アリス・ウォーカー
(Alice Malsenior Walker)
(1944年~ )

略歴

 ジョージア州イートントン出身のアフリカ系アメリカ人の女流作家(他にもスコットランド系、アイルランド系の血も入っている)。スペルマン大学、サラ・ローレンス大学を卒業。1967年にフェミニズム活動家と結婚するも後に離婚。娘のレベッカもまた作家となった。最初の詩集は在学中に書かれた。公民権運動で作家活動を一時中断していたこともあった。その後フェミニスト雑誌へ参加することで執筆を再開、その後『カラー・パープル』で大きな反響を呼び、ピューリッツァー賞を獲得した。その一方で、アフリカ系アメリカ人の文化や民間伝承に深い関心を示し、その発掘と再評価に努めている。またこれまで評価されてこなかったアフリカ系アメリカ人作家の再評価のきっかけともなった。

作品

 『むかし(Once,1967)は第一詩集。翌年処女長編『グレインジ・コープランドの第三の人生(The Third Life og Grange Copeland,1970)を発表。
 2作目の長編『メリディアン(Meridian,1976)は彼女自身の経験が強く反映された作品で、公民権運動が盛んだった時期の南部におけるフェミニストの労働者について書かれている。
 『カラー・パープル(The Color Purple,1982)は代表作で、ピューリッツァー賞と全米図書賞を獲得し、後に映画化された。アフリカ系アメリカ人の女性が、白人による人種差別と、家長主義のアフリカ系アメリカ人による抑圧という、二重の枷をはめられながらも力強く生き抜いていく姿を描いた。
 『わが愛しきものの神殿(The Temple of My Familiar,1989)は壮大な構想をもった長編作品。アフリカ系アメリカ人の大学教師とその妻を始めとした3組の男女が主要登場人物であり、中心となるテーマはこれまでと同じく人種差別や女性の抑圧であるが、この作品では転生を繰り返している女性がかなり古い過去の奴隷制度について語ったりする。アフリカ系アメリカ人の伝承や歴史の研究が生かされた作品。
 『喜びの秘密(Possessing the Secret of Joy,1992)はアフリカやラテンアメリカの一部で現在でも行われているという女性器切除の問題を正面か扱った作品。
 『父の輝くほほえみの光で(By the Light of My Father's Smile,1998)はメキシコの寒村を舞台に、少女の性の目覚めとそれを抑圧する父親を描いた作品。
 他に短編集や詩集、エッセイがある。




最終更新:2010年10月09日 16:38