ロバート・ペン・ウォレン
(Robert Penn Warren)
(1905年~1989年)

略歴

 ケンタッキー州出身の詩人、批評家。バンダービルト大学に在学中、南部地方主義文学運動の拠点であった雑誌『フュージティブ』に参加し活躍した。その後、カリフォルニア、エール、オックスフォード大学で学んだ。その後は母校やルイジアナ、ミネソタ、エール大学でそれぞれ教鞭を取った。その傍ら季刊文芸誌『南部評論』を創刊し編集に尽力した。また自らも詩を発表し、ピューリッツァー賞を受賞するなど高い評価を得た。一方で小説の分野でも主に南部の歴史に取材した作品を発表し、こちらでもピューリッツァー賞を受賞した。批評の分野でも名高い。

作品

 『詩36篇(Thirty-Six Poems,1936)は初期の詩集で形而上詩の影響が強かった。その後平易な物語詩へと移行していき『約束(Promises,1957)はピューリッツァー賞を受賞した。
 『すべて王の臣(All the King's Men,1946)は小説での代表作でピューリッツァー賞を受賞した。南部の大政治家で独裁的傾向の強かったヒューイ・ロングを思わせる主人公の波乱の生涯を、一新聞記者の視点から描いた。題名はヒューイ・ロングのスローガン「誰もが王様」(Every Man a King)を皮肉ったものと思われる。
 他に『覆面騎馬団(Night Rider,1939)、『この世も時も(World Enough and Time,1950)、『天使の群れ(Band of Angels,1955)、『洞穴(The Cave,1959)、『荒野(Wilderness,1961)、短編集に『屋根裏のサーカス(The Circus in the Attic,1948)がある。
 著名な評論には『人種差別(Segregation: The Inner Conflict in the South,1956)や『南北戦争の遺産(The Legacy of the Civil War,1961)などがあるが、特にクレアンス・ブルックス(Cleanth Brooks)との共著『詩の理解(Understanding Poety,1938)や『小説の理解(Understanding Fiction,1943)などの優れた入門書があり、その後の文学教育に大きな影響を与えた。。




最終更新:2010年10月16日 17:57