ジョン・ドライデン
(John Dryden)
(1631~1700)

略歴

 17世紀を代表する詩人、劇作家、翻訳家。当初はクロムウェルを支持していたが、王政復古と共にすぐさま転向、チャールズ2世に参加を捧げた。1668年には初代の桂冠詩人に任じられた。文壇の中心人物として「ドライデンの時代」と呼ばれるほどの活躍を見せた。名誉革命後は、はっきりと旧体制側の人間であったために桂冠詩人の地位も解任され、公的場からは姿を消す。しかしその後も筆は衰えることはなかった。

作品

 時代の秩序志向に合わせるかのように、彼の詩形は英雄対韻句Heroic Coupletで書かれている。また正確な弱強5歩格で、脚韻は行進するかのように整然と並んでいる。『アブサロムとアキトフェル(Absalom and Acheitophel,1681)はそういった詩形の実践であり、またその内容も実際に起きた政変をもとに、それを激しく非難する秩序志向が込められている。またいくつもの英雄劇・風趣喜劇を世に送り出したが、その中でも最も成功したのは『愛こそすべて(All for Love,1677)である。この作品はシェイクスピア時代のブランク・ヴァースが用いられているが、そのそもこの作品はシェイクスピアの『アントニーとクレオパトラ』の改作である。ドライデンは場面展開の多い原作を、恋人たちの最期の一日凝縮し、時代に合った作品に作り変えた。また彼は批評家としても知られており後にジョンソン博士が「イギリス批評文学の父」と呼んだように、優れた業績を残している。またその文章が正確かつ明瞭な散文で書かれていることから、「イギリス近代散文の父」とも呼ばれることがある。多くの翻訳も手がけ、英国文学界に大きな足跡を残した。





最終更新:2008年02月06日 19:08