コットン・マザー
(Cotton Mather)
(1663~1728)

略歴

 コントン・マザーは、祖父が『賛美歌集』(Bay Psalm Book)をヘブライ語から翻訳したリチャード、父インクリースはハーヴァード大学長という、植民地の神政政治の中心となった名家に生まれた。12歳にしてラテン語を習得し、さらにはギリシア語、ヘブライ語も学んだ。15歳でハーヴァード大学を卒業、18歳の時にはすでに説教壇に立っていたという秀才であった。1685年以降はボストン第二教会の牧師となる。説教の中で社会秩序の基礎として家族の重要性を説いたが、そこには自らの家系がその中にあっても特別なものであるという自負も窺われる。彼が活躍した時代には、すでに神政政治には衰退が見られたが、彼は強い信念と誇りをもってこれを維持すべく努めた。

作品

 コットン・マザーはその生涯で説教はもちろんのこと、歴史、伝記、エッセイ、例え話、それから詩篇の翻訳など数多くの著作を残した。その中で最も有名なのは『アメリカにおけるキリストの大いなる偉業(Magnalia Christi Americana,1702)である。これは「概説」と「第二部」で構成されており、「概説」ではアメリカにおけるピューリタンの業績を、教会改革という視点からとらえ評価している。「第二部」はニューイングランド教会史とその指導者たちの伝記となっている。また『善行論(Bonifacius: or, Essays to Do Good,1710)は後にフランクリンが愛読したことで知られている。





最終更新:2008年10月15日 19:34