境界への扉


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~境界への扉~



<扉は常に開いている。総ては個人の意志。>



蒼に沈むセカイ、その安寧を引き裂く様に、多くの叫び声が木魂する。



闇夜の中には一人の少女。
紅い瞳、真直ぐに灼焔を見詰め、その先を視る。
蒼い髪、闇夜の中で一際蒼く、セカイを誘(いざな)う。



(光の中、少女の名は「紅の住人(Resident d'un matin)」)



灼焔の中には一人の少年。
蒼い瞳、真直ぐに闇夜を視詰め、その先を見る。
紅い髪、灼焔の中で一際紅く、セカイを誘(さそ)う。



(闇の中、彼の名は「蒼の住人(Resident d'un nuit)」)



二色が混ざる惨劇の中心には、蒼い瞳
多大な惰性を含んだその口元を変えず、紅のセカイを見た。



二色が混ざる惨劇の陰には、紅い瞳
多大な恐怖を孕んだその口元を震わせ、蒼のセカイを見た。




(ノイズ)―――オルレアン放火殺人事件、犠牲者は男性二十一名、女性九名の総勢三十名―――



少女は朝を望んだ。
少年は夜を望んだ。



二人の意思は平衡し、セカイは廻り続ける。



紅に煌くセカイ、その喧騒を引き裂く様に、多くの涙が支配する。



太陽の下には多くの村人。
嗚呼、燃え尽きた故郷を見詰め、過去を視る。
嗚呼、太陽の下で一際蒼く、セカイに身を委ね。




「火を点けたのはあの男だ!」
叫んだ村人、一斉に向けられた視線のは、無関係の住人。
非難の声(Voice de blame)
其れは脆い人間を消すには十分すぎる狂気
鍬や鋤(Charrue et binette)
其れは脆い人間を殺すには十分すぎる凶器
予想外の事態(Dehors de supposition)
両者の間に飛び出した紅色が、総てを切り伏せた。



嗚呼、飛び散った雫、朝の光より遥かに紅い。
嗚呼、遺された畏怖、夜の闇より遥かに蒼い。



二色に染まるその光景の中心には、紅い瞳
半ば愉悦を孕んだその口元を歪ませ、蒼のセカイを見ていた。



二色に染まるその光景の陰には、蒼い瞳
半ば憧憬を含んだその口元を歪ませ、紅のセカイを見ていた。



(ノイズ)―――オルレアン大量殺人事件、被害者は男性四名、女性七名の総勢十一名―――



少女は夜を望んだ。
少年は朝を望んだ。



二人の意思は交差し、セカイは瞬時に反転する。



[紅い光に蒼い瞳/蒼い闇に紅い瞳]
[少年は遂に剣を置いた/少女は遂に剣を取った]
[「嗚呼、これ程に、面白い朝なら悪くは無い。」/「嗚呼、これ程に、愉快な夜なら望むべき場所。」]
「「さぁ、存分に、楽しもう、このセカイを。」」



嗚呼、銀色の剣に映る、紅色(くれない)の恐怖。路地裏に響く声は「Aidez!」の叫び。
嗚呼、無慈悲にも振るわれた銀の閃き。崩れ落ちる者達は総じて深紅。
瞳(め)に映る全てのモノを壊しつくして、蒼い髪を深紅に染め上げた少女。



嗚呼、楽しげに外を見る、蒼色(群青)の好奇。公園に響く声は「Agreable!」のざわめき。
嗚呼、笑顔で見つめる彼の瞳。別れを惜しむ姿は正に鬱蒼。
髪を乗せる全ての風を肌で感じて、紅い瞳に空を映す穏やかな少年。



「「嗚呼、この場所もまたShangri-La」」