アリスの世界

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*『アリスの世界』<おかしのいえ> (血(雨)…骨(鉄屑)…肉(泥)…硝子(心)…産み落とされた 孤独な人形) 華麗な箱に詰め込まれた 私は人形 笑顔を知らぬ 名も無き人形 意思もまた無く 悪戯に積もる日々 無意味に磨り減って往く日々 愛に縋り 愛に傷付けられる消耗の日々は続く 胡乱な感情の水底に淀む くすんだ色の硝子球 冷たい夜 震えながら過ごした夜 窓の外の蒼が 怖かった 夜を拒む<人形> やがて至るのは幻想(ゆめ)に似た追想(ゆめ) 笑顔を絶やさぬ 優しい人形師の青年 <人形>が紡ぐ 不明瞭な思い出 「嗚呼、Alice……僕の可愛い天使……  キミは誰のものでもない……キミはキミの為に生きるんだ……」 (血(雨)…骨(鉄屑)…肉(泥)…硝子(心)…産み落とされた 孤独な人形) 綺麗な襤褸(ドレス)で着飾った 私は人形 涙流さぬ 名も無き人形 意思もまた無く 幾重にも振れる日々 無慈悲に折り重なって逝く日々 愛を結び 愛に揺さぶられる衝動の日々は続く 不遜な感情は水底に沈む 含んだ意味も枯らすだけ 空しい朝 怯えながら迎えた朝 窓の中の紅が 嫌だった 朝を厭う<人形> いずれ至るのは虚構(うそ)に似た現実(うそ) 笑顔の絶えた 傲慢な持ち主の娘 <人形>が咽ぶ 明確な悪夢 「お前、口答えするつもり?  勘違いしないことね。お前はただの<人形>なんだから」 (血(雨)…骨(鉄屑)…肉(泥)…硝子(心)…産み落とされた 孤独な人形) 虚飾の<人形> 決して箱からは出ない観賞用(ショー・ドール) 孤独な<人形> 必要なのはその容姿 不要なのはその感情 『意に背けば、捨てられてしまう』/『意に背けば、捨ててもらえる』 交差する淡い夢想の果て 残るは自由への渇望(夢) 或いは恐怖(悪夢) 大きな箱 小さな箱 閉ざされた世界 <人形>の世界 壊れた人形/壊した<人形> 千切れた人形/千切った<人形> 崩れた人形/崩した<人形> 人形に埋もれる<人形> 冷たい日々に流されて (人形師の青年…持ち主の娘…  従うべきはどちらで、従わざるはどちらか。  廻(まわ)り廻(めぐ)る二つの声が、<人形>を絡め、縛って往く……) 「あの娘を外に出すべきだ」/「ふざけないで、アレを外に出すつもり?」 「Aliceはお前の<人形>じゃないんだ」/「いいえ、アレは<人形>よ!」 「AliceはAinsworth家の跡取りになるんだぞ」/「いいえ、アレはAinsworthの看板。跡取りはアレに釣られた馬鹿な貴族(男)」 「ふざけるな! お前は、お前は自分の――」/「だから何? 全部(すべて)この家の為を思って――」 「あの娘の為を思ったことが一度でもあるのか!」/「<人形>の気持ちなんてしらないわよ!」 (嗚呼、絶え間なく振り続ける雨の様に。世界は<人形>の瞳を濡らしていく。  流転、そして反転。ある寒い雪の日。とても珍しい、雪の日の出来事(事件)――) 紅く染まる 檻の中 笑う 持ち主の娘 紅く染まる 鳥の籠 叫ぶ 人形師の青年 歪んだ窓から覗くのは 火の雨 そして走り去る幼い<童> 箱が焼け 檻が焼け 籠が焼け 世界が燃える 血(雨)…骨(鉄屑)…肉(泥)…硝子(心)…世に放たれた 孤独な人形 (佇むは<人形>。冷たく澄んだ色をした蒼い瞳(め)を持つ、一体の<人形>。  包装(束縛)は解かれ、紅の館から放たれた<人形>は空を見上げる。  蒼い瞳(め)に映るのは、綺麗な青空。  <人形>の笑い声。背後(うしろ)の紅と、頭上(うえ)の蒼。総てを飲み込む、狂気の権化。  嗚呼、その<人形>の螺子を巻いては――) 「僕は<人形>。天使の<人形>。一人は寂しいわね。ねえ誰か、僕とお話しましょう――」

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