ジャック・ケルアック
(Jack Kerouac)
(1922年~1969年)

略歴

 マサチューセッツ州ローウェル出身。フランス系カナダ移民の家庭に生まれ、そのコミニティで育ったために小学校に入るまで英語を使うことなく育った。高校ではフットボールに打ち込み、推薦でコロンビア大学に進むがまもなく負傷してしまい、その道を諦め大学も退学した。戦時中は商船に乗組員として大西洋や地中海の港町を巡った。戦後は鉄道員などをしながらアメリカ各地をバロウズギンズバーグらの仲間と放浪した。その経験を活かして書かれた『路上』の成功によって、彼と彼らビートニク(ビート・ジェネレーション)は若者たちを中心に熱狂的な支持を得た。しかし、その突然の成功への戸惑いと、彼らへの攻撃によって次第にアルコールに依存するようになって健康を害し、その上友人たちとの交流も途絶えて表舞台から姿を消していった。47歳の若さで没した。

作品

 『町と都会(The Town and the City,1950)は、二つの大戦を通してある一家の8人の子供たちが離散していく姿を描いた。その文体や構成の独特のルーズさは以降の彼の作品に共通するものである。
 『路上(On the Road,1957)は一大ブームを巻き起こし、現在でもなお多くの信奉者を生み出している、ある種の若者たちのバイブル的作品である。仲間とアメリカ中を放浪した経験を書き綴ったもので、特異な主要人物ディーン・モリアーティは実在したカリスマ的人物ニール・キャサディをモデルとしたものである。作中で彼らは爆走する車のスピードや酒、麻薬、性に酔い、無軌道にアメリカを縦横無尽に駆け抜けていく。当然ながら保守的な人々からは厳しい非難が浴びせられた。
 他には托鉢の精神によってビートニクの至福(beatitude)を求める『達磨行者(Dharma Bums,1958)(禅や俳句が出てくる)、ビート作家と黒人少女との恋を描いた『地下街の人びと(The Subterraneans,1958)などがある。また詩集には『メキシティ・ブルース(Mexico City Blues,1959)がある。その後も作品を発表し続けたが、その多くは50年代に書かれたものであったとも言われている。




最終更新:2011年06月18日 16:03