ハーマン・ウォーク
(Herman Wouk)
(1915年~ )

略歴

 ニューヨーク出身のユダヤ系作家で、両親はロシアから移住したユダヤ人。幼少期はブロンクスで過ごした。コロンビア大学で比較文学と哲学を学んだ。卒業後ラジオ脚本家となり、戦時中は羅時を広告で戦債を販売し、政府に貢献した。真珠湾攻撃が起きると、自ら志願して米海軍に入隊、太平洋戦争に従軍し、掃海艇に通信士官として搭乗した。その任務の合間に小説を書いていた。戦後結婚し、全てを執筆に捧げ、1952年にはピューリッツァー賞を受賞した。彼は執筆の際正確を期すために若手の歴史研究家を雇って参考にしていたために、歴史的な記述はかなりの部分で正確であるという。

作品

 『オーロラの夜明け(Aurora Dawn,1947)は広告業界を風刺した作品。『町の子(The City Boy,1948)はニューヨークを舞台に子供の姿を共感をもって描いた作品。
 代表作は『ケイン号の叛乱(The Caine Mutiny,1951)。掃海艇ケイン号の常軌を逸した偏執狂の艦長に、船員たちは不満を募らせていた。そしてケイン号は艦隊からはぐれて嵐に巻き込まれ、精神に異常をきたした艦長に対し、副長以下の船員たちは選択を迫られる。この作品でピューリッツァー賞を獲得し、また後に映画化された。
 『マージョリー・モーニングスター(Marjorie Morningstar,1955)では芸能界を夢見るユダヤ人の娘を描いた。『ヤングブラッド・ホーク(Youngblood Hawke,1961)では南部の若い作家の成功と堕落を描いた。『カーニバルを止めるな(Don't Stop the Carnival,1965)はカリブ海の観光地を舞台とするコメデイ。
 『戦争の嵐(The Winds of War,1971)はベルリンに赴任することになった米軍の海軍中佐とその家族が、次第に戦乱の渦に巻き込まれていく姿を描いた。時代は独ソ不可侵条約調印前から真珠湾攻撃までとなっている。テレビドラマ化された。続編に『戦争と追憶(War and Remembrance,1978)がある。
 『内と外(Inside, Outside,1985)はユダヤ系アメリカ人一家の歴史をたどった作品。『希望(The Hope,1993)はイスラエル共和国建国を描いた作品。他に戯曲や映画台本の小説化などもあり、変わったものとしては『ロモコメ報告書(The Lomokome Papers,1968)というSF小説がある。小説以外ではユダヤ教について書いたものとして『これぞ我が神(This is My God,1959)、『生き抜く意志(The Will to Live,2000)がある。




最終更新:2010年10月09日 16:13