ニケの見た夢その4

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550 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 22:00:47.18 ID:0hzdnbco たしか水曜日の朝あたりに、俺は電車に乗ってたんだ。 俺はサラリーマンだ。平日は基本的に、会社に出勤する。 だから俺は、電車に乗ってたんだ。つり革につかまってたんだ。 東京圏に住んでる人は知ってるだろうが、 山手線とかの主要路線の車両は、ドアの上にモニターがついてる。 停車駅や到着予定時間、遅延状況や広告なんかを流してるあれだ。 今日はなぜか、モニターの広告が俺に話しかけてくる。 変な広告だ、と思いながら、俺は広告のゴブリンと会話した。 ゴブリンは詩人だった。奴は、山手線の窓から見える景色に、 残された四季の香りの美しさと儚さを俺に語った。 俺はそれに応えながら、気持ちがよくなってうとうとしてしまった。 553 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 22:16:19.88 ID:0hzdnbco 俺を起こしたのは、最強の千人長だった。 「最強の千人長」が本名ではないだろうが、とにかく彼はそう名乗った。 彼、千人長の話はこうだ。 千人長は池田大作の部下で、千人の大隊を率いる作戦指揮官らしい。 池田大作というのは彼の所属する総軍の最高司令官で、 4連隊、16大隊を束ね、「池田大作戦」を行っているらしい。 千人長の大隊は、池田大作戦を遂行する上で重要な独立作戦をしており、 俺は戦史の知識を買われて、その参謀官として呼ばれたとのことだ。 戦史などほとんど知らないと俺は言ったが、聞いてはもらえなかった。 ※実在の人物、団体とは一切関係ありません 559 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 22:31:39.11 ID:0hzdnbco 最初に俺は、戦闘服を与えられた。 戦闘服と言っても、若草色とクリーム色の軽くなめらかな生地で、 深緑と茶色の糸で曲線が装飾された、チュニックとスカートだ。 次に俺は千人長の大隊本部に連れていかれた。 大隊本部には、千人長と20人ほどの士官がいて、俺を迎えた。 千人長は水色とクリーム色のチュニックを着ている。 皮の肩当とベルトがついており、金属の装飾がしてあった。 千人長以外の士官は俺と同じ若草色とクリーム色のチュニックで、 皮のベルトとズボンをはいている。士官の戦闘服ということだろう。 俺は彼の隣の椅子と十人の親衛兵、十人長の称号を与えられ、 千人長の副官として、彼に戦術上の助言をするように言われた。 564 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 22:42:20.89 ID:0hzdnbco 俺は巨大な木の一枚板でできた机の末席につき、千人長から説明を受けた。 池田大作戦の目的は、世界に平和と秩序をもたらすことらしい。 事の次第はこうだ。千人長やここにいる士官をはじめ、 彼らはもともと、池田大作を王とする国で平和に暮らしていた。 国とはこの世界にただ1つの人間の集団のことで、 彼らは獣を狩り、木の実や果物を集め、歌を歌い踊りを踊って 平和に、自由に暮らしてきたらしい。 千人長も元から千人長だったわけではなくて、 以前は王室が管理する、狩猟道具を作る工房の監督だったという。 しかし、その平和な国に異変が起きた。秋谷栄之助の独立だ。 秋谷は自らを池田と同じ王であると名乗り、国を建てた。 秋谷の主張はこうだ。何千、何万年と同じことを繰り返し、 ただただ平和に時を過ごすだけの人間に価値はない。 戦い、殺し合いこそが人間を高みに押し上げる法であり、 戦いを忘れ、進歩を失った人間、池田大作の国に対して 戦争をしかけ、本来の、健全な戦争の世界を作ろうというのだ。 571 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 22:49:04.31 ID:0hzdnbco これまで「国が複数ある」「人間同士が別々の集団に分かれる」 「人間同士で戦う」といった概念そのものを持たなかった池田の国は焦った。 秋谷は獣を狩るための狩猟の技術を人間に使うことをはじめ、 人間を狩る訓練を受けた「兵隊」、さらにそれを集めた「軍隊」を発明した。 即席とはいえ訓練を受けた秋谷軍に、池田の国は有効な対策を持たなかった。 狩りが得意な者たちを中心に抵抗したものの、秋谷軍が引くまでに 池田の国はその人口の3割近くを失うことになったらしい。 池田は秋谷に対抗するため、国をあらため軍とした。 秋谷と同じように、人間同士が戦う訓練をし、そのための武器も作った。 そして戦術上の指揮を補佐する役割として、俺が呼ばれたらしい。 580 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 23:03:17.47 ID:0hzdnbco これが、池田大作戦だ。 千人長は秋谷の奇襲の頃から腕に覚えのある者を指揮し、 池田軍最強の士官として千人の兵を率いて戦っている。 そして現在、彼は戦局を動かす独立作戦を行うため、 秋谷軍との勢力境の付近に野営を布いているのだ。 その独立作戦とはつまり、秋谷軍に対する反撃作戦。 これまで防戦一方だった池田軍が、秋谷軍に一矢報いる作戦だ。 しかし、今まで人間が人間を攻撃するなど夢にも思わなかったのだ。 何から始めて何を目指せばいいのか、何もわからない状態だという。 彼らの装備は、硬化した皮で局部を覆った皮鎧と、 狩猟に使っていた短弓、短剣などだ。これは秋谷軍も同じらしい。 問題は、兵士の錬度だ。秋谷軍は約半年の間、 人間同士で戦うことを秋谷から教えられ、その訓練を受けてきた。 対して池田軍の兵士の多くは、未だこの事態を悪夢か何かだと思っている。 581 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 23:04:42.75 ID:0hzdnbco ・・・まだけっこうあるんだけど、省略したほうがいい? 591 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 23:17:53.59 ID:0hzdnbco まず俺は、千人長に演説を提案した。 兵士に戦う気力がなければ、勝負にならないだろう。 まして歩兵だけの戦いだというなら、なおさらだ。 そして、大勢の人間を動かすには、演説が一番だ。 俺は千人長がする演説のために、原稿を書いた。 なるべく簡単に、少ない言葉で秋谷軍の非道さとこの反撃の重要さを説く。 秋谷軍はこのままだと、こちらの仲間や家族、我々をも皆殺しにする。 それを言葉に乗せて兵士に刻み、後は反抗を宣言すればいい。 それから、訓練だ。反撃開始までの間、付け焼刃でも訓練が必要だ。 千人長に言って百人長たちを集め、訓練の必要性を説明した。 まずは俺が、人間同士が戦う上で勝つための概念を語り、 次に実戦経験が持ち、池田軍最強である千人長が実技を教える。 あとは百人長から十人長、十人長から兵士へとそれを伝えるだけだ。 593 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 23:25:45.43 ID:0hzdnbco もっとも重要なのは、弓だ。 弓なら獣に射るのも人に射るのも大した違いはないが、 短剣は戦い方が全く違うから、今から訓練したのでは間に合わない。 何より何千、何万と平和しか知らなかった池田軍の兵士では、 剣を持って敵と出会ったところで、萎縮して動くことはできないだろう。 人数分の弓と、十分な数の矢を作るよう、千人長に進言する。 そして、盾だ。木の板をつないだだけの原始的な盾でも、 身を隠し、狩猟のための矢を防ぐには役に立つ。 俺は盾の作り方と使い方を教え、これも千人長に作らせた。 狩りの経験者を中心に、短剣や格闘の訓練もした。 戦闘のためというよりも、闘志を覚えるためだ。 俺の徒手格闘も役に立った。だんだんと、兵士らしい者もあらわれる。 596 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 23:34:24.01 ID:0hzdnbco 俺は戦術や戦闘の知識だけを教えたわけじゃない。 自分の知っている歌や踊りを披露する機会もあった。 ほぼ全員が高い水準の歌い手である池田軍だったが、 俺の知る声楽曲や現代舞踊も彼らに受け入れられた。 俺は速いテンポと激しいリズムを刻んだ曲を作って披露し、 訓練中に、戦闘意欲を高翌揚させるのに使った。 また、俺の知る衛生や初歩的な医療の知識も役に立った。 簡単な手術と衛生を保つ方法を教えるだけで、 治らなかった怪我や病気がいくつか治るようになったのだ。 食べられない草や木の実を食べられるようにする方法も教えた。 俺の料理は変わった味だそうだが、概ね評判は良かった。 その頃には、大隊本部の外でも俺は一定の信頼を得ていた。 これで、準備は整った。 603 名前:1日目 ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/27(日) 23:57:37.67 ID:0hzdnbco 自分の命令を聞いて動いてもらえる。 俺がそう確信して作戦を発動したのは、俺が呼ばれた日から5週間後だ。 とはいえ、複雑な命令は自殺行為だ。錬度の低い兵が混乱するだけだろう。 俺は、できるだけ単純な作戦を考えた。 まず、大隊にある200人規模の4中隊を、100人規模の6中隊に編成しなおした。 さらに、各中隊には二色の色で旗を作り、その旗の色で中隊を呼ぶことにした。 Before 大隊本部:20 中隊1:250 中隊2:200 中隊3:220 中隊4:180 非戦闘員:130 After 大隊本部:20 黒赤中隊(弓):100 黒青中隊(弓):100 黒黄中隊(弓):100 緑赤中隊(前線補給):100 緑青中隊(前線補給):100 紫赤中隊(本部防衛):100 紫青中隊(本部防衛):100 白色中隊(本部補給、非戦闘員):130 伝令小隊、偵察小隊:50 606 名前:1日目 ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 00:12:40.20 ID:Q7gyVbAo 本部直属の偵察小隊は、戦場の中と外を走り回って旗で戦況を報告する。 そして本部に伝わった戦況を元に、本部の指示を伝令小隊が伝える。 伝令の方法は単純だ。中隊の色に、△印がついた旗が揚がれば前進、 □印の旗ならば後退、○印なら別名あるまで待機。基本的にはこれだけだ。 秋谷軍は今、秋谷のいる即席の町、というより巨大なキャンプを構築して、 その周りに土の壁や木の柵を築いている途中だ。 この城壁が、まだ完成していない部分、ぎりぎり残された隙を攻撃し、 防戦する秋谷軍の戦力を削ぎ、総軍が攻める足がかりを作る。 それが、独立作戦の詳細な目的である。 610 名前:1日目 ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 00:20:28.81 ID:Q7gyVbAo 出撃の前夜には全員で集い、少し豪華な食事をとった。 それから千人長が最後の演説をして、俺が作戦を説明する。 池田大作の国から独立した秋谷軍は、1個師団規模らしい。 城壁の完成を阻止し、こちらの総軍が攻める隙を残しさえすればいいはずだ。 未完成な城壁に矢を浴びせ、工事ができない状態にする。 さらに防衛に出た秋谷軍に断続的な攻撃をして、 あちらが本格的に反撃をはじめたら、後退する。 あまり積極的な作戦とはいえないが、これが精一杯だろう。 城壁さえ作らせなければ、数で勝る池田軍の勝機は十分にある。 611 名前:1日目 ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 00:21:50.47 ID:Q7gyVbAo >>608 実在の人物・団体とは一切関係ありません 615 名前:2日目 ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 00:31:36.48 ID:Q7gyVbAo 朝起きて、俺の最初の仕事は歌を歌うことだった。 大隊は弓を配って剣を研ぎ、出撃前の食事をする。 俺と手の空いた者で、その間ずっとリズムを刻み、 軍歌となった俺の自作曲を歌って隊を鼓舞した。 そして、黒色3中隊を先頭に、全隊が出撃する。 目標は、秋谷軍から走って30分ほどの地点。なんとか城壁が見える場所だ。 俺と偵察隊が、秋谷軍の偵察や待ち伏せ、トラップを警戒していたが、 それを気にする必要はなかったようだ。 秋谷は、こちらが反撃作戦をしたとしても、 城壁さえ作ってしまえば負けることはないつもりなのだろう。 617 名前:2日目 ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 00:38:41.26 ID:Q7gyVbAo 昼前には、目的の地点に到着した。 千人長によればかすかに秋谷の城壁が見えるらしい。 俺には何も見えなかったが、おそらく秋谷側も気づいているだろう。 運んできた盾を壁状に並べて、本部を設営する。 中では、非戦闘員が応急手当や武具の修理ができるようになっている。 盾を並べて防衛隊の陣を布き、本部の完成だ。 さらに余裕があれば、補給隊が物見やぐらを作ったり、 壁や堀を追加することになっている。 そこまでするまでもなく、作戦が終了すればいいのだが。 634 名前:2日目 ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 02:54:50.28 ID:yHFYee.o 黒赤中隊の進撃を伝える黒と赤に△印の旗が揚がった。 千人長と俺も、親衛兵だけを連れて同行している。 30分ほどの進撃で、できるだけ高く、木の多い丘のような森を選び、 そこに盾を構えて待機を指示した。後は射撃を命令するだけだ。 千人長と俺が本部に戻って動きを待とうとした時、 秋谷軍に動きがあるとの報告があった。 工事を中断して城壁の中に引きこもっていた秋谷軍だったが、 まとまった人数でこちらに動いてきたというのだ。 俺は少し離れた場所で待機している、黒青、黒黄2中隊を呼んだ。 635 名前:2日目 ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 03:00:54.22 ID:yHFYee.o 城壁から出てきた秋谷軍の兵は200人程度。 こちらの2個中隊規模といったところで、弓や短刀を装備して向かってくる。 黒赤中隊の後退を命ずる黒赤地に□印の旗と、 石矢の使用許可を示す、石を描いた旗が揚がる。 石矢といっても、石弓、投石器のことではない。 矢の先に鏃のかわりに石をとりつけただけのものだ。 鋭利な矢のように必殺の武器とはいかないが、 皮鎧程度の装備しか持たない相手だ。十分だろう。 簡単なつくりは短期間で十分な数を揃えるのに役に立ったし、 何よりも、最初に攻撃する兵のためらいが減るのが最大の利点だ。 同時に、黒青中隊に前進を指示する。 後退する黒赤中隊で敵を引きつけ、黒青中隊と合流して迎撃するのだ。 636 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 03:04:34.92 ID:yHFYee.o ただ見た夢の内容書いてるだけなのに、長すぎ…。 どんだけぐっすり寝てたんだよ俺。 639 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/28(月) 03:25:26.00 ID:yHFYee.o >>637 丸4日寝てたらしいよ。 黒赤中隊が石矢の一斉射撃、のち、盾を構えての後退を繰り返す。 一方秋谷兵は、一斉に進軍しようとすると石矢を受け、後退する。 黒青中隊との合流予想地点が近づいた時、 秋谷の中隊が短剣を構えて一斉に走り出した。 しびれを切らして突撃、混戦に持ち込もうというのだろう。 後ろに黒青中隊が弓を構えているので本来なら思うつぼなのだが、 混戦になってはこちらの士気を挫かれる可能性がある。 格闘戦の訓練もほとんどしていないので、できるだけ避けたかった。 黒赤中隊に逃走、黒青中隊は弓をやめ、投石を指示する。 さらに後方の黒黄中隊は黒赤中隊が設置した盾まで前進、 石矢ではない、鏃つきの弓を構えた。 黒赤中隊が盾の内側に逃げ込み、同じく弓を構える。 前線ではすでに、黒青中隊が投石で敵を迎え撃っていた。 。。。じゃあ続きは明日でww 665 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/29(火) 03:14:41.54 ID:PLyQkMko 誰もいないけど、とりあえず書くぜ。 ~昨日までのあらすじ~ 電車で寝てたら池田大作が治める唯一の国に行ってた。 池田大作は、池田大作戦を発動していた。池田大作先生だけに。 実質的な戦術指揮官として、大隊の副官に任ぜられた俺。 大隊長である無敵の千人長とともに、独立作戦を遂行する。 667 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/29(火) 03:23:48.45 ID:PLyQkMko あ、いた。 >>663-664ごめんよ。 で、>>639の続きからだ。 図らずしも、黒赤中隊の後退は絶好の状況を作った。 投石をしながら秋谷の中隊の進撃から逃げていた黒青中隊が 最初に設置しておいた盾の後ろに逃げ込んだ時、 黒色3中隊が坂の上から秋谷兵を打ちおろせる形になったのだ。 密集して突撃してくる秋谷兵は、自然と長蛇の陣形になっている。 対して、こちらは盾に合わせて黒赤、黒黄中隊が鶴翼の形をとり、 さらに黒青中隊は鶴翼の外に横陣をとって、 盾と弓にさらされた秋谷兵の長蛇を、さらに横から射撃する。 俺は黒青中隊の動きを指示すると、護衛をつけて秋谷の街の方に走る。 こちらの士気は十分、ここでの戦闘はもう決しただろう。 今は、秋谷の次の動きを見ておくときだ。 669 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/29(火) 03:38:46.20 ID:PLyQkMko 秋谷の町では、城壁の工事が中断されて多数の兵が警備をしている。 工事を中断させただけでも、今回の作戦に成功はあったということだ。 次は秋谷軍の兵力を削いでいれば、こちらの総軍が到着するだろう。 日が沈みはじめるのを見て、千人長の待つ本部に帰った。 すでに晩餐が始まっており、活躍した黒色中隊を中心に、 戦勝を祝う声や、黒青中隊の戦死者に捧げる歌、 治療や補給の指示が飛び交っている。 自分が来るまで戦争をまったく知らず、 圧倒的に少数な秋谷軍にいいように蹂躙されていたのが嘘のようだ。 こちらの犠牲は、黒青中隊の中で秋谷兵に追いつかれた者が11人。 対して、戦果は秋谷兵約90人の殺害に、その装備の鹵獲。完勝だ。 俺は自分の仕事に満足して、食事をとった。 670 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/29(火) 04:05:33.83 ID:PLyQkMko 完全に日が沈むのを待って、次の行動をはじめる。 直属の1小隊と志願した15小隊の中から5小隊、 6小隊60人を連れて、秋谷の町へ向かう。夜襲をかけるためだ。 しばらく進んだところで松明の火を消し、 かすかに見える秋谷側の灯りと昼の記憶を頼りに進む。 やがて、秋谷の町がはっきりと視認できる地点までたどり着いた。 秋谷の町はまだ灯りが多く、班単位で兵士が頻繁に出入りしている。 迎撃に出て半数を失って敗走した、昼の中隊の生存者を探しているのだろうか。 昼間にこちらが陣を布いていた高台まで、松明の灯りが行き来している。 隊に灯りを消したまま、待機を指示する。 671 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/29(火) 04:17:38.37 ID:PLyQkMko 俺の感覚で2時間後に、機会はあった。 秋谷兵の松明の往復が止まり、町の灯りも消えはじめたのだ。 灯りが減ってから、自分の松明に火をつけ、上に掲げる。 志願兵の5中隊が、森の中で静かに立ち上がった。 それを見て俺は、松明を頭上で2、3回まわし、次の指示を送る。 全員が手探りで弓を構え、この夜襲のために用意した矢をつがえた。 そして俺は持っていた松明で、近くにいた兵士の矢に火をつける。 これを合図に、俺の直属の護衛である1小隊が、全員の矢に火をつけてまわる。 攻城戦の経験がない秋谷にとって、火矢は新兵器、未知の武器のはずだ。 672 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/01/29(火) 04:25:14.44 ID:PLyQkMko 夜襲は、最後まで静かに行われた。 まず火矢による一斉射撃の第一射。 ついで、横に移動して同じ手順を繰り返し、第二射を浴びせる。 そして斜め後ろに移動し、燃え出した秋谷の町に第三射。 後はすべての火を消し、来た道を静かに、しかし全速で逃げ帰る。 本部に戻ると、本部防衛の紫2中隊に、 黒青中隊の戦死者に代わって緑青中隊から補充した1小隊を加え、 アクティブな警戒を指示して、俺は眠りについた。 765 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/02/01(金) 00:40:17.82 ID:MZ31Cloo で、夢の続きを書きたいと思うんですが、実はもう続きはないんです。 769 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/02/01(金) 00:57:10.12 ID:MZ31Cloo いや、というのも、負けたんだ。 夢の中で目を覚ました俺は、次の作戦を立てる。 偵察班の報告によると、火矢による火事はボヤで済んだものの、 秋谷軍は外側の木でできた城壁を捨てて、内側の土壁に引いたらしい。 見張りの数も増え、城壁の弱体化と秋谷兵の疲弊は成ったと言えるだろう。 これだけでも千人長の独立作戦は成功したわけだが、 こちらの戦力はまだ十分、池田総軍もまだ前線には来ていない。 俺は定期的に火矢で攻撃しながら食料の支援を呼びかけ、 秋谷に停戦を持ちかける作戦を提案し、その準備を進めた。 770 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/02/01(金) 01:49:52.22 ID:MZ31Cloo 黒青中隊、緑赤中隊が前線で火矢を打ち、停戦を勧告する。 それを黒赤中隊、黒黄中隊が矢と投石で援護し、日が沈む前に逃げ帰る。 土壁に沿った方形の陣で対応する秋谷兵に対して、 こちらは前線の隊を2分して、方形の角にあたる部分に射線を集中する。 夜はまた、別の仕事があった。班規模に分けた偵察小隊が、 壊れた城壁に接近して、勧誘ができそうな兵を探す。 勧誘する兵は食料を持って、それを敵兵の前でちらつかせる。 この時は、1:1が理想的だ。それができないなら、諦めた方がいい。 一度声をかけた敵兵は、できるだけ確実にこちらに引き入れる必要がある。 857 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/02/04(月) 02:16:06.94 ID:ZbP5Xtgo あーだめだ。夢の続きが思い出せねぇ。 859 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/02/04(月) 08:52:06.93 ID:ZbP5Xtgo いや、電車で寝てから病院でおきるまでの夢がww 864 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/02/04(月) 13:56:17.83 ID:ZbP5Xtgo まあいいや、夢から覚めたら、そこは病室でした。 医師がきて、 「あ、ニケちゃん目が覚めた?よかったよかった。」 なんて言ってる。 866 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/02/04(月) 14:31:30.18 ID:ZbP5Xtgo 「今日何日?」 「25」 「うわ最悪。帰る。」 「少なくとも、月曜の昼までは退院できないよ。」 「ふざけるな。帰る。」 「だーめ。死んでもいいの?」 「お前が代わりに[ピーーー]よ藪。」 869 名前:ニケ ◆RBG4ZdwTP.[] 投稿日:2008/02/04(月) 15:55:48.94 ID:ZbP5Xtgo 気が動転してた。反省してる。

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