剣を持った花嫁


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剣を持った花嫁



<其処は、雨の中の広場、決意を抱いて走り出した世界>
<<赤色の輪(Rot)>>



「今まで私達、Rosenberg家のしてきたことは間違いでした。
許してくれとは言いません…ただ、協力して欲しいのです。
思い上がった、愚かな黒い薔薇はもう刈り取られる運命から逃れられません。
ならばせめて、我々の手で成し遂げようではありませんか!」



1793年7月14日、後に「三晩の散華」と呼ばれる大革命の火蓋が落とされた
主導者、Stella=Von=Rosenberg(シュテラ=フォン=ローゼンバーグ)、首都中心大広場にて第三身分の者達に演説
翌15日より各地で火の手が上がった



白い衣に身を包んだ、悲しみと怒りの騎士達
先頭に立って進んでゆく、<正義>の姫
さぁ、今こそ時は来た
奴らの暴挙もここまでだ
街を踏みにじる権利は誰にも有りはしない



崩れ落ちてゆく監獄
崩れ落ちてゆく人々
嗚呼、焔の中で、死んでゆく多くの者達…



それでも彼女は生きて、前へ前へ進んでゆく
戻る道などないのだと、口ずさみながら
右手に持った銀の剣に、映るは赤の世界



15日夕刻、隣国オーストリア、混乱に乗じてプロイセンを相手に宣戦を布告
同日深夜、Stella、オーストリア軍に対し、革命後の領土の一部を引き換えに協力を要求
16日早朝、オーストリア軍、一時的にに革命軍と協力を約束



黒い馬に曳かれた、破壊と侵略を望む戦車
先頭の馬車で進んでゆく、<正義>の剣
さぁ、今こそ時は来た
奴らの命ももう終わる
我等を貶す権利は誰にも有りはしない



燃え上がる宮廷の庭
燃え上がる人々の闘志
嗚呼、死してなお彼らは戦い続ける



16日早朝、オーストリア、革命の両軍、宮廷を包囲
同日正午、Stella率いる第一師団、宮廷内へ突入



「どうして、こんなことをするの姉様。私達は幸せだったじゃない。」(クローエ)
「Chloe…そこをどいて。私は貴女を斬りたくないわ。」(シュテラ)
「答えになってないわ。今まで世話になった恩も忘れて、父も母も殺すつもり?」(クローエ)
「Chloe…私は分かったのよ。国は私達の所有物(モノ)じゃない。人々が幸せで始めて国と言えるのよ。」(シュテラ)
「綺麗事ばかり言わないで。姉様だって散々甘いモノを食べてきたじゃない。
忘れられるの?贅沢な食卓が、綺麗な宝石が、高尚な身分が。」(クローエ)
「えぇ、忘れてみせる。このままでは、この国は滅びてしまうのだから。」(シュテラ)
「嘘、貴女はホントはそんなことなんて考えてないでしょう。
私にはあの愚か者の敵討ちとしか思えない。」(クローエ)
「Chloe…言って良い事と悪い事ぐらい、貴女の歳なら分かるでしょう。」(シュテラ)
「姉様、本当の事を認めてください、そうすれば私も、遠慮しなくて良いですから。」(クローエ)



睨み合う姉妹、弾き合う銀色の細剣
燃える宮殿の中で、幾度も響く金属音



最後に弾け飛んだのは…妹の剣だった



「決着は付いたわ。…そこを退いてChloe」(シュテラ)
「殺さないの、姉様。ふふ、いつか後悔するわよ、私を見逃したことを。」(クローエ)
「…自分の手で妹を殺すぐらいなら、このくらい後悔どうってことないわ…。
それに貴女にだって子供がいるんだから、母親を奪うことなんて出来ない。」(シュテラ)
「ふふ、馬鹿な姉様…。」(クローエ)



そして、彼女は王室の扉を開いた。
其処に居たのは紛れもなく…父と母、この国を腐らせた国王と王妃



「ごめんなさい、二人とも。
…<正義>の名の元、どうか裁かれてください。」(シュテラ)
「嗚呼Stella…私は知らなかったのだ、民がこんなにも苦しんでいることを
こんなにも怒っていることを…」(アレクシス)
「そうよ!宮廷からじゃ下は見えない、平民どものことなど分からなかった!」(アンネリーゼ)
「……皆さん、父を…国王を捕らえて下さい。
王妃は良いです…ここで片を付けます。
…諸悪の根源、Anneliese=Von=Rosenbergは、私が今ここで。」(シュテラ)
「やめなさい、私は悪くない、悪いのは全てあの人なのよ!」(ジドーニア)
「…さようなら、お母様…。」(シュテラ)



王室に根付いた黒い薔薇、散らす花弁は真っ赤で
誰もが恨んだ黒い薔薇、彼らが本当に、
悪人だったのか、それは誰にも分からない



「さぁ、今こそ革新の鬨を挙げましょう!
過酷だった過去と、断頭台に散る王の死を無駄にせぬ様に!
我々が造ってゆくのです、我々が生きる世界を!」(シュテラ)



「こうして、今の世界は作られていったのです…。」(フランシスカ)
「王家は…いつのまにこれほど堕ちていたのだろうか…。」(アルベルト)



<その世界の意味は、咎を背負って生きること>