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テネシー・ウィリアムズ
(Tennessee Williams)
(1911年~1983年)

略歴

 ミシシッピ州コロンバス出身の劇作家。筆名のテネシーは友人が彼の南部訛りから付けたとも、彼自身が開拓精神を鼓舞するために付けたとも言われている。祖父は監督派の牧師で彼はその牧師館で生まれた。その先祖はテネシー州の開拓者であったという。一方で母方の先祖はニューイングランドの初期移住者のクエーカー教徒の末裔であった。こうした二種類の血の混じり合いを彼は強く意識していたらしい。家庭には色々と問題があった。父は靴のセールスマンでそのために12歳の頃に転勤でセントルイスに移った。彼が深く愛した姉ローズは精神障害でその生涯のほとんどを精神病院で過ごした。両親は彼女にロボトミー手術を施させ、その事に彼は強い反発を覚えた。1931年に州立大学に入るが経済的理由で退学し、父の会社で働き始める。しかし劇作家への夢は捨てきれず、1936年にアイオワ州立大学演劇科に入学し、卒業後奨学金を得たりやアルバイトをしながら劇作家を目指した。1945年に『ガラスの動物園』で一躍脚光を浴び、その後は2度のピューリッツァー賞の受賞など演劇界で活躍した。しかし1960年代頃からは不調に陥り、演劇界の表舞台から姿を消した。1983年にホテルでボトル・キャップを喉に詰まらせるという不審な死を遂げた。

作品

 『 アメリカン・ブルース(American Blues,1939,1948出版)は初期の一幕物5編を収めたもの。これでコンテストに入賞し、翌年ロックフェラー財団の奨学金を得た。『 天使の闘い(Battle of Angels,1940,1958出版)は放浪する青年ヴァルが、南部の雑貨店の女店主マイラと結ばれるが、彼女はその夫によって射殺され、ヴァル自身もまたリンチによって惨殺されてしまう。これはボストンで上演されるも不評だった。
 『 ガラスの動物園(The Glass Menagerie,1945)は彼の出世作。彼自身の家庭を髣髴させる一家の物語。父は出奔し、身勝手な母は過去の夢に浸り、小児麻痺で足の不自由な内気な姉はガラスでできた動物たちを集め自分の世界に閉じこもっている。それを見ている語り手トムは自分の夢のために家を出ることを決意している。非常に叙情的な作品で現在でもなお評価が高い。
 『 27輌分の綿花(27 Wagons Full of Cotton,1946,増補版1954)は一幕物集。表題作を含め12編、後に2編が追加された。
 『 欲望という名の電車(A Streetcar Named Desire,1947)は彼の代表作で今日でも戦後米演劇の3大名作の一つに数えられる。“欲望”という名の電車で辿り着いた町は“楽園”だった。妹夫婦を頼って来た姉ブランチは、南部の退廃と没落を象徴するような女性で、今もなお過去の夢にすがって生きている。一方妹の夫スタンレーは野生的で欲望に忠実な男で、彼はブランチの儚い夢を無残に打ち砕いてしまう。この両者を内包する南部世界を巧みに描いた。
夏と煙(Summer and Smoke,1948)は南部の牧師の娘アルマが純潔にこだわるあまり恋人を失い、婚期を逸する話。『 ストーン夫人のローマの春(The Roman Spring of Mrs. Stone,1950)は中編小説。後に映画化された。『 バラの刺青(The Rose Tattoo,1950)はメキシコ湾岸地方を舞台に、イタリア移民の娘を取り巻く恋愛喜劇。『 カミノ・リアル(Camino Real,1953)は架空のラテン・アメリカの都市カミノ・リアルを舞台に、歴史上・文学上の人々が次々と登場し、現代の絶望やそれへの挑戦を表現するという難解な作品。
 『 焼けたトタン屋根の上の猫(Cat on a Hot Tin Roof,1955)は南部の成り上がりの老農場主の遺産をめぐって、肉親の間でひと騒動が起こる話。
 『 地獄のオルフェウス(Orpheus Descending,1957)は『天使の闘い』を改作したもの。これは好評だった。『 この夏突然に(Suddenly Last Summer,1958)は同性愛の詩人セバスチャンが、異境の島で人喰い人種に殺され喰われてしまったことを、彼を溺愛していた母が物語る。『 青春の甘き小鳥(Sweet Bird of Youth,1959)は往年の名優と去勢された若い情夫が、夢破れていく姿を描いた。『 調整期間(Period of Adjustment,1960)は2組の夫婦の争いと和解を描いた、“真面目な喜劇”と銘打たれた作品。『 イグアナの夜(The Night of the Iguana,1961)はメキシコの安ホテルを舞台とした人物群像劇。『 小舟注意報(Small Craft Warnings,1972)は人生の敗残者たちの相互理解を描いた作品。
 『 回想録(Memoirs,1975)は自らの同性愛や人生遍歴を赤裸々に告白し物議をかもしたエッセイ。