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ヘンリー・フィールディング
(Henry Fielding)
(1707~1754)

略歴

 伯爵家の末裔でイートン校に学んだが、生活は貧しかったようだ。当初は劇作家として活躍し、風刺の効いた芝居が人気だったが、政治批判によって取締りが厳しくなり、弁護士に転身した。そして小説を書き始めたが、そこでも彼の気質は十二分に発揮された。上品ぶった偽善が大嫌いだったようで、作品にもそれはよく表れている。

作品

 彼の処女作と推定されるのは『 シャミラ(Shamela Andrews,1741)である。これはリチャードソンの『パミラ』のパロディである。シャミラとはいんちき(sham)+パミラ(Pamela)の意。実はパミラの本名はシャミラといって、彼女の美徳は全て計算されたものだった、というとんでもない話である。どうやら市民階級出身で事業でも作家としても成功しているリチャードソンに対して、含むところがあったらしい。また彼自身、そういった良い子ぶりっ子が嫌いだったのだろう。このことを示すように、彼は悪がき風の男の子を主人公とした物語を書くことになる。
 『シャミラ』を発展させたのが『 ジョーゼフ・アンドルース(Joseph Andrews,1742)である。主人公のジョーゼフはパミラの弟という設定で、姉の成功を目の当たりにした彼は、「よしだったら自分も・・・」とお屋敷に奉公に上がる。彼はまんまと屋敷の奥方の寵愛を受ける。ところが彼が奥方の誘惑を拒絶すると、あっさりと屋敷から放り出されてしまう。仕方なく恋人の待つ故郷へ帰る道すがら、学校の先生で牧師のアダムズと一緒になり、珍道中を繰り広げる。
 そして彼の最大傑作は『 トム・ジョーンズ(The History of Tom Jones,1749)である。これは言わばリチャードソンの『クラリッサ』の裏返しである。主人公のトムは素性の分からぬ拾われっ子(実際には裏設定があるのだが・・・)で、オールワージ氏の好意で、彼の甥で嗣子のブライフェルと兄弟同然で育てられる。トムはやんちゃな悪がき、ブライフェルはおとなしい良い子。しかしその実態はトムが竹を割ったような気持ちの良い人物であるのに対し、ブライフェルは卑屈な偽善者であった。隣村に住む少女ソファイアはそれを見抜き、トムに好意を抱くが当然親は反対し、そしてトムは屋敷を飛び出しロンドンで珍騒動を巻き起こす。リチャードソンとは非常に対照的な角度から書かれた作品であり、草創期の小説という分野が多様な広がりを見せることを明らかにした。あらゆる伏線を結末へと収束させていく、その水も漏らさぬプロットの緊密さは、後にコールリッジによって絶賛された。
 『 アミーリア(Amelia,1751)というだらしない亭主と貞淑な妻の話もあるが、他に比べあまり知られていない。