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ユージーン・オニール
(Eugene Gladstone O'Neill)
(1888年~1953年)

略歴

 ニューヨーク出身の劇作家。アイルランド系。父は旅回りの俳優で、彼は幼い頃から寄宿学校に入った。プリントン大学に進んだもののたった一年で放校処分となり、その後も酒浸りの生活を送り、船乗りとして航海に出たり、金鉱堀りに加わったこともあった。その頃には自殺未遂もあったという。しかし1912年に結核を発症し療養生活に入ったのをきっかけに過去を清算し、劇作家となる決意を固めた。完治後、ハーヴァード大学のベーカー教授の教室で劇作を学び、1916年にプロヴィンスタウン劇団に参加しデビューした。その後は次々と問題作や実験的作品を発表し、一躍1920~30年代の演劇界を牽引した。しかし『終わりなき日々』(1934)の失敗を境に1946年まで沈黙を続けた。1953年ボストンのホテルの一室で息を引き取った。その頃にはすっかり過去の人になっていたが、死後に再演されたり初演されたものが高い評価を得たことで再評価され、「アメリカ近代演劇の父」としてその地位を不動のものとした。晩年は不遇だったものの、その生涯でピューリッツァー賞を4度受賞し、アメリカの劇作家として唯一のノーベル文学賞受賞者でもある。

作品

 『 カーディフさして東へ(Bound East for Cardiff,1916)は処女作。英国のカーディフを目指す貨物船の船倉を舞台に、死の床に横たわる老水夫の見果てぬ夢と絶望を描いた。水夫をしていた経験が活かされている。
 『 カリブの月(The Moon of the Caribbees,1918)はカリブ海の島に碇泊する汽船の甲板で繰り広げられる水夫たちの乱痴気騒ぎと、それと一線を画して思いに耽る若い水夫を描いた。
 『 地平の彼方(Beyond the Horizon,1920)はブロードウェイに進出し成功を収めた作品。海に憧れる弟と農場を愛する兄が、一人の女を争ったがために逆の運命を辿る。
 『 皇帝ジョーンズ(The Emperor Jones,1920)は西インド諸島のとある島で皇帝として君臨する男ジョーンズが、反逆者たちに追われ森の中を逃げ惑いながら、独白で過去を振り返る。世界的評価を得た。その後は次々に作品を発表していく。
 『 アナ・クリスティ(Anna Christie,1921)は売春婦に堕ちていた貨物船船長の娘アンナが、愛によって立ち直る姿を描いた。
 『 毛猿(The Hairy Ape,1922)は汽船の缶焚きの主人公ヤンク(毛猿と呼ばれている)が社会からも労働団体からも拒絶された挙句、動物園のゴリラのところへと赴くという表現主義的作品。
 『 すべての神の子には翼がある(All God's Children Got Wings,1924)は男に捨てられた白人の女が、黒人男性の愛を受け入れるものの、その結婚生活が女を狂わせていく。
 『 楡の木陰の欲望(Desire under the Elms,1924)は代表作。裸一貫から富を築いた父はある日突然旅に出ていた。家は息子3人で切り盛りしていたが、その父が後妻を連れて舞い戻ってきた。上の兄2人はそれを聞いて一攫千金を夢見て出奔してしまう。そ残された末弟は父と後妻と共に暮らし始めるが、彼は次第に若い後妻と惹かれあっていく。肉欲と欲望に突き動かされる人間の本性とそれでもなお土を耕して生きていく人間の生命力を描いた。
 『 偉大なる神ブラウン(The Great God Brown,1926)はそれぞれ象徴的人物を配した思想的な劇。
 『 奇妙な幕間狂言(Strange Interlude,1928)もまた代表作の一つ。ニューイングランドの大学町で暮らすリーズ教授の一人娘ニーナが、恋人の青年ゴードンの存在によって(彼の死後も)支配される、全般的にやりきれなさの漂う作品。
 『 喪服の似合うエレクトラ(Mourning Becomes Electra,1931)はギリシア悲劇のオレステス3部作の舞台を南北戦争後のニューイングランドに移した悲劇。
 他にニーチェ的超人を描いた『 ラザロ笑えり(Lazarus Laughed,1928)、青春を描いた家庭喜劇である『 ああ、荒野(Ah, Wilderness,1933)、主人公が作者の思想の遍歴を忠実に辿っていく作品『 終わりなき日々(Days Without End,1933)、ニューヨークの下町の安ホテルを舞台とした『 氷屋来たる(The Iceman Cometh,1946)は発表時は不評だったが、死後に再演され成功した。
 『 夜への長い旅路(Long Day's Journey into Night,1956)は死後に発表された作品。1912年の夏、タイロン家の4人が集う。舞台はその居間でそのある長い一日を描いた。オニール一家そのものを描いたとされ、「深い憐れみと理解をこめて、血と涙で綴った」という力作。ピューリッツァー賞を受賞し、近代アメリカ演劇の3大傑作の一つに数えられる。