トルーマン・カポーティ
(Truman Garcia Capote)
(1924年~1984年)

略歴

 ルイジアナ州ニューオーリンズ出身。両親が幼い頃に離婚し、アメリカ南部の遠縁の家を転々として育った。その記憶が後々の彼の作品に活かされる事になった。彼はこういった生活のためにまともに学校に通うことができず、ほとんど独学で学んだ。母は後に再婚し、そのために彼の姓がカポーティとなった(母はその後自殺)。様々な職を経て「ニューヨーカー」誌の雑務係となった。短編「ミリアム(Miriam,1945)がO・ヘンリー賞を受賞し、恐るべき子供(enfant terrible )と評されて衝撃を与え、続いて発表された長編も高い評価を得た。その後、作品の映画化とそのヒット、それから彼自身の私生活の華やかさでゴシップ欄を賑わせた。しかし晩年はアルコールや薬物の中毒に苦しめられたせいか奇行が目立ち始め、また作品でその有様を赤裸々に描いたがために、上流社会からも疎遠となった。1984年、友人のマンションで心臓発作で急死した。

作品

 『夜の樹(A Tree of Night and Other Stories,1949)は処女短編集。表題作や「ミリアム」などの作品を含む。
 『遠い声、遠い部屋(Other Voices, Other Rooms,1948)は処女長編で、これによって彼の名を高めることになった。この作品で退廃した南部の幻想的世界を背景に、異常な性癖と感受性を持った少年の精神形成を描いた。
 『草の竪琴(The Grass Harp,1951)は少年の日の思い出をもとに、叙情的な、しかし社会の狂った現実を描き出す作品になっている。これは翌年、自らの脚色により舞台化された。
 『わが家は花ざかり(House of Flowers,1954)は戯曲。
 『詩神の歌声(The Muses Are Heard,1956)はソヴィエト旅行記。
 『クリスマスの思い出(A Christmas Memory,1956)もまた幼い頃の思い出に由来する短編。
 『ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany's,1958)は映画化されたことで最も有名になった作品。奔放な女性を中心に、アメリカ社会の華やかさと虚飾を描き出した。
 『冷血(In Cold Blood,1966)は、カンザス州の農場で実際に起こった一家皆殺し事件を、犯人の逮捕から裁判、そして処刑に至るまでの過程を、加害者も含む関係者への徹底的な取材した2000ページにも及ぶノートをもとに描きだした作品。彼はこれを「小説のあらゆる技巧を駆使しながらそれでいて事実に基づかないものは何一つないという新しい文学形式」と言い、これによってノンフィクション・ノベルという新たなジャンルを生み出した。
 他に短編集、『カメレオンのための音楽(Music for Chameleons,1980)、社交界の醜聞を暴露したことで物議を醸した最後の作品で未完に終わった『叶えられた祈り(Answered Prayers,1986)がある。





最終更新:2011年01月15日 15:17