渇望の魔女


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渇望の魔女


「妹」
ねぇ...お兄ちゃん知ってる?
丘の上に針葉樹の木があるでしょ・・・ほら 髪の毛みたいなのがついてる奴
雪の降った日にその木に往くと魔女がいるって噂...知らなかったでしょ?
その魔女はどんな願いも叶えてくれるらしいよ
「兄」
そんな話があったのか・・・魔女がいたらどうするんだい?
「妹」
どうしようかな...お兄ちゃんは何か願い事ある?
「兄」
そうだね...僕は――

「語り」
兄の想い 妹の夢 交錯する夢想は白雪のように穢れなく

「歌」
陽気な妹は魔女に何を願う? 雪の降る日を何時までも願う
雪化粧された(いろどられた)村には魔女の伝説? 真偽を問う者は誰もいなく
丘の上の針葉樹(Common Witch's Hair) 少女は魔女に会いに往く
白雪に侵された丘には魔女が 真偽を確かめる者は唯一人

「語り」
穏やかな雪の日 妹は朝早く出かけた
誰にも内緒の願いを胸に秘めて

「歌」
穢れた雪に跡をつけて少女は往く 彼女の夢を叶えるために
嘘つき(エピメデス)のパラドックス 魔女を語る者は嘘つきであると魔女を語る者がいった(魔女を語る者は嘘つきである)
ヘンペルのカラス 魔法を使えない者は魔女ではない
雪原の魔女...齎した魔法は何か 

「語り」
雪と蓬髪で装飾された樹には黒き片影が…

「会話」「魔女と女」
「貴方が魔女?」 「そうよ」
「私を魔女にして!」 「私と同じになりたいの?」
「だって魔女になったら何でも出来るでしょう?」 「ふふ...そうね、何でも出来るわよ」

「妹」「語り」
目が醒めたら私しかいなかった 辺りには針葉樹と雪だけだった
私は何でここにいるのだろう 早く帰らなくちゃ

「兄」
どうしたんだ、遅かったじゃないか
「妹」
ごめんね...丘に往ってたの
「兄」
そうか 魔女の話だね
「妹」
魔女...?
「兄」
君がこの間言ってたろう?忘れたのかい?
「妹」
・・・ううん!忘れてなんかないよ!

「兄」「語り」
彼女はどうしたのだろうか…丘に往って来た日からずいぶん元気が無い
妹は魔女に会えたのだろうか?僕は妹の夢が叶うことを願う…

「歌」
魔女の髪の毛(Common Witch's Hair) 少年は魔女に会いに往く
白雪に侵された丘には魔女が 真偽を確かめる者は唯一人

「語り」
激しい雪の日 兄は朝早く出かけた
誰にも内緒の想いを胸に秘めて

「歌」
穢れた雪に跡をつけて少年は往く 最愛の妹のために
悪魔の証明 魔女の存在は闇の中
アキレウスと亀 魔女には辿りつけない
雪原の魔女...齎した魔法は何か

「語り」
崩れ落ちた男は嘆いた 己の過ちを
逝かせてしまった女も嘆いた 己の過ちを
魔女までも嘆いた 己の過ちを 

魔女「私は、私に問いかける」
妹「魔女は私に問い掛ける」
兄「僕は僕に問いかける」

魔法を魔法と信じれば魔法になり魔女と信じれば魔女になる
問答を繰り返し続ければいずれ真実に辿りつけるのだろうか

自らの死を選ぶか それとも自らの命を尊び生き永らえるか
それぞれが見上げた空に舞った求道の粉雪に 答えを問う眼差し
やがて訪れる決断のときに 君が見る粉雪は何か…