騎士の詩


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『騎士』の詩


(…凍った眼差しは、今宵も紅い雨を浴びて彼に微笑みかける…)



「…嗚呼、コレデ私モ救ワレル…」



(古から語り継がれる<化け物>、新月の夜に舞う紅い月と謂われるそれは今も血を求め彷徨うという)



旋風舞う荒野の果てに何を見る
それは振り解けぬ冷めた怒りか
夜毎襲われる夢に喰われた我が身
掌の中に届かぬ少女の手を握る



「…今夜も僕は遺された…」
(…あの日私は殺された…)



通じ合う二人の手を誰がほどく
それは拭い去った熱き想いか
夜毎甦る餓えに駆られた甲冑
軋む鋼の音はただ別れを告げていた



「僕は行かなくてはいけない…!」



幼き少女の手を払い 笑顔をその背に旅立った
短き命を喰らうもの 牙は嵐と化して舞う
帰った騎士を迎えるは 笑みを絶やしたあの微笑
短き命を喰らいきり 騎士の頬には痕を科す



月無き夜に踊る紅い双月 今日は獣が歌う夜
月より眩く光る紅い爪牙 今日が最期とならんよう
夢の終幕をいざ今宵…



(新月の廃墟にて向かい合う騎士と<化け物>、弧を描く紅の軌跡、止めるは白銀の剣
見居る<化け物>の視線、弓射る騎士の矢穿、<化け物>が魅入るは刹那の死線
蒼の泉は雨のように降り、紅い火花を散らして銀の弾丸を源へ招く
嘲笑う竦んだ<化け物>、高笑う小さな騎士…嗚呼、その甲冑は蒼へと染まりゆく…)



「…嗚呼、今宵僕は巣喰われタ…」



(人の心を宿した<化け物>は、新月の夜に狂い続ける
人として生きようとする小さな<化け物>の手を取ったのは、小さな少年だった…)