紅き血と蒼き血

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*紅き血と蒼き血 [銃声。化け物の断末魔の叫び。倒れる音。やや間が空き、人々の歓声とファンファーレ] (英雄万歳! 英雄万歳!(Heros hurray! Heros hurray!:エローユハイ)) [ファンファーレと歓声に重ねるようにして] (英雄、Michael Cross。:ミカエル クロス 齢13にして、かつて我が国が最大の異物としていた『蒼き血の化け物(Sang bleu:サン ブルー)』を、初めて倒した少年。 彼がいなければ、我らはかの化け物を撲滅出来なかっただろう。 これは、そんな英雄の、今は死した英雄の、物語――) [次第に歪んでいく、ファンファーレと歓声。 やがて断末魔の悲鳴のような調子になり、完全に高まったところで、一気に静かになる。 先ほどまでの派手なものではなく、素朴なものになる音楽] 幼いころから 僕は一人だった 「君は<肌の色(Couleur:クルー)>が違うから、友達にはなれないよ」 それが彼らの常套句 弱者(Faible:セブル)のにおいを嗅ぎ分ける獣(Bete:ブート) いつもずっと 君も一人だった 「僕は<血の色(Couleur:クルー)>が違うから、友達にはなれないよ」 それが君の言い訳 そんなことなんて 問題じゃない 唯僕は 嗚呼 君と友達になりたかったんだ <肌の色(Couleur:クルー)> <目の色(Couleur:クルー)>  そんな違い なんて些細なこと <髪の色(Couleur:クルー)> <血の色(Couleur:クルー)> 違いに 目を眩まされてはいけない 嗚呼 世界の色(Couleur:クルー)は なんて美しい 生きているものは 唯 そこに存在(い)るだけで 美しい色(Couleur:クルー)を持つ 僕と君は 友達になった 森を分け入り木の実採り 川に入って魚釣り 本当によく 遊んだよね 遊んだ後は 夕日の色(Couleur:クルー)が とても美しかった こんな日が 続けばいいと 思ってた でも―― [急に静かになる、素朴な音楽] [書の魔獣みたいに、「」のパートは「君」が早口気味で。(嘘だ)はその裏打ち。だんだん恐慌状態になって、音が大きくなっていく]                    「彼らは僕たちを罵った」 (嘘だ(C'est mensonge:セ マンソンジュ))                    「彼らは僕たちを傷つけた」 (嘘だ(C'est mensonge:セ マンソンジュ))                    「<肌/血の色(Couleur)>が違うと僕たちを虐めた」 (嘘だ(C'est mensonge:セ マンソンジュ))                    「だから僕は戦ったんだ」 (嘘だ(C'est mensonge:セ マンソンジュ))                    「僕たちの為に戦ったんだ」 「嘘だあああッ!!!」 [Michaelの絶叫が響く。メタルアレンジに変わる曲] <肌の色(Couleur:クルー)> <目の色(Couleur:クルー)>  そんな違い なんて些細なこと? <髪の色(Couleur:クルー)> <血の色(Couleur:クルー)> 違いに 目を眩まされてはいけない? 問題となるべきは 個の性質 例え全てが同じだとしても 性質が歪んでいれば―― [銃声。「君」の叫び。倒れる音。やや間が空き、歪んだ人々の歓声とファンファーレ] (一体、Michaelは何を見たのか。それは、折り重なって倒れた少年たちだった。 そして、緋い<血(Sang:サン)>を纏った、『蒼き血の化け物(Sang bleu:サン ブルー)』。 彼は果敢にも勇気を振り絞り、銀の弾丸(Balle d'argent:ヴァル ダルジャン)を放った。 倒れる怪物。撒き散らされる蒼き血(Sang bleu:サン ブルー)。 それが切欠となり、人々は揃って化け物退治へと乗り出した――) [オルゴール調の静かな音楽に変わる] (英雄Michael Cross:ミカエル クロス。享年、13歳。死因は、心因性衰弱。 彼が最期に残した言葉は、次のようなものだと伝わっている――) 僕は唯 世界を守りたかっただけだ 故に僕は 怪物を殺した 僕は 英雄になったんだ 罰せられるべきは 彼だ [上のパートに重ねるようにして。沈んだ歌姫みたいに左右からでもいいかも] 僕は唯 自分を守りたかっただけだ 故に僕は 友達を殺した 僕は 罪人になったんだ 罰せられるべきは 僕だ

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