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アイリス・マードック
(Iris Murdoch)
(1919~1997)

略歴

 アイルランド、ダブリン出身の哲学者にして作家、詩人。幼くしてロンドンに渡る。オクスフォードのサマーヴィル・カレッジで学んだ。国連救済復興機関に酸化し、大戦後は各地の難民救済キャンプで働く。ベルギー滞在中にサルトルと出会い、実存主義に関心を持つ。帰国後オックスフォードにて哲学の特別研究員となる。小説を発表すると共に、哲学に関する著書も発表した。1987年に大英帝国勲章を授与される。晩年はアルツハイマー症に悩まされた。その経過は夫のジョン・ベイリーによる伝記に詳しく書かれ、また映画化されている。

作品

 彼女の作品の特徴は哲学者でもあるだけに、プラトン、サルトル、それからフロイトの影響をよく受けている。時に読者を混乱させるような手法(概ね写実的に描いておきながら、象徴を用いてミスリーディングを誘ったり、登場人物が語り手に異議を唱えたり)が用いられている。また登場人物の造形にも定評がある。作品のテーマは倫理的なものや性的なもの、あるいは自由などを扱っている。
 処女作の『 網の中(Under the Net,1954)はモダン・ライブラリーの20世紀の英語小説ベスト100に選ばれた作品である。主人公である作家(といっても自身の著作はほとんどなく、翻訳でどうにか食い繋いでいる)のジェイクは居候していた相手の女性に追い出され、仕方なくロンドン中の友人知人を訪ね回るがどうにも上手くいかない。一見怠惰でだらしない男に見えるジェイクは、しかしながら網(あらゆる束縛するもの)から自由な生を謳歌する者として描かれている。
 『 (The Bell,1958)は、ヒロインのドーラは支配的な夫を恐れている。彼女は夫に呼び出され、俗世と隔絶した尼僧院の隣の館を訪れる。その尼僧院では新しく鐘が取り付けられることになっており、滞在していた学生のトビーからかつて失われた鐘が湖に沈んでいるとしり、二人でそれを引き上げ、新しい鐘とすり替えてしまおうと企む。個性的な登場人物や鐘が象徴として巧みに書き込まれており、神と人間との関係、性的問題、自由の問題がテーマとなっている。
 『 斬り落された首(A Severed Head,1961)は、上流階級の人々の間で行われる結婚、不倫、あるいは近親相姦といったものを赤裸々に描いたもので、1960年代に始まる性の革命(Sexual Revolution)の先駆となった。