E・M・フォースター
(Edward Morgan Forster)
(1979~1970)

略歴

 ロンドンの建築家の家に生を受ける。何かの手違いで本当はヘンリーと名付けられるはずだったのに、エドワードとなってしまった。ケンブリッジ大学のキングス・カレッジで学ぶ。在学中にケンブリッジ使徒会に参加したが、そのメンバーは後にブルームズベリー・グループの中心メンバーとなった。フォースターもまたそうである。大学卒業後はイタリア、ギリシアを歴訪し、その経験を基に執筆した。1914年頃にはエジプト、ドイツ、インド、その後は中東へも足を伸ばした。晩年まで文壇に大きな影響力を持ち、91歳の天寿を全うした。

作品

 フォースターの作品の特徴は、異文化や身分の違う人々が出会うことによって起こる出来事を描いている。そのため舞台が違っても、そこで描かれるのは異質なものにに出会った時の、英国人の心理である。人間関係をそのまま表現せず、知的なひねりと機知と皮肉とユ-モアのオブラートで包み込んだ作風は、お上品過ぎるとの評価もある。処女長編である『天使も踏むを恐れるところ(Where Angels Fear to Tread,1905)では保守的なイギリスの中産階級の人々と、イタリアで生きる喜びを満喫する男たちとの出会いを描いている。
 『果てしなき旅(The Longest Journey,1907)は自伝的な要素も含んだ作品。主人公が結婚をきっかけに陥った偽善的生活から、友人たちの助けによって救われる。
 『眺めのいい部屋(A Room with a View,1908)はフィレンツェを訪れた中産階級の令嬢が労働者階級の男性や上流階級の青年らと出会う。
 『ハワーズ・エンド(Howards End,1910)はフォースターの代表作のひとつである。ある上流中産階級の田舎邸を、20世紀初頭の英国そのものの記号に見立てるように描いた。様々な登場人物たちの個性の触れ合いを写実的に、丹念に描いた。
 最も有名なのが『インドへの道(A Passage to India,1924)であろう。英国支配の植民地インドで、現地のインド人医師アジズと、そこを訪れたイギリス人たちとの交流と対立を描いている。
 死後出版された『モーリス(Maurice,1971)は20世紀初頭の英国を舞台に同性愛の男たちを描いた。






最終更新:2009年10月28日 00:58