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ウィリアム・サッカレー
(William Makepeace Thackeray)
(1811~1863)

略歴

 インドのカルカッタ出身の作家。父は東インド会社に勤務していた。6歳で帰国し、イギリスで教育を受けた。ケンブリッジで学ぶも放蕩に明け暮れた上、父が投資していた銀行代理店が倒産、資産の大部分を失ってしまった。結婚を期に新聞社に入るも、長続きせずに退職し、雑誌「パンチ」などへの投稿で生活費を稼いだ。その後作品が認められ、ディケンズと並び称される作家となった。ディケンズが中・下流階級を代表していたのに対し、サッカレーは比較的上流に近い階級の腐敗や俗物性を暴き出した。

作品

 『 馬丁粋語録(The Yellowplush Papers,1837-38)は馬丁のイエロープラッシュ(従僕の黄色いお仕着せの意)が転々と奉公先を変えつつ、行く先々で主人の家の内幕を面白おかしく語る、というもの。馬丁の目を通して、上流階級が痛快に風刺されている。
 『 床屋コックスの日記Cox's Diary,1840は成金になった床屋一家が、上流階級の仲間入りをするものの、失敗を繰り返したためにたった1年で元の床屋に逆戻りし安心する物語。ここではにわか成金の俗物性を暴露している。
 『 アイルランド・スケッチブック(The Irish Sketch Book,1843)は1840年に発狂した妻を入院させ、子供らを親類に預けた彼が、執筆を続けながら旅したアイルランドの印象を書き綴ったもの。
 『 バリー・リンドン(The Luck of Barry Lyndon,1844)はいわゆる悪漢小説。
 『 見栄張俗物集(The Book of Snobs,1848)は、雑誌『パンチ』に連載した「 イギリス見栄張族(The Snobs of England,1846-7)を単行本にまとめたものである。実際の階級よりもちょっと上の階級をきどって生きていくこと、例えば実際の年収が600ポンドであれば800ポンドの人々の服装をしたりする人々がいる。こういった人々を英語では「スノッブ」(snob)という。当時は中産階級の時代であり、こういったことがしばしば見られた。それをサッカレーは痛快に風刺したのである。
 これを基に小説へと発展させたのが、ヴィクトリア朝小説の最大傑作の一つとされる『 虚栄の市(Vanity Fair,1847-8)である。題名はバニヤンの『天路歴程』に登場する町の名前からとった。つまりサッカレーはこの時代の上流およびそれに近い中流階級を、「虚栄の市」に蠢く俗物どもに比したのである。彼はこの作品に「主人公不在の小説」(a Novel without a Hero)という副題をつけた。舞台は19世紀初頭のロンドン。登場するは上流階級のやんごとなきお歴々だが、その俗物っぷりなどを痛烈に風刺している。また作者自身が作中に登場するなどユニークだが、全体の構成にはまとまりに欠けるという批判もある。作者自身が挿絵を書いた。
 『 ペンデニス(The History of Pendennis,1848-50)フィールディングの「トム・ジョーンズ」に倣った作品で、自伝的性格もある。主人公アーサー・ペンデニスの少年時代、大学時代、そして文筆家となって結婚するまでの半生を描いた。続編の『 ニューカム家の人々(The Newcomes,1853-55)では前作の主人公ペンデニスがクライヴとその父トマス大佐を中心としたニューカム家の人々のことを書いた回想記となっており、最後の作品『 フィリップ(The Adventures of Philip,1861-62)と合わせて三部作となっている。
 『 ヘンリー・エズモンド(The History of Henry Esmond,1852)は『虚栄の市』と並ぶサッカレーの代表作である。17~18世紀英国の軍人ヘンリー・エズモンド大佐の自伝という形をとった歴史小説で当時の社会の状況や風俗を当時の文体で描いた大作である。続編にこの主人公が独立戦争時代のアメリカに渡る『 ヴァージニア人(The Virginians,1857-59)がある。