黒の託宣

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*『黒の託宣<さいごのことば>』 「宇宙(記録)……=(即ち)人(記憶)。私は人を介して宇宙を視ることが出来るの」 (そう言った<予言者>は、静かに目を閉じた。  組んだ両の手はまるで祈りを捧げる様で、見守る人々はその神秘的な光景に目を奪われた。  幻想的(ファンタスティック)に在るたった一人の<予言者>。<予言者>を囲う現実主義(リアリズム)に酔う多くの学者。  静寂が空間を侵食する頃合、<予言者>は目を開いた。  彼女の蒼い瞳(め)は、穏やかに、緩やかに煌いて――) 100%(正答) 或いは100%(正解)…… <予言者>(私)に失敗はありえない 私は全能なる者(<予言者>) 突然変異(超能力) 或いは突然変異(天才)…… <予言者>(私)に常識は当て嵌まらない 私は超常たる者(<予言者>) 言葉(虚構) 或いは言葉(虚偽)…… <予言者>(私)に倫理の刃は突き立たない 私は堅牢なる者(<予言者>) 外れない 外さない 外せない 絶対に 単純(シンプル)な言の葉を結わえた矢は 寸分すらも違えず的(真実)を射抜く 「嗚呼……私が『神の音を紡ぎし者』(預言者)では無い以上、いつか訪れる0%(失敗)を避けられない……」 (<予言者>・Sophia Algren。  その口から紡がれる『予言』は、必ず真実のみを告げていた。  ある日、<予言者>は高名な学者の研究所(ラボ)に呼ばれた) 権力(ちから)に捕らわれし学者 能力(ちから)を捕らえし<予言者>に言う 「君は嘘を吐いているね? 真実(本当の事)だけを言ってくれ」 神威(ちから)を綴る<予言者> 権威(ちから)に縋る学者に言う 「私は嘘を吐かないわ。私が言うのは真実(本当の事)だけ」 瞑られた<予言者>の瞼 細い指が真実を指差した (<予言者>・Sophia Algren。  彼女は学者の助手を指差し、彼の過去の思い出、現在の怪我を次々と言い当てる。  そして最後に彼女が助手に告げたのは、『あなたがしぬひ』。  助手は恐怖に顔を引き攣らせ、畏怖に脚を押され研究所(ラボ)を逃げ出した。  残ったのは学者と<予言者>。<予言者>は不適に笑って、そして――) 外れない 外さない 外せない 絶対に 愚直(ストレート)な言の葉を結わえた矢は 寸分すらも違えず的(倫理)を貫く (ある日、<予言者>は自分と話がしたいと言う少女と出会う。  息を呑む程に美しい少女。机(テーブル)を挟んで、蒼い瞳(め)を持つ二人が座った。  まるで<人形>の様な少女のその言葉は、酷く冷たく。<予言者>の心を少しずつ、しかし確実に蝕んで行く。  蠱惑的な笑みを浮かべる<人形>の少女。彼女を捕らえて放さない。  微笑。幻惑。  返す言葉は全て、<人形>の単純な言葉の刃で斬り伏せられて行く。  冷笑。誘惑。  今まで保ち続けていた自分と言う均衡が、崩される。  自分が虚ろな泥に塗れて行くと言う幻想。  朝(夢)。夜(幻)。意識の地平に埋もれる<予言者>に<人形>は言う。  <予言者>の顔を覗き込む<人形>の明るい蒼の瞳が、彼女とは対照的に深く蒼い、<予言者>の瞳を囚えていた) 「ねえ、だったら、こんな予言は出来るかしら? たとえば……」 (<予言者>と<人形>の邂逅から数年。<予言者>は古い小屋の中に佇んでいた) 外の喧騒から隔離された小さな小屋(世界) きっと外にいるのはあの<少年> 私を救うと誓ってくれた<少年> 彼の100%(成功)…… 即ち私の0%(失敗) 『神に愛された詩人』(預言者)に在らざる<予言者>(私)は、その名すらも失ってしまう 外れない 外さない 外せない 絶対に 目の前に浮かぶ 天使の輪 伸ばされるのは 震える腕 「宇宙(記録)……=(即ち)人(記憶)。私は人を介して宇宙を視ることが出来るの。  でも、そうじゃない。私は本当は、宇宙(そら)になりたかった。あの、深い夜になりたかった。  Melvin……Melvin Elford……今までありがとう。私はきっと、あなたが大好きだった」 (開かれる扉。運命の女神の気紛れか、それは僅か、ほんの僅かばかり遅かった。  飛び込んで来た<少年>の目に入った『予言の結末』(光景)。  嗚呼、それは――)

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