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**闇サトシが中学生を虐待して爆笑するSS ◆LXe12sNRSs (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[闇サトシ]] [[変態&鬼畜]] [[病魔カワイソス]] [[第四十九話⇔第五十話]] [[第五十話⇔第五十一話]] ----  東の空に、眩い白の情景が差し掛かってきている。そろそろ太陽が顔を出す時刻のようだ。  この殺し合いに連れてこられたのが、深夜零時のこと。  黒の帳は朝焼けに散らされ、確かな時間の経過を示していた。 「ってことは……もうかれこれ、二時間以上も追い回されてるのかよ……」  膝に手をつき、越前リョーマは息を切らしながらそう愚痴る。  変態――古泉一樹の意――に絞殺されそうになり、逃れ逃れてここまで辿り着いた。  あるときは茂みに隠れ、あるときは身を伏せ、見つかれば全力で遁走した。  中学生とはいえ、リョーマは全国区のテニスプレイヤーだ。体力と脚力には自身がある。  スポーツマンでもない古泉を撒くことなど簡単……かに思えたが、意外にも古泉は、軽快な速度でリョーマを追走していた。  表の顔は微笑を絶やさぬ知的な男子、裏の顔は神人と相対する超能力者、そのまた裏の顔はガチホモ。  三種の顔を持つ古泉は、もはや単なる高校生男子ではない。愛に飢える狼なのである。  愛しの彼を思う気持ちがあれば、中学テニスの全国区に追いつくなど雑作もないことだった。  だが、それももう終わりだ。  見渡す限りの草原地帯。後方に古泉の姿はない。  実に長い鬼ごっこだったが、ようやく終焉を迎えたようだ。  リョーマは腰を休め、乱れた呼吸を整然なものに戻そうとする。  しばらくは休憩……といきたかったが、忘れてはならない。  これは、気を休める暇もない殺し合い――スポーツのように、インターバルは存在しない……もちろん、負傷による退場も。 「あれ……は」  ふと、前方に『転がっている』人影に目を奪われてしまった。  人影が、転がっている……つまり、倒れていた。ピクリとも動かず、リョーマの視線に反応すらせずに。  さらに近づいてみるが、反応はない。三メートル、二メートル、一メートル……ゼロ距離まで近づいても、やはり反応はなかった。  それもそのはず。リョーマの眼下に倒れている女性――如月千早は、既に死んでいたのだから。 「うそ、だろ……」  女の子になって愛しの彼と添い遂げる――などという妄言を聞かされたせいで錯覚してしまったが、この死体を直視したことで、リョーマの意識は現実に引き戻される。  上着を破かれ、首に青白い痣を作り、口から泡を吹いている、死体の彼女。  そうだ、これは、人が人を殺す殺し合い。あんな不純かつ狂った目的で動く変態など、一握りの数しかいないのだ。  自分もいつかはこうなる。こうなってしまう。もしくは、こうする側に回る……。  つい最近まで学校に通い、放課後にはテニスコートに立っていた自分が、だ。改めて、ここが非現実的な舞台なのだと思い知る。  ……思い知ったところで、どうにもできない。リョーマはほんのちょっとテニスが上手いだけの中学生。  死に対する覚悟など、持ち合わせてはいない。即興で用意することもできはしない。  できることがあるとすればただ一つ。状況に、流されるだけだった。 「――ッチィッ!」  気づけば、リョーマは無意識の内に走り出していた。あの死体から目を背けるため。  だがすぐに――尾で立ついたちのような生物に進行を邪魔され、足を止めた。  あくまでもいたち『のようなもの』であって、こんな生物は見たことがない。  希少動物だと解釈してもあり得ない。尾を支えに直立しているという点もそうだが、動物の拳に――火花が迸るはずがない。  微力な電気を伴った拳は、動物の威勢のいい鳴き声とともにリョーマへ飛んでくる。  動揺しつつも、リョーマはそれを得意のスプリットステップで回避。謎動物への警戒心を強める。  尾で立ち電気を放ちさらに人間に向かってパンチで襲いかかってくる動物。謎すぎる。  生体が謎だらけだったが、今のリョーマにそんな細かいことを考える余裕はない。  問題はただ一点。この動物が、敵か否かということのみ。  まさか、こんな動物が参加者の一人などということはないだろう。ならば、野生か。  知らずして縄張りに侵入してしまい、それを怒っていたりするのだろうか。  想定外の生命体に対する問題提起は、まったく意味を成さない。  結論が出るはずもなく、リョーマは次なる『異常事態』に流されることとなる。 『――――真っ赤な誓いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい』  突如として、遠方から男性のものらしき歌い声が響いてきた。  拡声器かなにかを使っているのだろう。その歌声はやや機械的で、脳が揺れるほどのシャウトだった。  尾立電気拳鼬(仮称)もその歌声は予想外のものだったのか、動物らしい挙動でビクついている。  近くに、やたらと声が大きくて歌が上手い男の人がいる。変態ではなく!――そう確信したリョーマは、叫び声の発信源を掴むため駆けようとするが―― 「うるせぇ! 俺様がいい気持ちで眠ってたってぇのに……このやかましいのはいったい誰だ!?」  ――動物の後方から、その主人らしき少年が姿を現した。  見るに、背丈はリョーマと同等。帽子を被り、首からはオカルトチックなペンダントを掲げている。  リョーマと同じ首輪をつけていることから、今度こそ参加者の一人とみて間違いないだろう。  しかしこの少年、顔つきが見た目の歳とは不相応すぎるほどに邪悪だ。  まるで悪霊にでも取り付かれたような禍々しさ……リョーマの背筋に、得体の知れぬ怖気が走った。 「ん? なんだテメェは!? ……ははーん。さては、この俺様の寝込みを襲うとしてやがったな?  おもしれぇ。こっちは眠りを邪魔されてイライラしてたんだ……ウサ晴らしにブチ殺させてもらうぜぇ!」  イカれてる――リョーマは、直感でそう思った。  親の愛情を受けなかったのか、生まれつき精神に異常があるのか、それともドラッグに手を染めたのか……現実的に考えて、あの歳の少年があそこまで狂気的な様相を構えるのはおかしい。  一目で危険と感じたリョーマは、踵を返して走り去ろうとするが―― 「見つけましたよ病魔君」  後門に、ガチホモ襲来。退路は断たれた。 「あぁん!? なんだテメェは?」 「おや、どうやら先客がいたようですね」  謎の動物を従える邪悪な少年と、変態的行動理念で動く古泉。リョーマは、この二人の参加者に挟まれる形になる。  前門の虎、後門の狼とはまさにこのことだ。危険人物二人にマークされ、リョーマの状況はいまや絶体絶命といえた。 「はっ、ますますおもしれぇぜ! 獲物がのこのこと、二人まとめて寄ってきやがったんだからなぁ!」 「獲物……なるほど。そこに転がっていた女性は、あなたの仕業ですか。どうやら、病魔君は敵対者を二人も作ってしまったようですね」  リョーマを挟みながら、少年は大胆に、古泉は穏やかに笑う。  その最中も、リョーマは最善の行動を模索しながら脱出のタイミングを窺っていた。  幸いにも、ここは草原地帯のど真ん中だ。障害物は存在しない。全力で走り抜けば、どうにか助かるかもしれない。  武器もない現状、二人一片に襲われてはひとたまりもないだろう。抗戦の選択肢はない。逃走しか選べない。  リョーマは決断し、逃走を図るが―― 「! ヲタチ、でんこうせっか!」  少年の指示により、ヲタチと呼ばれたあのいたちもどきが、リョーマに体当たりを食らわせた。  どんな相手からも必ず先制攻撃を取るヲタチのわざは、リョーマの鳩尾に命中し、彼に膝をつかせた。  胃液が逆流する。激痛が全身を揺さぶり、逃げろという命令に拒否信号を送る。  この攻撃により、リョーマの退路は今度こそ断たれた。 「だらしねぇ。たった一撃でオネンネとはな。おら、もっと頑張ってみろよ!」  咳き込みながら蹲るリョーマに対し、少年は手に装着したロールバスターを放つ。  高密度の弾丸は、身動きの出来ぬリョーマに容易く命中し、「うぇぐぇ」という奇怪な喘ぎを発させた。 「なんだぁ!? もう避ける気力もねぇってか!」  一発、さらに一発と、ロールバスターから放たれる光弾は着実にリョーマを死に追いやっていく。  放てば必ず当たる、面白みのない射的ゲーム。しかし、少年にとってはリョーマの悲痛な嗚咽こそが思考の悦び。  サディスト全開で攻め入る少年を前に、リョーマは成すすべがなく、やがて―― 「そのへんにしてはどうですか?」  ――ご満悦の少年と蹲るリョーマの間に、やや険しい顔を作った古泉が立ち入る。  腰には支給された刀を下げ、いつでも抜けるよう準備もしていた。 「失礼。僕の名前は古泉一樹。あなたのお名前は?」 「うるせぇ、ブチ殺すぞ……!」  まるで、リョーマを守る従者のように。古泉は少年の邪気に対し、まったく臆することなく立ち向かった。  散々リョーマを追いつめていた彼が、なぜ……その含みのある爽やかスマイルからは、なにも掴み取れない。 「おやおや、これは怖い。どうやら質問をするまでもなく、あなたは殺し合いに乗った参加者のようですね」 「だったらどうする? そのヤローを庇って、テメェが代わりに殺されるか? この俺様によぉ」 「いえ、それは御免被ります。なぜなら、僕もまた、あなたと同じ『殺し合いに賛同する』参加者ですから」  古泉がそう返した瞬間、少年の眉根が僅かに釣りあがった。  この少年――いや、マサラタウンのサトシ『だった』少年は、ただの快楽殺人者というわけではない。  獲物は選ぶ。殺しに我を忘れたりはしない。時には謀略を廻らせることもある……そう、古泉と同じようなタイプとさえ言えた。 「僕の目的は、この殺し合いに勝利し、主催者に望みを叶えてもらうことです。そのためならば、殺人も厭わない。  ただし、それは相手が殺す意志のない弱者の場合のみです。相手がこちらに危害を加えるようであれば、このように一考します。  殺し合いに乗った参加者――つまり、君のような殺る気マンマンの人間たちが、互いに潰し合うのは非常にナンセンスです。  戦闘となれば必ずどちらかは負傷し、勝ち残る上で不利がつきまとう。  人を傷つけるのはよくても、傷つけられるのは御免。そうじゃないですか?」 「……なにが言いてぇ?」 「同盟を組みましょう、という話です。ただでさえ、このゲームは始まったばかり。  殺る気のある者同士で早々に潰し合うのは、効率が悪い。  そこで、ある程度人数が減るまで僕と君は協力し合い、生存の確率を上げる。  中には徒党を組み、我々のようなゲーム賛同者を根絶やしにしようと考える者もいることでしょう。  そういった連中と相対したとき、一人ではさすがに分が悪い。これは、明確な勝利を想定した上での作戦ですよ」  つまり――同じ人殺し同士、仲間になろう、と。  古泉の論述はもっともな内容だった。そしてサトシには、それを理解する頭もある。  他参加者の戦力、支給された武器の全容……未だ不明確で、危険視するべき要素は、確かに多い。 「……気にいらねぇな。だいたい、俺様がテメェに手傷を負わされるとでも思ってんのか?」 「実を言うと、僕は剣士でしてね。ついでに言うと超能力者でもあります。  これは僕愛用の刀、その名もサカバブレード。歴史に名を残す名刀です。 『ヒテンミツルギスタイルの古泉一樹』といえば、割りと知れ渡っていると思うのですが」  もちろん、嘘だ。  古泉はリョーマに告げた内容とはまるで逆のプロフィールを話し、この場を切り抜けようとした。  相手が殺す気でいる以上、こちらに被害が及ぶのは必至。だからこそ、冷静に対処しようと判断したのだった。 「……マジか?」 「えらくマジです」  凄みを利かせた顔で、サトシはボロが出るのを待つが……ポーカーフェイスを信条とする古泉には、それも通じない。  名の立つ剣士という言葉をブラフだと思えば、即刻斬り捨てる。  ただし本当にブラフだとしたら、古泉はヲタチやロールバスターの餌食。  ブラフだとしても、帯刀している相手に自分が絶対的有利だと思いこむのは危険。  そして、この先の方針――  サトシは数秒思案した上で、徐々に頬を緩めていった。 「フフ……フハハハハハハハハハハハ!  おもしれぇ! ハッタリだとしても、この俺様にそれだけの口が叩けるなら上出来だ!  いいぜ、一時的にだが、テメェと同盟とやらを結んでやる……ただし!」  古泉の言葉を受け入れ、ロールバスターの照準を明後日の方向に構えなおすサトシ。  その先には――未だに蹲ったままの、リョーマがいた。 「こいつは、俺がもらうぜ」 「どうぞご自由に。キョン君以外の男の子に興味はありませんので」  ◇ ◇ ◇  ――そして、リョーマはサトシに散々甚振られた挙句、惨たらしい表情を残し死んでいった。  死体はご丁寧にも、サトシが手にかけた一体目――如月千早の上に積み重ね、捨てられていく。 (ご冥福をお祈りします、病魔君。ですが、これも僕とキョン君の恋路を邪魔した報いです。  ペニスプレイヤーなどという卑猥な少年に、この古泉一樹の崇高かつ清純な夢を変態呼ばわりされるとは!  たしかに、今の僕は男。女性には敵いません。近づいても気色悪いの一言で一蹴され、甘えることも膝枕をすることもできない。  思えば、既に限界ギリギリだったんですよ。進展しないキョンくんとの仲。僕の自制心は崩壊寸前でした。  ふっ……困ったものです。ですが、その悩みももうすぐ解消される。これに勝てば、ね。  キョン君。あなたがポニーテール萌えだとしたら、お察しのとおり、僕は キ ョ ン 君 萌 え なんです。  今までは胸に秘めるだけでしたが……こ、この、ここここここここのころころころしあいに勝てば!  合法的にキョン君とニャンニャンなことになったり果てにはきょ、キョンキョンな展開に……アッ――!)  サトシがリョーマを甚振る傍らで、古泉は人知れず鼻血を出していた。 【D-4 草原/一日目・早朝】 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:鼻血噴出中 [装備]:逆刃刀@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 1.キョン君(´Д`;)ハァハァ 2.サトシと一時的に協力。利用価値がなくなりしだい始末する。 3.愛しの彼(キョン)を探す 4.優勝して「合法的に愛しの彼とニャンニャンできる世界」を願う 【サトシ@ポケットモンスター】 [状態]:闇サトシ [装備]:千年リング@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ、暗視ゴーグル@現実、ロールバスター@ロックマンシリーズ [道具]:ヲタチ(残りHP50%)@ポケットモンスター、支給品一式*3(水一本消費)、アイテム2号のチップ@ロックマン2、携帯電話@現実、不明支給品 [思考・状況] 1.古泉と一時的に協力。隙あらば始末する。 2.手当たり次第にぶち殺してやるぜ ※古泉、サトシ共にC-3からの歌声とギター音を聞きました。  それに対する対策、この先の方針ははまだ未定です。 &color(red){【越前リョーマ@ミュージカル・テニスの王子様 死亡】} &color(red){【残り 62人】} |sm48:[[天地魔闘してすぐめい☆おー ~狂気の高町教導官~]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm52:[[蟲以下のにおいがプンプンするぜ]]| |sm49:[[俺のターンはまだ終了してないっぜ!]]|[[投下順>00~50]]|sm51:[[ピタゴラ……]]| |sm28:[[ガチホモレスリング ~下半身に罪は無いッ!~]]|古泉一樹|sm79:[[ミナミヘミナミヘ]]| |sm30:[[ナイトメア]]|サトシ|sm79:[[ミナミヘミナミヘ]]| |sm28:[[ガチホモレスリング ~下半身に罪は無いッ!~]]|&color(red){越前リョーマ}|&color(red){死亡}| ----
**闇サトシが中学生を虐待して爆笑するSS ◆LXe12sNRSs (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[闇サトシ]] [[変態&鬼畜]] [[病魔カワイソス]] [[第四十九話⇔第五十話]] [[第五十話⇔第五十一話]] ----  東の空に、眩い白の情景が差し掛かってきている。そろそろ太陽が顔を出す時刻のようだ。  この殺し合いに連れてこられたのが、深夜零時のこと。  黒の帳は朝焼けに散らされ、確かな時間の経過を示していた。 「ってことは……もうかれこれ、二時間以上も追い回されてるのかよ……」  膝に手をつき、越前リョーマは息を切らしながらそう愚痴る。  変態――古泉一樹の意――に絞殺されそうになり、逃れ逃れてここまで辿り着いた。  あるときは茂みに隠れ、あるときは身を伏せ、見つかれば全力で遁走した。  中学生とはいえ、リョーマは全国区のテニスプレイヤーだ。体力と脚力には自身がある。  スポーツマンでもない古泉を撒くことなど簡単……かに思えたが、意外にも古泉は、軽快な速度でリョーマを追走していた。  表の顔は微笑を絶やさぬ知的な男子、裏の顔は神人と相対する超能力者、そのまた裏の顔はガチホモ。  三種の顔を持つ古泉は、もはや単なる高校生男子ではない。愛に飢える狼なのである。  愛しの彼を思う気持ちがあれば、中学テニスの全国区に追いつくなど雑作もないことだった。  だが、それももう終わりだ。  見渡す限りの草原地帯。後方に古泉の姿はない。  実に長い鬼ごっこだったが、ようやく終焉を迎えたようだ。  リョーマは腰を休め、乱れた呼吸を整然なものに戻そうとする。  しばらくは休憩……といきたかったが、忘れてはならない。  これは、気を休める暇もない殺し合い――スポーツのように、インターバルは存在しない……もちろん、負傷による退場も。 「あれ……は」  ふと、前方に『転がっている』人影に目を奪われてしまった。  人影が、転がっている……つまり、倒れていた。ピクリとも動かず、リョーマの視線に反応すらせずに。  さらに近づいてみるが、反応はない。三メートル、二メートル、一メートル……ゼロ距離まで近づいても、やはり反応はなかった。  それもそのはず。リョーマの眼下に倒れている女性――如月千早は、既に死んでいたのだから。 「うそ、だろ……」  女の子になって愛しの彼と添い遂げる――などという妄言を聞かされたせいで錯覚してしまったが、この死体を直視したことで、リョーマの意識は現実に引き戻される。  上着を破かれ、首に青白い痣を作り、口から泡を吹いている、死体の彼女。  そうだ、これは、人が人を殺す殺し合い。あんな不純かつ狂った目的で動く変態など、一握りの数しかいないのだ。  自分もいつかはこうなる。こうなってしまう。もしくは、こうする側に回る……。  つい最近まで学校に通い、放課後にはテニスコートに立っていた自分が、だ。改めて、ここが非現実的な舞台なのだと思い知る。  ……思い知ったところで、どうにもできない。リョーマはほんのちょっとテニスが上手いだけの中学生。  死に対する覚悟など、持ち合わせてはいない。即興で用意することもできはしない。  できることがあるとすればただ一つ。状況に、流されるだけだった。 「――ッチィッ!」  気づけば、リョーマは無意識の内に走り出していた。あの死体から目を背けるため。  だがすぐに――尾で立ついたちのような生物に進行を邪魔され、足を止めた。  あくまでもいたち『のようなもの』であって、こんな生物は見たことがない。  希少動物だと解釈してもあり得ない。尾を支えに直立しているという点もそうだが、動物の拳に――火花が迸るはずがない。  微力な電気を伴った拳は、動物の威勢のいい鳴き声とともにリョーマへ飛んでくる。  動揺しつつも、リョーマはそれを得意のスプリットステップで回避。謎動物への警戒心を強める。  尾で立ち電気を放ちさらに人間に向かってパンチで襲いかかってくる動物。謎すぎる。  生体が謎だらけだったが、今のリョーマにそんな細かいことを考える余裕はない。  問題はただ一点。この動物が、敵か否かということのみ。  まさか、こんな動物が参加者の一人などということはないだろう。ならば、野生か。  知らずして縄張りに侵入してしまい、それを怒っていたりするのだろうか。  想定外の生命体に対する問題提起は、まったく意味を成さない。  結論が出るはずもなく、リョーマは次なる『異常事態』に流されることとなる。 『――――真っ赤な誓いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい』  突如として、遠方から男性のものらしき歌い声が響いてきた。  拡声器かなにかを使っているのだろう。その歌声はやや機械的で、脳が揺れるほどのシャウトだった。  尾立電気拳鼬(仮称)もその歌声は予想外のものだったのか、動物らしい挙動でビクついている。  近くに、やたらと声が大きくて歌が上手い男の人がいる。変態ではなく!――そう確信したリョーマは、叫び声の発信源を掴むため駆けようとするが―― 「うるせぇ! 俺様がいい気持ちで眠ってたってぇのに……このやかましいのはいったい誰だ!?」  ――動物の後方から、その主人らしき少年が姿を現した。  見るに、背丈はリョーマと同等。帽子を被り、首からはオカルトチックなペンダントを掲げている。  リョーマと同じ首輪をつけていることから、今度こそ参加者の一人とみて間違いないだろう。  しかしこの少年、顔つきが見た目の歳とは不相応すぎるほどに邪悪だ。  まるで悪霊にでも取り付かれたような禍々しさ……リョーマの背筋に、得体の知れぬ怖気が走った。 「ん? なんだテメェは!? ……ははーん。さては、この俺様の寝込みを襲うとしてやがったな?  おもしれぇ。こっちは眠りを邪魔されてイライラしてたんだ……ウサ晴らしにブチ殺させてもらうぜぇ!」  イカれてる――リョーマは、直感でそう思った。  親の愛情を受けなかったのか、生まれつき精神に異常があるのか、それともドラッグに手を染めたのか……現実的に考えて、あの歳の少年があそこまで狂気的な様相を構えるのはおかしい。  一目で危険と感じたリョーマは、踵を返して走り去ろうとするが―― 「見つけましたよ病魔君」  後門に、ガチホモ襲来。退路は断たれた。 「あぁん!? なんだテメェは?」 「おや、どうやら先客がいたようですね」  謎の動物を従える邪悪な少年と、変態的行動理念で動く古泉。リョーマは、この二人の参加者に挟まれる形になる。  前門の虎、後門の狼とはまさにこのことだ。危険人物二人にマークされ、リョーマの状況はいまや絶体絶命といえた。 「はっ、ますますおもしれぇぜ! 獲物がのこのこと、二人まとめて寄ってきやがったんだからなぁ!」 「獲物……なるほど。そこに転がっていた女性は、あなたの仕業ですか。どうやら、病魔君は敵対者を二人も作ってしまったようですね」  リョーマを挟みながら、少年は大胆に、古泉は穏やかに笑う。  その最中も、リョーマは最善の行動を模索しながら脱出のタイミングを窺っていた。  幸いにも、ここは草原地帯のど真ん中だ。障害物は存在しない。全力で走り抜けば、どうにか助かるかもしれない。  武器もない現状、二人一片に襲われてはひとたまりもないだろう。抗戦の選択肢はない。逃走しか選べない。  リョーマは決断し、逃走を図るが―― 「! ヲタチ、でんこうせっか!」  少年の指示により、ヲタチと呼ばれたあのいたちもどきが、リョーマに体当たりを食らわせた。  どんな相手からも必ず先制攻撃を取るヲタチのわざは、リョーマの鳩尾に命中し、彼に膝をつかせた。  胃液が逆流する。激痛が全身を揺さぶり、逃げろという命令に拒否信号を送る。  この攻撃により、リョーマの退路は今度こそ断たれた。 「だらしねぇ。たった一撃でオネンネとはな。おら、もっと頑張ってみろよ!」  咳き込みながら蹲るリョーマに対し、少年は手に装着したロールバスターを放つ。  高密度の弾丸は、身動きの出来ぬリョーマに容易く命中し、「うぇぐぇ」という奇怪な喘ぎを発させた。 「なんだぁ!? もう避ける気力もねぇってか!」  一発、さらに一発と、ロールバスターから放たれる光弾は着実にリョーマを死に追いやっていく。  放てば必ず当たる、面白みのない射的ゲーム。しかし、少年にとってはリョーマの悲痛な嗚咽こそが思考の悦び。  サディスト全開で攻め入る少年を前に、リョーマは成すすべがなく、やがて―― 「そのへんにしてはどうですか?」  ――ご満悦の少年と蹲るリョーマの間に、やや険しい顔を作った古泉が立ち入る。  腰には支給された刀を下げ、いつでも抜けるよう準備もしていた。 「失礼。僕の名前は古泉一樹。あなたのお名前は?」 「うるせぇ、ブチ殺すぞ……!」  まるで、リョーマを守る従者のように。古泉は少年の邪気に対し、まったく臆することなく立ち向かった。  散々リョーマを追いつめていた彼が、なぜ……その含みのある爽やかスマイルからは、なにも掴み取れない。 「おやおや、これは怖い。どうやら質問をするまでもなく、あなたは殺し合いに乗った参加者のようですね」 「だったらどうする? そのヤローを庇って、テメェが代わりに殺されるか? この俺様によぉ」 「いえ、それは御免被ります。なぜなら、僕もまた、あなたと同じ『殺し合いに賛同する』参加者ですから」  古泉がそう返した瞬間、少年の眉根が僅かに釣りあがった。  この少年――いや、マサラタウンのサトシ『だった』少年は、ただの快楽殺人者というわけではない。  獲物は選ぶ。殺しに我を忘れたりはしない。時には謀略を廻らせることもある……そう、古泉と同じようなタイプとさえ言えた。 「僕の目的は、この殺し合いに勝利し、主催者に望みを叶えてもらうことです。そのためならば、殺人も厭わない。  ただし、それは相手が殺す意志のない弱者の場合のみです。相手がこちらに危害を加えるようであれば、このように一考します。  殺し合いに乗った参加者――つまり、君のような殺る気マンマンの人間たちが、互いに潰し合うのは非常にナンセンスです。  戦闘となれば必ずどちらかは負傷し、勝ち残る上で不利がつきまとう。  人を傷つけるのはよくても、傷つけられるのは御免。そうじゃないですか?」 「……なにが言いてぇ?」 「同盟を組みましょう、という話です。ただでさえ、このゲームは始まったばかり。  殺る気のある者同士で早々に潰し合うのは、効率が悪い。  そこで、ある程度人数が減るまで僕と君は協力し合い、生存の確率を上げる。  中には徒党を組み、我々のようなゲーム賛同者を根絶やしにしようと考える者もいることでしょう。  そういった連中と相対したとき、一人ではさすがに分が悪い。これは、明確な勝利を想定した上での作戦ですよ」  つまり――同じ人殺し同士、仲間になろう、と。  古泉の論述はもっともな内容だった。そしてサトシには、それを理解する頭もある。  他参加者の戦力、支給された武器の全容……未だ不明確で、危険視するべき要素は、確かに多い。 「……気にいらねぇな。だいたい、俺様がテメェに手傷を負わされるとでも思ってんのか?」 「実を言うと、僕は剣士でしてね。ついでに言うと超能力者でもあります。  これは僕愛用の刀、その名もサカバブレード。歴史に名を残す名刀です。 『ヒテンミツルギスタイルの古泉一樹』といえば、割りと知れ渡っていると思うのですが」  もちろん、嘘だ。  古泉はリョーマに告げた内容とはまるで逆のプロフィールを話し、この場を切り抜けようとした。  相手が殺す気でいる以上、こちらに被害が及ぶのは必至。だからこそ、冷静に対処しようと判断したのだった。 「……マジか?」 「えらくマジです」  凄みを利かせた顔で、サトシはボロが出るのを待つが……ポーカーフェイスを信条とする古泉には、それも通じない。  名の立つ剣士という言葉をブラフだと思えば、即刻斬り捨てる。  ただし本当にブラフだとしたら、古泉はヲタチやロールバスターの餌食。  ブラフだとしても、帯刀している相手に自分が絶対的有利だと思いこむのは危険。  そして、この先の方針――  サトシは数秒思案した上で、徐々に頬を緩めていった。 「フフ……フハハハハハハハハハハハ!  おもしれぇ! ハッタリだとしても、この俺様にそれだけの口が叩けるなら上出来だ!  いいぜ、一時的にだが、テメェと同盟とやらを結んでやる……ただし!」  古泉の言葉を受け入れ、ロールバスターの照準を明後日の方向に構えなおすサトシ。  その先には――未だに蹲ったままの、リョーマがいた。 「こいつは、俺がもらうぜ」 「どうぞご自由に。キョン君以外の男の子に興味はありませんので」  ◇ ◇ ◇  ――そして、リョーマはサトシに散々甚振られた挙句、惨たらしい表情を残し死んでいった。 &color(red){【越前リョーマ@ミュージカル・テニスの王子様 死亡】} &color(red){【残り 62人】}  死体はご丁寧にも、サトシが手にかけた一体目――如月千早の上に積み重ね、捨てられていく。 (ご冥福をお祈りします、病魔君。ですが、これも僕とキョン君の恋路を邪魔した報いです。  ペニスプレイヤーなどという卑猥な少年に、この古泉一樹の崇高かつ清純な夢を変態呼ばわりされるとは!  たしかに、今の僕は男。女性には敵いません。近づいても気色悪いの一言で一蹴され、甘えることも膝枕をすることもできない。  思えば、既に限界ギリギリだったんですよ。進展しないキョンくんとの仲。僕の自制心は崩壊寸前でした。  ふっ……困ったものです。ですが、その悩みももうすぐ解消される。これに勝てば、ね。  キョン君。あなたがポニーテール萌えだとしたら、お察しのとおり、僕は キ ョ ン 君 萌 え なんです。  今までは胸に秘めるだけでしたが……こ、この、ここここここここのころころころしあいに勝てば!  合法的にキョン君とニャンニャンなことになったり果てにはきょ、キョンキョンな展開に……アッ――!)  サトシがリョーマを甚振る傍らで、古泉は人知れず鼻血を出していた。 【D-4 草原/一日目・早朝】 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:鼻血噴出中 [装備]:逆刃刀@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 1.キョン君(´Д`;)ハァハァ 2.サトシと一時的に協力。利用価値がなくなりしだい始末する。 3.愛しの彼(キョン)を探す 4.優勝して「合法的に愛しの彼とニャンニャンできる世界」を願う 【サトシ@ポケットモンスター】 [状態]:闇サトシ [装備]:千年リング@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ、暗視ゴーグル@現実、ロールバスター@ロックマンシリーズ [道具]:ヲタチ(残りHP50%)@ポケットモンスター、支給品一式*3(水一本消費)、アイテム2号のチップ@ロックマン2、携帯電話@現実、不明支給品 [思考・状況] 1.古泉と一時的に協力。隙あらば始末する。 2.手当たり次第にぶち殺してやるぜ ※古泉、サトシ共にC-3からの歌声とギター音を聞きました。  それに対する対策、この先の方針ははまだ未定です。 &color(red){【越前リョーマ@ミュージカル・テニスの王子様 死亡】} &color(red){【残り 62人】} |sm48:[[天地魔闘してすぐめい☆おー ~狂気の高町教導官~]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm52:[[蟲以下のにおいがプンプンするぜ]]| |sm49:[[俺のターンはまだ終了してないっぜ!]]|[[投下順>00~50]]|sm51:[[ピタゴラ……]]| |sm28:[[ガチホモレスリング ~下半身に罪は無いッ!~]]|古泉一樹|sm79:[[ミナミヘミナミヘ]]| |sm30:[[ナイトメア]]|サトシ|sm79:[[ミナミヘミナミヘ]]| |sm28:[[ガチホモレスリング ~下半身に罪は無いッ!~]]|&color(red){越前リョーマ}|&color(red){死亡}| ----

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