を支持し、ロマンスに憧れる「多感」な妹と比較している。ロマン派の時代にあって、彼女のこの傾向は特筆すべきものであり、また単に優劣をつけるだけでなく、最終的には妹も過度な多感を反省して分別に目覚める、つまり登場人物が成長していくあたりが、18世紀小説よりも近代小説に近い特徴である。  日本でも馴染みのある『&bold(){高慢と偏見}』&italic(){(Pride and Prejudice,1813)}は、『分別と多感』と同じテーマである。この作品も1797年に書かれていたが、出版されたのはずっと後になった。この作品は最初『第一印象』と題されていた。要するに第一印象で直感的に判断するのは「多感」であり、落ちついて正しい選択をするのが「分別」である、というわけである。しかし、性質の表し方は複雑になっている。エリザベスは聡明な娘であるが、ダーシーという青年貴族と出会う。しかし彼女は彼が「高慢」であるという「偏見」を抱く。これが第一印象であり、成長するに従って彼女は「偏見」から脱却していく。彼女の(偏見を脱却し、ダーシーの真価に気付くだけの)感受性と「分別」というものが成長するに従って備わっていくものだということが描かれている。なおこの作品は後年[[モーム>サマセット・モーム]]が『世界の十大小説』の一つに選んでいる。彼曰く「たいした事件もないのに、ページを繰らずにはいられない」という。  『&bold(){マンスフィールド・パーク}』&italic(){(Mansfield Park,1814)}では、女主人公ファニーは親戚の家で養われ苛められながらも、そこの次男エドマンドに想いを寄せるようになる。同家の娘たちは軽薄な男と出奔してしまい、エドマンドも一時他の娘に惑わされるが、最後はファニーと結ばれる。  『&bold(){エマ}』&italic(){(Emma,1815)}は彼女の作家としての円熟が見られる作品で、代表作の一つである。女主人公エマは、病身の父と暮らしている。美しく賢い娘であるが、他人の恋路のお節介をしたりと恋愛喜劇的でもある。  『&bold(){ノーサンガー・アビー}』&italic(){(Northanger Abbey,1818)}は、流行していた&bold(){ゴシック小説}のパロディである。この作品も1797-8年頃に書かれ出版社に送られたが、出版は死後になった。女主人公のキャサリンはゴシック小説を読み過ぎて、神秘的なロマンティックなものに強い憧れを抱くようになった。「ノーサンガー・アビー」という中世風の屋敷に招待された彼女は、期待に胸をときめかせるが、現実に幻滅する。これもまた「多感」から「分別」への成長である。  『&bold(){説きふせられて}』&italic(){(Persuasion,1818)}は彼女の最後の作品である。周囲の説得により婚約を解消した二人が、紆余曲折を経てよりを戻すという話。派手さのない落ち着いた展開で、移り変わる二人の心理が巧みに描かれている。 ----

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