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**最初の朝餉 ◆wC9C3Zbq2k
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空に浮かぶ異形の高笑いがゆっくりと姿を消してゆく。
放送中から様子がおかしかった谷口に魅音はなるべく刺激しないよう声をかける。
「キョンさん……だったっけ。さっきの人に、その、殺されたのは」
殺人。聞きなれているようで自分やその周りとは無縁でしかなかった言葉。
しかしここでは殺戮が本当に行われている。それも一晩でこれほどの死者が出るほどに。
放送では園崎詩音の名前も挙がっていた。妹もここに連れて来られたのかとため息をつく。
聞き間違いの可能性もあるので名簿を確かめるまでははっきりしないが、確かめたくない。
今すぐにでも逃げ出したかった。けれど逃げ場所などどこにもない。
この首輪の重みを、我が身が感じている限り。
「言われたから名簿を見てたんだよ。そしたらうっすらと文字が浮き出てきてよぉ。
……大量に居やがるんだよ。こんな絶望的な殺し合いの場所に。俺の……じゃねえな。
キョンの奴の知り合いがこれでもかってよ!」
谷口は声を荒らげた。彼を守れる術もなく逃げ出すしかなかった自分が惨めで。
そして、その妹や恋人までもがこんな殺し合いの地で彼の死を耳にしたことがあまりに哀れで。
誰かがこの悪夢から解き放たない限り、次に誰が死んでもおかしくないこの狂った世界に。
「そんなっ…!?」
さらなる犠牲者の増加を懸念しての谷口の嘆きに、魅音は我を取り戻した。
これは自身に置きかえてみても当てはまる話だ。魅音の仲間もまだこのどこかにいる。
親友のレナと同じく親友…の圭一。あとよくわかんないけど富竹のおじさん?
年端もいかない沙都子たちを巻き込まなかったことは不幸中の幸いだが状況は同じだ。
詩音以外はまだ生きている。早く助け出さないと、また誰かが命を落としかねない。
部の知恵を総結集すれば打開策だって見つかるかもしれない。それに賭けるしかない。
そのためにも合流は急がなければならない。魅音は谷口に名簿上の情報交換を急かした。
「まずうちのクラスにいたのが朝倉涼子と涼宮ハルヒ。このハルヒってのがすごい女でさ」
谷口は語りだす。気だるげな男が人騒がせな女に出会い、そして始まった賑やかな日々を。
ここまで他人の事を楽しげに話せるということは相当深い付き合いがあったということだろう。
だが、こちらも急いでいる。思い出話をはいはいと聞いている時間すら惜しむほどに。
「はい、じゃあこれだけだね。朝比奈さんって女の人は名簿にいないみたいだし」
幸い自分の名前のすぐ傍に同じ苗字の死亡者がいることを谷口は気付いていない。
まだ、言わずにいよう。傷の舐めあいに逃げてしまいそうで怖いから。
谷口の名簿を奪い取り、雛見沢の面子に印と簡単な外見的特徴を書き記す。
「あとはあの子だけど……言葉があんまり通じないんだよね。理解してるほうだとは思うけど」
振り返ると真剣なおももちの幼女がすぐ傍まで来ていた。例のパッチはまだ外していない。
彼女は魅音が持つ谷口用名簿に近寄り「しってる」と一点を指差す。
そう、『ワドルドゥ』の名前を。
「死んじゃってるけど……カーくんの知り合いだったんだね。ありがと、教えてくれて」
「ぷぅ。かーびぃ、かたき、うったあげたい」
次いでカービィはピカチュウとヨッシーの名に指を滑らせる。
「いやなやつらけど、たぶんみかか」
涙目になりそうなほど顔をしかめて告げる。あまりの愛らしさに魅音は悶絶しそうになった。
これで彼女たちの探す対象は合計すると10人近く。全員と会えれば大所帯だ。
「よぉーし! やる気でてきたっ! 明るくなってきたし早速探しに行こうか。
でもその前に……カーくん、よかったら荷物見せてくれないかな?」
谷口と魅音、どちらもくじ運が悪かったのか護身用になる物すら持っていない。
せめてカービィのディパックに身を守れるものがあればそれをみんなで使いたい。
そう魅音が提案すると幼女カービィは快諾し支給品を引っ張り出した。
出てきたのは、自動拳銃。それを幼女カービィは何の躊躇もなく口に入れようとする。
「ちょ、何やってるのよカーくん!」
こんな状況だからこそ目の前で自殺などされてはかなわない。
だが、当人は何故魅音が慌てたかよくわからないらしい。きょとんとした目をしている。
「たべると、こひれきるとももって」
「よくわかんないよ! ……ひょっとして、お腹が空いたの?」
「ぽよ。でももうない」
拳銃を半ば強引に奪い取りながら聞くカービィの言葉。もうない?
その疑問はカービィのディパックに手を伸ばしていた谷口の報告によって理解に至る。
「駄目だこいつ、食料全部食ってやがる。あのちっこい体でどんな胃袋してんだよ」
最低でも六食分くらいはあったはずの支給された食料を初日の早朝までに完食!?
ピンク色のぽよぽよした生き物に人並みの判断力はやはりなかったということらしい。
魅音は諦めにも似た心境で、それでもこの子は守ってみせると決意を新たにする。
「しょうがないなぁ。ほら、あたしのぶんあげるから一緒に食べよっか」
「おいおいそいつは甘すぎるんじゃあないのか園崎?」
「いいんです。武器を預かるお返しも兼ねて……ね」
「……ところで、その銃なんだが」
「どうかしましたか? 谷口先輩」
谷口は高校一年で魅音は中学二年ということで魅音は谷口を先輩として敬っている。
実際は魅音のほうが相当先に生まれているがそれを考慮するのは野暮というものだろう。
だが、これだけは譲れないという線のお願いを彼はここでしてきた。
「その銃は、俺に持たせてくれ」
「それは、できません」
「俺は年上でしかも男なんだから、きっとお前よりは銃を上手く扱えるはずだ」
「先輩は拳銃を扱ったことなんてないでしょう? 私はあります」
「んなわきゃねえだろ。くそっ、俺はそこまで信用されてねえのかよ」
「そうじゃなくて……」
確かに中学生の少女が射撃訓練を受けた経験があるのは異常ではあるのだろう。
だがそれは事実で、拳銃をろくに扱えない彼に持たせていてはこの先全員を危うくする。
ここはそういう場所だと阿部との遭遇とその後の放送で思い知らされたのだ。
たとえ嫌われ誤解されることになっても、ここで銃を渡してはいけない。
振り返るとカービィは未だ幼女姿のまま空になった弁当箱で遊んでいた。
その呑気さがちょっと羨ましくもあり、また心配の種でもあった。
日は昇り、平原はどこからでも発見される危険な場所に少しずつ姿を変えていく。
谷口は何度も拳銃の所在を気にするかのように魅音に視線を送っている。
そんな気まずい雰囲気のまま摂った食事は、悔しいけれど結構美味しかった。
「キョンには悪いが、祠に戻るよりみんなの仲間を探すほうを優先すべきだな」
食事を終え、殺人ショーの危険性を放送前以上に理解した谷口が魅音に告げる。
魅音もそれに賛成した。弔う暇さえ惜しいほど今の状況は切迫している。
「まずは橋を越えるとして、どっちに向かいます? やっぱり街かな?」
「冷静に考えろよ。俺たちの仲間は人殺しが徘徊する中、街に留まれるような奴らか?」
「うん、割と図太くトラップでも張ってのんびりしてる可能性もなくはないね」
「ぬぉっ! どんな奴なんだよ園崎の仲間ってのは!?」
なんだかんだで、できるだけ舗装されていない道を進み街を目指すことに決まった。
魅音は空に誓う。これも運命だというのなら、全力で抗って変えてみせると。
全員の命を救うことはきっと難しいけど、難しいからこそ必ずやり遂げてやると。
【B-2 橋近く 一日目/朝】
【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康
[装備]:SIG P210(残弾8)@MADLAX
[道具]:支給品一式、ipod@現実
[思考・状況]
1:部活の仲間と谷口・カービィの知り合いを探す
2:殺し合いを止める
3:詩音については知り合いを仲間にできたらそのときに話そう
※拳銃にはヤンマーニ効果があり、無敵BGM中は銃撃・弾幕をほぼ回避できます
でも説明書には銃としての機能しか書いていないのでまず気付くことはできません
【谷口@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:不機嫌
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、バーサーカーソウル@遊戯王デュエルモンスターズ
[思考・状況]
1.知り合いや魅音・カービィの仲間と合流して打開策を探す
2.身を護るための武器が必要と判断。最悪魅音から奪うことも視野に
【カービィ@星のカービィ】
[状態]:幼女化
[装備]:萌えもんパッチ@ポケモン言えるかなで擬人化してみた
[道具]:支給品一式(食料以外)
[思考・状況]
1.元の姿に戻りたいけど、どうすれば戻れるんだっけ
2.魅音お姉さんの人探しを手伝う。スマブラ経由の知り合いには会いたくない
3.マルクを倒して殺し合いを止める
※擬人化中はちょっと日本語が喋れるようになっています
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