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サミュエル・リチャードソン
(Samuel Richardson)
(1689~1761)

略歴

 若くしてロンドンに出、印刷屋の徒弟から律儀に勤め上げ、50歳になる頃にはロンドンでも有数の印刷業者となっていた。同業者に勧められて模範書簡集の企画を考えたが、そのうちに様々な状況下に置かれた個人の心理状態を想定し、それに応じた手紙を想像して書くようになった。そこから彼の書簡体小説が生まれた。彼の作品には「1)フィクション性および物語性、2)人間同士の関係(愛情と結婚など)、3)個人の性格や心理」といった小説の基本条件を満たしていたことから、彼によって近代小説というものが確立されたとされ、イギリス小説の父と呼ばれる。このようにイギリスの近代小説は、書簡体小説という変化球から始まったのである。

作品

 イギリス近代小説の最初の作品は、彼の『 パミラ(Pamela,1740)である。物語は一種のシンデレラ・ストーリーで、パミラ・アンドルースという美しい召使いの少女が、奉公先の若主人にちょっかいをかけられるものの耐え抜き、最後には改心した主人と結ばれるというもの。全体がパミラが屋敷で起こったことや、それに驚いたり困惑したりしていることを書き綴った、両親への手紙で構成されている。
 二作目は『 クラリッサ(Clarissa,1748)。こちらも前作と同様に書簡体小説であるが、前作にはない工夫が凝らされている。前作ではパミラの視点でしか状況が分からないために、他の部分は想像するしかなかった。しかし『クラリッサ』では、女主人公のクラリッサを中心として往復書簡をやり取りする人間が二組、四人いる。それによって状況はより詳しくなり深みが増したが、反面テンポは悪くなったことは否めない。前作の『パミラ』はハッピーエンドだったが、『クラリッサ』は家中心の結婚の思惑、愛した青年の裏切り、そして絶望と死という暗い話になっている。