託されし星斗


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――惨禍が廻りて後...移ろう風に灯火は揺らぎ...

『残サレシ者達ノ物語』――

――...そして、時はせせらぐ小河の様に...
   人々の痛みを浚い、傷跡のみを残して流れ往く...
   孤独を湛える星空の下...男は未だ、旅の途中...

歩む旅路は果しなく 進む野道は果知らず
彼の行く手を阻むは 北風
求む家路は遠ざかり 挑む前途は遥かなり
彼の行き場を奪うは 約束

宵が廻れば 星が灯る様に...睡へ堕ちれば 生は悪夢の中...

嗚呼――
主人を奪われて...彼の愛しき人も護れず
右腕を奪われ...己の仕えし人も護れずに
其れでも尚 忠義を騙る 弱者の愚行よ...

――其れは、回想と云う名の自傷行為...刻む道筋は贖罪の足跡...
   夜毎巡る忘れえぬ痛みに耐え...男は風と共に歩み続ける...

春を懐かしむ事も無く 夏に急かされる様に
秋が遠く去り往く先に 冬は子を抱く様に...
 嘆く女神が 豊穣の紅を 白銀へと染め上げる
 立ち止まれば 息吹も凍り 生命すら凍り付く...
  風は...季節を廻し 冬を纏い 旅人を抱く
  彼は...道程を続け 春を望み 未来を抱く...

山を越え...森を抜け...河を渡り...丘を跨ぐ...
 我が生を照らす 唯一人の主
  貴女と交わした 去り際の約束
   託されし首飾と 託されし伝言
    其れすらも違え 生に縋る様な
     誓いにも背く そんな命要らない

――其の日、或る寒村に暮らす村娘が、旅装の男を見つけた
   村の近辺で倒れていた彼を、彼女は家へと運び、懸命に介抱した...

――...そして、男を悪夢から救ったのは、静かなる旋律...
   儚くも懐かしき、あの琴の音色だった...

『旅ノ終ワリ』――

闇の奥に 不条理が潜む...等と知らずに
星を求め 伸ばした右腕は...無知の代償...
 今は失き この右腕は...
  また何かを掴めるのか?
   誰かを護れるのだろうか?

嗚呼――
運命に屠られて...幾度踏み躙られようとも
貴女を護ろう...己の焔が絶える其の日まで
永久の星よ 忠義を語る 弱者の矜持よ...