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オルダス・ハクスリー
(Aldous Leonard Huxley)
(1894年~1963年)

略歴

 サリー州のゴダルミング出身。ハクスリー家は代々著名な科学者を排出している名家である。祖父トーマスは生物学者で、ダーウィンの進化論を支持したことで知られている。兄ジュリアンもまた進化論を支持した生物学者で、ユネスコ事務総長も務めた。一方オルダスは医師を志しイートンに進むが、角膜炎が原因で退学。視力のために第一次大戦の兵役を免れた。視力は後に回復したが、医師の道は諦め、オックスフォードで英文学と言語学を専攻した。大戦後作家としての道を歩み始めた。1937年には眼の治療のために渡米。その後は次第に神秘主義的傾向を深めていった。その中、自ら実験台となって幻覚剤(メスカリン)を使用したこともあった(その中で精神科医のオズモンドはサイケデリックという語を創造した)。1963年に死去。死の直前までLSDを愛用していた。なお、その日はケネディ大統領が射殺されたのと同日であった。

作品

 その作家としての出発点は詩人としてであった。『 燃える車輪(The Burning Wheel,1916)を出版している。その後短編集『 リンボー(Limbo,1920)を出版した。
 出世作となったのは『 クローム・イエロー(Crome Yellow,1921)。片田舎にあり、今は富豪の別荘となっている古城クロームに集まる、数人の有閑知識人たちのとりとめもない会話や行動を描いた。明確な筋があるわけでもなく、連続したスケッチのような形で様々な人々を軽妙なタッチと風刺を交えて描いている。
 『 道化踊り(Antic Hay,1923)は優柔不断な青年ガンブリルを中心に、様々なタイプの知識人や有閑人を登場させ、第一次大戦後の虚無的雰囲気を風刺的に描いた。表題の道化踊りとは、幻滅と絶望に満ちた時代に無目的で生活しているような人々を揶揄した言葉である。
 『 くだらない本(Those Barren Leaves,1925)は第一次大戦後の混乱期に、イタリアの富豪の別荘に集まる様々な男女を描いた。
 『 恋愛対位法(Point Counter Point,1928)は音楽の対位法が均等の重みの声部を対立させて構成されているように、複数の男女を同比重の役柄で恋愛に葛藤する立場に配し、1920年代の上流社会の風俗を描いた(中には彼が影響を受けたロレンスをモデルとした人物もいる)。
 『 すばらしき新世界(Brave New World,1932)派ユートピア文学の最高傑作の一つとも言われるディストピア小説である。科学者を輩出した名門に生まれた彼は、科学文明の行き着く先を深刻に憂慮した。本来は知性派を代表する作家であったが、ロレンスらと接するとたちまち反主知主義に傾倒した。機械文明が飛躍的に発達した未来世界で、失われた人間の尊厳を、皮肉でしかも諧謔に満ちたな文体で批判的に描いた。
 『 ガザに盲いて(Eyeless in Gaza,1936)は自伝的要素の強い作品。1902年から1935年までの出来事を、時間の流れを寸断して再構成しているために、物語は時間を前後しながら進んでいくという複雑な作品。
 『 目的と手段(Ends and Means,1937)は前作『ガザに盲いて』の主題について述べた評論。
 『 多くの夏を経て(After Many a Summer,1939)は不死に憧れを抱くアメリカの大富豪を中心として、いたずらに長命を願う人間の姿を風刺した作品。
 『 猿と本質(Ape and Essence,1949)は一種のディストピア小説で、原子兵器が用いられた第三次世界大戦後の人類の姿を描いた。そこでは人類は科学の行き過ぎた進歩によって獣に近い状態へと退化していく。科学への妄信と全体主義社会への警鐘を鳴らした作品。
 幻覚剤メスカリン(中南米インディオが用いた)を使用した体験から書かれたのが『 知覚の扉(The Doors of Perception,1954)である。その中では仏教や神学、西洋哲学など多岐に渡る知識を披露し、絵画芸術の比較研究をしている。
 晩年に書かれた『 (Island,1962)はユートピア小説であり、その中にこれまでに学んだ神秘主義思想や哲学などの知識を詰め込んだ。またこの作品はLSDを合成した科学者に贈呈されている。